訪問介護のやりがいを辛さが上回ったときの対処法!介護が好きなら辞めない選択肢を
「訪問介護のやりがいって何?」とお調べですね。
訪問介護は、利用者さんと一対一で向き合えるため、やりがいがたくさんある仕事です。
しかし、「ありがとう」と言ってもらえることしか浮かばない人もいるかもしれません。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護のやりがいをはじめ、やりがいよりも辛さが上回ってしまった場合の対処法を紹介します。
「やりがいさえ感じられたら頑張れる」という精神論のような考え方では、心身ともに持ちません。
辛いときの対処法を知っていれば、介護が好きなのに辞める選択肢しか見つからない状況に追い込まれなくなります。
楽しく訪問介護を続けられるように、ぜひこの記事を参考にしてください。
1.訪問介護のやりがい10選!単に「ありがとう」が貰えるだけの仕事ではない
訪問介護の仕事は、「ありがとう」という言葉がもらえる以外にも、たくさんのやりがいが挙げられます。
今回は、そのなかでも10個のやりがいをピックアップして紹介します。
- 利用者さんと一対一で深くかかわれる
- 相手の気持ちや生活をベースに働ける
- スキルや知識にあわせて給料がアップする
- 余計な権力を抜きにして利用者さんと向き合える
- 何気ない会話が楽しめて利用者さんの理解者になれる
- 知識やスキルが今後の人生や生活に活かせる
- 利用者さんに合った介護を提供できる
- 利用者さんを通して人生の勉強ができる
- 利用者さんが自分でできることが増える瞬間に立ち会える
- ありがとうがダイレクトに伝わる
具体的に、どのようなやりがいなのかを見ていきましょう。
やりがい1.利用者さんと一対一で深くかかわれる
利用者さんと一対一で深くかかわれるのは、訪問介護ならではのやりがいです。
一般的な介護施設では、複数名の入居者さんの介助に入りますが、訪問介護では1人の利用者さんに対して1人の介護士が介助をします。
そのため、利用者さんのことを深く理解できて、信頼関係も築きやすいです。
また、時間の経過とともに周りには見せない表情を見せたり、自分の秘密を話してくれたりします。
何気ない話から、本当に提供したいサービスが見えてくることも少なくありません。
こうした背景から、利用者さんに寄り添った介護サービスを提供したい人にとっては、やりがいを感じやすいでしょう。
やりがい2.相手の気持ちや生活をベースに働ける
訪問介護は、目先の利益や単価ではなく、相手の気持ちや生活をベースに働けます。
- 「今日の気分はどうだった?」
- 「何かしたいことはありますか?」
- 「掃除で気になるところはありますか?」
このように、相手の気持ちや生活をベースにして働きやすいです。
まさに、利用者さん一人ひとりの生活をサポートしている実感がもてるため、やりがいを感じられます。
やりがい3.スキルや知識にあわせて給料がアップする
スキルや知識にあわせて、給料がアップすることもやりがいといえます。
スキルや知識が高くなるにつれて、給料や職位が目に見えてあがっていくため、自分が努力するほどその結果が反映されやすいです。
たとえば、知識を証明できる資格を取得すると「手当」で給料が増えます。
また、より高度な介護スキルが身につくと、頼り甲斐のある支援員として多くの仕事を任せてもらえるでしょう。
このように、知識やスキルを持ち合わせているとやりがいが高まり、給料も増える好循環が生み出されます。
やりがい4.権力を抜きに利用者さんと向き合える
介護士として働く場合、上司や先輩の目を気にしながら仕事をしたり、周りの雰囲気を気にしたりする話を聞いたことはないでしょうか。
訪問介護は一対一の介護であるため、周りに上司や先輩がいない状態かつ、周りの雰囲気を気にしなくてよい状態で働けます。
真っ直ぐに利用者さんと向き合えるため、自分が利用者さんの気持ちを汲んでサービス提供できる点は、大きなやりがいにつながるでしょう。
やりがい5.利用者さんの理解者になれる
訪問介護を通じて、利用者さんと何気ない会話を楽しめて、よき理解者になれる点もやりがいが大きいポイントです。
たとえば、利用者さんと何気ない会話を楽しむことで、利用者さんのストレス発散や毎日の楽しみに貢献できます。
そうすると、笑顔がたくさん見られたり、話してくれる内容が広がったりします。
その結果、訪問した利用者さんに必要な支援やサービスが、より見えてくるでしょう。
やりがい6.知識やスキルが今後の人生や生活に活かせる
訪問介護で培った知識やスキルは、自分の家族の介護が必要になった場合にはもちろん、介護に関係なく家庭料理や掃除のスキルなどを活かせます。
