訪問介護で稼げない人がやるべき5つのこと!辞める理由に直結する前に対策を
「訪問介護は稼げない」というイメージが強い人や、実際に働いてみて「稼げない」と感じている人は多くいます。
結果的に辞めてしまう人も多く、「15.6%」と高い離職率を叩き出しているのが現実です。(公益財団法人 介護労働安定センター「令和2年度『介護労働実態調査』結果の概要について」)
そこで今回「みーつけあ」では、訪問介護が稼げない原因と対処法を紹介します。
稼げないと感じたときは、さっそく実践して納得できる仕事に変えていきましょう。
1.訪問介護で稼げないのは自分だけ?訪問介護員の声をチェック
「訪問介護で稼げていないのは、自分だけかもしれない」と感じている人は、案外多いのではないでしょうか。
しかし、実際には同じように感じている人が多く、SNSでも訪問介護の稼ぎについて声をあげている人がいました。
まずは、どのような声があがっているのか、実際の投稿を紹介します。
- 記載されている時給と貰える時給に差がある
- 登録先が1つだけでは仕事が少ない
- 前日の夜に急に訪問の予定がキャンセルになることがある
それぞれ、詳しくみていきましょう。
その1.記載されている時給と貰える時給に差がある
記載されている時給と、実際に貰える時給に差があると感じている人の投稿です。
時給1,500円という募集でも、実際には移動時間分は時給換算されなかったり、訪問時間が30分しかなかったりします。
事業所によっては、移動時間も時給が発生するところもあるため、稼げないと感じている人は事業所を変えるのも1つの手です。
その2.登録先が1つだけでは仕事が少ない
登録先が1つだけでは、割り振ってもらえる仕事が少ないという声があります。
たくさんの訪問介護員が登録している事業所では、実際に担当できる利用者さんが少なくなってしまいます。
しかし、事業所を安易に増やすと、1日に訪問する利用者さんの数が増えすぎてしまい、対応がしきれず悪循環です。
担当が増えるほど、移動時間も必要なことから、移動時間に時給が出ない事業所の場合には時間ばかり取られてしまうかもしれません。
複数の事業所を掛け持ちする場合には、「どの程度融通が利くのか?移動時間も時給は出るのか?」という部分を、確認しておく必要があります。
その3.予定がキャンセルになることがある
前日夜に実施するか決定だって…なかなか訪問だけで稼げない理由のひとつ。
前日の夜に、急に訪問の予定がキャンセルになってしまうこともあります。
理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- お出かけの予定だったが利用者さんの体調が悪くなった
- 明日の天気が悪く予定していた行事に参加できなくなった
- 利用者さんの家族が来ることになり訪問が不要になった
利用者さんのせいではないと分かっていても、突然キャンセルになってしまうと稼げる予定だった金額に届かなくなります。
自分の都合で給料が減るわけではない理由でもあるため、より稼げないと感じやすいでしょう。
2.訪問介護員の給料はどのくらいなの?正社員とパートで比較
稼げないといわれている訪問介護員ですが、実際の給料がどのくらいなのでしょうか。
正社員とパートタイマーでも給料が異なるため、それぞれの相場を確認しておきましょう。
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、訪問介護員の正社員とパートタイマーの給料の平均は以下のとおりです。
正社員 (月給・常勤の人) | パート (時給・非常勤の人) |
182,260円前後 | 時給1,110円前後 |
出典:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要
※いずれも令和2年
※介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得(届出)している事業所における介護職員
パートでは、移動時間は時給が支払われない事業所も多くあります。時給は高いですが、移動に時間を取られてしまうと稼ぎにくいです。
正社員の場合、月給として安定した稼ぎが期待できる反面、定められた拘束時間は働かなければなりません。
給料に限らず、働きやすさまで目を向けると稼ぎやすさの判断がしやすくなります。
実際の求人では平均よりも少し高めの設定になっている
実際の求人を「みーつけあ」で独自リサーチした結果、平均よりも少し高めの設定で募集が行われていました。
以下、求人から算出した時給です。
正社員 (月給・常勤の人) | パートタイマー (時給・非常勤の人) |
186,582円~330,000円前後 | 時給1,050円~3,250円前後 |
正社員とパートタイマーともに、保有している資格によって資格手当が支給される事業所が多くあります。
手当を含めて募集している事業所で働くと、求人に記載されている給料には大きな差が出てしまいます。
