訪問介護ヘルパーの年収・手取りはいくら?統計やリアルな声を紹介
「訪問介護ヘルパーの年収はいくらもらえるの?」
「年収を上げる方法があるなら知りたい」
訪問介護ヘルパーとして働きたいと考えている人にとって、年収は気になる問題ですよね。
年収を上げるには、資格を取得して実績を積み上げる必要があります。また、上位資格を取得するには実務経験が必須です。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護ヘルパーの年収データや、リアルな口コミなどを紹介します。
年収アップ方法を正しく理解して、自身のキャリアアップに役立てましょう。
1.訪問介護ヘルパーの年収をまとめてみた
まず始めに、訪問介護ヘルパーの年収を項目別に紹介します。
訪問介護としてだけではなく、介護業界全体の統計と比較することで、より詳しく理解できるでしょう。
今回比較する項目は、以下のとおりです。
- 施設別の年収
- 職種別の年収
- 職歴別の年収
- 資格別の年収
- 男女別の年収
さっそく、見ていきましょう。
施設別に年収を比較
介護業界の仕事は、訪問介護に限らずさまざまな施設があります。
今回比較するのは、以下の施設です。
- 訪問介護事業所
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 通所介護事業所(デイサービス)
- 通所リハビリテーション
- 介護医療院
- 特定施設入居者生活介護事業所
- 小規模多機能型居宅介護事業所
- 認知症対応型共同生活介護事業所
厚生労働省の資料「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、それぞれの年収は以下のようになります。
施設名 | 平均給与額 | 年収(給与額×12で計算) |
---|---|---|
訪問介護事業所 | 常勤:306,760円 非常勤:174,150円 | 常勤:約368万円 非常勤:約208万円 |
介護老人福祉施設 | 常勤:350,430円 非常勤:260,000円 | 常勤:約420万円 非常勤:312万円 |
介護老人保健施設 | 常勤:338,920円 非常勤:275,300円 | 常勤:約406万円 非常勤:約330万円 |
通所介護事業所 | 常勤:280,600円 非常勤:190,480円 | 常勤:約336万円 非常勤:約228万円 |
通所リハビリテーション | 常勤:305,660円 非常勤:216,460円 | 常勤:約366万円 非常勤:約259万円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 常勤:322,020円 非常勤:244,250円 | 常勤:約386万円 非常勤:約293万円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 常勤:287,980円 非常勤:220,120円 | 常勤:約345万円 非常勤:約264万円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 常勤:287,770円 非常勤:207,980円 | 常勤:約345万円 非常勤:約249万円 |
このように、訪問介護事業所の常勤(正社員)として働くのであれば、他の施設とも大きな大差はありません。
しかし、非常勤(パート・アルバイト・登録ヘルパー)になると一変して、統計のなかでも一番低い208万円という結果になりました。
これは、実質の労働時間が介護サービスを提供している時間のみになることが原因の1つです。
職種別に年収を比較
続いて、職種別の年収について見ていきましょう。
令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果では、訪問介護ヘルパーは「介護職員」に分類されています。
介護業界の職種別年収は、以下のとおりです。
職種名 | 平均給与額 | 年収(給与額×12で計算) |
---|---|---|
介護職員 | 常勤:315,850円 非常勤:196,630円 | 常勤:約379万円 非常勤:約235万円 |
看護職員 | 常勤:379,610円 非常勤:249,190円 | 常勤:約455万円 非常勤:約299万円 |