仕事をしながら、日常の生活にも活かせるスキルが身につくことは、さらなる向上心ややりがいとなるでしょう。
ちなみに、介護施設に転職する場合でも、利用者さんと一対一でコミュニケーションをとってきたスキルが活かせて便利です。
やりがい7.利用者さんに合った介護を提供できる
介護施設のような規則や方針にとらわれず、利用者さんに合った介護が提供できる点も、やりがいにつながるポイントです。
一人ひとりに合った介護を提供する訪問介護では、利用者さんにより寄り添ったサービスを提供できます。
介護施設でも、入居者さんに寄り添った介護サービスを提供できますが、より踏み込んだ介護が提供できることこそ、訪問介護の醍醐味でしょう。
やりがい8.利用者さんを通して人生の勉強ができる
利用者さんを通して、人生の勉強ができることも、訪問介護のやりがいです。
利用者さんから聞ける話は、自身では経験できなかった戦時中の経験や、ご近所との交流の仕方(お歳暮やお中元など)までさまざまです。
自分とは違う考えかつ、違う時代を生きてきた人生の先輩との時間は、とても学びが深いものとなります。
また、同じ話を何度も聞くのが辛い場合は、話の腰を折らない程度に質問を加えて方向性を変えてみると、新しい発見ができるかもしれません。
やりがい9.利用者さんが自分でできることが増える
利用者さんが、かつての生活に近い状態で過ごせるようにサポートができるだけでも、大きなやりがいを感じられます。
また、利用者さんが自分でできることが増える瞬間に立ち会えることも、やりがいの1つになるでしょう。
- 一緒にキッチンに立てる
- 掃除が一部分だけでも一緒にできる
- 着替えの一部分ができる
こうした嬉しい瞬間は、たくさんあります。
以前よりも笑顔が多いと感じられるようになった瞬間も、とても嬉しく思えるはずです。
やりがい10.ありがとうがダイレクトに伝わる
「ありがとう」の言葉は、たくさんの仕事で感じられるやりがいです。
しかし、一対一の関わりによってよりダイレクトに言葉が伝わるのは、訪問介護ならではのやりがいといえるでしょう。
自分のサービス提供に対して「ありがとう」という言葉をもらえた瞬間、より利用者さんに寄り添ったサービス提供をしていきたいと感じられます。
2.訪問介護のやりがいからわかる!向いている人・適性は?
訪問介護のやりがいからわかる、訪問介護に向いている人・向いていない人について紹介します。
いくらやりがいに魅力を感じても、実際に働いてから「自分には適性がなかった」と分かることもあります。
介護職についてから後悔しないように、先に確認をしておきましょう。
- 責任感が強い人
- スキルや知識の習得に積極的な人
- 人とのコミュニケーションが好きな人
- 人の価値観を否定しない人
- 利用者さんを第一に考えて行動できる人
- 体力に自信がある人
- 複数人のことを考えるのが苦手な人
具体的にどういった適性が必要なのか、それぞれ説明します。
その1.責任感が強い人
責任感が強い人は、訪問介護に適性があるといえます。
利用者さん一人ひとりに対して、適切なサービス提供が必要となる訪問介護では、利用者さんへのサービス提供に対する責任がより重いです。
適当にサービスを提供したり、誠実ではなかったりする場合には、訪問介護が成り立ちません。
利用者さんの生活を、よりよくするための訪問介護であることを認識できる、責任感が強い人が向いているといえます。
その2.スキルや知識の習得に積極的な人
スキルや知識の習得に積極的な人も、訪問介護に向いています。
訪問介護は、基本的に一対一でサービスを提供する形式です。
そのため、自分の介護知識や介護スキルが磨かれていなくては、利用者さんに不便な思いをさせてしまうことがあります。
そのようなことがないように、スキルや知識の習得を積極的に行える人が向いているといえます。
現在保有している資格の上位資格を取得しようとしたり、介護ボランティアに挑戦したりするのもよいでしょう。
「より利用者さんに質の高いサービス提供がしたい」という向上心のある人は、訪問介護に向いています。
その3.人とのコミュニケーションが好きな人
人とのコミュニケーションが好きな人は、訪問介護に向いています。
訪問介護は一対一で関わりをもつサービスであるため、利用者さんからすれば訪問介護員以外には話相手がいない状態です。
ずっと黙ったままサービス提供をされても、気分がよいものではありません。
いかにその場でリラックスして過ごしてもらえるのかを考えつつ、コミュニケーションがとれる人が望ましいです。
その4.人の価値観を否定しない人
当然ながら利用者さんのなかには、さまざまな価値観をもつ人がいます。
自分ではこちらのやり方のほうが効率がよいと考えていても、長年の癖や好みから、利用者さんが好んでいるやり方があるのかもしれません。