なかでも、正社員で介護福祉士の場合、5,000円~20,000円の手当がつく事業所もあるほどです。
また、一般的に夜間対応の訪問介護事業所であれば、夜勤手当の対象です。
夜勤手当の相場は10,000円前後となっているため、積極的に夜勤に入ることで稼げる可能性があります。
さらに、パートタイマーの場合でも、年齢や経験を考慮して時給が高くなる事業所もあります。
自家用自転車を持ち込んで移動する場合には、移動手当が1件につき75円支給される求人もありました。
正社員登用がある事業所を選ぶことでも、稼げるでしょう。
施設の介護士と比較しても時給が高い理由
施設の介護士と比較して計算すると、訪問介護員のほうが時給が高くなっているケースも珍しくありません。
時給が介護施設よりも高く設定されている理由は、以下のとおりです。
- 利用者さんへの責任を負う割合が大きい
- マンツーマン介護のためリスクを直接背負っている
介護士とマンツーマンの介護サービス提供という点では、介護施設も訪問介護も同じです。
しかし、介護施設では体が大きい人や怪我や転倒のリスクが高い入居者さんに対しては、2名の介護士で介助する場合があります。
対して訪問介護では、特別なプランや対応を必要とする利用者さん以外には、基本的にマンツーマンで対応します。
誰かが周りにいて助けてくれるわけでもなければ、コールを押して助けを求められるわけでもありません。
こうした理由から、介護施設の介護士よりも訪問介護員のほうが時給が高く設定されています。
3.訪問介護が稼げないと言われる4つの理由
訪問介護が稼げないと言われる理由として、主に以下の4つが挙げられます。
- 移動時間が給料に含まれない事業所が多い
- 生活援助がメインで時給が安くなりやすい
- 天候によってキャンセルのリスクがある
- パートタイマーはシフトに入りにくい
「どうして訪問介護は稼げないのか?」と疑問に感じている人は、詳しく理由を確認してみてください。
理由1.移動時間が給料に含まれない事業所が多い
移動時間が時給に含まれない事業所が多いという点は、大きな理由の1つです。
訪問介護員は、1日に複数件の利用者さん宅を訪問します。
しかし、それぞれの利用者さん宅が近場である可能性は低いです。
そのため、公共交通機関を利用して移動する場合もあるでしょう。
時間をかけて移動するにも関わらず、移動中の時間は時給換算されないとなると、当然稼げないと感じやすくなります。
訪問介護では、サービス提供時間以外は時給に含まれない事業所が多い傾向があり、稼げないと感じやすいと考えられます。
理由2.生活援助がメインで時給が安くなりやすい
訪問介護のサービスは、身体介護と生活援助の2種類に分けられます。
両者のサービス提供では時給が異なり、身体介護のほうが時給が高い傾向にあります。
以下の訪問介護事業所が募集しているパートタイマーの求人を見てみましょう。
身体介護 | 時給1,940円~ |
生活支援(生活援助) | 時給1,440円~ |
身体介護と生活援助で、時給に500円もの差があります。
同じ勤務日程でも、2時間働いただけで1,000円の差が生まれるわけです。
そうすると、生活援助メインで働いている人や生活援助のサービス提供が多い人の場合、稼げないと感じやすくなります。
理由3.天候によってキャンセルのリスクがある
天候によってキャンセルのリスクがある点も、訪問介護員が稼げない理由の1つです。
お花見やお出かけ、お買い物などで外出する予定がある場合、前日の天気予報次第でキャンセルになってしまいます。
また、訪問介護は、利用者さんの生活がスムーズに維持できるよう支えるサービスです。
そのため、利用者さんの体調が悪くなった場合でも、訪問の予定がキャンセルされることはしばしばあります。
理由4.パートタイマーはシフトに入りにくい
パートタイマーの場合、シフトに入りにくいケースがあります。
正社員の割合が多い事業所では、正社員のシフトが多くなります。
加えて、1日に数時間だけしか働けないパートタイマーの場合、複数の利用者さんを担当できません。
シフトに入りにくくなるだけでなく、担当できる利用者さんの数が減ってしまうことも稼げないと感じる原因です。
4.訪問介護が稼げないと悩んでいるならやるべき5つのこと
訪問介護が稼げないと悩んでいる人のなかには、より稼げる仕事を求めて別の業界に転職するケースがあります。
しかし、ここで紹介する5つのことを実践するだけで、訪問介護の仕事を稼げる仕事に変えられます。
訪問介護の仕事自体が好きな人は、自分や周りの環境を変えながら、稼げる仕事に変えてみてはいかがでしょうか。
具体的には、以下の5つの対策が挙げられます。
- 複数の事業所に登録して掛け持ちする
- 移動時間に対して時給が出る事業所に登録する
- 介護保険外サービスを行っている事業所に登録する
- 現在保有している介護資格の上位資格を取得する
- 訪問介護ではなく施設介護を検討してみる
それでは、それぞれ詳しくみていきましょう。
その1.複数の事業所に登録して掛け持ちする
