訪問介護の夜間・深夜・早朝加算|要件・考え方について解説
「訪問介護の加算はどのように算定される?」
「夜や早朝の加算に違いがある?」
このように、訪問介護の加算が気になって、検索していますね。
訪問介護で深夜や早朝といった、営業時間外となる時間帯にサービス提供する場合、特別料金が加算されます。
しかし、クリアしなければならない条件があるのも事実です。
今回、「みーつけあ」では、夜や深夜から早朝の加算について詳しく解説します。
まずは、訪問介護で、夜間から早朝までの時間帯に加算される内容から確認しましょう。
1.訪問介護の夜間・深夜・早朝加算とは
訪問介護は時間帯ごとに、以下のような加算があります。
- 夜間加算
- 深夜加算
- 早朝加算
訪問介護での日中は、AM8:00〜18:00までを意味します。
そのため、AM8:00〜18:00以外の時間帯では、サービスに上乗せされる料金として加算があります。
しかし、加算が付くには条件があります。
以下の2点で、夜間・深夜・早朝加算について解説するので、ぜひ参考にしてください。
- 夜間・深夜・早朝加算が該当する介護サービス
- 加算の種類と単位数について
該当するサービスから、確認しましょう。
その1.夜間・深夜・早朝加算が該当する介護サービス
加算対象となるのは、訪問系のサービスです。
該当するサービスには、訪問介護のほかに、訪問看護があります。
施設系のサービスでも夜勤の加算がありますが、早朝の加算はありません。
訪問系サービスの利用者さんは、施設とは違い、いつでも介護を受けられるわけではありません。
そのため、「夜や朝の時間帯にも、ヘルパーがいてくれたら」というニーズがあります。
夜や深夜あるいは早朝の加算は、利用者さんのニーズに応えるシステムともいえますね。
その2.加算の種類と単位数について
訪問介護で加算の対象になる18:00〜翌朝8:00の時間は、以下の3つに分けられます。
- 夜間
- 深夜
- 早朝
参照:介護給付費単位数等サービスコード表 令和3年4月施行版
また、それぞれの時間帯で、異なる基準と報酬が決められています。
以下の表で、確認しましょう。
項目 | 時間帯 | 加算の割合 |
夜間の加算対象となる時間 | 18:00〜22:00 | 日中サービスの25% |
深夜の加算対象となる時間 | 22:00〜翌朝6:00 | 日中サービスの50% |
早朝の加算対象となる時間 | 6:00〜翌朝8:00 | 日中サービスの25% |
日中の訪問介護よりも、25〜50%のプラス料金となります。
介護保険の言葉で表せば、「25〜50%の報酬が加算される」というわけです。
2.訪問介護の夜間・深夜・早朝加算の要件
夜や朝の加算を受け取るには、条件があります。
条件とは、以下の2つのうちいずれかを満たすことです。
- サービス開始が「夜間」「深夜」「早朝」に該当する時刻であること
- 「夜間」「深夜」「早朝」の時間にサービスを実施すること
規定の条件に当てはまらない場合、加算は認められません。
条件は単純でも、判断は難しいものです。
現実の訪問介護では、「日中の通常営業」と「加算対象の時間」が重複するケースがあります。
実施したサービスを加算の対象とみるか、通常のサービスと捉えるかは慎重に判断しなければいけません。
3.訪問介護の夜間・深夜・早朝加算の考え方
介護保険制度には、サービス提供に関するルールが設定されています。
しかし、ルールは抽象的な場合があり、事業所によっては解釈がブレることがあります。
「算定不可となって報酬が得られない」という事態も考え得られるため、加算要件の解釈間違いには、注意しなければいけません。
夜・朝の加算では、以下のポイントを踏まえて判断してください。
- 加算の基準時刻はサービス開始時点で判断すること
- 加算は提供時間の割合で判断すること
それぞれの詳細を見ていきましょう。
考え方1.サービス開始時刻が加算の基準になる
夜や早朝加算の判断基準は、「スタートした時間」です。
