訪問介護の現場は本当に辛いのか?向いてる人とは?
「訪問介護の仕事って何が辛いのだろう?」
「訪問介護が向いてる人ってどのような人なの?」
介護業界の仕事は、「きつい、汚い、危険」の3Kで知られており、過酷で辛い環境だと認識している人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には「きれい、かっこいい、給料が高い、健康になる、感謝される」といった、5Kでも注目を浴びている仕事でもあるのです。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護の現場が辛い理由と、その解決策について紹介します。
過酷な現場であることは事実ですが、訪問介護にやりがいを感じている人がいることも
忘れてはいけません。
訪問介護の実態を認識したうえで、どのような人に向いているのかを理解しておきましょう。
訪問介護の辛いこと1.仕事内容
まず始めに、訪問介護の仕事内容から見ていきましょう。
訪問介護の仕事は、大まかに「身体介護と生活援助」の2種類です。
身体介護 | 利用者に直接触れて行う介護の仕事。 ・排泄介助 ・入浴介助 ・食事介助 ・移動介助 など |
生活援助 | 利用者に直接触れない範囲の日常生活のサポートをする仕事。 ・掃除 ・洗濯 ・食事の準備、片付け ・買い物代行 など |
生活援助は、家事の延長線上ともいえる仕事内容が多く、一般的な掃除スキルや調理スキルがあれば問題ありません。
しかし、身体介護は本格的な介護技術を用いるため、専門知識やスキルが不可欠です。
状況次第では、自分よりも体重の重い利用者をたった1人で支えなければならないこともあります。
訪問介護は、利用者と1対1で介護サービスを提供するため、想像以上に大変な肉体労働といえるでしょう。
解決策
もし、仕事内容があまりにも辛いと感じるのであれば、身体介護ではなく、生活援助を中心に従事したい旨を、担当者に伝えるとよいでしょう。
とくに、体力面に自信がない人は、足腰への負担で身体を痛めてしまう危険もあります。
1人きりの仕事に自信がないようであれば、施設介護から慣れていくというのも1つの方法です。
訪問介護の辛いこと2.人間関係
続いて、訪問介護の人間関係で辛いことについて紹介します。
人としての相性の良し悪しはもちろん、利用者からのセクハラやパワハラに悩む訪問介護ヘルパーは多いです。
また、認知症が進んだ利用者によっては、暴言を吐いたり、暴力を振るったりする人も少なくありません。
さらに、ご家庭によっては無茶な頼み事だったり、文句を言われたりすることもあります。
「職場で人間関係に悩みたくないから訪問介護を始めたのに、現場でこのような悩みを抱えるとは思わなかった」と、落胆する人もいるようです。
解決策
利用者からのセクハラや暴言に悩まされているのであれば、「担当を変えてもらえませんか?」と、サービス提供責任者に相談をしてみましょう。
まずは、絶対に1人で悩まないことが重要です。
訪問介護の現場では1対1かもしれませんが、事業所には気持ちを汲み取ってくれる先輩や上司がいます。
「介護は続けたいけど、こんなに辛いなら辞めたい」と切り出す前に、少しでも改善策はないのか?と、相談をするように心がけましょう。
訪問介護の辛いこと3.給料
訪問介護ヘルパーの辛い点として、「給料が割に合わない」と不満を漏らす声もあります。
これは、パート・アルバイトといった、いわゆる「登録ヘルパー」としての働き方に対する悩みです。
口コミでは、以下のようなコメントも見られました。
入所・入院で定期訪問数が減り、時間が余るので勿体ない。一日に入れる件数が少ないので、拘束時間の割には給料は少ない。責任の重さと給料が全然合わない。
非常勤(パート・アルバイト)として訪問介護ヘルパーの仕事を始める場合、ほとんどが「登録ヘルパー」という雇用形態になります。
登録ヘルパーは、自身が働ける時間や曜日を指定して、好きなときに働けることが特徴です。
しかし、給料が発生するのは、介護サービスを提供している実働時間のみに限られます。
もし、担当の利用者が入院や入所、死亡してしまった場合には仕事はキャンセルとなります。
こういった理由から、しっかり稼ぎたい人にとっては「割に合わなくて辛い」と、不満の声が上がっている現状です。
解決策
給料面の不満を解消するには、主に以下のような方法が挙げられます。
- 複数の事業所を掛け持ちする
- 上位資格を取得して資格手当の底上げをする
- サービス提供責任者やケアマネジャーといった職種にキャリアアップする
まず、目先の方法としては複数の事業所を掛け持ちすることがおすすめです。
ただし、事業所によっては掛け持ちを禁止していることもあります。掛け持ちを前提に訪問介護ヘルパーとして働く場合には、面接の時点で事業所と相談するようにしましょう。
ある程度、訪問介護ヘルパーとして実績を積んでいるのであれば、上位資格の取得を目指して、資格手当を底上げするとよいでしょう。
厚生労働省の資料「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護の入門資格である「介護職員初任者研修」の平均給与額は、301,210円です。
対して、国家資格にもなっている「介護福祉士」の場合、平均給与額は329,250円です。
給料を底上げしつつ、上位資格によって仕事の幅も広がるため、もっとも現実的な給料アップ方法ともいえるでしょう。
さらに給料を上げたいのであれば、サービス提供責任者やケアマネジャーとして、訪問介護業界の中枢で業績を上げてみてはいかがでしょうか。
