訪問介護のご飯作りは避けられない?重視するポイントを変えてみよう
料理が苦手な人にとって、訪問介護のご飯作りは避けたいものです。
しかし、生活援助中心の担当では、ご飯作りは避けられません。
苦手な人は、「おいしい料理を作らなくては」と気負いせず、重視するポイントを変えてみてください。
ご飯作りが楽しくなったり、料理が苦手でも喜んでもらえるご飯作りができるようになったりします。
今回「みーつけあ」では、訪問介護員がご飯について考えるべきことをまとめました。
ご飯を作るときに重視すべきポイントまで解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.訪問介護でご飯を作ることは避けられないの?
訪問介護でご飯を作ることは避けられないのか、気になっている人もいると思います。
実際のところ、訪問介護では、ご飯を作ることが避けられません。
なぜなら、日常生活に最低限必要なサービスに含まれているためです。
食事は日常生活で欠かせないものであり、生きていくうえでの楽しみでもあることは、忘れないようにしましょう。
基本的に食事作りは避けられない
訪問介護では、基本的にご飯を作ることは避けられません。
利用者さんがこれまで自分でこなしていた、家事関連の業務を行うことが多いためです。
- 「料理がまずかったらどうしよう」
- 「好みの味じゃないと言われないか不安」
- 「料理が下手という理由で交代させられない?」
このような不安が生まれやすいのは、生活援助に携わることが多い訪問介護ならではの悩みといえます。
2.料理が苦手な訪問介護員がご飯について考えるべきこと
料理が苦手な訪問介護員は、考えるべきことがあります。
「おいしい料理を作らなければ」と気負いすると、訪問介護自体に嫌気がさしてしまうかもしれません。
「おいしい料理」を重視するのではなく、以下の4つについて考えてみましょう。
- 食事が楽しみな時間であることを理解する
- 満足できる食事とはなにかを考える
- 時間内で作り終えられるご飯を考える
- 栄養面も考える
それでは、それぞれ詳しく説明します。
その1.食事が楽しみな時間であることを理解する
まずは、食事が楽しみな時間であることを理解する必要があります。
食事には、以下のような作用があります。
- よいにおいがするとお腹がすく
- 自分も手伝ってみて楽しいと感じる
- きれいな盛り付けでワクワクする
- おいしくて食欲がわく
おいしそうなにおいがすると自然とお腹が空き、自分でも手伝ってみるとさらに食事への楽しみがうまれます。
きれいな盛り付けをみてワクワクし、実際に食べてみておいしいと感じてさらに食欲がわくでしょう。
食事はただ単に空腹を満たすものではなく、人生の楽しみの1つとしての役割を担っているといえます。
その2.満足できる食事とはなにかを考える
「満足できる食事とは、どのようなものか」を考えてみてください。
料理が苦手であっても、よりよい提供の方法がわかるかもしれません。
具体的には、以下のような食事が挙げられます。
- 不自由ない食事
- 楽しい食事
- 好みの味でおいしい食事
- 食事作りに参加できること
食べるときに不自由な状態では、楽しみにしていた食事も憂鬱な時間に変わってしまいます。
利用者さんによって、黙々と食べるのが好きな人や、雑談しながら食べるのが好きな人など、さまざまなタイプに分けられるでしょう。
それぞれのタイプに合わせて、楽しく食べられる時間を作る工夫が大切です。
好みの味であればおいしいと感じやすく、自分で少しでもご飯作りに参加できた場合には、なおさらおいしく感じます。
その3.時間内で作り終えられるご飯を考える
訪問介護のご飯作りでは、時間内に作り終えられるレシピを考えなくてはなりません。
丁寧かつおいしいご飯を作ろうとして、訪問介護の決められた時間をオーバーしてしまっては本末転倒です。
1つひとつの料理に手間をかけすぎず、時間内に料理が終わるようなプランを計画してください。
提供時間を短縮するためには、短時間で済むレシピを覚えておくとよいでしょう。
その4.栄養面も考える
訪問介護のご飯作りでは、栄養面についても考える必要があります。
本来であれば、栄養は第一に考えるべき重要なことです。
料理が苦手なら、利用者さんがご飯に対して、興味をもつように働きかけてみましょう。
食欲低下によって栄養不足になりやすい利用者さんのために、主食・主菜・副菜のバランスを大切にしてください。
3.訪問介護でご飯を作るときのポイント
訪問介護でご飯を作るときのポイントを押さえておけば、利用者さんに喜んでもらえるご飯が作れます。
ご飯作りが苦手な人も意識しやすいポイントとして、以下4点にまとめました。
- 味付けを聞いてみる
- 短時間でできるおいしいレシピ帳を作る
- 不自由なくご飯が食べられる工夫をする
- 食事中の様子を観察する
