訪問介護の配置基準って?違反したらどうなるの?計算方法もご紹介
「訪問介護の人員配置基準が分からない」
「訪問介護の人員配置基準を違反したら、どうなるか不安だ」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
訪問介護では、人員の配置基準が決められています。人員配置基準を正しく知ることにより、常勤換算が足りないときの対応や、立ち上げの際の基準が明確になるでしょう。
今回「みーつけあ」では、訪問介護の配置基準の計算方法や、違反した場合の措置などについて詳しくご紹介します。訪問介護事業を運営している人や、これから介護事業の立ち上げを検討している人はぜひ参考にしてみてください。
1.訪問介護の人員配置基準について解説
訪問介護の運営や立ち上げをする際に気になるのが、人員配置基準ではないでしょうか。人員配置基準は、管理者やサービス提供責任者、訪問介護員それぞれで定められている人数が異なります。
訪問介護の人員配置基準を正しく知ることにより、スムーズな運営や立ち上げを行うことができるでしょう。ぜひチェックしてみてくださいね。
1.管理者
管理者は、訪問介護事業所ごとに専従で1人以上の配置が必要となります。
訪問介護管理者に資格要件はありませんが、事業所の責任者になるため、常勤職員のなかから適任者を選ぶことが望ましいでしょう。
また職務上支障がない場合は、サービス提供責任者も兼務することが可能です。
2.サービス提供責任者
サービス提供責任者は、訪問介護事業所の規模に応じて1人以上の配置が必要です。また資格要件もあり、下のいずれかを満たさなければなりません。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 旧介護職員基礎研修課程修了者
- 旧ホームヘルパー1級課程修了者
- 実務経験3年以上の介護職員初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級課程修了者)
また利用者数40人に対して1人以上追加、もしくは配置しなくてはなりません。たとえば、利用者が40人までの場合は常勤1人ですが、41~80人の場合は常勤2人、81~120人の場合は常勤3人が必要となります。
3.訪問介護員
訪問介護員は、事業所ごとに常勤換算で2.5人以上の配置が必要です。この人数には、サービス提供責任者も含まれます。
「常勤換算」とは、事業所で働いている平均職員数のことです。計算方法はのちほど詳しく解説しますが、常勤換算では次のいずれかの資格取得者がいることが必須条件となります。
- 介護福祉士
- 介護職員実務者研修
- 介護職員初任者研修
- 旧介護職員基礎研修
- 旧ホームヘルパー1級および2級
- 看護師、准看護師
- 生活援助従事者研修
訪問介護員を配置する際には、資格の有無は必ず確認するようにしましょう。
2.訪問介護の人員配置基準を満たす際の注意点について解説
訪問介護の人員配置基準を満たすためには、以下の3つの注意点を理解しておくことが重要です。
- 訪問介護の常勤換算を理解する
- 各都道府県で基準が異なる場合がある
- 人員が不足になった場合の対策を考えておく必要がある
3つの注意点を理解しておかなければ、訪問介護の人員配置基準に違反しているとみなされる可能性があります。
それぞれの注意点について内容を理解していきましょう。
注意点1.訪問介護の常勤換算を理解する必要がある
常勤換算とは、実際に仕事に従事している時間を計算するものです。全従業員の平均勤務時間数を常勤職員が勤務すべき時間数で割って計算します。
計算方法は以下のとおりです。
従業員の勤務延時間数(時間)÷常勤職員の勤務時間数(時間)=常勤換算(人)
常勤職員が1日8時間を週に5日勤務する事業所の場合、8時間×5日×4週(1か月)=160時間が1か月の勤務時間数になります。
次に、サービス提供責任者を含めた訪問介護員の1か月の稼働時間を計算しましょう。
サービス提供責任者(160時間)+訪問介護員A(120時間)+訪問介護員B(90時間)+訪問介護員C(75時間)=445時間になり、時間を常勤職員の1か月の勤務時間である160時間で割ると、445÷160=2.78125となります。
常勤換算の基準である2.5を超えるので問題ないということが分かりますね。
常勤換算は、適切な運営及びサービスの提供には欠かせない要件です。ルールを把握していれば、人員基準違反にいち早く気づき自治体に相談することができます。
ご紹介した計算方法を参考にしてみてください。
注意点2.各都道府県で基準が異なる場合がある
各都道府県の自治体によっては、訪問介護員の人数やサービス提供責任者の資格要項が違う場合があります。
たとえば、離島といった配置基準を満たすことが難しい地域では、介護サービスを確保するために人員配置基準が緩和されている可能性があります。配置基準となる常勤換算2.5人が任意になった事例もありますので、地域独自の基準があることを知っておきましょう。
各都道府県の人員配置基準については、自治体のホームページで確認できるので、一度見ておくことをおすすめします。
注意点3.人員が不足になった場合の対策を考えておく
訪問介護員の体調不良や、予期せぬ事態により人員配置基準を満たせなかった場合には、各都道府県の自治体に相談してください。急な人員確保が難しい状態の場合も、そのままにしないようにしましょう。
また、急な退職による人員不足を回避するためにも、日頃からの円滑なコミュニケーションが大切です。訪問介護員の状況を把握しておくことで、すみやかに人員確保に必要なアクションがとれます。
3.訪問介護の人員配置基準に違反したらどうなる?
訪問介護の人員基準や、運営をする上での配置基準の注意点などを紹介してきましたが、もし違反してしまったらどうなるのでしょうか。
ここからは人員配置基準違反の詳細と、人員基準違反をした場合の措置について、わかりやすくご紹介します。
故意ではなくても、気づかない間に違反してしまうことがないように、参考にしてみてくださいね。
訪問介護の人員基準違反とは
人員基準の違反が起こりやすいのは、常勤換算方法で算出した訪問介護員の人員が足りないときです。人数ぎりぎりで運用をしていると、体調不良による訪問介護員の休職や、急な退職時に違反が起こるリスクが高まります。
過去に確認されている不適切な事例をいくつかご紹介します。
事例1:訪問介護員が勤務していない時間帯に虚偽のサービス実施記録を作成し、介護報酬を請求していた
事例2:サービス提供責任者が常勤専従ではなく、併設事業所を兼務していた
事例3:看護職員の欠如による人員基準違反があるにも関わらず、満額の介護報酬を請求していた
ご紹介したものは一部ですが、こういった事例から学び、事前に対策を講じておくことが大切です。
訪問介護の人員基準違反をしたら
訪問介護の人員基準に違反した場合、指定居宅サービス事業者は、事業者の指定や更新を受けることができません。その場合、以下の3段階の措置がとられます。
- 期間を定めて、基準を遵守すべき旨の注意勧告
- 勧告に従わなかった場合、事業所情報と違反した旨の公表
- 正当な理由がなく勧告も従わなかった場合、期間を定めて勧告にかかる措置の命令
これらの命令に従わなかった場合は、指定の取り消しや効力が停止されることがあります。そういった事態にならないように、日頃から人員基準を確認しておきましょう。
まとめ:訪問介護の人員配置基準を理解しよう
本記事では、訪問介護の人員配置基準について解説しました。訪問介護では常勤換算を理解し、適切に人員配置することが重要です。人員配置を理解していないと、違反となるリスクが高くなります。
実際に、常勤換算を理解しないまま運用を続けてしまい、注意勧告や事業所の公表の処置を受けてしまったケースも発生しています。
訪問介護の人員配置基準を満たすために、常勤換算を理解したり、人員不足になった場合の対策を考えたりと事前に対策をおこないましょう。