訪問介護の愚痴から見える仕事や人間関係の解決策を確認!
介護を仕事にしている人は、さまざまな悩みや困りごとを抱えています。
たとえば、施設介護よりも、「利用者宅を訪問する訪問介護ヘルパーの仕事がきつい」といった印象を持っている人もいるでしょう。
では、実際に訪問介護ヘルパーはどのような悩みを抱えているのでしょうか。
今回「みーつけあ」では、訪問介護ヘルパーの愚痴が生まれる理由や、具体例を紹介します。
愚痴から確認できる悩みの解決策も合わせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
1.訪問介護の愚痴はなぜ生まれる?
「人を助けたい」という理由で、介護職につく人は多いです。
しかし、現場では「介護は辛いことばかり」「給与が安い」といった仕事のイメージが強いですね。
まず始めに、訪問介護ヘルパーの愚痴が生まれる要因として、以下3つの内容を見てみましょう。
- 身体・精神の負担
- 職場の労働環境
- 利用者さんとの相性がよくない
ネットやSNSの口コミで見つかる愚痴は、訪問介護の現状を読み解くヒントになります。
どのような理由で愚痴が生まれるかを知ることで、訪問介護の仕事を続けるためにできることまで把握できるでしょう。
理由1.身体・精神の負担
訪問介護ヘルパーは、利用者さんの状況によって身体・精神的な負担が大きいと感じることがあります。
訪問介護を依頼する利用者さんやご家族は、自身の生活に対する不安や介護疲れによって疲弊している状況です。
そのため、利用者さんのあたりがきつく感じたり、ご家族の介護に対する要望が多かったりするケースもあります。
たとえば、利用者さんの希望に答えるあまりに、業務時間内に作業を終えられないこともあるでしょう。
また、利用者さんのご家族から、ケアプラン外の要望を伝えられて断らなければいけないといった状況もよくあることです。
このように、訪問介護ヘルパーが利用者さんとご家族との板挟みになることで、愚痴が生まれるのでしょう。
理由2.職場の労働環境
事業所の労働環境から、愚痴が生まれる場合もあります。
訪問介護の人材は、常に不足している状態です。
厚生労働省が平成26年に行った福祉人材確保対策検討会では、訪問介護事業所の約4割が人材不足を懸念していることがわかります。
そのため、訪問介護ヘルパーとして働く際に、「担当件数が多いわりに給料が少ない」と感じる場合もあるでしょう。
また、稼働時間の増減により給与が増減して、「不安定な仕事だ」と感じている人もいます。
このように、労働条件や環境の理由から不満を持つ人も多いのです。
理由3.利用者さんとの相性がよくない
訪問介護は基本的に、利用者さんのお宅で1対1になってサービスを提供します。
他の介護施設とは異なる環境から、利用者さんとの相性がよくないことに負担を感じることもあるのです。
たとえば、上記口コミのように高圧的な態度で接してくる利用者さんもいます。
加えて、訪問介護の現場では助けてくれる人がいないことも、不安要素の1つです。
事業所にクレームが入ることで、さらにストレスを感じるといった状況も考えられます。
状況を変えられずに、抱え込んだストレスによって愚痴が増えてしまっているのでしょう。
2.訪問介護でよくある愚痴と解決策
仕事をしていれば、愚痴はどうしても生まれてしまうものです。では、訪問介護ではどのような愚痴が多いのでしょうか。
訪問介護でよくある愚痴の例として、以下の内容をピックアップしました。
- 利用者さんのわがままが多い
- 仕事内容以外も要求してくる
- 訪問介護を拒否される
- 職員同士の陰口が辛い
- 先輩からの指導がきつい
ここからは、それぞれの解決策を踏まえて解説します。今後の介護に役立ててください。
愚痴1.利用者さんのわがままが多い
訪問介護では、利用者さんからクレームを受けることがあります。
クレームのなかには、介護をする視点から見たときに、わがままに感じてしまう場合もあるかもしれません。
苦情に対する解決策の1つとして、「利用者さんの性格をよく知る」ということが挙げられます。
利用者さんの言動から悩みを傾聴して、「一番求めていることは何か」を汲み取りましょう。
また、利用者さんの苦手意識や怒る言動などは、メモを取って忘れないようにすることが大切です。
接し方が変わると、利用者さんから徐々に心を開いてもらえます。
「わがままが多い」と感じているのであれば、信頼関係を築くきっかけ作りも必要です。
愚痴2.仕事内容以外も要求してくる
