訪問介護は一日に何時間働ける?2時間ルールについても紹介
「訪問介護って一日に何時間働けるの?」
「よく聞く2時間ルールって何のこと?」
「訪問介護は稼げない」といった口コミをよく見かけますが、実際の勤務時間はどれくらいなのか?気になっている人は多いのではないでしょうか。
訪問介護ヘルパーは、介護認定を受けた利用者の自宅を訪問して、介護サービスを提供する仕事です。
しかし、勤務時間は雇用形態によって異なります。とくに、パート・アルバイトとして働きたい人にとっては、特殊な勤務時間となるため注意しなければいけません。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護の勤務時間や、2時間ルールについて紹介します。
さらに、勤務時間に関するQ&Aもいくつかピックアップしました。
訪問介護の勤務時間を理解して、自分に合った働き方を見つけましょう。
1.訪問介護ヘルパーとして一日に働ける時間とは?
訪問介護ヘルパーとして働く場合、大まかには「正社員」もしくは「登録ヘルパー(パート・アルバイト)」として働く形が一般的です。
正社員は、就職している事業所に出勤して、定時になったら退勤するといった、いわゆる一般的な勤務形態になります。
しかし、登録ヘルパー(パート・アルバイト)は、自身が働きたい時間や曜日を指定して、その時間帯に訪問介護を利用したい人とマッチングすれば、介護サービスを提供している実働時間のみ給料が発生するのです。
自宅から利用者の自宅まで直行して、仕事が終わったらそのまま直帰できるため、事業所に出勤する必要はありません。
では、一日のスケジュールはどのようになっているのでしょうか。
正社員と登録ヘルパーの勤務時間例を比較して見ていきましょう。
正社員の勤務時間
訪問介護ヘルパーの正社員は、以下のようなスケジュール例となります。
タイムスケジュール | 業務内容 |
---|---|
08:30〜 | ・事業所に出勤する。 ・当日の訪問者を確認する。 |
09:00~09:15 | Aさんの自宅に移動。 |
09:15~10:15 | Aさん宅にて生活援助を行う。 ・掃除 ・洗濯 ・食事の準備、片付け |
10:15~10:30 | Bさんの自宅に移動。 |
10:30~12:00 | Bさん宅にて身体介護、通院介助を行う。 ・排泄介助 ・食事介助 ・病院への送迎 |
12:00~12:30 | 事業所に戻る。 |
12:30~13:30 | 休憩時間 |
13:30~13:45 | Cさんの自宅に移動。 |
テキスト | テキスト |
13:45~14:45 | Cさん宅にて身体介護を行う。 ・入浴介助 ・排泄介助 など |
14:45~15:00 | Dさんの自宅に移動。 |
15:00~16:30 | Dさん宅にて身体介護と生活援助を行う。 ・買い物代行 ・洗濯 ・排泄介助 ・入浴介助 |
16:30~16:45 | 事業所に戻る。 |
16:45~17:30 | 記録や報告、引き継ぎを行う。 |
17:30 | 退勤して帰宅。 |
一日に訪問する件数は、4件から5件くらいが平均です。
各地域環境や、利用者数に応じて異なるため、かくまで参考としてご確認ください。
登録ヘルパー(パート・アルバイト)の勤務時間
続いて、登録ヘルパー(パート・アルバイト)のスケジュール例を見ていきましょう。
登録ヘルパーの場合、働き手のライフスタイルによってスケジュールは異なります。
本記事では、「子育て中の主婦」と「サラリーマンの副業」を例に比較しました。
【子育て中の主婦】
子育て中の主婦の場合は、以下のようなスケジュール例となります。
タイムスケジュール | 業務内容 |
07:30〜08:00 | 子供を保育園に送る。 |
08:00~09:00 | 自宅の家事を行う。 |
09:00~09:30 | Aさんの自宅に移動。 |
09:30~10:30 | Aさん宅にて生活援助を行う。 ・掃除 ・洗濯 ・食事の準備、片付け |
10:30~10:45 | Bさんの自宅に移動。 |
10:45~11:45 | Bさん宅にて身体介護、通院介助を行う。 ・排泄介助 ・入浴介助 |
11:45~12:15 | 自宅に帰宅。 |
12:15~14:00 | 昼食を食べて、自宅の家事の続きを行う。 |
14:00~14:30 | Cさんの自宅に移動。 |
14:30~15:30 | Cさん宅にて身体介護を行う。 ・入浴介助 ・食事介助 など |
15:30~16:00 | 保育園に移動。 |
