訪問介護が初めてなら確認したい5つのこと!資格も紹介
「初めての訪問介護で緊張する…」
「訪問介護が初めてなら、何を意識するべき?」
このようにお考えですね。
訪問介護は、「利用者さんの自宅で2人きりになる仕事」なので、初めての訪問は緊張するものです。
しかし、初回の仕事では、先輩スタッフが同行してくれます。
このように、実際に働いてみないとわからないこともあるでしょう。
今回「みーつけあ」では、訪問介護未経験の人や初心者が、どのような点に気を付ければよいのかを解説します。
また、訪問介護の仕事と施設での仕事では、「どのような点が違うのか」も解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.訪問介護に初めて向かうときのポイント
訪問介護の仕事が初めてであれば、誰しもが緊張するものです。
しかし、事前に準備を整えればれば、心に余裕を持って業務を進められるでしょう。
ここでは、訪問介護に初めて向かう前に確認しておきたいポイントを、以下の5つに分けて解説します。
- サービスの提供時間を確認する
- サービスの内容を確認する
- 利用者さんの基本情報を把握する
- 好みやこだわりをメモに用意する
- 道順を覚えておく
それぞれのポイントを把握して、初めての訪問介護を成功させましょう。
ポイント1.サービスの提供時間を確認する
訪問介護では、利用者さんやご家族がケアマネジャーと相談して介護計画を設定する「ケアプラン」があります。
ケアプランでは、1回当たりのサービス提供時間や月の利用額が設定されるため、利用者さんもサービス提供時間を把握している状態です。
そのため、決められたサービスの提供時間が短すぎると、「十分なサービスが受けられていない」と不満につながるでしょう。
また、長すぎても利用金額を超えるといった問題が生まれる可能性があります。
初めて訪問するときには、サービス提供時間を確認して、十分なケアができるようにしましょう。
ポイント2.サービスの内容を確認する
初めての訪問では、サービス内容の確認も忘れずにおこなってください。
なぜなら、利用者さんに対するサービスの内容も、ケアプランによって決められているためです。
サービス内容は毎日のように同じことの繰り返しではなく、身体介護であったり、生活援助であったりする場合もあります。
「当日依頼されているケアプランが、どのような内容なのか」を把握しておきましょう。
また、利用者さんによっては、急な頼みごとがあるかもしれません。
頼まれごとがサービス内容に含まれていなければ「前の人はやってくれたのに今回の人はやってくれない…」といったトラブルの原因になることがあります。
トラブル回避のためにも事前の内容把握と、提供サービスの線引きが大切です。
ポイント3.利用者さんの基本情報を把握する
利用者さんのお宅へ向かう前に、基本情報を確認しましょう。
【確認したい基本情報】
- お名前
- 日常生活自立度
- 要介護認定情報
- 住居環境
- 家族構成
- 緊急連絡先
もし、名前を間違えてしまうと不快にさせてしまうだけでなく、今後の信頼にも関わります。
また、利用者さんの病歴・状態によっては、サービス中に注意が必要です。
たとえば、心身状況に右マヒの記載があれば、右半身の動きをサポートするような介護が必要になります。
うつ状態にある場合は、コミュニケーションの取り方も気を付けなければいけません。
各事業所には、利用者さんの基本情報が記載されたフェイスシート(アセスメントシート)があります。
初回訪問の際は、基本情報に目を通しておくことをおすすめします。
ポイント4.好みやこだわりをメモに用意する
利用者さんの情報をより多く把握して、好みやこだわりを押さえておくことも大切です。
今後のサービス提供もスムーズになり、利用者さんに喜ばれるような介護が提供できるでしょう。
前任者がいる場合は、「どのような介護を提供していたのか」を、聞き取ってメモを残す方法がおすすめです。
利用者さんの細かい好みやこだわりを把握して、寄り添った介護を提供しましょう。
また、メモ帳は「自分が業務中に気づいた問題点」をリストで可視化することにも役立ちます。
訪問介護では、欠かせないアイテムになるため、業務中は肌身離さず持ち歩くといった認識を持っておくとよいでしょう。
ポイント5.道順を覚えておく
時間通りにサービスを提供するためには、「利用者さんの自宅までの道順」を事前に調べておきましょう。
利用者さんのお宅が団地やマンションであれば、以下のような点まで細かく把握してみてください。
- 駐輪場や駐車場はあるのか
- 停め方の規定はどうなっているのか
- 駐車場から部屋までどのくらい時間がかかるのか
戸建てであったとしても、自動車を止めるスペースや移動方法を確認して、余裕をもって訪問できるように準備しましょう。
2.訪問介護に初めて向かうときは1人じゃない
訪問介護を始めようと思う人は、「何かあったらどうしよう」と不安を感じることも多いです。
しかし、訪問介護を初めておこなう場合は、先輩ヘルパーが一緒に訪問する同行訪問という仕組みがあります。
