訪問介護でゴミの持ち帰りはできない!依頼があったときの対処法は?
訪問介護では、原則として利用者の自宅で出たゴミの持ち帰りはできません。
ゴミの持ち帰りは、訪問介護のサービス範囲外となるためです。
今回「みーつけあ」では、訪問介護のゴミ持ち帰りについて、解説します。
以下のようなポイントも含めて解説するので、ぜひご覧ください。
- 持ち帰ってと言われた場合にはどう対応すればよいのか
- ゴミ出しに該当する範囲はどこまでなのか
本来できないサービスを提供してしまうと、のちの対応に困ることも多々あります。
まずは、気軽に依頼されることが多い「ゴミの持ち帰り」について、提供できるサービスなのかを把握しましょう。
1.訪問介護でゴミの持ち帰り処分は可能?
訪問介護では、ケアプランにないサービスを依頼されるときがあります。
対応に困る「ケアプラン外のお願い」の1つが、ゴミの持ち帰り処分です。
- 「このゴミを持って帰って捨ててほしい」
- 「ゴミ捨ての日に間に合わなかったから持って帰ってほしい」
- 「ゴミ箱を掃除したばかりだから今日のゴミは持って帰ってほしい」
このような依頼があったときに、持って帰るべきか判断に迷うこともあるでしょう。
訪問介護でゴミの持ち帰りは可能かについて説明します。
ゴミを持ち帰り処分するサービスは不可
訪問介護では基本的に、訪問介護員がゴミを持ち帰って処分するサービスは対応できません。
なぜなら訪問介護では、「日常生活に必要と判断されるサービスしか提供できない」ためです。
訪問介護員が利用者さん宅のゴミを持ち帰って処分するのは、日常生活の範囲外となります。
しかし、有料サービスとして、事業所が提供している場合もあります。
事業所との契約内容によって、持ち帰りまでお願いされている場合は、サービスとして提供しなければいけません。
持ち帰ってと言われた場合の対応
ゴミ捨て日に指定の場所に捨てるサービスは、介護のケアプランに組み込まれている場合があります。
しかし、ゴミを持ち帰って捨てるというサービスは通常提供しません。
訪問介護員は、サービス提供の範囲外のため拒否できます。
しかし、なかには持ち帰ってゴミを捨てる訪問介護員もいるでしょう。
ほかにも、特別な事情があったり、ケアマネジャーから頼まれたりするケースがあります。
持ち帰りが必要かどうかは、事業所に確認するとよいでしょう。
2.訪問介護でゴミ出しに該当する範囲を確認
訪問介護で、ゴミ出しに該当する範囲を確認しましょう。
範囲を理解できると、依頼されたときに適切な対応ができます。
介護保険のゴミ出し範囲は、以下のように考えると分かりやすいです。
- 訪問介護の対象は日常生活で最低限の範囲
- 2名以上のゴミ出しが必要な場合は保険外
利用者さんにどう説明すればよいのかわからない人は、範囲を覚えておきましょう。
訪問介護の対象は日常生活で最低限の範囲
訪問介護の対象は、日常生活で最低限必要になる範囲のみです。
たとえば、以下のように判断できます。
- 大掃除はサービス範囲対象外
- 大掃除に伴って出たゴミ捨ては範囲外
- 使わない部屋の掃除はサービス範囲対象外
- 使わない部屋の片付けで出たゴミ捨ては範囲外
利用者さんの日常生活に最低限必要とはいえないため、介護保険で利用できるサービスの範囲外となります。
2名以上のゴミ出しが必要な場合は保険外
2名以上でゴミ出しが必要な場合にも、介護保険適用外です。
もともと2名必要になるような大きなゴミが出るサービス自体は、日常生活で必須といえません。
万が一、依頼された場合には、理由を適切に回答できるように覚えておきましょう。
補足:自分が出したゴミは持ち帰る
ゴミの持ち帰りは、原則としてサービス範囲外となりますが、自分が出したゴミは持ち帰るほうがよいでしょう。