利用者さんによっては、介護ヘルパーに家政婦と同じような対応を求める人もいます。
訪問介護のサービス外で要求が多くなると、事業所に戻って仕事仲間に愚痴を話したくなることもあるかもしれませんね。
このような場合、決められたケアプラン以外の要望には、対応できないことを丁寧に伝えましょう。
後のトラブル防止のため、ケア内容は事前の説明が必須です。
そして、過剰なサービスを求められたときは、はっきりと断らなければいけません。
訪問日の予定表に、当日行うサービスを書き留めておくと、利用者さんへの説明もスムーズになります。
また、「介護をする関係以上には仲良くならない」といった線引きの意識も、訪問介護では大切な心構えです。
過剰なサービスの要求を未然に防ぐことにつながり、円滑な介護サービス提供ができるでしょう。
愚痴3.訪問介護を拒否される
訪問介護の現場では、「利用者さんが訪問介護を拒否して困った」といった愚痴も多いです。
拒否の理由としては、以下のようなものがあります。
- 介護されることに抵抗がある
- 他人に触られたくない
- 他人を家に入れたくない など
サービスを提供できなかったり、月の担当件数が減ったりと、ヘルパー側も困る内容ですよね。
もし介護を拒否された場合には、以下の対応が求められます。
- 利用者さんが何を嫌がっているのか理解する
- 拒否されていないサービス内容を進める
- 相手が心を開くまで持つ
拒否されるときは、利用者さんの不満となる理由を聞き取りましょう。
聞き取りながら最低限できる他の業務は進めておくことで、相手の気持ちが落ち着くのを待ちます。
落ち着いたら、利用者さんと再度向き合ってみてください。
介護拒否があるときは、ケアプランの見直しが必要な場合もあります。
ケアマネジャーや事業所のサービス管理者に状況を説明できるように、何が起こったのかメモを取っておきましょう。
愚痴4.職員同士の陰口が辛い
4つ目の愚痴は、事業所内での職員同士の人間関係から、悩みを抱えるケースです。
仕事のストレスを陰口によって解消する人も、世の中には一定数います。
しかし、陰口に対して自分も言い返すようなことは避けるべきです。
同じように陰口が多い人という印象を持たれてしまっては、悩みを相談できるよい仲間まで失ってしまうかもしれません。
他人の陰口を言わないことで、少しでも事務所の雰囲気がよくなるように働きかけられます。
自分が陰口を言われたとしても、仕事と割り切ることもときには必要です。
あまりにもひどい状況の場合は、サービス管理者への相談や事業所の変更も検討してください。
愚痴5.先輩からの指導がきつい
訪問介護では、「先輩から理不尽な指導を受ける」といった悩みも聞こえてきます。
初めて訪問介護に携わる人は、事業所でベテランの先輩から指導を受けることもあるでしょう。
指導の際には、作業のやり方が気に食わないといった理由で、厳しい口調で伝えられるケースもあります。
厳しい指導が続く場合は、サービス提供責任者に相談しましょう。
改善されない場合には、転職を考えることも必要です。
転職も視野に入れておくと、気持ちにゆとりを持って対応できるかもしれません。
指導方針や嫌がらせによって、訪問介護を諦めてしまうのはもったいないです。
ときには、「訪問介護は事業所を変えても続けられる」と、割り切った考え方も必要でしょう。
▼訪問介護を辞めたいと感じる理由に関しては、以下の記事もご参考ください。
>>訪問介護はしんどい?辞めたい理由あるある8選と解決策5選
3.訪問介護ヘルパーが悩みやストレスを解消する方法
訪問介護では、大小に関わらずストレスを感じることがあります。
ストレスを我慢し続けると、やがて愚痴を言うだけになってしまい、いつまでも解消できない状態になるかもしれません。
愚痴につながる前に、悩みやストレス解消の方法を3つ紹介します。
- 相談相手を見つける
- 休息を取る
- キャリアアップを考える
訪問介護の仕事を気持ちよく続けるためには、自分自身のメンタルや疲れのケアも重要です。
悩みを解消するきっかけづくりのために、解説する内容をぜひ実践してください。
方法1.相談相手を見つける
愚痴を他人に話すことは、一時的なストレス発散になるだけで、根本の解決には繋がりません。
仕事内容や対応が難しい介護の悩みは、決して自分だけで抱え込まず、上司や先輩に相談をして解決策を見つけましょう。
相談相手がいると、自分1人では思いつかないような解決策が見つかるかもしれません。
悩みを打ち明けるだけで、心が楽になり、前向きに訪問介護を続けられる可能性もあります。
