訪問介護のスケジュールはハード?1日の流れや管理のためのアプリを紹介
訪問介護員の一日のスケジュールは、ハードになりやすいです。
その背景には、以下のような要因があります。
- 利用者さんの体調や状況の変化
- 交通状況の影響
- 訪問介護員の高齢化
どれだけ忙しい状況でも、利用者さんの生活をサポートするためには予定を抜かしたり、遅れたりしないように、調整しなくてはなりません。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護のスケジュールや一日の流れについて紹介します。
この記事を読めば、忙しい訪問介護の一日を適切に管理でき、スムーズに動きやすくなります。
ハードな1日に余裕をもって動くためにも、一日の流れを把握して、適切にスケジュール管理を行いましょう。
1.訪問介護のスケジュールはハード?1日の流れを一目で把握!
「訪問介護員は忙しそう」というイメージがある人に、1日の流れを紹介します。
正社員とパートによって、スケジュールに違いがあるため、それぞれ分けてまとめました。
実際に、訪問介護員として働くことになった場合に、どのようなスケジュールで働くことになるのか、目安として参考にしてみてください。
※事業所によって、スケジュールが異なる点に注意してください。
【正社員の場合】訪問介護の一日のスケジュール
訪問介護で、正社員として働く際の、一日のスケジュールを表にしました。
一般的に8時~17時までの勤務となることが多く、1日に4~10件の利用者さん宅に訪問します。
なかには、朝から夕方まで1件のみ対応するケースも。
身体介護と生活援助のどちらも提供しますが、希望によっては、身体介護のみで働けます。
8:00 | 出勤して利用者さん情報を確認 |
8:15 | 1件目の利用者さん宅まで移動 |
8:45 | 1件目で身体介護+生活援助 |
10:00 | 2件目の利用者さん宅まで移動 |
10:20 | 2件目で身体介護 |
11:30 | 事業所に戻ってお昼休憩 |
12:45 | 3件目の利用者さん宅まで移動 |
13:10 | 3件目で身体介護+生活援助 |
14:10 | 4件目の利用者さん宅まで移動 |
15:00 | 4件目で身体介護+生活援助 |
16:30 | 事業所に戻る |
17:00 | 介護記録をつけて明日の準備 |
17:00 | 退勤 |
一日のスケジュールは、訪問する件数や利用者さんの状態、状況によっても変化します。
突然利用者さんの体調が悪くなった場合は、対応する必要があるため、予定しているスケジュールに影響が出ることもあります。
そのため、柔軟に対応できるように、スタッフを揃えている事業所が多いです。
施設介護と同じく、食事介助や入浴介助、排泄介助、外出介助などの身体介護に加え、掃除、洗濯、調理、ゴミ出しなどの生活援助を行います。
【パートの場合】訪問介護の一日のスケジュール
訪問介護でパートとして働く場合の、一日のスケジュールを表にまとめました。
シフト勤務で自由に働く時間が選べるため、朝から夕方までのスケジュールではなく、1日に2~3時間という働き方ができます。
10:00 | 自宅から利用者さん宅まで移動 |
10:20 | 身体介護+生活援助 |
12:20 | 介護記録をつけて帰宅 |
パートでも、1日に複数件の利用者さん宅を訪問します。
複数の事業所を掛け持ちしている場合には、一日中移動とサービス提供となる人もいるほどです。
そのため、自分が働きたい時間だけ働ける点は、パートのよいところといえるでしょう。
身体介護と生活援助を行なうという点では、正社員と大きく異なる点はありません。
食事・入浴・排泄介助、外出支援、体位変換、歩行介助などの身体介護にくわえて、アイロンがけや調理、買い物などを行います。
▼登録ヘルパーのスケジュールは、以下の記事が参考になります。
>>登録ヘルパーは忙しい?1日のスケジュールをご紹介!
