訪問介護でわがまな利用者さんへの対応は?嫌なときの対処法まとめ
「気に入らないとすぐにカッとなる」
「いつも小言ばかり言う」
「断っても同じことを何度も頼まれる」
訪問介護で、「あの利用者さんってわがままだな」と感じる場合はありませんか。
利用者さんとの関係は、喜びを感じるときもあれば、ストレスを抱えるときもあるはずです。
今回、「みーつけあ」では、わがままに思える利用者さんとの関わり方をまとめました。
原因やできることを知って、今後の仕事に役立ててください。
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1.訪問介護でわがままな利用者さんと判断する前に
訪問介護では、いろいろな利用者さんと出会います。
自分の主張が強い利用者さんと、接することもありますね。
無理難題を突きつけられて悩んだり、悲しくなったり、あるいはイライラしてしまうこともあるでしょう。
しかし、その利用者さんは本当に「わがまま」なのでしょうか。
以下は、「わがままな利用者さん」と判断する前に考えておくべき内容です。
- 考え方や性格は人それぞれ
- 相手の価値観を受け止める・受け入れる
- 相手の思い・気持ちを尊重する
自問自答の機会を設けて、利用者さんへの考え方が変わらないか確認しておきましょう。
その1.考え方や性格は人それぞれ
当然だと理解していても、現実の人間関係では忘れがちなことかもしれません。
利用者さんもヘルパーも人間ですから、互いの接し方に違和感を覚えるのは、自然なことです。
利用者さんの性格や家庭環境は、さまざまです。
そして、担当者の育ってきた環境も一人ひとり違います。
訪問介護員にとって「わがままだ」と思う内容も、利用者さんから見れば「とても大切な思い」かもしれません。
「こうすべき、ああすべきだ」と、頑固な注文をする利用者さんに対して、まずは否定せず受け止めましょう。
自分の立場ではなく、相手の立場に立って、わがままの根本にあるものを考えてください。
利用者さんを支援する意味でも、わがままと判断する前に相手の考え方や性格を、真摯に受け止めることが大切です。
その2.相手の価値観を受け止める・受け入れる
利用者さんの個性を受け止めて、理解する努力をしてみましょう。
言い換えれば、価値観を尊重するということです。
利用者さんは、それぞれの人生観や仕事観から、独自の価値観を持っています。
たとえば、注文が細かすぎる利用者さんは、細やかさに価値を見出す人かもしれません。
そのため、誰に対しても細かい配慮を求めて、努力することを強要するのでしょう。
自分本位な利用者さんは、もしかすると、自分の信念を貫いてきた人なのかもしれません。
日本が貧しい時代に、自力で人生を切り拓いてきた世代の人は、考えや思いに対して大きな自信と信頼を持つものです。
「相手の価値観を受け入れることは、介護のプロとして身につけておくべき姿勢」と考え直してみてください。
その3.相手の思い・気持ちを尊重する
人それぞれの価値観は、尊重しましょう。
利用者さんのわがままに対して、ヘルパーの価値観だけで否定するのは不合理です。
「担当者の価値観を押し付けること」になってしまいます。
もちろん、制度の決まりや事業所の方針で断るべき仕事もあります。
しかし、判断する前に、相手を尊重してください。
相手の気持ちを考えずに、単に「わがままだ」と判断するのは、単なる拒否になってしまいます。
誠意を示せば、利用者さんの対応が変わるかもしれません。
2.訪問介護で利用者さんがわがままになる原因
利用者さんが「わがまま」になるのは、単に性格だけの問題でない場合があります。
たとえば、以下のような場合です。
- 大切な人との死別による悲しみ
- 老いることの悔しさ・やるせなさ
- 病気に起因する症状
原因が分かれば、解決策が見つかる可能性もあります。
「あの利用者さんはわがままだ」と感じたとき、以下の内容を役立ててください。
原因1.さみしさ
さみしさが、わがままとなって表現される場合があります。
家族や友人など、身近にいた大切な人が亡くなったとき、人は悲しさを経験します。
誰だって辛い思いをしたとき、心の内をふと口にすることがあるはずです。
苦い気持ちがわがままとなって、ヘルパーにぶつけられる場合もあるでしょう。