複数の事業所に登録して、訪問介護を掛け持ちする方法があります。
一番メジャーな方法ではありますが、ただ単に掛け持ちをするだけでは稼げません。
- どの程度シフトを入れられるのか
- 正社員とパートタイマーの割合はどの程度か
- 資格手当は出るのか
- 記載されている時給は資格手当が含まれているのか
- 移動時間に対して時給は出るのか
このような点を確認してから、複数の事業所を掛け持ちを検討してください。
また、掛け持ちでは、事業所や利用者さんを把握しにくくなることがあります。
掛け持ちした際には、スケジュール管理をしっかり行い、複数の事業所や利用者さんに迷惑がかからないようにしましょう。
▼訪問介護のスケジュールについてはこちらの記事も参考にしてみてください。
>>訪問介護のスケジュールはハード?1日の流れや管理のためのアプリを紹介
その2.移動時間に対して時給が出る事業所に登録する
移動時間に対して時給が出る事業所に登録するだけでも、稼げるようになります。
たとえば、移動時間に30分かかってしまうとします。そうすると、その間に給料が出る事業所と出ない事業所では、数百円の差が生まれるからです。
求人サイトのキーワード検索窓で「移動」と入れて検索すれば、移動時間に対して時給を支給している事業所を見つけやすくなります。
支給される額はそれぞれの事業所で異なるため、さまざまな求人をチェックしてみましょう。
その3.介護保険外サービスを行っている事業所に登録する
介護保険外サービスを提供している事業所を選ぶことも、対策の1つとしておすすめです。
介護保険外サービスを提供している事業所であれば、時給が1,350 ~2,350円と跳ね上がります。
「介護保険外サービス」とは、通常の訪問介護では提供できないサービスを指します。
たとえば、以下のサービスが当てはまります。
- 認知症の利用者さんの見守り
- 草むしりや花木の水やりなどの庭の手入れ
- 大掃除
- 散歩や趣味のための外出
- 犬の散歩
- 車の洗車
- 金銭管理や契約書記入などのサポート
利用者さんは介護保険を活用するのではなく、実費負担で利用するサービスであるため、その分時給が高くなるのです。
介護保険外サービスを提供していて、かつ夜間対応も行っている事業所を選べば、稼げないと悩むことも減るでしょう。
その4.現在保有している介護資格の上位資格を取得する
現在保有している介護資格の上位資格を取得すると、稼げない状態から抜け出せます。
求人情報から資格手当の平均をみてみると、以下のようになっています。
資格名 | 資格手当額 |
介護職員初任者研修 | 3,000~5,000円 |
介護福祉士実務者研修 | 5,000~20,000円 |
介護福祉士 | 時給に+20円~20,000円 |
ケアマネジャー | 5,000~20,000円 |
介護の資格といっても幅広くありますが、訪問介護では上記のような資格に対して手当が支給されています。
介護福祉士実務者研修を修了するだけで、20,000円の手当になる可能性があるわけです。
介護福祉士実務者研修を修了している人は、国家資格である介護福祉士にチャレンジしてみたり、ケアマネジャーを取得したりすると、給料がアップします。
▼資格手当について詳しく知りたい人は、以下のページを参考にしてみてください。
>>訪問介護で資格手当が出る資格5つ!支給額相場や取得方法を徹底解説
その5.訪問介護ではなく施設介護を検討してみる
訪問介護はどうしても稼げないと感じる人は、介護施設を検討してみましょう。
介護施設は時給で考えると安く感じられますが、訪問介護の移動時間を考えると、結果的に給料が高くなることが多いです。
求人ボックスの求人情報のまとめによると、介護施設の介護士の給料は以下のようになっています。
時給 | |
パート・アルバイト | 1,033円前後 |
派遣 | 1,395円前後 |
※関東圏の情報
入居者さんに対してマンツーマンの介護ももちろんありますが、2名で介助する場合もあり、他の介護士に助けを求めやすくなっています。
リスクや責任の重さで比べると、訪問介護よりも働きやすいと感じることもあるでしょう。
複数名で働きたい人や協力しあって働きたい人はとくに、介護施設での仕事を検討してみることをおすすめします。
まとめ:訪問介護はやり方次第で稼げる仕事に変えられる
訪問介護は、稼げないと感じる人が多い仕事です。
しかし、自分から周りの環境を変えてみるだけで、稼げる仕事に変えられます。
稼げないと悩んでいる人や、稼げないなら訪問介護の仕事に就くのはやめておこうと思っている人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
訪問介護の仕事が好きで、他の業界に転職したくないという気持ちさえあれば、環境はいくらでも変えられます。
自分が納得いく状態で働ければ、利用者さんへのサービス提供の質も高めやすくなるでしょう。
まずは、自分がどの程度稼ぎたいのかを考え、時給を見直すことから始めてみてください。