マナーの問題として、持ち帰りしなくてもよいからといって、利用者さんのお宅にゴミを捨てるような状態は好ましくありません。
自分で食べたり飲んだりしたゴミは、利用者さん宅で捨てないようにしてください。
また、介護時に使用した使い捨てのマスクや手袋も、放置して帰らないように注意が必要です。
3.ゴミの持ち帰りを求められる場合の対処法
利用者さんのなかには、「どうしてもゴミを持ち帰って捨ててほしい」という人もいるかもしれません。
ゴミの持ち帰りを求められた場合にはどうすればよいのか、対処法を覚えておきましょう。
具体的には、以下のとおりです。
- 介護保険外のゴミ出しサービスを伝える
- ケアマネジャーに相談する
- ゴミの分別だけ手伝う
それぞれの対処法について詳しく説明します。
対処法1.介護保険外のゴミ出しサービスを伝える
介護保険外のゴミ出しサービスについて、情報提供してみてください。
介護保険外のサービスを提供している会社や、家事サポートのサービスなどもあります。
たとえば、江東区では、ごみ出しサポートを自治体として提供しています。
地域にもごみ出しサポートがあるため、どうしても捨ててほしいものがある利用者さんには伝えてみてください。
対処法2.ケアマネジャーに相談する
ケアマネジャーに相談して、どこまでの範囲のゴミを持ち帰るべきかを確認してみましょう。
事業所と利用者さんとの契約内容によって、条件が変わる場合もあります。
ケアマネジャーや訪問介護事業所と検討したとき、「ゴミを持ち帰る意味がある」と判断される場合もあるでしょう。
認められる理由があれば、問題なく持ち帰りが可能になります。
その場の判断ですぐに断わるのではなく、事業所と相談する旨を伝えてもよいでしょう。
対処法3.ゴミの分別だけ手伝う
ゴミの分別だけ手伝う、という方法もあります。
ただし、ケアプランが変更となるため、まずはケアマネジャーに相談してください。
利用者さんが自身で分別する場合には、今後を考えて処分しやすくなるよう工夫しましょう。
たとえば、ゴミ箱に大きく「燃えるゴミ(紙・糸くず)」「燃えないゴミ(ビニール・食品トレイ)」などと記載するのも1つの手です。
目印を付けたり、利用者さんが分かりやすくなったりする方法を考えてみてください。
分別からサポートすれば、訪問介護員が溜まったゴミを持ち帰る必要はなくなるかもしれません。
4.ゴミ出しができない利用者さんへの今後の対応
令和2年度の「高齢者ごみ出し支援制度導入の手引き」によれば、今後ゴミ出しができない利用者さんへの対応として、以下のようなことが検討されています。
- 独居高齢者世帯
- 単身高齢者世帯
世帯の数や実態を把握して、地方公共団体がゴミ出し支援制度を導入できるように、具体的なフローを整えています。
地方公共団体が実施しているゴミ出し支援制度は、2018年の23.5%(387地方公共団体)から、2020年には34.8%(417地方公共団体)に増加しました。
ゴミ出しができない利用者さんに対しての支援は、広がりつつあります。
今後は、訪問介護内のサービスではなく、地域のゴミ出し支援に移行していくことでしょう。
まとめ:ゴミの持ち帰りは柔軟に対応しよう
ゴミの持ち帰りを依頼されたときには、すぐに断らずに事業所やケアマネと相談してみましょう。
利用者さんの日常生活にどうしても必要だと認められた場合には、サービス提供が可能になります。
以下のような点を、再度確認してください。
- なぜゴミを持ち帰ってほしいのか
- ゴミの日の回収では問題があるのか
訪問介護本来の、利用者さんの生活支援に対する意識を常に持つことで、よりよいサービスになるでしょう。