訪問介護は男性の需要がある?強みや就職に向けたポイントを解説
「訪問介護で男性は働ける?」
「男は訪問介護現場でいらないと言われる?」
このようにお悩みではありませんか。
厚生労働省によると、訪問介護で働く人の男女比は、8割以上が女性となっています。
しかし、訪問介護で男性職員が少ないのは、需要がないというわけではありません。
今回「みーつけあ」では、訪問介護業界で男性が働く需要について解説します。
男性介護員の強みや、採用のポイントもまとめました。訪問介護職員を目指す人は、ぜひ参考にしてみてください。
1.訪問介護は男性でも働ける
訪問介護の現場は、性別に関係なく働けます。
実際に、訪問介護員として働いている男性もいるため、問題はありません。
しかし、訪問介護で働くうえでは、「資格を持っている」ことが条件になります。
訪問介護で必要な資格は、以下のとおりです。
- 生活援助従事者研修
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
仕事内容が家事に近いため、苦手なイメージをもつ人もいるでしょう。
訪問介護には、男性の力が必要とされる仕事も多くあります。
身体介護 | 利用の身体に直接接触して行われるサービス 例)入浴介助、排泄介助、食事介助など |
生活援助 | 身体介護以外で、利用者が日常生活を営むことを支援するサービス 例)料理、洗濯、掃除 |
通院等乗降介助 | 通院のための乗車または降車の介助 例)乗車前又は乗車後の介助等の一連のサービス行為を含む |
生活援助以外の作業は、施設介護と変わりません。
そのため、男性職員にも活躍の場があると言えます。
訪問介護は男性の需要が高い
訪問介護の現場では、年々男性職員の需要が高くなっています。
需要が高まる理由は、「同性介護ができる」という点です。
訪問介護の利用者さんは、4割が男性です。
総数 | 41~64歳 | 65~69歳 | 70~79歳 | 80~89歳 | 90歳以上 | 不詳 | |
総数 | 100 | 3.1 | 5.9 | 22.3 | 48.1 | 18.9 | 1.8 |
男 | 31.8 | 5.2 | 9.9 | 27.1 | 42.1 | 14.0 | 1.7 |
女 | 68.0 | 2.1 | 4.0 | 20.1 | 51.0 | 21.2 | 1.6 |
参考:性・年齢階級別利用者数の構成割合
※単位:%
しかし、訪問介護員の男女比を確認すると、男性の割合はわずか1割しかありません。
年齢構成 (男女別) | 20歳未満 | 20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60~65歳 | 66~69歳 | 70歳以上 |
男性 (9.5%) | 0.2% | 14.1% | 19.8% | 20.4% | 19.5% | 9.0% | 8.8% | 6.4% |
女性 (87.8%) | 0.2% | 2.9% | 9.2% | 19.6% | 26.0% | 15.2% | 15.6% | 9.0% |
また、訪問介護の利用者数も年々増えています。
そのため、訪問介護の現状として、男性の需要も高まっています。
2.訪問介護で男性が働くときの強み
訪問介護では、男性職員ならではの強みとして、以下のようなものがあります。
- 力仕事で活躍できる
- 同性介護ができる
- ライフイベントによる離職率が低い
女性よりも筋肉の量が多い男性は、力仕事で活躍できる機会があります。
また、同性介護は、男性にしかできない仕事です。
強みを理解できると、就職するときのアピールにもつながります。
それぞれの内容を確認しましょう。
強み1.力仕事で活躍できる
女性でも力のある人はいますが、一般的な男女で比較すると力が強いのは男性です。
そのため、身体介護では男性が活躍する機会も多いでしょう。
利用者さんのなかには、大柄な人もいます。
移乗や起居動作といった身体介護は、重労働となるはずです。
転倒リスクや訪問介護員自体の、身体的な負担にもつながります。
男性の訪問介護員は、利用者さんの安全と他の職員の負担を守れるという点が強みです。
強み2.同性介護ができる
訪問介護では、男性職員が少ないため、「利用者さんの支援で同性介護をおこなえない」といったケースが多いです。
利用者さんが入浴介助や排泄介助といったサービスを必要とする場合には、同性介護の希望が出ることも多々あります。
男性の訪問介護員がいればスムーズに対応でき、事業所としても受け入れの幅が広がります。
また、異性による介護では、セクシャルハラスメントに悩む訪問介護員がいることも事実です。
男性職員がいることで、女性をハラスメントから守ることにもつながります。
強み3.ライフイベントによる離職率が低い
男性の訪問介護員は、ライフイベントによる離職率が低く、就職時に有利に働く可能性があります。
介護職員の離職理由としては、「妊娠や出産」がもっとも高いです。
結婚・妊娠・出産・育児のため | 26.0% |
職場の人間関係に問題があったため | 16.3% |
自分の将来の見込みが立たなかったため | 15.6% |
収入が少なかったため | 12.3% |
他によい仕事・職場があったため | 11.5% |
参考:介護労働安定センター 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書
妊娠や出産といった理由の場合、事業所側では対処法がなく、避けられない離職となります。
男性は、妊娠や出産などのライフイベントに左右されることがありません。
事業所側の視点で見たときに、人材育成や採用活動には、手間とお金がかかります。
そのため、「長期間勤務できる人を雇用したい」のが、事業所の本音です。
ライフイベントに左右されない男性は、採用される確率が高まるといえます。
3.訪問介護で男性は採用されない?
