訪問介護で留守の対応とは?|本人不在の対処法まとめ
訪問した先で、「利用者さんが留守だった」という場合の対応方法が気になり、検索していますね。
サービスができない以上、待機するしか方法がないようにも思われます。
しかし、利用者さんが不慮の事故に見舞われている可能性も想定できるはずです。
今回、「みーつけあ」では、利用者が留守だった場合の対応方法について解説します。
利用者さんの安否確認は、訪問介護員の大切な役割です。
訪問介護員として、正しく対応できるように、内容を確認しましょう。
1.訪問介護先が留守のときサービス提供できる?
訪問介護に向かった先で、利用者さんが留守というケースは少なくありません。
SNSでも、「訪問先が留守だった」という声が確認できます。
そして暑い日も、寒い日も、雨の日も、ヘルパーは30分待ちます。
キャンセルの連絡がない場合は、訪問介護員も身動きがとれません。
訪問介護員はどのように、介護サービスを提供すべきでしょうか。
訪問介護の生活援助は本人不在時に提供できない
原則として、利用者さんが留守の場合は、訪問介護をおこなえません。
訪問介護はあくまでも、「利用者さんの日常生活を支援する」ための介護支援であるからです。
利用者さんのご家族から、「掃除をしてほしい」といった要望があっても、介護報酬の算定はできません。
原則は算定できないと考えるべきですが、判断基準は自治体によって異なる点に留意してください。
参照:港区港区保健福祉支援部 介護保険課「介護保険サービスの正しい利用法」
参照:世田谷区介護保険課「介護保険給付に関するQ&A」p11 Q2-3
参照:足立区「介護保険に関するQ&A」p7 Q2-5
参照:船橋市「認知症訪問支援サービスQ&A」
2.訪問介護で留守の対応ポイント
利用者さんのお宅が留守だった場合、訪問介護員はどのように対応すべきでしょうか。
本人が留守の場合、基本的にはキャンセル扱いとなります。
しかし、キャンセルする・しないの判断は慎重に行ってください。
以下のようなケースが考えられるからです。
- 利用者が家屋内で意識を失っている
- 転倒骨折などで、動けずに応答できない
- 認知症などによる徘徊
- インターホンの不具合
万が一に備えて対応することは、リスク管理の視点で大切なことです。
対応ポイントとして、以下の内容を押さえておきましょう。
- 事業所への連絡
- 利用者さんのご家族に連絡
- 利用者さんを探す
それぞれ順番に見ていきます。
ポイント1.事業所に連絡する
利用者の応答が得られない場合、まずは事業所に報告しましょう。
事業所から利用者さんやご家族、あるいはケアマネジャーに連絡してもらいます。
その後、事業所の判断に従ってください。
訪問介護は「利用者さんの安否確認」も役割のひとつです。
応答がないとき、留守だけでなく「利用者さんの身に異変が生じたケース」も想定すべきでしょう。
仮に利用者さんの体調不良だった場合、訪問介護員個人の独断で「留守だ」と判断したらどうなるでしょうか。
後々、「訪問介護員としての役割が果たせたかどうか」が問われる事態を招きます。
後のトラブルを防ぐためにも、まずは事業所に連絡してください。
ポイント2.利用者さんのご家族に連絡する
利用者さんが留守だった場合、事業所はご家族へ連絡します。
訪問介護を依頼しているご家族が、「どのようなトラブルがあったのか」を把握するために連絡しなければいけません。
また、利用者さんのご家族は、本人が出かけた状況を理解している可能性があります。
事業所の指示があるまでは、利用者さん宅の前で待機してください。
待機時間については、事業所ごとに決まりがあり、15〜30分とするのが一般的です。
ポイント3.利用者さんを探す
事業所によっては、「利用者さん宅の周辺を探して」と判断する場合があります。
状況によって異なる以下のような内容は、事業所の指示を仰ぎましょう。
- どの程度の時間探すのか
- どれくらいの範囲を探すのか
探したうえで、「利用者さんを見つけられたか否か」を、事業所に報告してください。
利用者さんを発見できたとしても、サービス提供時間が大幅に変わる可能性があります。