価値観ややり方を否定して、無理矢理自分の価値観を押し付けるようなことをせず、相手のペースややり方に合わせられる人が向いています。
食事の味付けや洗濯物の干し方、部屋での過ごし方など、価値観の尊重が大切です。
その5.利用者さんを第一に考えて行動できる人
利用者さんを第一に考えて行動できる人は、訪問介護に向いています。
なぜなら、訪問介護は利用者さんの生活をよりよくするためにサービス提供を行う立場だからです。
利用者さんよりも自分の予定が優先になってしまったり、自分が苦手な介助や嫌いな介助は手を抜いたりしてしまうような人は、訪問介護に向いていません。
自分がどうしたいかよりも、利用者さんがどうしたいのかを一番に考えられる人であれば、問題なく訪問介護の仕事を続けられるでしょう。
その6.体力に自信がある人
体力に自信がある人も、自分より体が大きい人を相手にすることがある訪問介護に向いています。
ボディメカニクスを駆使するとしても、1日に何件も利用者さん宅をまわって介護をしていては、体力がもたない場合もあります。
少し動くとへとへとになりやすい人の場合には、とくに注意が必要です。
サービス提供の途中でふらついてしまい、利用者さんに怪我をさせてしまう可能性もあります。
体力にある程度自信がある人でなくては、続けられないといえるでしょう。
その7.複数人のことを考えるのが苦手な人
複数人のことを考えることが苦手な人も、訪問介護であれば向いているといえます。
なぜなら、訪問介護は利用者さんと一対一で過ごすため、複数人いる状況が生まれないからです。
「Aさんは○○していて、Bさんは△△しているから、Cさんは××しないと」というように複数人のことを考えなくてはならない場合、混乱してしまうこともあるでしょう。
訪問介護の場合、大切なのは目の前の利用者さん1人のことを精一杯に考えることです。
3.訪問介護の実態?やりがいではなく辛さを感じてしまう人もいる
訪問介護はやりがいが大きいとはいえ、なかにはやりがいではなく辛さを感じてしまう人もいます。
公益財団法人 介護労働安定センターの「令和2年度『介護労働実態調査』結果の概要について」を見てみましょう。
訪問介護員、サービス提供責任者、介護職員の1年間(令和元年10月1日~令和二年9月30日)の3職種を合わせた採用率は16.0%です。
それに対して、離職率は14.9%となっています。
職種別に見てみると、訪問介護員の採用率は15.0%、対して離職率は15.6%です。
つまり、訪問介護の離職率は全体よりも高くなっています。
やりがいではなく辛さを感じた結果、訪問介護をやめてしまう人がいることも知っておくべきといえます。
給料や身体的・肉体的な面で辛さを感じる人が多い
実際に訪問介護員として働いている人の声を確認してみると、給料や身体的、肉体的な面で辛さを感じる人が多いことがわかります。
実際にきついと感じてやめてしまった人の声については、こちらの記事で紹介しています。
>>訪問介護はきつい仕事?楽しさややりがいを感じられない人に対処法を紹介
データからもわかるように、介護の仕事が嫌いではなくても、辛さが上回ったときには選択肢が勝手に狭まり「辞める」という決断をする人は少なくありません。
しかし、介護が好きなら「辞める」という選択肢以外にも、じつはたくさんの選択肢・対処法があります。
次は、訪問介護でやりがいよりも辛さが上回ってしまった場合の対象法を5つ紹介します。
辛さしか感じなくなってしまった場合には、ぜひ参考にしてみてください。
4.訪問介護でやりがいより辛さが上回ったときの対処法
訪問介護でやりがいよりも辛さが上回ってしまい、どうしても辛くて仕方ないという状況に陥ることもあるでしょう。
その場合に「辞める」という選択肢ではなく、別の対処法があることを知っておくことで、少しだけでも気分が楽になります。
広く自分の働き方について考えられるように、知識をつけておきましょう。
- 事業所を変えてみる
- 訪問介護を掛け持ちしてみる
- 自分の将来の理想像と照らし合わせてみる
- 施設介護に切り替えてみる
- フリーランスとして活動してみる
それでは順に紹介します。
対処法1.事業所を変えてみる
事業所を変えてみるという方法は、対処法としてとても効果的です。
辛い状況にあるのは、現在属している事業所が原因かもしれません。
当然ながら場所が変われば、利用者さんもスタッフも変わります。
自分が「どこに辛さを感じているのか」を明確にすると、自分に合った対処法かがわかりやすくなるでしょう。
事業所を変えるときには、以下の点も確認しておくことをおすすめします。
- 希望の給料に届くか
- 働く時間帯は問題ないか
- 残業はあるのか
- 資格手当はあるのか