訪問介護では男性の強みがありますが、実際に働いている人は少ない現状があります。
そのため、「男性だと採用されづらいのでは?」といった疑問をもつ人もいるでしょう。
また、「訪問介護で、男性はいらない」といった言葉を聞く機会があるかもしれません。
ここでは、以下の順で男性の採用に関して解説します。
- 男性の訪問介護員はいらないと言われる理由
- 採用率は雇用形態で変わる
それぞれ確認してみてください。
男性の訪問介護員はいらないと言われる理由
訪問介護で男性はいらないと言われる原因の1つが、家事支援です。
利用者さんのなかには、家事を男性がおこなうことに抵抗を覚える人がいます。
年齢や時代の関係で、「家事は女性がおこなうもの」といったイメージから来るものです。
また、世間一般的にも、「男性に家事は難しい」という印象をもつ人は少なくありません。
そのため、男性の訪問介護員はいらないと言われる可能性があります。
しかし、家事の向き不向きに性別は関係ありません。
採用を目指すのなら、家事が得意なことをアピールしてみましょう。
採用率は雇用形態で変わる
採用の確率を上げるためには、雇用形態も重要になります。
男性は、正規社員として働く割合が多いためです。
厚生労働省によると、訪問介護で働く男性の割合は、非正規社員よりも正規社員が多いという結果があります。
訪問介護で働く人の性別 | 正規社員 | 非正規社員 |
男性 | 26.4% | 5.0% |
女性 | 73.6% | 95% |
女性では、非正規社員として働く人が95%と、正規社員よりも約20%多い結果です。
訪問介護は、フレキシブルな働き方ができるため、家庭と仕事の両立を目指して働く女性もいます。
非正規雇用として、スポット的に働く女性が多いです。
しかし、男性は正規社員として働く割合のほうが多くなります。
同性介護やライフイベントに左右されない点から、正規雇用のほうが事業所として依頼しやすいといった理由が想定されます。
男性で訪問介護の仕事をする場合は、正規社員を目指してみましょう。
4.男性が訪問介護員になる方法
訪問介護の現場は、男性でも十分に活躍できます。
しかし、訪問介護員には、資格が必須です。
ここからは、訪問介護員になるために必要な資格や取得方法を以下の順番で解説します。
- 未経験・無資格OKの職場で働く
- 資格を取得する
自分に合った方法を選択できるように、それぞれの内容を確認してみてください。
方法1.未経験・無資格OKの職場で働く
訪問介護の現場で働くためには、資格の条件があります。
以下のような資格を持っていないと、訪問介護員としては働けません。
- 生活援助従事者研修
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
しかし、無資格や未経験でも求人はあります。
無資格や未経験を募集する求人では、多くの場合で訪問介護ではなく、介護施設で指導を受けながら経験を積む形式です。
働きながら、介護の知識が身につく点がメリットといえるでしょう。
また、未経験や無資格で募集する事業所では、資格取得を支援するケースも見られます。
事業所から見ても、資格を持った人材が欲しいためです。
働きながら資格取得を考えている人は、未経験OKの求人を探してみましょう。
方法2.資格を取得する
訪問介護の現場で働く前に、資格を取得することは得策です。
資格取得によって、応募できる求人の選択肢が増え、より好条件な職場探しができるでしょう。
取得しやすい資格のなかでも、介護職員初任者研修がおすすめです。
介護職員初任者研修は、130時間の講義と演習を受講して、修了試験に合格すればで取得できます。
受講方法は、以下のとおりです。
- 通信講座とスクーリング