▼訪問介護員の給料については以下の記事も参考になります。
>>訪問介護ヘルパーは年収が低い!?給料の相場や給料アップの方法を紹介
訪問介護の辛いこと4.職場環境
ここからは、職場環境にも着目してみましょう。
「訪問介護ヘルパーは現場での仕事がメインだから、職場環境で辛い思いをすることはないのでは?」と、思っている人も多いのではないでしょうか。
たしかに、一般的な職場と比較すると、同業者同士で揉めてしまう機会は少ないかもしれません。
しかし、事業所の一員として働くからには、必ず連携を取らなければならないのです。
利用者の些細な体調の変化やその他気づいたこと、小さなミスなどの業務報告は、必ず行う必要があります。
これらを怠ってしまうと、後々利用者から「〇〇さんにちゃんと伝えたのに」や「〇〇さんはこんなこともしてくれた」といった、情報の共有ができなかったことによるトラブルが発生してしまうでしょう。
その結果、事業所の仲間から陰口を言われたり、居心地の悪い雰囲気になってしまったりと、辛い思いをする訪問介護ヘルパーもいます。
解決策
介護サービスを提供している時間は、利用者と2人きりで気が楽かもしれません。
しかし、事業所への「報告・連絡・相談」は、必ず徹底するように心がけましょう。
些細な内容でも構いません。その日に起きた出来事は、できる限り明確に伝えることで、他の訪問介護ヘルパーが担当したときに情報共有がしやすいです。
引き継ぎをしっかり行うことで、事業所の仲間からの信頼も生まれ、より働きやすい環境を作ることができるでしょう。
もし、事業所自体がいい加減、あるいは方針が合わないと感じる場合には、転職を検討してもよいかもしれません。
▼辞めたいと感じたときの対応については、以下の記事も参考になります。
>>登録ヘルパーを辞めたいと考える主な理由とは?辞め方やその後のキャリアパスも解説
訪問介護の辛いこと5.将来性
内閣府の「高齢化の現状と将来像|令和2年版高齢社会白書」によると、2019年10月時点で65歳以上の人口は3,589万人となり、総人口に対して占める割合は28.4%になったと説明しています。
介護を必要とする高齢者が増加するなか、「公共財団法人介護労働安定センター」の調査によると、7割近くの介護施設が職員の不足を感じており、9割は「採用が困難である」と答えています。
採用が困難な理由としては、「同業他社との人材獲得競争が厳しい」という意見が57.9%にも及んでいる現状です。
このまま人手不足が続いてしまうと、介護の仕事を続ける人の負担は大きくなるばかりでしょう。
解決策
現状では、介護業界で働く従業員のほとんどが「人手不足を強く感じている」という状況です。
そのため、一人ひとりの負担が軽減される労働環境を整えることで、人材の確保と離職率の改善が狙えます。
たとえば、以下のような取り組みが挙げられます。
- IT導入やペーパーレス化による作業負担の軽減。
- 外国人の雇用の受け入れを進めることによる人材確保。
- 処遇改善加算による介護職員の賃金向上
- 資格の取得支援制度を設ける など
介護の仕事は、今後も間違いなく需要が増していく仕事です。
世間のネガティブな印象を改善させることができれば、より働きやすい環境が実現できるでしょう。
▼人手不足に関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問ヘルパーの人手不足が止まらない!原因や悩みのタネとは?
訪問介護の仕事に向いてる人
本記事では、訪問介護の現場が辛いと感じる理由について、5つのテーマに分けて紹介しました。
最後に、訪問介護に向いてる人の特徴にも触れておきます。
結論から言うと、訪問介護に向いてる人の特徴は、以下のとおりです。
- 臨機応変に考えられる人
- 責任感が強い人
- 判断能力が高い人
- 一人ひとりと向き合える人
- 細かい変化に気づける人
- 健康で体力がある人
- 失敗を恐れない人
- 人が好きな人
訪問介護の現場は、施設介護のように介護環境が整っているわけではありません。
利用者一人ひとりの生活環境に合わせて、心に寄り添った介護を行わなければならないのです。
そのため、状況に応じて臨機応変に行動できる人や、自身の判断に責任が持てる人は、訪問介護の仕事に向いてるでしょう。
高齢者の面倒をみることが好きで、慈悲の心で接することができる人も、利用者からの感謝の言葉に触れて、良好な関係を築けるのではないでしょうか。
イライラしやすい人には不向きな仕事
上記に挙げた向いてる人の特徴は、あくまで傾向です。当てはまらなくても、訪問介護に向いていないというわけではありませんので、安心してください。
ただし、訪問介護の仕事に従事する人のほとんどが、口を揃えて「イライラしやすい人は、訪問介護に向いていない」と話しています。
高齢者に対して「何で言うことを聞いてくれないのか」とすぐに気分を害してしまうようでは、長続きしないでしょう。
▼訪問介護が向いてる人の特徴については、以下の記事も参考になります。
>>訪問介護に向いている人の特徴について解説!
まとめ:辛いときは自分に合った環境を考えよう!
訪問介護の仕事は、たった1人で利用者の介護を行わなければならないため、仕事内容がきつくて辛いと感じる人が多いです。
しかし、仕事仲間との人間関係に悩まされる機会が少なく、自発的に仕事を行っていける魅力があります。
周りの意見に左右されず、一人ひとりの高齢者と向き合った仕事をしたいと考えている人であれば、訪問介護の現場が向いているはずです。
自身の性格や能力を理解して、「どのような現場が自分に合っているのか?」を、真剣に考えるキッカケになれば幸いです。