先輩やサービス提供責任者の同行は数回おこなわれるため、未経験かつ新人の場合はしばらくの間、先輩とともに仕事に向かうことになるでしょう。
「対応が難しい」と事業所が把握している利用者さんに1人で割り振られることは、基本的にありません。
とくに、段取りが大変だったり、こだわりが多かったりする利用者さんの対応は、先輩スタッフに聞いておきましょう。
自分なりにサービスを把握すれば、徐々に自信をもって1人でもサービスを提供できるようになります。
1人で訪問介護を任されるまでは、先輩スタッフの動向を見逃さないように注意深くメモを取りましょう。
3.訪問介護の初心者が最初に知っておきたい注意点
ここまでは、初めての訪問介護で意識すべきポイントを解説しました。
数回は同行訪問もあるため、大きな不安を抱える必要はありません。
事前に確認しておきたい知識を理解できたら、次は訪問介護の初心者が知っておくべき3つの注意点を見てみましょう。
- 外見・服装を整える
- 言葉遣いを考える
- 報告・連絡・相談と記録を残す
注意点は、初回以降の訪問介護でも活かせる内容です。
それぞれを確認して、一人前の訪問介護員にステップアップしましょう。
注意点1.外見・服装を整える
訪問介護は、身だしなみを整えることが重要です。
清潔感のある身だしなみは、利用者さんとの信頼関係を築くきっかけとなります。
また、介護現場は利用者さんに直接触れる機会が多いです。爪が引っかからないように切っておいたり、髪をまとめて利用者さんにかかったりしないように気を配りましょう。
服装は、ユニフォームを用意している事業所が多いです。
もし、ユニフォームがない場合は、先輩にどのような服装がよいか確認しておきましょう。
▼服装や持ち物に関しては、以下の記事も参考になります。
>>訪問介護の服装は何を着るべき?初日に失敗しない仕事着と持ち物を解説!
注意点2.言葉遣いを考える
多くの場合、利用者さんは訪問介護員より年上になります。
そのため、年長者に対する言葉遣いとして丁寧な声掛けを心掛けましょう。
言葉遣いを考える際は、接する意識を変えることが大切です。
たとえば、認知症や寝たきりの利用者さんの自宅へ訪問して、「やってあげている」という意識でサービスを提供すれば、利用者さんにも伝わります。
年上への敬意を忘れずに、しっかりと挨拶をして、敬語を使うことを忘れないようにしましょう。
ただし、利用者さんによっては、できるだけ短い言葉で、わかりやすく話すほうがよい場合もあります。
尊敬の念は忘れずに、利用者さんにあわせた言葉の遣い方を考えることも大切なポイントです。
注意点3.報告・連絡・相談と記録を残す
訪問介護では、「報告・連絡・相談」の記録を残してください。
サービス提供時に起こったことは、基本的にサービスを提供した本人か利用者さんにしかわからないものです。
訪問介護に慣れないうちは、気になった点をできるだけメモして、先輩に見てもらうとよいでしょう。
もしトラブルがあったり、利用者さんがいつもと様子が違うと感じたりした場合は、事業所に報告してください。
そのとき起こったことを共有すれば、利用者さんの状態悪化やトラブルを避けられる環境作りにつながります。
また、記録方法は事業所の方式に則って、誰が見てもわかりやすいように残しましょう。
記録はサービスを提供した証拠であるとともに、次の人への申し送りにもなります。
忙しいからと後回しにしてしまうと、書き忘れが出てしまう可能性もあります。
業務中に、気づいたことをしっかりと書いておきましょう。
4.訪問介護と施設介護はどっちがよい?
「訪問介護の仕事に携わりたい」と考える人であれば、施設介護で働くことを検討することもあるでしょう。
ここでは、訪問介護と施設介護の違いを、働き手目線で比較して解説します。
- 訪問介護のメリット・デメリット
- 施設介護のメリット・デメリット
- 結論:訪問介護に向いている人の特徴
まずは、訪問介護のメリット・デメリットから確認しましょう。
訪問介護のメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・人間関係の悩みが少ない ・急いでサービス提供する必要がない ・登録ヘルパーなら時間帯を選べる | ・サービスを1人でおこなう ・移動しなくてはいけない ・資格がないと仕事ができない |
業務の大半を利用者さんのお宅でおこなう訪問介護では、仕事仲間と接する機会が少なく、人間関係の悩みは感じにくいです。
反面、サービス提供時には1人で対応するため、緊急時の対応方法は熟知していなければいけません。
また、同時に複数の利用者さんへ対応する必要もない代わりに、移動時間が勤務時間に含まれないといった点がデメリットです。
訪問介護では、介護職員初任者研修以上の資格がないと求人が見つけづらい点もデメリットとなるでしょう。
しかし、訪問介護ならではのメリットとして、自由な働き方ができる登録ヘルパーの選択肢があります。
▼登録ヘルパーに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>登録ヘルパーとは?仕事内容やメリットデメリットをまとめて紹介!