それでは、それぞれ具体的に見ていきましょう。
ポイント1.利用者さんに味付けを聞いてみる
訪問介護でご飯を作るときに、利用者さんに味付けを聞いてみましょう。
可能なら一緒に味付けしてもらう、といった工夫もできます。
キッチンに出てこられない人であれば、ベッド上で味を確認してもらいましょう。
本人に確認してもらえると、味の不安を解消しやすいです。
利用者さんが自分で味見や味付けできると、食事に対して興味を持ってもらえるでしょう。
ポイント2.短時間でできるおいしいレシピ帳を作る
短時間で簡単にできる料理を集めた、おいしいご飯のレシピ帳を作るのもポイントです。
訪問介護のサービス提供時間内に完了できないと、ほかのサービスに時間を使えなくなってしまいます。
短時間で、簡単にできるおいしい料理をヘルパー間で共有すれば、人によって料理の質が低下せずに一定のレベルで提供できます。
また、利用者さんそれぞれの好みの味もメモしておけば、引き継ぎも楽になるでしょう。
ポイント3.不自由なくご飯が食べられる工夫をする
不自由なくご飯が食べられるように工夫してみることも、重要なポイントです。
利用者さんが食べることに集中できるため、ご飯の時間を楽しんでもらえます。
- 食べにくいならカットする
- 柔らかい食事にする
工夫を施すためには、一緒にご飯が作れる状態が望ましいです。
ただし、利用者さんが好む食材の柔らかさと実際に咀嚼できる柔らかさは、異なるケースもあります。
食べている様子から「噛めていない」と感じたときには、少しだけ柔らかくするといった工夫が、嚥下事故の防止につながります。
柔らかくする場合は、見た目で楽しめるように少し大きめに食材をカットしてください。
ポイント4.食事中の様子を観察する
食事中の様子を観察してみることも、ポイントの1つです。
観察するポイントは、以下のとおりです。
- 食べやすい味付けか
- 口に入れやすいサイズか
- 箸の進み具合はどうか
改善点が分かると、楽しくおいしく食事をとってもらえるサービスにつながります。
凝視しない程度で、観察してみてください。
利用者さんが、会話しながら食事をするのが好きな場合には、食事について話を聞いてみるのもおすすめです。
訪問介護のご飯に関するQ&A
訪問介護のご飯について、疑問や不安を抱えていると、自信がない状態でサービスを提供することになるはずです。
自信がないと、不得意なご飯作りに対する不安もさらに大きくなるでしょう。
訪問介護のご飯について気になる疑問点を、以下にまとめました。
- 訪問介護で役立つレシピは?
- 食事を作り置きしてもよい?
- 料理を持って帰ってといわれたら?
それぞれの疑問点を解消して、自信を持ってサービス提供しましょう。
Q1.訪問介護で役立つレシピは?
A.訪問介護で役立つレシピは、周りの先輩訪問介護員に聞いたり、Webで検索したりして見つけましょう。
レシピ帳があれば、分量や手順が書かれているため失敗してしまう可能性も少なくなります。
以下の記事では、訪問介護で役立つレシピについて紹介しています。
▼料理に苦手意識がある人は、ぜひチェックしてみてください。
>>訪問介護のご飯作りがストレス!レシピやポイントを覚えて楽しもう
Q2.食事を作り置きしてもよい?
A.作り置きは、ケアプランに含まれている場合のみ可能です。
ケアプランに含まれていない状態で作り置きをしてしまうと、本来のサービス提供とは異なる業務をしている状態になります。
作り置きサービスが含まれている利用者さんであれば、料理の手間を少し省けます。
下記のページで、訪問介護の作り置きは可能なのかについて説明しているため、詳細が気になる人は確認してみてください。
>>訪問介護で作り置きはできる?食事量や保存のポイントを解説
Q3.料理を持って帰ってといわれたら?
A.訪問介護員は、料理を持ち帰ることができません。
持ち帰りを頼まれるときは、料理の量が多かったり、味付けが好みでなかったりする場合があります。
利用者さんに料理の感想を聞いて、次回以降のご飯作りに役立ててください。
また、利用者さんからお茶やお菓子を勧められた場合も、受け取ることはできません。
詳しくは下記の記事で説明しているため、トラブルを未然に防ぐために確認しておくことをおすすめします。
>>訪問介護でプレゼントは受け取れる?利用者さんから物をもらった場合の対処法
まとめ:ご飯作りが苦手なら重視するポイントを変える
訪問介護のご飯作りが苦手な人に向けて、視点を変える方法について紹介しました。
ご飯を上手に作ったりおいしく作ったりするのは、料理が苦手なうちは難しいものです。
まずは、「食事とはそもそも何なのか」や「食事はどうあるべきなのか」を考えてみてください。
一緒に食事を作ったり、短い時間でできるおいしいレシピを覚えたりすれば、利用者さんのご飯の時間を楽しいひと時にできるでしょう。