2.訪問介護はなぜ忙しいの?スケジュールが圧迫される理由とは
1日のスケジュールを見て、「やっぱり訪問介護は忙しいんだな」と感じた人もいるでしょう。
正社員やパートなどの働き方にかかわらず、次の利用者さん宅までの移動が含まれているため、時間に遅れないように行動しなくてはなりません。
訪問介護員からすると「仕事の一部」ですが、利用者さんからすると、毎日の生活に欠かせない時間です。
では、なぜ訪問介護が忙しくなるのでしょうか。
代表的な理由を、以下の3つにわけて紹介します。
- 利用者さん一人当たりの時間は決まっているが状況の変化があるため
- 移動中に思わぬ交通トラブルに巻き込まれることがあるため
- 訪問介護員の高齢化により人手不足が深刻であるため
それぞれ、確認してみてください。
理由1.状況の変化があるため
利用者さん一人当たりの訪問時間は、あらかじめ決められています。しかし、状況の変化によっては、時間を延長できるケースがあります。
たとえば、緊急搬送や対応、事業所への連絡があったり、思わぬトラブルがあったりなど、予定している時間に終わらないといったケースです。
また、要介護度の高い利用者さんを訪問する場合、時間に遅れてしまう可能性もあります。
訪問介護では、利用者さんの状態や状況によって対応時間に遅れが出るケースは意外に多いです。
予定が圧迫される大きな理由の1つですので、余裕を持ったスケジュールしましょう。
理由2.交通トラブルに巻き込まれることがある
次の利用者さん宅までの移動中に、思わぬ交通トラブルに巻き込まれてしまうことがあります。
人身事故で電車が遅れてしまったり、交通事故や渋滞に巻き込まれたりなどは、移動する場合によく起きるトラブルです。
あらかじめ予測できるような天候の問題なら回避できそうですが、突然のトラブルには対処しにくいものです。
このように、予測できない交通トラブルに巻き込まれることで、スケジュールが圧迫されるケースもあります。
理由3.人手不足が深刻であるため
訪問介護員の高齢化が著しくなっていることは、人手不足を加速させてスケジュールが圧迫してしまう理由の1つです。
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和2年度『介護労働実態調査』結果の概要について」によると、訪問介護員の4人に1人が65歳以上と分かっています。
介護職員、サービス提供責任者、生活相談員、介護支援専門員など、介護の他の専門職と比較すると、65歳以上の人材が12.5%も多いのです。
年齢を重ねると体調を崩しやすくなったり、20代や30代のようにテキパキと動くことが難しくなったりします。
スケジュールが圧迫されやすい訪問介護員が、高齢化によってより回転が遅くなりやすく、一人ひとりが忙しくなってしまうのでしょう。
3.忙しい訪問介護のスケジュールを適切に管理する方法
さまざまな理由や事情によって、訪問介護員のスケジュールはハードになりやすいです。
しかし、「忙しい」と言いながら利用者さん宅を訪問すると、よい印象を与えません。
また、自分自身が仕事を楽しめなくなる可能性もあります。
そこで、忙しい訪問介護のスケジュールを適切に管理するために、おすすめの方法を2つ紹介します。
- 移動時間を計算したうえでシフトを入れる
- スケジュール・タスク管理アプリを活用する
それぞれ確認して、忙しい毎日のスケジュールをうまく管理しましょう。
方法1.移動時間を計算したうえでシフトを入れる
訪問介護でシフトを申請する際に、「とりあえず10:00~16:00までにしよう」と大まかなスケジュールにすると、時間ギリギリまで訪問できる件数で調整する可能性があります。
そのため、事前に移動に必要な時間を計算して、10:00~12:00・13:00~16:00などに区切ってシフトを出しましょう。
そうすると、移動する時間に焦る必要がなく、一息つきながら無理なく通えます。
自分に余裕がないまま訪問すると、利用者さんに強くあたってしまったり、イライラした状態でサービスを提供したりしかねません。
利用者さんの日常生活がスムーズに送れるように、サポートさせていただいている気持ちで余裕を持って動きましょう。
方法2.スケジュール・タスク管理アプリを活用する
スケジュール・タスク管理アプリを活用し、忙しい毎日のスケジュールを管理することもおすすめします。
頭の中で「10:00~11:00がAさんで、11:20~12:30がBさんで…」と覚えていても、ふとしたときに忘れてしまいやすいです。
スケジュール・タスク管理アプリを使うと、1つずつ確認しながら訪問先を管理できます。
その日にやるべきことや、何が必要かなどメモをとりたいときにも便利ですので、検討してみてください。
4.無料!訪問介護のスケジュールを作成して管理できる便利なアプリ3選
ここからは、無料で使える訪問介護のスケジュール管理アプリを3つ紹介します。
個人で使うのはもちろん、事業所で導入すると複数の訪問介護員で共有できます。
- 完了したカードを移動させるだけの簡単管理「Trello」
- タスクや期日が一覧で表示できて把握しやすい「Asana」
- スケジュール管理の王道「Googleカレンダー」
スケジュールやその日にやるべきタスクを分かりやすく便利に管理したい人は、ぜひチェックしてみてください。
