訪問介護はフリーランスで働ける?自由な働き方を実現するためにやるべきこと
働き方の多様性が認められるようになったいま、訪問介護もフリーランスという新しい働き方が広まりつつあります。
事業所に属さないため、働くペースはもちろん、給料もコントロールできる働き方です。
しかし、フリーランスになるためには強みや制度への理解が必要です。
そこで、今回「みーつけあ」では、訪問介護でフリーランスになる場合のメリット・デメリットをはじめ、仕事の取り方やなり方を紹介します。
訪問介護が楽しい仕事だと感じているのであれば、フリーランスになることで、より自由に働けて生活も充実するはずです。
訪問介護でフリーランスの働き方ができるのか疑問に感じている人は、ぜひこの記事を読んで検討してみてください。
1.介護の新しい働き方!訪問介護員はフリーランスでもできる
介護の新しい働き方として、訪問介護のフリーランスという働き方があります。
- フリーランスのデザイナー
- フリーランスのエンジニア
- フリーランスのWebライター
上記のような言葉を聞いたことがある人も、いるのではないでしょうか。
一見すると難しそうに感じますが、上記のような人たちの働き方を訪問介護でも実現できます。
- フリーランスとは?自分を売り込んで働く自由度の高い働き方
- 介護のスキルにプラスアルファで何かあるとより強い
それぞれ、詳しく確認しましょう。
フリーランスとは?
フリーランスとは、会社や団体に属さずに、自分自身で仕事を取り契約して働く働き方を指します。
具体的には、以下のような職業でフリーランスとして活躍している人がいます。
- エンジニア
- フォトグラファー
- デザイナー
- プログラマー
- ライター
- コンサルタント
- ディレクター
自分の能力やスキルを活かして自分で仕事を取らなくてはならないため、会社や団体に属していたほうが楽だと思う人もいるでしょう。
しかし、働き方の幅が広がり自分の時間がもてることや、給料をコントロールできることなどからフリーランスを選ぶ人が増えています。
内閣官房日本経済再生総合事務局の「フリーランス実態調査結果」によれば、フリーランスを選択した理由として、以下のような理由が挙がっています。
自分の仕事のスタイルで働きたいため | 57.8% |
働く時間や場所を自由にするため | 39.7% |
収入を増やすため | 31.7% |
参考:フリーランス実態調査結果
「自分のスタイルで働きたい」という理由でフリーランスになっている人は多く、訪問介護でも同じような理由が考えられます。
介護のスキルにプラスアルファあるとより強い
訪問介護でフリーランスとして働く場合には、介護のスキルにプラスアルファで何かあったほうが有利に働きます。
なぜなら、フリーランスになった場合、自分で訪問介護の仕事を取らなくてはならないからです。
自分を売り込める強みが必要になるため、介護以外のスキルがあると、まわりの訪問介護員よりも有利に立ち回れます。
たとえば、以下のようなスキルです。
- 介護スキル+調理経験のスキル=非日常的な料理を提供できる介護士
- 介護スキル+理・美容師のスキル=出張ヘアカットサービスが提供できる介護士
- 介護スキル+ネイリストのスキル=介護施設などにも出向ける出張ネイリスト
- 介護スキル+自動車整備のスキル=福祉車両に詳しい介護士
介護スキルに加えて別のスキルを持ちあわせていることで、他の訪問介護員よりも多彩なサービスが提供できます。
介護保険外のサービスとして提供すると、自分自身のスキルを存分に活かして働けるでしょう。
2.特別な準備は不要?訪問介護員でフリーランスになる方法
訪問介護員でフリーランスになるために、特別な準備は必要ありません。
代わりに、自分を売り込む営業活動が必要になるため、自分の強みを知っておくことは必要です。
フリーランス自体に何か特殊な申請を求められることはないため、なると決めた日からフリーランスとして活動できます。
ただし、介護に携わったことがない状態で、訪問介護のフリーランスとして働くことは無謀です。
この後紹介する、フリーランスとして仕事をとるためにやるべきことや、仕事をとる方法について知識をつけておきましょう。