施設介護のメリット・デメリット
次に、施設介護のメリットとデメリットを確認してみましょう。
メリット | デメリット |
・相談しやすい環境 ・夜勤で高収入を狙える ・有給を取りやすい | ・時間に追われる可能性がある ・夜勤をしないと給料が低い場合がある ・人間関係が濃厚 |
施設介護のメリットは、大人数で一緒に業務にあたれる点です。
人員が多ければ、有給を取りやすかったり、相談相手も選べたりといったメリットがあります。
しかし、人間関係に不安がある人は、仕事仲間や対応人数が多い点で、デメリットに感じる場合もあるでしょう。
仕事仲間と折り合いが付かなかったり、利用者さんのコールに忙しく対応したりといった環境が苦手な場合は、訪問介護が向いているかもしれません。
次に、訪問介護はどのような人に向いているのかを解説するので、メリット・デメリットと照らしあわせて確認してみましょう。
結論:訪問介護に向いている人の特徴
訪問介護が向いているのは、以下のような人です。
- 日勤帯で仕事をしたい
- 人間関係が苦手
- スポットで仕事をしたい
- 責任感がある
家庭の都合で、日中限定で仕事を探したい場合は、夜勤がない訪問介護がおすすめです。
また、「介護に携わりたいけど、職場の人間関係は苦手」と感じている場合、訪問介護で利用者さんとマンツーマンのサポートが向いているでしょう。
スポットの仕事を探しているなら、登録ヘルパーという選択肢もあります。
上記の特徴に当てはまるのであれば、資格を取得したうえで訪問介護員として働いてみてはいかがでしょうか。
5.訪問介護が初めてなら資格の取得も考えよう
訪問介護員は、介護保険法に基づいて介護を提供する専門職です。
介護保険法における訪問介護は、介護福祉士の他、「政令で定める者」がおこなうことになっています。
【国が定めた研修】
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
参考:介護保険法
しかし、訪問介護に携わる視点で見ると、実務経験や研修が必要になる介護福祉士の資格は難易度が高いでしょう。
ここからは、訪問介護に初めて関わる人が取得しやすい、以下3つの資格を解説します。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 移動介護従事者(ガイドヘルパー)養成研修
「どのような形で、訪問介護に関わりたいのか」をイメージして、それぞれの資格を確認してみてください。
資格1.介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、厚生労働省が示した指針に基づき、各都道府県が指定した養成機関で研修がおこなわれる資格です。
研修は施設や在宅問わず、介護に従事しようとする人が最低限の知識、技術的な考え方を身に着け、理解するための内容になっています。
【介護職員初任者研修】
研修項目 | 必要時間 |
1.職務の理解 | 6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
3.介護の基本 | 6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
6.老化の理解 | 6時間 |
7.認知症の理解 | 6時間 |
8.障害の理解 | 3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
10.振り返り | 4時間 |
– | 合計130時間 |
厚生労働省は、介護職員初任者研修を「介護職員の入門研修」と位置付けています。
研修を修了すると、ほぼすべての介護事業所で働ける資格が得られます。
キャリアアップにつながる実務者研修の研修時間から、初任者研修の130時間を研修済みとみなされる点がメリットです。
ハローワークでは、離職者等再就職訓練事業や求職者支援訓練としての取り扱いが多い研修であるため、取得しやすい資格だといえます。
▼ハローワークに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」をハローワークで取得するには?
