訪問介護の給料平均はいくら?手取りを増やすための方法も解説
介護の現場は、訪問介護以外にもたくさんの施設があります。
そして、訪問介護はスケジュールの調整が悪いと効率が上がらない場合もあるため、「稼げない」という印象も多いです。
そのため、「訪問介護の給料平均は低いの?」と不安になっている人もいるでしょう。
今回「みーつけあ」では、訪問介護の給料平均について、厚生労働省のデータを元に詳しく解説します。
さらに、他の介護施設との給料平均比較や、訪問介護で稼ぐ方法などもまとめました。
「訪問介護でいまよりさらに稼ぎたい」と考えている人は、参考にしてください。
1.訪問介護の給料平均はどれくらい?
まず、訪問介護の給料平均について、厚生労働省がまとめた「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」を元に説明します。
正社員とパート・アルバイトでは給与形態が異なるため、下記の2つの項目でまとめました。
- 正社員として働く場合の給料平均:306,760円
- パート・アルバイトとして働く場合の時給平均:約1,450円
それぞれ詳しく確認します。
正社員として働く場合の給料平均
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、正社員の給料平均は「306,760円」です。
給与平均の金額は、健康保険料や所得税などを控除する前の額面となります。
そして、控除額は扶養家族の有無によって異なるため、実際の手取りは一人ひとり異なります。
たとえば月給30万円の場合、おおよその手取りは「22万5,000円~25万5,000円」程度です。
控除によって幅があるため明確な数字は提示できませんが、一例として参考にしてください。
ボーナスの平均
政府統計の総合窓口「e-Stat」の「賃金構造基本統計調査」によると、2019年の訪問介護職員のボーナス平均は「387,400円」です。
しかし、訪問介護職員のうち27.1%の人は賞与のない職場環境で働いています。(参照:令和2年度介護労働実態調査「介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書」)
事業所にはボーナスの支払い義務がないため、それぞれの職場ごとに支給の有無を定めているのが実情です。
そのため、給与を含める年収を上げるためには、勤務先のボーナス支給条件や就業規則をあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
パート・アルバイトとして働く場合の時給平均
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」のデータを元に算出すると、パート・アルバイトで訪問介護に従事した場合の時給平均は「約1,450円」です。
訪問介護には、調理・洗濯・買い物などを行う「生活援助」と、利用者さんの体に直接触れて介助をする「身体介護」の2種類の業務があります。
そして、基本的に「身体介護」のほうが時給は高いです。
そのため、パート・アルバイトとして働くなかで給料を上げたいと考えるなら、「身体介護」の業務を選択するとよいでしょう。
パート・アルバイトの手取りは、労働時間や扶養による控除の有無によって変わります。
労働時間数が少ない・扶養に入っているなど、控除がない場合もあるので、手取りの目安を一概に提示はできません。
2.訪問介護で給料平均より低くなる理由
前の項目に目を通して、「自分の給料は平均より低い」と感じた人もいるでしょう。
訪問介護の仕事において、平均よりも給料が低くなる理由は主に3つあります。
- 地域区分によって差が出る
- 資格の有無
- 事業所による違い
それぞれ説明しますので、あなたに当てはまる理由を確認してください。
理由1.地域区分によって差が出る
1つ目に説明する理由は、地域区分によって差が出るということです。
介護報酬は、人件費の地域差を調整するために地域区分を設定して1単位当たりの単価を決めています。(参照:厚生労働省・社会保障審議会介護給付費分科会「地域区分について」)
わかりやすくすると、地域ごとの賃金水準に合わせて介護報酬を調整しているということです。
地域区分は、介護報酬が高い順に1~7級地・その他と分類されています。
そして、「その他」の土地に比べて「1級地」は、1単位あたり20%の介護報酬が上乗せされます。
このように、訪問介護として働いている地域によって介護報酬が異なるため、給料にも差が出てくるという結果です。
理由2.資格の有無
続いて、資格の有無も給料に差が出る理由のひとつです。
介護職には、下記のようにさまざまな資格があります。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- サービス提供責任者
たとえば、利用者さんの体に触れて業務にあたる「身体介護」は、「介護職員初任者研修」以上の資格を持っていないと従事できません。
資格があればその分、業務に携われる範囲が広がるので給料も上がります。
一方、資格がない場合には勤続年数が増えてもできる業務が限られてしまうため、思うように給料が上がりません。
「自分の給料が低い」と感じた場合には、スキルアップのために資格の取得を検討するとよいですね。
理由3.事業所による違い
パート・アルバイトとして働く場合には、事業所による「移動時間の給料計算」で大きな差が出ます。
1ヶ所で働く仕事とは違い、訪問介護は業務にあたる件数分、移動時間も増えていきますよね。
そのため、移動時間に対する賃金も重要です。
移動賃金は事業所に支払い義務がありますが、職場によっては基本時給に加算されている場合もあります。
基本時給とは別に、移動賃金が支払われるかどうかで給料に差が出るので、詳細がわからない場合には事業所に確認しましょう。
3.他介護施設と給料平均を比較
介護職として活躍できる現場は、訪問介護だけではありません。
訪問介護とその他の施設では給料平均にどのくらいの違いがあるのか、気になる人も多いですよね。
そこで、厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」を元に、介護職の給料平均をまとめてみました。
訪問介護は、介護施設の中で一番月給が高い「介護老人福祉施設」と比べると、給料平均の差は「43,670円」です。
月給の給料平均 | 時給の給料平均 | |
訪問介護事業所 | 306,760円 | 約1,450円 |
介護老人福祉施設 | 350,430円 | 約1,940円 |
介護老人保健施設 | 338,920円 | 約1,260円 |