3.訪問介護員でフリーランスとして仕事を取るためにやるべきこと
訪問介護員でフリーランスとして仕事を取るためにやるべきことは、以下の4つです。
- 介護のスキルを身に着けておく
- 介護の資格を取得しておく
- 介護職員や事業所と繋がりを作っておく
- スケジュール管理体制を整えておく
スキルの獲得や資格の取得は、簡単にできます。
しかし、繋がりや管理体制は、簡単に用意できません。
ぜひ参考にして、訪問介護員でフリーランスとして働けるように準備を進めてみましょう。
その1.介護のスキルを身に着けておく
当然のことですが、介護スキルを身に着けておくことは必須です。
訪問介護員として働くために資格を取得するだけではなく、柔軟に対応できる介護スキルを身に着けておくことをおすすめします。
なぜなら、利用者さんとマンツーマンでの仕事となるため、介護のスキルが伴っていなくては、いざというときに対応できないからです。
介護施設で介護士の仕事を経験したり、事業所で訪問介護員として働いたり、介護スキルを身に着けてからフリーランスになることをおすすめします。
その2.介護の資格を取得しておく
介護の資格を取得しておくことも、やるべきことの1つです。
訪問介護員として、専門知識や技術を持っている証明となります。
たとえば、介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修・介護福祉士などが当てはまります。
資格名 | 位置づけ |
介護職員初任者研修 | 介護の入門資格 ※旧ホームヘルパー2級 |
介護福祉士実務者研修 | 介護経験者向け資格で、介護職員初任者研修の上位資格 ※旧ホームヘルパー1級 |
介護福祉士 | 直接介護における唯一の国家資格 |
介護福祉士の資格は国家資格であるため、受験に際して受験資格を満たさなくてはなりません。
しかし、介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修は、特別な受験資格が設けられておらず誰でも取得できます。
介護未経験の人は介護職員初任者研修、介護経験者でステップアップしたい人は介護福祉士実務者研修、というように選んでみましょう。
訪問介護のフリーランスは、事業所に所属しない代わりに信頼が必要です。
できれば、介護福祉士の国家資格を取得した状態で、フリーランスになるのが望ましいといえます。
その3.介護職員や事業所と繋がりを作っておく
介護施設や訪問介護事業所で働いている人は、介護職員や事業所との繋がりを作っておくことも必要です。
なぜなら、繋がりがあれば何かのタイミングで仕事を紹介してもらえる可能性があるためです。
フリーランスは、自分で営業して仕事を取らなくてはならないため、繋がりはとても重要になります。
普段からよく情報交換をしたり、自分の夢を話したりと繋がりを作っておくことで、ふとしたときに仕事の話しをくれるかもしれません。
フリーランスは人との繋がりが大切であることを念頭に置いて、普段から関わり方を考えてみるとよいでしょう。
その4.スケジュール管理体制を整えておく
フリーランスになると、自分でスケジュール管理体制を整えておく必要があります。
事業所で働くこととは違い、他人にシフトやスケジュールを管理してもらえません。
スケジュール管理に便利なアプリを使えば、簡単にスマホとパソコンの両方でスケジュールを管理できます。
仕事を入れすぎて把握できなくなったり、不規則なスケジュールになってしまいうっかり忘れていたりとトラブルに発展する前に、体制を整えておきましょう。
▼訪問介護のスケジュールは、以下の記事が参考になります
>>訪問介護のスケジュールはハード?1日の流れや管理のためのアプリを紹介
4.訪問介護員のフリーランスが仕事を取る方法5選
訪問介護員のフリーランスとなり、仕事を取る具体的な方法を5つ紹介します。
いざフリーランスになってから、「どうやって仕事をとればよいの?」「働き方がわからない!」という状態にならないよう、事前に把握しておきましょう。
- 以前の職場から業務委託で引き継ぐ
- クラウドソーシング(スキルシェアサイト)を活用する
- 自分を売り込むためのポートフォリオを作成する
- SNSで個人に対して営業する