訪問介護員は、生活の中に入り混む仕事であることから、利用者さんにとって身近な存在になります。
わがままを言ってしまうことは、見方を変えれば気さくに話せているともとれるわけです。
利用者さんの「わがままにある根本の思い」を、探ってみてください。
原因2.不安
不安は、利用者さんにとって大きなストレスになります。
老いていくにつれ、人の心身は刻一刻と変化します。
心の落ち込みや体力の低下があると、ふとしたことで不安な気持ちが湧き上がるものです。
たとえば、老化によって起こる心身変化には、以下のようなものがあります。
- 心臓病
- 脳の病気
- 糖尿病
- 呼吸器の病気
- 認知症
- 聴覚・視覚の機能低下
- うつ
- 食欲の低下
参考:厚生科学審議会『健康日本21(第2次)の推進に関する参考資料』
意欲や体力が低下して、以前はできていたことができなくなるのは寂しいものです。
「人の手を借りなければできない」というのは、辛い経験でもあります。
原因3.病気によるもの
わがままの原因として、病気も考えられます。
たとえば、以下のような場合です。
- 病気や障がいによって心身状態が変化して不安や悩みを抱く場合
- 病気が直接わがままを引き起こす場合
脳血管障がいによる体の麻痺や、腰や膝の状態によって歩けなくなることは、心の状態にも影響します。
また、病気が直接の原因になる場合も、考えなければいけません。
認知症や脳血管障がいなどによって脳にダメージを受けると、感情のコントロールができなくなります。
以下の内容は、脳の病気が引き起こす「感情障がい」の一例です。
- 自己中心的になる(我が道をいく行動、自分勝手に会話を中断するなど)
- 不機嫌
- 反応が極端に冷たい
- 感情的な口調になりやすい
参照:厚生労働省老健局『厚生労働省の認知症施策等の 概要について』
感情に関する症状は、人によって変わります。
感情のコントロールができなくなった人のなかには、「言ってはいけない」と分かっていても、口にしてしまっていることがあるかもしれません。
このような場合、後になって後悔したり、悲しんだり、感情が制御できない自分を責めたりします。
利用者さんの既往歴を、確認してみましょう。
わがままは、「痛みや障がいと同じく病気による症状のひとつ」と理解できれば、支援する側の言動も変わるはずです。
3.訪問介護でわがままな利用者さん対応に役立つ対処法
利用者さんのわがままに、対処する方法を解説します。
- できること・できないことを明確にする
- 病気に対して学ぶ
- 時間をかけて信頼関係を築く
うまく対処する最初の一歩は、普段の対応が適切かどうかを見直すことです。
訪問介護員のストレスは、利用者さんにも同じように伝わっているかもしれません。
お互いが辛い思いをしているのに、その責任をすべて利用者さんに向けるのはよくありません。
まずは、「介護する側に問題があるのかも?」という前提で、考えてみることが大切です。
方法1.できること・できないことを明確にする
利用者さんと担当者が、お互いにサービス内容を理解し合えているかを確認してください。
訪問介護は、介護保険の制度で許された範囲のみ、サービス提供できます。
制度上でできること・できないことがあり、担当者だけの判断で業務はできません。
通常は利用者さんに対して、サービスを開始前に契約書・重要事項の内容を説明します。
しかし、確認すべき書類は文字量も多く、サービスのすべてを利用者さんが理解できているとは限りません。
サービスの範囲外であっても、利用者さんはできるものと思い込んでいる可能性があります。
逆に、担当者が「〇〇はできないサービスだ」と判断しているかもしれません。
たとえば、トイレ掃除は家族と共有している場合、掃除できません。
制度上、利用者さんに頼まれても、担当者は断るのが一般的です。
できない理由と、利用者さんの気持ち・状況も聞いてください。
場合によっては、例外として共有部分であってもトイレ掃除できる場合があります。
説明と同意を確認し合うことで、わがままの根本にあった本来のニーズが満たされるかもしれません。
方法2.病気に対して学ぶ
病気により、心や脳に障がいが生じると、感情のコントロールが上手くできなくなります。