おすすめ1.完了したカードを移動させるだけの簡単管理「Trello」
「Trello」は、リストを作成し、その中にカードを作成してタスクを管理するというシンプルなアプリです。
利用者さんの状況によって遅延が出そうなカードは、「遅延」というリストを作っておいて該当カードを移動させるだけで簡単に状況を共有・把握できます。
訪問介護員が自分用で使う場合には、以下のような使い方がおすすめです。
【使い方の一例】
リストに入れるもの | 作成するカード |
---|---|
10:00~11:00 | Aさん(身体介護) |
12:00~13:00 | 移動 |
14:00~15:00 | Bさん(身体+生活) |
リストは時間ではなく「今日やること」「遅延」「完了したこと」などに分けておくのも便利です。
事業所全体で、すべての訪問介護員の動きや予定を共有すれば、遅れている訪問介護員のタスクをサポートできます。
さらに、画像・URLの添付やコメント送受信なども簡単で、カードを該当のリストに移動させるだけで手軽に状況を判断できます。
おすすめ2.タスクや期日が一覧で表示できて把握しやすい「Asana」
タスクや期日が一覧で表示できて把握しやすい「Asana」も、訪問介護員のスケジュール管理におすすめです。
Trelloとは異なり、カードで管理するのではなく、スケジュールを入れて担当者を指定し、期日管理を分かりやすくするタイプの管理アプリとなります。
自分がやるべきことを日時指定でリマインドできるため、スケジュールを管理するにはピッタリです。
たとえば、以下のような使い方ができます。
- Aさん訪問 10:00~11:00 9:40に忘れないようリマインド
- Bさん訪問 11:20~12:40 12:30に終了できるようにリマインド
加えて、一覧でやるべきことを把握できる「マイタスク」という機能があるため、いつまでに何をやるべきかが一目瞭然です。
こちらも事業所全体で導入して訪問介護員全員で共有できるため、全体を管理したい場合にもおすすめできます。
おすすめ3.スケジュール管理の王道「Googleカレンダー」
スケジュール管理の王道といえば、「Googleカレンダー」です。
自分の予定管理から、事業所内の訪問介護員の予定把握まで、簡単にできるアプリです。
作成した予定は簡単に移動や変更ができるため、急に予定が変更になった訪問があってもスムーズに対応できます。
また、位置情報を入力できて、初めての利用者さん宅へ訪問する際も安心です。
予定を利用者さんごとに色分けしておけば、パッとみて把握できます。
あわせてToDoリストも使用できるため、やるべきことやメモも簡単です。
5.訪問介護のスケジュールについてのよくある質問
訪問介護のスケジュールについて、よくある質問をまとめました。
1日の訪問件数から残業まで、気になることはすべて解決してから働けるようにしましょう。
- 1日に何件訪問することが多いの?
- 訪問介護は休みにくいって本当?
- 訪問介護にも残業はあるの?
不明点をなくして納得したうえで働くことで、忙しい日々であっても充実感を得られます。
Q1.1日に何件訪問することが多いの?
A.1日に訪問する件数の目安は、4~10件程度です。
事業所や、本人の掛け持ちの状況、当日の利用者さんの体調や状況によっても異なります。
1日に2件だけと決めて働く訪問介護員もいるため、どの程度まで希望がとおる事業所なのかを事前に調べておくとよいでしょう。
求人情報に記載がある事業所を確認しても、大体の目安程度と考えておくことをおすすめします。
Q2.訪問介護は休みにくいって本当?
A.訪問介護の仕事は、利用者さんの生活に直結している仕事です。
そのため、台風や地震、感染症蔓延の真っ只中であっても、休めないケースがほとんどです。
事業所が一人の訪問介護員の穴埋めができるように、しっかりと体制を整えていれば別ですが、休みにくいことは事実です。
とくに、急な休みは取れない事業所が多いため、最低でも一週間前には休みを伝えるようにしましょう。
▼有給に関しては、以下の記事もご参考ください。
>>【登録ヘルパー】有給休暇の取得条件やよくある質問について
Q3.訪問介護にも残業はあるの?
A.訪問介護は決められた時間の中で、利用者さんの自宅に訪問してサービス提供を行います。
そのため、訪問介護の仕事に残業はほとんどありません。
ただし、退勤時間までに介護記録を付け終われなかった場合には、少し残業が必要になることがあります。
加えて、移動の際にトラブルに巻き込まれてしまい、就業時間内に終わらなかったというケースも考えられます。
人手不足によって残業になるケースも考えられるため、残業はないという考えはもたないほうが無難です。
まとめ:忙しい訪問介護のスケジュール管理はアプリ利用で快適に
忙しい訪問介護のスケジュールを適切に管理するためには、スケジュール管理アプリが便利です。
予定に遅れてしまったり、やるべきことを忘れてしまったりしないように、一目でスケジュールや仕事の進捗が確認できるように整えておきましょう。
訪問介護の仕事は忙しく大変な面も多々ありますが、その分一人ひとりの利用者さんとの関わりが深く、やりがいの大きい仕事です。
いくら忙しくても、余裕をもって利用者さん宅を訪問できるように、日ごろの仕事環境を見直してみてください。