- 移動時間も給料計算に入るのか
事業所選びを失敗すると、のちのち同じような結果になることもあります。
まずは、納得できる事業所かどうかを確認してみてください。
対処法2.訪問介護を掛け持ちしてみる
訪問介護の仕事を掛け持ちしてみることでも、辛い気持ちを回避できる可能性があります。
Aの職場での仕事が辛いと感じていても、Bの職場でまったく同じような辛さを感じる可能性は低いです。
利用者さんとの関わりの面で辛さを感じているのであれば、なおさらです。
もし事業所の仕組みやスタッフの問題で辛さを抱えているのであれば、慎重に事業所を選ぶことで解決できる場合があります。
Aの職場で辛くても、Bの職場での仕事が楽しければ、そのままBのみに絞ることもできます。
ただし、掛け持ちによってスケジュール管理が難しくなるケースもあるでしょう。
そのような場合には、スケジュール管理のアプリを使用して快適な仕事環境の用意をおすすめします。
スケジュール管理をしっかり行い余裕をもって動けるようになれば、辛さを感じて心がさらに疲れてしまう時間も減るはずです。
▼訪問介護のスケジュールについてはこちらの記事が参考になります。
>>訪問介護のスケジュールはハード?1日の流れや管理のためのアプリを紹介
対処法3.自分の将来の理想像と照らし合わせてみる
自分の将来の理想像と、現在の自分の仕事を照らし合わせてみましょう。
その結果、訪問介護をしていても得られるものがないと感じたら、そもそも訪問介護自体に向いていなかったということになります。
もし少しでも、自分が理想とする人間に近づけると感じるのであれば、手段を変えて介護に携わることをおすすめします。
- 介護スキルを磨いてさらにたくさんの利用者さんと関わりたい
- 訪問介護の事業所を開設したい
- 訪問介護業界をさらによいものにしたい
- コミュニケーションスキルをさらに鍛えたい
- 介護のスキルを活かして別の仕事と結び付けたサービスを作りたい
このような理想像を抱いている人は、ぜひ訪問介護にこだわらず、介護の仕事を続けてみてください。
1つ嫌に感じることがあると、介護のすべてが嫌に思えてしまうことがあるでしょう。
しかし、冷静に考えてみると、意外と簡単な方法で回避できる問題だったということもあります。
紹介している対処法を試してみて、自分にあった働き方ができるように考えてみることをおすすめします。
対処法4.施設介護に切り替えてみる
介護施設の介護士になるという方法でも、いま抱えている辛い気持ちを回避できるかもしれません。
なぜなら、介護施設は訪問介護とはまた少し違った毛色の仕事だからです。
複数人の入居者さんと関わりをもつことになり、複数人の介護士と一緒に働くため、刺激をたくさんもらえます。
訪問介護では得られなかった考え方が身につくかもしれません。
「介護の仕事自体が好きだけど辛いことがあった」という場合には、働く場所を変えて同じ介護業界で働いてみてください。
場所が変われば、状況も気持ちも変わるものです。
簡単に「介護の仕事自体を辞めるしかない」と思わずに、まずは視野を広げてみましょう。
対処法5.フリーランスとして活動してみる
フリーランスとしての活動も、効果的な対処法の1つです。
フリーランスの訪問介護員は、団体や企業、事業所などに属さず個人で契約して働く介護士です。
そのため、給料も働く時間も利用者さんも、すべて自分で決められます。
その分、責任がより重くなり、自分自身を売り込まなくては仕事がとれないというデメリットもあるため、その点だけ注意しましょう。
フリーランスの訪問介護員であれば、現在抱えている悩みや辛さが解消できるかもしれないという人は、一度検討してみてください。
自分で営業する方法や、必要なことについては以下の記事で紹介しています。
>>訪問介護はフリーランスで働ける?自由な働き方を実現するためにやるべきこと
まとめ:訪問介護のやりがいは理想と照らし合わせて判断しよう
訪問介護にやりがいを感じるかどうかが不安な人や、やりがいよりも辛さが上回ってしまった人に向けて、やりがいや辛さへの対処法について紹介しました。
介護業界の仕事は、どのような現場でも大きなやりがいを感じやすい仕事です。
誰かの支えになっていると考えるだけでも、仕事の素晴らしさを実感する人もいるでしょう。
しかし、その分責任が重く、一対一の関わりのなかで辛さを感じることも多い仕事です。
そのときに、「辞める」という選択肢を選ぶのではなく、自分の将来の理想像と照らし合わせてみたり、介護業界の別の仕事に就いたりと、選択肢の幅を広げてみてください。
介護が好きという気持ちが少しでもあるなら、どの介護業界でもやりがいを感じて働けるはずです。
自分に合った職場で、のびのびと利用者さんとの関わりを楽しみながら働きたいものですね。