資格2.介護福祉士実務者研修
実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格です。
研修では、医療的ケアといった、初任者研修では学ばなかった範囲の講義が受けられます。
【介護職員初任者研修】
実務者研修を修了していると、サービス提供責任者として働けますし、実務経験3年なら介護福祉士の受験資格が得られます。
実務者研修もハローワークで研修が受けられますが、研修時間の長さやより実践的な内容で取得難易度は高めです。
そのため、「介護の仕事を真剣に挑戦したい」と考えているのであれば、初任者研修から実務者研修を受ける、といったステップアップがよいでしょう。
▼より詳しく訪問介護の資格に関して知りたい人は、以下の記事が参考になります。
>>介護ヘルパーの資格とは?初任者研修・実務者研修との違いや内容を解説
資格3.移動介護従事者(ガイドヘルパー)養成研修
ガイドヘルパーとは、移動介護従事者を指します。
初任者・実務者研修は、介護保険に基づくものでしたが、移動介護従事者(ガイドヘルパー)養成研修は障害者総合支援法によって定められる資格です。
ガイドヘルパーは、訪問介護で障がいを持つ利用者さんに対応する場合に、活かせる資格になっています。
また、ガイドヘルパーは、利用者さんの障がいにあわせて3つの種類に分類されている資格です。
【ガイドヘルパーの種類】
- 知的障がいを持つ人のヘルパー:行動援護従事者
- 視覚障がいを持つ人のヘルパー:同行援護従業者
- 四肢に機能障がいを持つ人ヘルパー:全身性障害者移動介護従業者
利用者さんが、障がい者手帳を持っている場合、ガイドヘルパーを併用する可能性があります。
そのため、取得できれば、業務選択の幅が広がるでしょう。
ガイドヘルパーは1~5日と短期間で取得できますが、「同行援護従業者」以外の資格は、受講要件が初任者研修修了以上となっています。
取得前には、どの資格を取るのかをあらかじめ確認しておきましょう。
訪問介護が初めての人におすすめのQ&A
最後に、訪問介護に初めて携わる人が気になる疑問に、Q&A形式で回答します。
ここでは、訪問介護初心者からよくある疑問を、以下3つに厳選しました。
- 訪問介護あるあるが知りたい!
- 訪問介護でやってはいけないことが知りたい!
- 訪問介護は1日に何件訪問するの?
それぞれの内容を知っておくことで、訪問介護を前向きに取り組めるでしょう。
1つでも気になる内容があれば、ぜひ確認してください。
Q1.訪問介護あるあるが知りたい!
A.訪問介護で働く人が共感する内容は、以下のようなものがあります。
- 家政婦さんと混同される
- 利用者さんの対応に困る
- 利用者さんのご家族との関わり方が難しい
- 給料が安定しない
どれも、「これから働こう」と考える人にとっては気になる内容ですね。
詳しい対処法に関しては、以下の記事でまとめています。興味があれば、ぜひ確認してみてください。
Q2.訪問介護でやってはいけないことが知りたい!
A.訪問介護員は、定められたケアプラン以外のサービスは提供できません。
たとえば以下の内容は、身体介護や生活援助に当てはまらない内容です。
【身体介護に当てはまらない内容】
- 散髪
- 医療行為
- マッサージ
- カミソリを使った除毛
- リハビリの補助
【生活援助に当てはまらない内容】
- 利用者と関係のない掃除や洗濯、調理全般
- 年末の大掃除、おせち料理
- 庭の手入れ
- 嗜好品の買い物(私生活に差し支えのない酒・タバコなど)
- ペットの世話
- 来客応対
上記のような内容を引き受けてしまうと、「前の担当者はやってくれた」と利用者さんが不平等に感じる可能性があります。
訪問介護でやってはいけないことを頼まれた場合は、事務所に相談して対応方法を考えましょう。
以下の記事では、「断りづらい」と感じる人でもわかりやすく具体例を交えて解説しています。
>>訪問ヘルパーがやってはいけないこと|Q&Aや断り方を紹介
Q3.訪問介護は1日に何件訪問するの?
A.訪問介護は、平均で1日2~6件程担当します。
正社員として働く場合は、5~6件程度です。
パートやアルバイトでは、2〜4件程に減ります。
正社員と非正規雇用で件数が変わるのは、単純な労働時間の差によるものです。
そのため、パートやアルバイトでも、勤務時間を増やして多くの件数を担当できます。
▼関連記事はこちらから。
訪問介護は1日何件回る?件数に応じた給料や1日の流れの例も紹介!
まとめ:訪問介護が初めてならしっかり準備しよう
訪問介護を初めて担当する人に向けて、押さえておくべきポイントや注意点を解説しました。
介護の業務経験がある人なら、仕事内容もイメージしやすいかもしれませんが、初めてでは不安なことが多くなりますよね。
今回「みーつけあ」で紹介した内容を把握しておけば、不安も解消して業務を始められるはずです。
また、「訪問と施設でどちらがどのような人におすすめか」も解説しました。
ぜひ比較して、自分にあった選択肢を見つけてください。
今後の仕事のステップアップや、訪問介護事業所に採用してもらうために必要な資格も確認して、キャリアプランを作りましょう。