こうした状況を理解するには、病気の知識が不可欠です。
病気は、医療分野だけの知識ではなく、介護に携わる人にとっても必要な知識です。
独学では難しいかもしれませんが、訪問介護員が医療を学べる機会はあります。
たとえば、介護職員初任者研修や実務者研修には、医療分野がカリキュラムに含まれています。
また、介護福祉士は、医療の知識も含まれる国家資格です。
実務者研修と3年以上の実務経験があれば、介護福祉士の受験資格が得られます。
上位資格の取得は、キャリアアップにも有効です。
医療について学ぶ機会は訪問介護員にもあるので、自分のためにも活用してください。
▼資格の取り方に関しては、以下の記事が参考になります。
>>訪問介護員の資格の種類について|取り方・資格手当・仕事内容を紹介
方法3.時間をかけて信頼関係を築く
信頼関係を築くのも、わがままへの対処法になります。
誰しも価値観がまったく違う相手に対して、違和感を感じたり否定的な感情を抱く場面があります。
とくに、出会って間もない時期は、価値観のズレに戸惑いやすいものです。
しかし、関わるうちに相手の性格や行動が理解できるようになります。
口に出さずとも、「相手の表情や口調で気持ちが何となくわかる」といった経験はないでしょうか。
日々、利用者さんの気持ちを尊重しつつ、丁寧に関わってこそ得られる信頼関係です。
相手への理解が深まることで、わがままではないと解釈できる場合もあります。
時間がかかるものと、最初から割り切って時間をかけて育みましょう。
4.訪問介護でわがままな利用者さんにやってはいけないこと
利用者さんのわがままに対して、やってはいけないNG事項を見ていきましょう。
利用者さんに対し、つい感情的になりそうであっても、介護のプロとして我慢が必要です。
とくに、以下の対応は望ましくありません。
- 感情的に怒る・キレる
- 上司やケアマネージャーに対してストレスをぶつける
- 利用者さんの問いかけを無視する
最良の対応方法というのは断言できないものですが、やってはいけないことは理解できれば簡単です。
NG1.感情のままに怒る・キレる
利用者さんのわがままに対して、感情的に反応するのはNGです。
利用者さんは多くの不安や悩みを抱え、言葉として吐き出しているのかもしれません。
感情的な相手に対し、さらに感情で応酬するのは好ましくありません。
言葉だけでなく、態度や表情も含めて十分に注意してください。
理不尽を言われても、まずはぐっと耐えましょう。
その場で返答するのではなく、一度持ち帰るのが得策です。
少し時間を置いて思い返せば、些細なことだと思えるかもしれません。
自分だけで解決できなければ、上司やケアマネージャーに適切な対応を相談するのもよいです。
しかし、一度こじれた関係だと、第三者が介入しても修復が難しい場合もあります。
その場の感情に流されず、冷静な受け答えを心がけましょう。
NG2.上司やケアマネージャーに対してストレスをぶつける
利用者さんに対するストレスを、上司やケアマネージャーにぶつけることも、絶対あってはいけません。
多くの上司は、担当者を守ろうとするものです。
一方、ケアマネジャーは、中立的な立場で解決しようと努めます。
担当者が感情的な場合、上司やケアマネージャーは「担当者自身の素行に問題があったのでは?」と疑念を抱くかもしれません。
また、利用者さんとのやり取りについて報告するときも、感情的なままでは適切な報告ができません。
上司やケアマネジャーに相談するときは、ストレスの吐口としてではなく、報告するという意識をもって伝えるようにしましょう。
NG3.利用者さんの問いかけを無視する
「しつこいから」と、利用者さんの訴えを聞き流す人がいます。
無視することは、ときにやり返す以上に残酷です。
担当者がそっけない態度をすれば、利用者さんのわがままにつながる寂しさや孤独感といった感情がますます募ります。
本来ヘルパーは、利用者さんの生活を支援する存在です。
支援者として、利用者さんの些細な言葉にも耳を傾けてください。
▼こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。
>>訪問ヘルパーの失敗談から学ぼう!利用者への苦手意識をなくすには?