介護療養型医療施設 | 306,420円 | ー |
介護医療院 | 312,600円 | 約1,210円 |
通所介護事業所 | 280,600円 | 約1,240円 |
通所リハビリテーション事業所 | 305,660円 | 約1,220円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 322,020円 | 約1,470円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 287,980円 | 約1,270円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 287,770円 | 約1,360円 |
表にある10施設のうち、訪問介護事業所の給料平均は4番目に高いということがわかります。
この結果から、「訪問介護は稼げない」という不安は減るのではないでしょうか。
そして、働き方次第で給料平均よりも稼ぐことはできます。
次の項目で詳しく確認しましょう。
4.訪問介護で給料平均以上に稼ぐためにできること
訪問介護の仕事を長く続けていくなら、誰もが「平均以上に稼ぎたい」と感じると思います。
ここでは、給料平均以上に稼ぐためにはどうすればいいのかを考えていきましょう。
- 訪問介護の対応件数を増やす
- 正社員なら運営母体も確認する
- 管理職を目指す
すぐに対応できることもあるので、参考にしてください。
方法1.訪問介護の対応件数を増やす
まず、すぐに給料を上げる方法が、訪問介護の対応件数を増やすことです。
「登録ヘルパー」という働き方を選べば、複数の事業所に登録して掛け持ちができます。
たとえば、1ヶ所の事業所で働く場合、以下の状況だと件数を増やせません。
- 利用者さんの入院により介護の必要がなくなった
- スケジュールの空いている曜日・時間帯の仕事が少ない
利用者さんの都合で仕事がキャンセルとなった場合、給料を増やすどころか減ってしまう可能性もあるわけです。
このようなリスクを減らすために、「登録ヘルパー」として事業所の掛け持ちをするという選択肢があります。
「登録ヘルパー」なら、あなたが希望する範囲で件数を増やせる環境が整います。
さらに稼ぎたい・働く時間は確保できるという場合には、対応件数を増やすとよいでしょう。
▼登録ヘルパーの掛け持ちに関しては、以下の記事が参考になります。
>>登録ヘルパーは掛け持ちしても良い?掛け持ちをする3つのメリットとは
方法2.正社員なら運営母体も確認する
訪問介護員の正社員として働く場合、給料に限らず運営母体も確認しましょう。
求人に記載されている給料をよく見せるために、移動費を含めていたり、身体介護だけをベースとして計算されていたりする場合があります。
そうすると、実際に就職したあとで「求人情報に記載された給料ほど稼げない」という悪循環となる可能性が高いです。
そのため、給料の明細から主な業務まで、細かく聞ける部分は面接や事前情報で調べておきましょう。
このように、給料水準の高い事業所で働けると、より給料を平均より高くもらえる可能性を高められます。
長く働くために、パートや登録ヘルパーよりも慎重な比較・検討が大切です。
▼正社員に関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問ヘルパーの正社員は稼げる?働き方や給料について
方法3.管理職を目指す
訪問介護の現場で長く働き続けるなら、管理職を目指すことで給料アップが望めます。
給料を上げるためには、ただ勤続年数を増やすだけではなく、資格取得も視野に入れてください。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- サービス提供責任者
長い目で見てキャリアアップを続けていきたいなら、「介護福祉士」や「サービス提供責任者」を目指しましょう。
資格取得のためには「3年以上の実務経験」が必要です。
しかし、資格を取り管理職になると業務の幅が広がり、責任の大きな立場になるため、給料が上がります。
訪問介護の給料平均で気になるQ&A
最後に、訪問介護の給料平均を調べている多くの人が気になるQ&Aを紹介します。
- 給料平均より高い求人を探すには?
- 訪問介護の給料は安い?
- 給料を上げるために取るべき資格は?
あなたの知りたい疑問があったら、確認してくださいね。
Q1.給料平均より高い求人を探すには?
A.給料平均より高い求人を探すなら、「みーつけあ」で登録ヘルパーとして働くことをご検討ください。
「みーつけあ」なら、あなたの希望に合わせて事業所を紹介します。
事業所を掛け持ちして訪問件数を増やせば、給料平均より高い月給を稼ぐことが可能です。
Q2.訪問介護の給料は安い?
A.介護職員全体の給料平均は、月給で「315,850円」です。(参照:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」)
そして、訪問介護事業所の給料平均は「306,760円」となっています。
介護職全体で見ると、訪問介護の給料平均は安いです。
しかし、訪問介護の給料平均より多く稼ぐ工夫をすれば、あなたの収入は上がります。
- 登録ヘルパーになって対応件数を増やす
- 賞与や手当が手厚い事業所を選ぶ
- 管理職になる
訪問介護で給料をアップしたいなら、一度働き方を考え直してみましょう。
▼以下の記事もご参考ください。
>>介護ヘルパーの給料相場はいくら?収入を上げる方法や介護報酬改定も解説!
Q3.給料を上げるために取るべき資格は?
A.給料を上げるために取るべき資格は、下記の4つです。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- サービス提供責任者
とくに、「介護福祉士」と「サービス提供責任者」は、管理職に就くなどキャリアアップに必要な資格となります。
しかし、「3年以上の実務経験」が必要になるため、すぐに取得できる資格ではありません。
訪問介護職員として長く働き続けるなら、まずは「初任者研修」「実務者研修」を取得して、長い目でキャリアアップを目指しましょう。
まとめ:訪問介護は経験によって給料平均よりも稼げる!
訪問介護は、経験や資格があれば給料平均よりも稼げます。
そのため、訪問介護の現場で長く活躍するなら、資格取得を目指しながら実務経験を積んでください。
また、「登録ヘルパー」ならあなたの働ける範囲で訪問件数を増やし、給料平均よりも月給を上げられます。
「自分の給料は平均よりも低いな」と感じたら、本記事を参考に働き方を考え直してみてくださいね。