- 身内や知人から紹介してもらう
それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。
方法1.以前の職場から業務委託で引き継ぐ
以前の職場から業務委託として、現在の仕事を引き継ぐ方法があります。
繋がりさえしっかり保てると、以前の職場から、そのまま仕事が取れるため重宝するでしょう。
その事業所のやり方を知っていたり、すでに利用者さんと顔見知りのような状態であれば、フリーランスになってからも働きやすくなります。
訪問介護のフリーランスとして働きたいのであれば、一番手軽な方法です。
方法2.クラウドソーシングを活用する
自分のスキルをシェアして仕事が取れるサイトを、クラウドソーシングと言います。
クラウドソーシングに登録して、自分が得意なことやできることを掲載すれば、必要と感じたクライアントから連絡が届きます。
お互いにやりたいこととやってほしいことが合致すれば、仕事の契約に発展するイメージです。
しかし、訪問介護のフリーランスとして登録している人は、まだまだ少ないのが現状です。
自分の強みを最大限売り込めれば、複数のクライアントとの契約も夢ではないでしょう。
方法3.ポートフォリオを作成する
フリーランスは、仕事を獲得するために自分で営業しなくてはなりません。
そこで、自分を売り込むためのポートフォリオを作成する方法もおすすめです。
- 自分が得意なこと
- 介護に関する資格
- 介護以外のスキル
- 写真や実績の公開
他にも、自分でコラムを投稿して、訪問介護をよくしようと取り組んでみるのもよいでしょう。
SNSで拡散されたら知名度も高まり、仕事が舞い込んでくることもあるかもしれません。
ポートフォリオは、主に自分を知ってもらうためのページです。
そのため、コラムを付けたい場合には別サイトやブログのような形の運営をおすすめします。
方法4.SNSで個人に対して営業する
SNSを使った個人に対する営業も、仕事を獲得する1つの方法です。
SNSは多くの人が利用していて、書き込みがなくとも情報収集専用でアカウントを所持している人もいます。
顧客という意味ではどこに何人いるのかわからない状態のため、気軽にSNSで営業してみるとよいでしょう。
具体的には、自分のアカウントで仕事について呟いたり、訪問介護を必要としている呟きがある人に声をかけてみるのもおすすめです。
ただし怪しい人だと思われないように、事前にポートフォリオを作って、怪しくないことを証明できる状態が望ましいといえます。
方法5.身内や知人から紹介してもらう
身内や知人から訪問介護が必要な人を紹介してもらうことでも、仕事を獲得できます。
ただし、身内や知人の場合には、報酬の面で交渉が難しくなりやすいです。
身内だから、昔から知り合いだから、というような口実で安く仕事を頼まれることもあるでしょう。
そういった場合に、どのように対処するのかを自分のなかで決めている場合には、一番手っ取り早い方法といえます。
5.訪問介護員のフリーランスになるメリット
訪問介護員のフリーランスになるメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 働く時間や場所を自分で決められる
- 自分の知識やスキルに応じて給料が上がる可能性が高い
- 事業所内の人間関係に悩むことがなくなる働く時間や場所を決められる他に、給料の不満や人間関係のトラブルから身を守るきっかけになります。
それぞれのメリットから、本当にフリーランスが向いているのかチェックしてみてください。
メリット1.働く時間や場所を自分で決められる
働く時間や場所を自分で決められる点は、大きなメリットといえます。
フリーランスとして働く場合には、訪問介護に入る時間や場所を自分で決められます。
事業所で働く場合、シフト制であらかじめ振り分けられていたり、出勤が難しい日でも人手不足という理由で、無理矢理シフトを入れられることもあるでしょう。
こうしたストレスを感じる働き方ではなく、自分ができるペースで働けます。
他にも、フリーランスの働き方を最大限に活かせば、訪問介護の仕事をしながら他の仕事をしたり、旅行に出かけたりできます。
