訪問介護へのクレームを入れる手順は?クレーマーにならないポイント
訪問介護へクレームを入れたいと思ったとき、一体どこに相談すればよいのか迷ってしまう人もいるでしょう。
見当違いの相手にクレームを出しても、適切に処理してもらえない可能性があります。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護へのクレームを入れる手順や相手をまとめました。
同時に、クレーマーにならないようにするためのポイントも紹介しています。
訪問介護事業所や訪問介護員とのトラブルを避け、上手に対応してもらうために確認してみてください。
1.訪問介護に関するクレームはどのくらいあるの?
そもそも、訪問介護に対してクレームを入れる人がいるのかどうか、気になる人もいると思います。
残念ながら、全国でみた訪問介護に対する苦情の数は計測されていません。
しかし、どのようなサービスに対してもクレームを入れる人がいることは事実です。
「苦情を入れる」こと自体に、よいイメージはないかもしれません。
今後のサービス改善や対応の改善が見込まれるため、真っ当な意見である場合は入れたほうがよいでしょう。
補足:クレームは東京都で100件を超える
全国の訪問介護に対するクレーム数は不明ですが、東京都限定で数が公開された資料があります。
東京都の「介護関連苦情分類項目別の状況」では、訪問介護についての苦情のうち「サービス提供、保険給付」については、平成27年度で191件です。
訪問介護に限定せず、介護関連の苦情の件数を見てみると、1,567件にものぼります。
仮に全国のデータがあったとすれば、おそらく3倍以上の件数になっていることでしょう。
2.利用者から訪問介護へのクレーム事例2つ
利用者から訪問介護に対するクレームの事例として、具体的にはどのようなものがあるのでしょうか。
本記事では、以下2つの事例について見ていきましょう。
- 担当の訪問介護員が変わってから対応が酷い
- 訪問介護員が来たら私物がなくなった
これらは、担当が変更になったり、訪問介護員が信頼できなかったりして起きるトラブルです。
どちらも介護の現場ではよくあるトラブルとなります。内容を把握して、自身のケースと照らし合わせてみましょう。
事例1.担当の訪問介護員が変わってから対応が酷い
担当の訪問介護員が変わってから、利用者に対する言動が酷く、利用者本人が担当者の変更を申し出ることがあります。
前任者は利用者のことを考えて行動していたにもかかわらず、後任者は利用者よりも自身の都合を優先するケースでよくあるトラブルです。
担当者が変わりやすい利用者や、訪問介護員の離職率が高い事業所で起きやすくなります。
単純に、訪問介護員が悪い場合もあり得ますが、訪問介護員と利用者の相性が悪い可能性もあります。
可能であれば、訪問介護事業所に問い合わせ、訪問介護員の対応に満足できないことを伝えてみましょう。
多くの訪問介護事業所がヒアリングをおこない、より相性がよいと思われる訪問介護員に変更してくれます。
事例2.訪問介護員が来たら私物がなくなった
訪問介護員が来たら私物がなくなったというクレームも、訪問介護では珍しくありません。
実際に訪問介護員が盗んだというケースは稀で、利用者自身が見落としていたり、置き場所を忘れていたりする場合が多いです。
家族に対して利用者自身から訴えがあった場合には、一度自宅を捜索し、それでもなければ訪問介護事業所に問い合わせてみましょう。
私物紛失について、万が一訪問介護員が盗んでいた事実があった場合、窃盗罪にあたります。
訪問介護員が盗んだという証拠が必要になるため、自宅にカメラを設置したり、貴重品を普段は開けない場所に置いたりと、工夫する必要があるでしょう。
3.訪問介護にクレームを入れる手順
訪問介護に納得できない点があり、クレームを入れたい場合には、以下の手順にそって問い合わせましょう。
- まずは自分の気持ちを整理する
- ケアマネジャーに連絡して相談する
- サービス提供責任者に連絡して相談する
- 地域包括支援センターに連絡する
迷ったときは、担当のケアマネジャーに聞くことが大切です。
それでは、これらの手順について詳しく紹介します。
手順1.まずは自分の気持ちを整理する
訪問介護に対して腹を立てている状態のときは、どのような苦情であっても真っ当な意見に思えるものです。
しかし、クレーマーと思われる内容である可能性も否定できません。
苦情を入れようとしている自分を一度落ち着かせて、一時的に感情が不安定になったことで出たものではないかを確認してみましょう。
- 明らかに自分にも非がある
- 事前に防ぐ方法があった
- カッとなってしまい冷静ではなかった
このような場合には、苦情を入れるべきではありません。
なぜなら、訪問介護に対して不満があるにもかかわらず、自分自身がクレーマーになってしまう可能性があるためです。
まずは自分の気持ちを整理し、どうしてクレームを入れようと思ったのかを改めて考えてみてください。
その結果、やはり真っ当な苦情であると判断できた場合には、躊躇せずにクレームを入れましょう。
手順2.ケアマネジャーに連絡して相談する
気持ちが整理できたら、まずはケアマネジャーに連絡し、苦情を伝えます。
ケアマネジャーは、業務上「公正中立の立場で支援する」ことが決まっている立場です。
そのため、利用者からの話しを真摯に受け止め、意見を聞いてくれるでしょう。