サービス提供時間の変更は、ケアプランから外れたサービスとなり、ケアマネジャーに連絡しなければいけません。
時間の変更は、利用者さんの承諾が前提である点に留意しましょう。
3.訪問介護で留守が多いときは利用者さんの状態を確認
頻繁に留守が続くようなら、利用者さんの体調に変化が生じているかもしれません。
利用者さんの異変に気づいた場合、ケアプランを見直す必要があります。
留守が多くなる原因の1つが、認知症です。
警視庁の報告によると、行方不明者の約30%は、病気が原因です。
さらに、病気のうち約20%が認知症(または疑い)とされています。
認知症の原因となる病気はさまざまで、気づかぬうちに徐々に進行していくケースもあります。
もしも突発的な留守が続くようなら、心身の問題かもしれません。
場合によっては、警察への捜索依頼が必要という事態もありえます。
訪問介護先で利用者さんが留守だった場合、上記のような内容も想定し、適宜適切な対応が必要です。
参照:厚生労働省「若年性認知症支援ガイドブック 改訂版」
参照:警察庁生活安全局生活安全企画課「令和2年における行方不明者の状況」
訪問介護での留守に関するQ&A
訪問介護での留守にまつわるQ&Aとして、以下の質問に回答付きでまとめています。
- 利用者さんを探している時間は算定対象か
- 訪問介護での留守番のみのサービスはあるか
- 利用者さんが鍵を開けないときの対応
訪問介護は、予想外のトラブルに見舞われるケースが少なくありません。
「利用者さんが家に入れてくれない」というケースもあります。
また、事業所・訪問介護員としては、利用者さん不在時の収入面も気になるところです。
それぞれの疑問を解決するために、Q&Aを見てみましょう。
Q1.利用者さんを探している時間の算定はどうなる?
A.捜索している間の時間帯は、原則として算定できません。
しかし、自治体によって対応が異なります。
介護保険上、利用者さん不在での訪問介護は認められないため、介護報酬としての収入は得られません。
キャンセル料金として請求する方法がありますが、介護保険ではなく利用者さんの自費負担となります。
事業所の対応として、よくあるパターンは以下の3つです。
- キャンセル料金は一切取らない
- 状況により請求する(体調不良や不幸などの場合は請求しない)
- 事前連絡の期日を設けて連絡があれば請求しない
キャンセル料を請求する場合は、事前に利用者さんへの説明して、同意を得ることが条件です。
参照:厚生労働省「訪問介護(ホームヘルプ)」
参照:厚生労働省「いくらでサービスを提供しているか」
参照:船橋市「認知症訪問支援サービスQ&A」
Q2.訪問介護で留守番は対応できる?
A.訪問介護では、留守番に対応できません。
利用者さんがいない場合、介護保険によるサービスが認められないためです。
留守番サービスを依頼された場合、訪問介護員は断る必要があります。
利用者さんが「どうしても留守番対応してほしい」といった場合は、有料サービスを利用することになります。
Q3.利用者さんが鍵を開けないときは?
A.利用者さんが、訪問介護員を拒む理由を考える必要があります。
まずは、利用者さんの状況把握が先決です。
たとえば、認知症によって「訪問の時間帯を認知できない」のであれば、ご家族がドアの前に張り紙をしておく方法が考えられます。
また、「本人が寝たきりでベッドから起き上がれない」という場合もあるでしょう。
サービス自体の認知が困難な場合、訪問介護員が鍵を開けて入る許可について協議しておかなければいけません。
まとめ:訪問介護の留守中対応は事前に知らせよう
「なんの連絡もなく、突然留守だった」という事例は、起こりえるトラブルです。
訪問介護は、利用者さんの安否確認まで含めてサービスとしています。
そのため、留守の理由は、明確に把握しなければいけません。
また、留守時の対応は、以下のような項目を設定して、事前に利用者さんやご家族に確認しましょう。
- 待機時間
- キャンセル料金
- 連絡体制
予防策としては、訪問前に担当者が電話連絡する方法もあります。
「利用者さんの一方的な都合による留守だから」といって、サービス提供したとみなす対応は不正となりますので、十分気をつけてください。