16:00~16:30 | 子供と一緒に帰宅。 |
16:30〜 | 育児や夕飯の支度。 |
このように、家事と育児の隙間時間を利用して働くことができます。子供が大きくなれば、夕方以降に仕事を増やすこともできるでしょう。
上記の場合、実働時間は3時間と少なくなりますが、隙間時間を活かした働き方がしたい人におすすめです。
【サラリーマンの副業】
サラリーマン副業の場合は、以下のようなスケジュール例となります。
タイムスケジュール | 業務内容 |
08:00〜 | 本職に出勤する。 |
17:00〜18:00 | 本職を退勤して帰宅。 |
18:30〜18:45 | Aさんの自宅に移動。 |
18:45〜19:45 | Aさん宅にて身体介護を行う。 ・入浴介助 ・排泄介助 など |
19:45~20:00 | Bさんの自宅に移動。 |
20:00~21:00 | Bさん宅にて身体介護を行う。 ・入浴介助 ・排泄介助 など |
21:00〜21:15 | 自宅に帰る。 |
本職を退勤後、一度自宅に帰って準備を行い、2時間だけ身体介護を行うスケジュール例です。
シフト制の副業ではなく、「〇曜日に〇回だけ」といった働き方で、心身負担をできる限り減らしたい人にもおすすめできる働き方といえるでしょう。
2.訪問介護の2時間ルールって何?
訪問介護には「2時間ルール」という、サービス提供時間の間隔を2時間以上空けなければいけない規定があります。
もし、2時間以上の間隔を空けなかった場合、単位数は1回にまとめられてしまうのです。
単位数は、サービス内容の所要時間によって、以下のように定められています。
サービス内容 | 所要時間 | 単位数 |
---|---|---|
身体介護 | 20分未満 20分以上30分未満 30分以上1時間未満 1時間以上 1時間以降30分増すごとに | 167単位 250単位 396単位 579単位 +84単位 |
生活援助 | 20分以上45分未満 所要時間45分以上 | 183単位 225単位 |
通院等乗降介助 | – | 99単位 |
参考:令和3年度介護報酬改定 介護報酬の見直し案|厚生労働省
たとえば、20分未満の身体介護(167単位)を2回提供すると、167単位×2で「334単位」となります。
しかし、2時間以内に2回の身体介護を行った場合、介護時間は合算されて「40分で1回」として計算されます。
つまり、30分以上1時間未満として扱われて「396単位」になるということです。
単位が増えることで、同じサービス内容でも利用者の自己負担額は大きくなってしまいます。
このようなトラブルを防ぐためにも、2時間ルールは必ず守らなければなりません。
2時間ルールの例外について
2時間ルールには、適用されない例外もあります。
- 看取り期の訪問介護
- 指定訪問介護事業所の20分未満の身体介護
看取り期の訪問介護に関しては、「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(案)の概要」より、新たに弾力化された方針です。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
例外1.看取り期の訪問介護
看取り期の場合、サービス頻度が増えることも珍しくないため、2021年度の介護報酬改定より、以下のように明記されました。
看取り期の利用者に訪問介護を提供する場合に、訪問介護に係る2時間ルール(2時間未満の間隔のサービス提供は所要時間を合算すること) を弾力化し、合算せずにそれぞれの所定単位数の算定を可能とする。
つまり、看取り期の訪問介護であれば、各サービス間隔が2時間未満でも合算せずに算定ができるようになったということです。
例外2.指定訪問介護事業所の20分未満の身体介護
頻回の訪問介護が可能な指定訪問介護事業所の場合、20分未満の身体介護に限り間隔が2時間未満であっても、合算せずに単位数を算定できます。
指定訪問介護事業所で上記のような訪問介護を行った場合、25分の身体介護は合算されて50分(396単位)となります。
しかし、20分未満の身体介護は合算されないため、20分未満(167単位)です。
したがって、両方を合わせた563単位が、上記の場合の単位数ということになります。
3.訪問介護の勤務時間に関するQ&A
本記事では、訪問介護ヘルパーの勤務時間や、2時間ルールについて解説してきました。
最後に、勤務時間に関してよくある質問を4つほど紹介します。
- 24時間対応の訪問介護があるって本当?