ケアマネジャーとして経験が深い担当者の場合、苦情対応に慣れているケースもあります。
訪問介護員に対して不満がある場合には、訪問介護員と話しをしてくれるため、解決までがスムーズになるでしょう。
訪問介護員に直接クレームを入れてもトラブルに発展しやすいため、まずはケアマネジャーに相談してみてください。
手順3.サービス提供責任者に連絡して相談する
ケアマネジャーが頼りない場合や、なかなか解決に向けて動いてくれない場合には、サービス提供責任者に連絡して相談しましょう。
サービス提供者は訪問介護員を指導している立場のため、訪問介護員のことをよく理解しているケースが多いです。
担当を変えてくれたり、訪問介護員の対応を改めるよう指導してもらえたりします。
加えて、訪問介護事業所への苦情の場合でも、真摯に受け止め改善しようと試みてくれるはずです。
手順4.地域包括支援センターに連絡する
ケアマネジャーでもサービス提供責任者でもクレームを処理してくれない場合には、地域包括支援センターに連絡してください。
地域包括支援センターは、相談窓口として各地域に存在しています。
区役所や市役所のなかに入っていることが多いため、確認してみるとよいでしょう。
クレームを出すときには、具体的にどの訪問介護事業所で、どういったことがあったのかを詳細に伝えることが大切です。
内容を具体的に把握してもらえたほうが、より問題解決までがスムーズになります。
4.クレームを入れる前に用意すべきもの
事前に用意すべきものとして、以下のようなものが挙げられます。
- 訴えの内容が分かる録画
- 訴えの内容が分かる音声
- 訴えの内容が分かる証拠写真
- 訪問介護事業所との契約書
- その他、証拠として認められるもの
ただ単に「こういうことがありました」と伝えるだけでは、「そうなのですね、申し訳ございません」という謝罪で終わることがあります。
しかし、謝罪だけでなく、担当者を変えてほしかったり、きちんと今後の対策を考えてほしかったりする場合が多いはずです。
その場合、いかに重大なクレームなのかを認識してもらうために、録画・音声・写真など、証拠となるものを用意しておくとよいでしょう。
くわえて、上記のなかで必要になるものは「契約書」です。
たとえ苦情の内容が真っ当であっても、訪問介護事業所との契約内容に即していない場合には、クレーマーになってしまいます。
まずは、自分の主張が契約に則したものなのかを確認するためにも、契約書を用意しておきましょう。
5.クレームを入れるか迷ったら考えるべきポイント
実際に苦情を申し立てるか迷った人は、以下の3つのポイントについて考えてみてください。
- 不当な主張でないかを必ず確認する
- 訪問介護事業所に遠慮しない
- 家族に相談してみる
意見は中立な立場からみると、どちらかに偏っている可能性があります。また、遠慮すると、我慢が不満に変わる場合もあるほどです。
すぐに相談できる状態で過ごせると、高品質なサービスを受けられます。
その1.クレームが不当でないかを必ず確認する
不当な主張であった場合には、クレーマーに認定されたり、契約を打ち切られたりする可能性があります。
生活の一部になっている訪問介護の契約が打ち切られてしまっては、また次の事業所と契約するまでの間、生活が安定しないこともあるでしょう。
くれぐれも、理不尽な要求をしていないか、自分で確認してみてください。
不当かどうか判断がつかない場合には、ケアマネジャーに相談という形で話しだけ聞いてもらうこともおすすめです。
不当なクレームだと判断されないように、まずは自分の主張が真っ当なものかを確認しましょう。
その2.訪問介護事業所に遠慮しない
なかには、「訪問介護事業所にはよくしてもらっているから…」と、自分の主張を遠慮してしまう人もいるかもしれません。
しかし、自分の主張に問題がなく、明らかに事業所が悪いと感じている場合には、遠慮なく苦情を出しましょう。
訪問介護事業所と利用者は、対等な関係にあります。
遠慮してしまうと、生活がずっと不便なまま、納得のいかない介護サービスを受け続けることになってしまいます。
遠慮せずに気持ちを伝えることで、事業所が改善を試みた場合には、毎日がより生活しやすくなるはずです。
その3.家族に相談してみる
クレームを入れるか迷ったときには、家族に相談してみることもポイントの1つです。
ひとりで悩んでいても、いつまで経っても解決しないこともあるため、家族を頼ってみましょう。
家族に悩みを聞いてもらうだけでも、適切なアドバイスによってあっさり解決する場合もあります。
苦情を出さずに済み、なおかつ問題が解決する可能性があるため、なかなか行動できない場合には、家族を頼ってみてください。
まとめ:クレームの前に落ち着いて確認!
今回は、訪問介護に対してクレームを入れる手順や、クレーマーにならないようにするためのポイントを紹介しました。
訪問介護に対して納得できないことがあったり、腹立たしい出来事があったりしたとき、そのままの勢いで苦情を入れてしまう人もいるでしょう。
しかし本当に自分の主張が正しいのか、いったん落ち着いて考えて、簡単な相談という形でケアマネジャーに相談してみることも大切です。
- もし自分に落ち度があった場合
- 契約書とは異なる内容であった場合
- あまりに不当な苦情であった場合
上記のケースでは、クレーマーに認定され契約解除となってしまう可能性があります。
一時的な感情での主張でないかを事前に考えてみることで、良好な関係を築けるでしょう。