メリット2.知識やスキルに応じて給料が上がる
フリーランスになれば事業所に属さないため、給料を自分で決められます。
相手によっては高く評価してくれて、予定していた給料よりも高い報酬が貰えるケースもあるでしょう。
自分の知識やスキルが高くなっても、事業所でアップする給料には限界があります。
しかし、自分自身で営業して働くフリーランスは、自分の知識やスキルに応じて給料を高く設定できます。
その際、介護のスキルに加えてプラスアルファのスキルがあれば、新しいビジネスに発展させることもできるでしょう。
メリット3.人間関係に悩むことがなくなる
事業所内の人間関係に悩んだ経験がある人にとって、フリーランスという働き方はメリットが大きいです。
なぜなら、事業所との関わりがなく利用者さんとの関わりのみになるため、複数人が絡んだ人間関係に悩むことがなくなるためです。
「Aさんがシフト変われってうるさい」
「Bさんはいつも仕事が遅くて次の訪問先に自分が行くことになった」
上記のような訪問介護員あるあるも、経験しなくて済みます。
人間関係で悩んでいる人にとって、訪問介護のフリーランスという働き方はメリットが大きいといえるでしょう。
6.訪問介護員のフリーランスになるデメリット
訪問介護のフリーランスには、メリットに限らずデメリットも存在します。
- 自分で営業しなくてはならない
- 収入が安定しない月が出てくる可能性がある
- 事業所の規約や退職金などに頼れなくなる
なかでも、営業によって売り上げが変わって収入が安定しないデメリットは、訪問介護に限らずどの職種でも同じ悩みです。
いざフリーランスになってから後悔しないように、事前にデメリットとメリットのバランスを考えて、慎重に検討しましょう。
デメリット1.自分で営業しなくてはならない
自分で営業しなくてはならないという点は、フリーランスの訪問介護員を目指す人にとってデメリットとなりやすいです。
営業職の経験があると、順序よく説明できてスムーズに売り込めるかもしれません。
しかし、そうではない人の場合、どのように自分を売り込めばよいのか分からず困ってしまう可能性があります。
商品を売るようにスムーズな営業トークができると、ある程度まで自分の強みを伝えられます。
営業についての書籍やYouTube動画で勉強するなどして、営業に抵抗がないようにしておきましょう。
デメリット2.収入が安定しない
自分で営業して仕事を取るフリーランスという働き方は、仕事の量が安定しないため、コンスタントに仕事が入るようにする必要があります。
もちろん、仕事を詰め込みすぎてしまってはフリーランスのメリットである「自由」が奪われてしまいますので、収入をとるか自由をとるかは検討しなくてはなりません。
また、フリーランスは空いた時間で別の仕事もできます。
そのため、週末はフリーランスの訪問介護、平日は別のスキルを活かした仕事、というように働けます。
収入が安定するように、試行錯誤してみる時間も楽しみの1つになるかもしれません。
デメリット3.事業所の規約や退職金などに頼れなくなる
事業所の規約や退職金などに頼れなくなる点も、デメリットの1つです。
退職金や残業手当・夜勤手当・資格手当なども出ないため、その分自分でうまく料金を調整しなくてはなりません。
フリーランスは自由な働き方であるため、自分がやりたいことを達成しやすいです。
しかし、不便に感じる部分が出てくることも理解しておきましょう。
そうすれば、いざフリーランスになったときにギャップを感じて嫌になる危険性も少なくなります。
まとめ:訪問介護員のフリーランスで成功するには自分を売り込むことが大切
訪問介護のフリーランスに興味がある人向けに、フリーランスとしての仕事の取り方ややるべきこと、メリット、デメリットなどを紹介しました。
フリーランスは自由な働き方が実現できる反面、不便に感じたり面倒に感じたりします。
訪問介護員のフリーランスで成功するためには、自分自身をいかに売り込めるかが重要です。
ポートフォリオを作成したり、以前働いていた事業所との繋がりを大切にしたり、フリーランスになってから困らないように準備しておきましょう。
フリーランスになって自分が理想とする働き方ができれば、訪問介護の仕事がより楽しく感じられるはずです。