訪問介護とわがままな利用者さんに関するQ&A
訪問介護ヘルパーならではの、悩みや疑問・質問に対して、回答も含めてまとめました。
- 利用者さんがクレーマーなときはどうしたらいい?
- 嫌いな利用者さんとの関わり方は?
- 訪問介護がしんどいときはどうしたらいい?
利用者さんのわがままには、理由や原因があると分かっていても、実際に関わってみると解決が難しく感じる場面もあるでしょう。
目の前で不満をぶつけられると、たまらない気持ちになるときもあります。
解決策を事前に持つことで、対処しましょう。
Q1.利用者さんがクレーマーなときはどうしたらいい?
A.クレームとなっている理由を丁寧に確認し、内容を精査しましょう。
単にクレームといっても、その苦情には多くの内容が含まれています。
たとえば、クレームの内容を以下のように分けるのもよいです。
- サービスの範囲が足りない
- 費用が高い
- サービス提供時間が極端に短い・中途半端
- 説明が不十分
- サービスに対する解釈の違い
- ヘルパーにより損害を受けた
- 本人ではなく家族の意向
クレームが感情的な場合は、さまざまな思いが台詞の中に埋もれてしまいます。
まずは、一つひとつの内容を書き出しましょう。
項目ごとに解決策を考えると、適切な対応がみえてきます。
場合によっては、上司やケアマネージャーの援助が必要になるかもしれません。
Q2.嫌いな利用者さんとの関わり方は?
A.好き・嫌いの根本にある理由を、明確にしてください。
その後、解決策や関わり方を考えましょう。
好き・嫌いは、何か理由があって生じる感情です。
「なぜ、利用者さんが嫌いなのか」といった理由を、以下のように書き出してみます。
- 暴言がひどい
- 要望が細かい
- わがままを言う
- 説明しても理解してくれない
- セクハラしてくる など
問題は、利用者さん側と担当者側に分けて考えます。
担当者側の対応に問題があれば、改めましょう。
一方で、セクハラのような問題を、担当者だけで解決させることは困難です。
上司やケアマネージャー、あるいは自治体の担当者も交えた対策が必要となります。
利用者さんを嫌いだと感じたときは、原因を分析してみましょう。
Q3.訪問介護がしんどいときはどうしたらいい?
A.訪問介護は、決して楽な仕事ではありません。
しんどいと思う理由は、人それぞれ違います。
利用者さんと関わっているとき、「訪問介護がしんどい」と感じたら、まずは「仕事にやりがいを見出せているか」と自問自答してください。
もしかすると、合わない仕事を無理にやっているのかもしれません。
好きだから訪問介護をやっている人もいれば、携わる過程で好きになってくる人もいます。
訪問介護にやりがいを見出したとき、充実感になるかもしれません。
まとめ:利用者に不満を抱く前に自分を見つめてみよう
訪問介護は、利用者さんの実生活に直接関わる仕事です。
利用者さんのなかには、「訪問介護員を家政婦だ」と思って、無理難題を突きつけることがあります。
しかし、見方を変えれば、信頼しているからこその態度かもしれません。
利用者さんのわがままではなく、「サービスする側の問題」という可能性もあります。
まずは、普段の訪問介護を見直しましょう。
- 利用者さんのニーズをしっかり把握できているか
- サービスの内容をお互いに理解し合えているか
- 介護・医療の知識、訪問介護に必要な技能は身につけているか
自分の業務を見つめ直したうえで、利用者さんに対して理解を求めてみてはいかがでしょうか。
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