- 訪問介護に残業はある?
- 子育て中でも訪問介護は働きやすい?
- 最初から1人きりでやらなきゃいけないの?
これらの質問は、ネット上の口コミでもよく見かける内容です。
訪問介護ヘルパーとして働く前に、少しでも不安要素を解決しておきましょう。
Q1.24時間対応の訪問介護があるって本当?
A.事業所によっては、24時間体制の訪問介護もあります。
24時間対応訪問介護は、昼夜問わずいつでも介護サービスを提供している点が特徴です。
また、18時から朝8時まで対応している「夜間対応型訪問介護」も存在します。
訪問介護の夜勤を検討している人は、これらの訪問介護事業所を探してみるとよいでしょう。
▼夜間対応型訪問介護に関する記事はこちらから
>>訪問介護の夜勤は楽?きつい?仕事内容や給料について紹介
Q2.訪問介護に残業はある?
A.登録ヘルパーの残業は少ないですが、正社員は残業を求められるケースもあります。
正社員の場合、急に担当スタッフが欠席してしまうと、代わりに対応をしなければなりません。
他にも、介護記録の作成に時間がかかってしまったり、ミーティングや研修が長引いてしまったたりなど、さまざまな要因で残業を求められることはあるでしょう。
どうしても心配であれば、面接の時点で「残業はありますか?」と、事業所の担当者に直接問い合わせることをおすすめします。
▼面接に関しては、以下の記事が参考になります。
>>登録ヘルパーの面接は受からないケースもある?!対策や気をつけるポイントについて
Q3.子育て中でも訪問介護は働きやすい?
A.働きたい時間を指定できる登録ヘルパーなら、ライフスタイルを崩さずに働くことが可能です。
登録ヘルパーには、出退勤の概念がありません。そのため、定時出勤が難しい主婦層には働きやすい業務形態といえるでしょう。
ただし、希望どおりに仕事が入るとは限らなかったり、利用者の都合で仕事がキャンセルになることも少なくありません。
収入が安定しにくい点には、十分に注意が必要です。
▼登録ヘルパーのメリット・デメリットについては、以下の記事が参考になります。
>>登録ヘルパーとは?仕事内容やメリットデメリットをまとめて紹介!
Q4.最初から1人きりでやらなきゃいけないの?
A.基本的には、前任ヘルパーやサービス提供責任者が同行してくれます。
ただし、事業所の方針や人数によっては、同行してもらえないケースがあることも事実です。
こういった、適当な対応をしている事業所も少なくはありません。
初めて訪問介護の仕事を始める際には、面接の時点でできる限り確認をしておくことが重要です。
▼初めての訪問介護に関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護が初めてなら確認したい5つのこと!資格も紹介
勤務時間を理解して働きやすい介護現場を探そう!
訪問介護の登録ヘルパーは、働きたい時間や曜日を指定して働けます。
子育てや家事に忙しい主婦や、副業として少しだけ働きたいと考えている人におすすめです。
ただし、利用者の都合によって仕事がキャンセルされる場合もあり、給料は不安定になります。
その場合は、掛け持ちをしたり、フルタイムでも働ける施設介護を検討するとよいでしょう。
自身の働きやすい介護環境を、探してみてはいかがでしょうか。