生活相談員・支援相談員 | 常勤:343,310円 非常勤:256,240円 | 常勤:約411万円 非常勤:約307万円 |
機能訓練指導員 | 常勤:358,560円 非常勤:261,900円 | 常勤:約430万円 非常勤:約314万円 |
介護支援専門員 | 常勤:357,850円 非常勤:282,390円 | 常勤:約429万円 非常勤:約338万円 |
事務職員 | 常勤:311,120円 非常勤:201,730円 | 常勤:約373万円 非常勤:約242万円 |
管理栄養士・栄養士 | 常勤:319,680円 非常勤:276,480円 | 常勤:約383万円 非常勤:約331万円 |
職種別に比較すると、介護職員は常勤・非常勤ともにやや年収が低めです。
とくに、非常勤はもっとも低い約235万円という結果となっています。
職歴別に年収を比較
職歴によっても、年収は変化します。
本記事では、訪問介護ヘルパーの常勤・非常勤の1年〜3年、5年、10年、15年、20年のデータを参考にしました。
まずは、以下の表をご確認ください。
勤続年数 | 平均給与額 | 年収(給与額×12で計算) |
---|---|---|
1年 (勤続1年〜1年11か月) | 常勤:283,480円 非常勤:90,170円 | 常勤:約340万円 非常勤:約108万円 |
2年 (勤続2年〜2年11か月) | 常勤:287,940円 非常勤:96,310円 | 常勤:約345万円 非常勤:約115万円 |
3年 (勤続3年〜3年11か月) | 常勤:291,010円 非常勤:104,210円 | 常勤:約349万円 非常勤:約125万円 |
5年 (勤続5年〜5年11か月) | 常勤:296,930円 非常勤:99,250円 | 常勤:約356万円 非常勤:約119万円 |
10年 (勤続10年〜10年11か月) | 常勤:326,830円 非常勤:91,780円 | 常勤:約392万円 非常勤:約110万円 |
15年 (勤続15年〜15年11か月) | 常勤:348,530円 非常勤:101,490円 | 常勤:約418万円 非常勤:約121万円 |
20年以上 | 常勤:390,960円 非常勤:93,490円 | 常勤:約469万円 非常勤:約112万円 |
訪問介護ヘルパーの常勤は、勤続年数とともに年収が増加しています。
しかし、非常勤の訪問介護員は勤続年数による年収の変化はありません。
つまり、非常勤で働く場合は、勤続年数による年収アップは見込めないということになるでしょう。
資格別の年収を比較
介護業務は無資格でも行うことができますが、専門的な介護知識や技術が必要となる仕事は資格が必要となります。
代表的な介護資格は、以下のとおりです。
- 介護職員初任者研修
- 実務者研修
- 介護福祉士
上記3つの、資格別年収を比較してみましょう。
資格 | 平均給与額 | 年収(給与額×12で計算) |
---|---|---|
介護職員初任者研修 | 常勤:307,410 非常勤:93,610 | 常勤:約368万円 非常勤:約112万円 |
実務者研修 | 常勤:310,430 非常勤:112,640 | 常勤:約372万円 非常勤:約135万円 |
介護福祉士 | 常勤:314,440 非常勤:115,290 | 常勤:約377万円 非常勤:約138万円 |
常勤の場合、介護資格による年収はほとんど差がありません。
非常勤は、介護職員初任者研修と介護福祉士では約26万円ほどの差があります。
この結果から、上位資格を取得することで資格手当が上がり、年収アップが見込めるのでしょう。
男女別の年収を比較
男女別の年収についても見ていきましょう。
なお、令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果では、男性と女性の集計対象数に差があります。
これは、実際に男性よりも女性の従業員が多いためです。
上記を踏まえたうえで、以下の資料をご参考ください。
性別と勤務形態 | 平均給与額 | 年収(給与額×12で計算) |
---|---|---|
男性の常勤(325名) | 314,840円 | 約377万円 |
女性の常勤(1,423名) | 304,810円 | 約365万円 |
男性の非常勤(72名) | 135,670円 | 約162万円 |
女性の非常勤(1,747名) | 98,130円 | 約117万円 |