- 専門学校
- ハローワークの職業訓練
通信講座とスクーリングを選択するか、専門学校や養成学校に通う選択肢があります。
学校に通うと、履歴書に資格だけでなく、学歴も記載可能です。
また、ハローワークの職業訓練では、求職者支援制度の対象であれば無料で受講できます。
しかし、ハローワークの職業訓練は選考倍率が高いため、必ず受講できるわけではありません。
実施する都道府県によって条件は異なるため、職業訓練が気になる人は、一度確認してみてください。
▼資格の取得方法については、以下の記事もご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格は通信だけで取れる?介護職員初任者研修の取り方
>>介護ヘルパーの資格「介護職員初任者研修」をハローワークで取得するには?
訪問介護で男性が働くときのQ&A
最後に、訪問介護で男性が働くときに気になる疑問を、Q&A形式で確認しましょう。
以下3つの疑問は、訪問介護で働く男性が気になる機会が多いです。
- 介護で男性介護員を拒否されたらどうする?
- 男性の訪問介護員は負け組?
- 訪問介護員の男性はモテる?
それぞれの内容に回答するので、気になる疑問を解消できるように確認してください。
Q1.介護で男性介護員を拒否されたらどうする?
A.利用者さんに、男性介護者の対応を拒否される場合は、ケアマネジャーに相談してみましょう。
「サービスのどの点に不満があるのか」を、確認する必要があります。
「男性だから」といった理由の場合は、利用者さんやご家族と相談したうえで、女性職員と交代する可能性があります。
ただし、介護拒否があったからといって、不満を態度に表さないことが重要です。
利用者さんが気持ちよく介護を受けられるように、事業所と相談して対応を決めてください。
性別による介護拒否を防ぐのであれば、支援に入る前に、男性が介護することを利用者さんに確認しましょう。
Q2.男性の訪問介護員は負け組?
A.男性が訪問介護で働いていても、決して負け組ではありません。
負け組と言われる理由としては、仕事内容に対して給与額が低いことが原因と考えられます。
給料面は介護福祉士の資格取得や事業所のサービス管理責任者になる、といったキャリアアップで解決できる可能性が高いです。
また、介護職員処遇改善加算もあり、給料面の改善は期待できるため悲観的にとらえる必要はありません。
▼以下の記事では、訪問介護の給料について解説しています。気になる人は、ぜひ参考にしてください。
>>訪問介護の給料は平均どれくらい?移動時間や給料が上がる条件についても紹介
Q3.訪問介護員の男性はモテる?
A.男性の訪問介護は、モテる可能性があります。
介護の仕事で働く男性は、優しいイメージを持たれ異性から好印象といった場合があるでしょう。
また、訪問介護では、利用者さんからモテる場合も十分に考えられます。
優しい男性が介護にあたることで、利用者さんから「息子や孫を思いだす」と喜んで貰えるはずです。
もちろん、性別によって、支援内容が変わることはありません。
しかし、「同じサービスを受けるなら男性職員がよい」と希望する人もいます。
利用者さんの気持ちを、明るくできるような訪問介護員を目指しましょう。
まとめ:需要が高まる男性訪問介護員として働こう
男性の訪問介護員としての需要は、年々高まっています。
男性は、利用者さんからの希望だけではなく、事業所目線でも必要とされる存在です。
正規雇用での応募も視野に入れると、採用の可能性が高まるかもしれません。
また、必要な資格取得の方法は、自分に合ったものを選択しましょう。
訪問介護で働くことを視野に入れている男性は、この記事で紹介した強みや採用のポイントをぜひ参考にしてください。