介護に関しては、サービス提供責任者が豊富な知識を持っています。
直接話すのが難しい場合は、事業所内の先輩に同じような経験がなかったか確認してみるのも1つの手段です。
方法2.休息を取る
継続して訪問介護を続けるためには、十分な休養が必要です。
体力と気力の両方が揃った状態でないと、些細なことでストレスを感じることがあります。
また、疲れ切った状態では、十分なサービスを提供できないかもしれません。
身体介護では、1つのミスが利用者さんの危険につながる可能性もあります。
疲労が蓄積するとストレスも溜まり、少しのトラブルで仕事に自信を失くすこともあるでしょう。
疲れがピークに達する前に、有給休暇を取得しましょう。
▼訪問介護の有給に関しては、以下の記事もご参考ください。
>>登録ヘルパーは請負ではなく労働者!保険や有給についても紹介
方法3.キャリアアップを考える
不満を持った状態で仕事を続けて、「やりがいや希望が見出せなくなった」という人もいるかもしれませんね。
このような場合には、将来のことも考えてキャリアアップまで見据えると、仕事にやる気を持って取り組めるケースがあります。
キャリアアップの方法は、保有している資格より上位の資格取得を目指す方法が一般的です。
また、1つの事業所で長く働いて、役職をもらうといった方法もあります。
苦労を克服してキャリアアップを目指せば、自信を持った仕事ができて、利用者さんからの信頼にもつながるでしょう。
▼キャリアアップに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護員の資格の種類について|取り方・資格手当・仕事内容を紹介
訪問介護の愚痴に関するQ&A
訪問介護の愚痴に関する疑問を、まとめて紹介します。
- 訪問介護ヘルパーに対する苦情はある?
- 訪問介護で行きたくない利用者さんの対処は?
- 訪問ヘルパーの愚痴や悩みのあるあるを知りたい
苦情からストレスを感じて、愚痴になる場合は多くあります。
また、行きたくない訪問先があればストレスも感じるものです。
愚痴にかんするあるあるについても解説するので、気になる部分から確認してください。
Q1.訪問介護ヘルパーに対する苦情はある?
A.訪問介護の口コミや掲示板からは、利用者さんからの以下のような苦情が多く相談されています。
- 掃除や料理のミスを批判される
- 仕事内容以外のサービスを要求される
- 他のヘルパーと比べられて同じ介護を要求される
- 以前のヘルパーに戻して欲しい
どの苦情でも、利用者さんを否定せず親身に話を聞くことで、対策できる可能性が十分にあります。
また、上司に状況を報告して対策を探ることも念頭におきましょう。
今回「みーつけあ」で紹介した愚痴ごとの対策も役立つはずなので、ぜひ参考にしてください。
Q2.訪問介護で行きたくない利用者さんの対処は?
A.訪問介護ヘルパーからできる対処法として、以下のようなものがあります。
- 時間を置く
- 心を開いてもらうまで傾聴する
- どのようなことに困っているか聞く
- 声掛けを工夫する
対応が難しい場合でも、介護を工夫すると利用者さんから心を開いてもらえるでしょう。
以下の記事では、利用者さんが怒ってしまう場合や相談先の内容も解説しています。
>>訪問介護で対応中の行きたくない利用者様はどのように対応すべきか解説!
Q3.訪問ヘルパーの愚痴や悩みのあるあるを知りたい
A.訪問介護で愚痴や悩みにつながるあるあるは、大きく分けて以下の3つに分けられます。
- 利用者さんがヘルパーを家政婦と間違えて困る
- 利用者さんとのコミュニケーションが苦手
- 給料が不安定で稼ぎにくい
あるあるからは、多くの訪問介護ヘルパーが感じている悩みも確認できて、同じような状況になったときの参考にしやすいです。
以下の記事では、それぞれのあるあるから対処法まで詳しく解説しています。
まとめ:訪問介護の愚痴は原因に対処しよう
高齢化社会を迎えている日本では、訪問介護を必要としている利用者さんが多いです。
しかし、介護の仕事に対する理解度が低く、「家政婦さん」と認識されてしまうケースもあります。
なかでも訪問介護は、利用者さんと1対1の介護でストレスを大きく感じることもあるでしょう。
しかし、仕事仲間と愚痴を言い合うだけでは、一次的なストレス解消法になるだけで根本の解決には至りません。
ストレス解消の方法も模索しながら、「問題を解決する方法はないか」といった、前向きな視点で訪問介護に向きあうきっかけにしてください。