常勤の場合、男性のと女性の年収はそこまで変わりません。非常勤は、男性のほうがやや年収が高くなっています。
しかし、そもそもの集計対象者が少ないため、勤務時間による差も考えられるでしょう。
2.訪問介護ヘルパーの年収を上げる方法
常勤(正社員)であれば、勤続年数によって待遇がよくなり、統計データでも明らかに年収が上がっていることが確認できました。
しかし、非常勤の場合は全体的な年収も低く、勤続年数による年収アップは見込めません。
では、訪問介護ヘルパーとして年収を上げるには、具体的にどのような方法が挙げられるのでしょうか。
本記事では、以下の3つの方法をピックアップしました。
- キャリアアップを目指す
- 給料の高い事業所を探す
- 非常勤は掛け持ちを検討する
それぞれについて、詳しく紹介します。
方法1.キャリアアップを目指す
常勤・非常勤ともに年収アップが期待できる方法としては、キャリアアップを目指すことが挙げられます。
訪問介護ヘルパーとして働くには、入門資格となる「介護職員初任者研修」を取得しなければなりません。
その後、実務経験を積みながら上位資格となる「実務者研修」の修了を目指します。
実務者研修を取得後、実務経験が3年以上になれば、国家資格である「介護福祉士」の資格を取得することが可能です。
資格別の年収データからも、介護職員初任者研修と介護福祉士では約26万円の差が出ていることから、非常勤でも年収アップを目指すことができるでしょう。
また、上位資格を取得することでケアマネジャーやサービス提供責任者といった管理職への昇格も目指せます。
より本格的に介護業界で活躍していきたい人は、積極的にキャリアアップを目指すとよいでしょう。
▼資格については、以下の記事もご参考ください。
>>登録ヘルパーに必要な資格とは?仕事内容や給料についても紹介!
方法2.給料の高い事業所を探す
最初から少しでも給料を底上げしたいと考えているのであれば、より給料の高い事業所を探しましょう。
ここで注意してほしいことは、時給や日給のみで事業所を選ばないことです。
たとえば、以下のような点にも気を配ることができます。
- 昇給・賞与はあるか
- 各種手当は充実しているか など
もし、面接の時点で確認できないことがあれば、給料面の待遇について担当者に質問をしましょう。
方法3.非常勤は掛け持ちを検討する
非常勤であれば、事業所を掛け持ちすることで年収アップが見込めます。
そもそも非常勤の訪問介護ヘルパーは、ほとんどが直行直帰型の登録ヘルパーという働き方です。
自身のライフスタイルに合わせて好きな時間に働けるメリットがありますが、実働時間は介護サービスを提供している時間のみとなります。
そのため、担当の利用者が入院したり死亡したりしてしまうと、急に仕事がなくなってしまいかねません。
このような給料の不安定さをカバーするためには、掛け持ちをして仕事数を増やすことをおすすめします。
ただし、事業所によっては掛け持ちを禁止している場合もあります。
事前に掛け持ちを前提にしている旨を伝えましょう。
▼掛け持ちに関しては、以下の記事が参考になります。
>>登録ヘルパーは掛け持ちしても良い?掛け持ちをする3つのメリットとは
3.訪問介護ヘルパーの年収に関するリアルな声
最後に、訪問介護ヘルパーの年収に関するリアルな声を紹介します。
口コミでは、「介護士の年収っていくらくらいですか?」といった質問がとても多いです。
この質問に対して、Aさんは「大卒の初任給から3年くらいは260万円未満です」と、自身の年収を語っています。
さらに、以下のように年収アップの道のりについても説明してくれました。
「介護福祉士の資格があれば、正規雇用で年首360万円くらいからキャリアがスタートします。ここから勤続年数が8年程度になれば450万円となり、あとは事業所の売上が伸びれば給料アップが見込めるかもしれません。」
訪問介護ヘルパーとして年収を上げるには、常勤として実績を積み、介護福祉士を目指すことが王道パターンになるでしょう。
まとめ:訪問介護の年収はコツコツと上げよう!
訪問介護の年収は、コツコツと実績を積んで徐々に上げていく必要があります。
そのため、高齢者の役に立ちたいと心から思い、長期に渡って仕事と向き合える人であれば将来的な給与アップが見込めるでしょう。
今後も介護業界の需要は高まっていきます。
長い目で見て安定した仕事をしていきたいと考えている人は、挑戦してみてはいかがでしょうか。