加算の対象となる時間帯は、18:00〜翌朝8:00の間が前提になります。
提供時間が「日中の時間帯」と「加算対象の時間帯」で重なる場合には、どのようになるでしょうか。
たとえば、「介護が17:00にスタートし、18:45に終了」となるような場合です。
通常業務と加算対象の判断に迷う場面ですが、介護の開始時刻が日中に該当するときは、加算なしと判断します。
実際のサービスは、夜間の時間にも及んでいますが、スタート時で判断しなければいけません。
仮に事業所の判断で、「移動時間を含めたい」と考えても算定は不可です。加算は、決められた条件を満たしたときのみ報酬が得られます。
しかし、実際の訪問介護では、さらに難しいケースがあります。
サービス開始時刻は日中でも、「実際の介護がほぼ加算対象の時間になる場合」があるからです。
考え方2.サービス提供時間の割合で加算対象を考える
加算を考えるとき、スタート時刻ではなく「実際の提供時間がどのくらいだったか」を見て判断する場合があります。
事例として、サービス提供時間が17:45〜18:45となった場合を確認しましょう。
通常業務と加算対象の時間が重なっていますが、以下のように、開始時刻と提供時間の割合に着目してください。
- スタート時刻:17:45(日中業務の時間帯)
- 提供時間1時間の割合→日中の時間:15分|加算対象の時間:45分
内訳を見てみると、サービス時間1時間のうち45分が加算対象の時間帯です。
時間の割合を考えたとき、「夜間に該当する時間が訪問介護の多くを占めている」ため、夜間加算の対象と考えられます。
留意すべきは、時間割合の基準です。
「何分以上なら加算できる」といった具体的な条件は、自治体の判断によって異なります。
サービス提供者側の一方的な判断にならないよう、注意してください。
訪問介護の夜間・深夜・早朝加算に関するQ&A
夜から早朝にかけての加算に関するQ&Aとして、以下の質問をピックアップしています。
- 夜間対応型訪問介護とは?
- 早朝加算はごくわずかの場合算定できない?
- 夜間・深夜・早朝の見守りサービスはある?
時間帯に関する加算が認められるための要件をめぐって、さまざまな疑問が生じるものです。
正しく算定するために、ぜひ参考にしてください。
Q1.夜間対応型訪問介護とは?
A.夜間対応型訪問介護とは、夜間の時間帯に提供される訪問介護サービスです。
夜間対応型訪問介護は、訪問介護の「夜間や早朝の加算」ではありません。
詳細については、以下の記事で解説しているので、ぜひ確認してみてください。
>>夜間訪問介護の仕事内容は?知っておきたいポイントや給料も解説
Q2.早朝加算はごくわずかの場合算定できない?
A.早朝の加算は、「加算対象の時間が少ない」ときは加算になりません。
算定は、提供時間中の割合で判断されるためです。
しかし、詳しい割合の取り決めは、該当する自治体によって判断が異なります。
算定で迷った場合は、自治体に問い合わせて正しく加算をおこなってください。
Q3.夜間・深夜・早朝の見守りサービスはある?
A.時間帯に関わらず、単なる見守りは「訪問介護」として認められません。
訪問介護のサービスの1つに、見守り的援助という内容があります。
しかし、訪問介護の見守り的援助は、事故等に配慮しながら常時そばに付き添うといった意味合いです。
単純な見守りや声かけは、算定の対象外となります。
まとめ:夜間・深夜・早朝加算は要件に気をつけよう
訪問介護における、「夜間」「深夜」「早朝」の加算について解説しました。
夜や早朝や夜の訪問介護は、利用者さんの在宅生活を支える大切な役割です。
単身生活をしている利用者さんにとっては、夜中や早朝の訪問介護は安心感につながります。
事業所としても、「利用者さんのニーズには答えたい」と考えるでしょう。
しかし、加算には要件が設けられています。
夜や早朝の加算で注意したいのは、「サービス開始時刻」と「サービス提供時間の割合」の2つです。
2点の条件に配慮して、算定要件にズレがないよう注意してください。