訪問介護に必要な資格とは?資格の要件や取る方法について解説
「訪問介護の仕事は、資格がないとできないの」
「どのような資格が必要で、どうすれば取れるのかを知りたい」
訪問介護の仕事をするには資格が必要です。しかし、どの資格から取得すべきか、どれくらいの労力や費用で取得できるのか、わかりにくいのではないでしょうか。
訪問介護の場合は、まずは取得しやすい介護職員初任者研修がおすすめです。そして実務者研修、次は介護福祉士を目指すと、キャリアアップに役立つでしょう。
今回「みーつけあ」では、訪問介護に必要な資格と取得についての要件、訪問介護の仕事内容と将来性について解説します。
資格を取得し、訪問介護の仕事を始めてみてはいかがでしょうか。
1.訪問介護に必要な資格と取得についての要件
訪問介護でヘルパーとして働くには、以下の資格が必要です。
- 介護職員初任者研修
- 実務者研修
- 介護福祉士
介護職員初任者研修と実務者研修は誰でも受験可能です。ただし、介護福祉士は無資格や未経験では取得できません。
また、実務者研修は介護職員初任者研修より難易度が高いため、介護職員初任者研修から目指すのが一般的です。
これらの資格の詳細を解説していきます。
1.介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護の理念や、介護技術の基本的なことを身につけるための資格です。介護関連の資格のなかでは取得しやすく、介護職の経験が浅い人に向いています。
介護職員初任者研修は、ホームヘルパーはもちろんのこと、ほとんどの介護関連の職業に必要とされる資格です。転職にも役立つため、取得しておいたほうがよいでしょう。
初任者研修は受験資格がないため、誰でも挑戦可能です。130時間の研修に参加したのちに試験に合格すると、資格が認定されます。
取得する方法 |
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取得にかかる期間 | 通信と通学を併用した場合は約1ヶ月~4ヶ月 |
研修時間 | 130時間 |
受講費用 | 約5万円~8万円 |
取得の難易度 |
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2.実務者研修
実務者研修は、初任者研修より上位の資格で、さらなる知識と技術を習得した証明になります。また、実務経験を積みながら介護福祉士を目指すならば、必須の資格です。
受験資格はなく、誰でも受けられます。資格を取得するには、450時間の研修を終えなくてはいけません。ただし、所有している資格によっては科目が免除されるため、研修時間が異なります。
研修修了後の試験合格は義務ではありませんが、スクールによっては課題の提出やテストが必要になることがある点は理解しましょう。
取得する方法 |
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取得にかかる期間 | 通信と通学を併用した場合で6ヶ月以上 |
研修時間 | 原則的には450時間だが、科目免除があれば短縮される |
受講費用 | 資格なしの場合は約10万円~20万円 |
取得の難易度 |
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3.介護福祉士
介護福祉士は、介護関連の資格のなかでは唯一の国家資格です。資格所有者は、職務にて高い専門性と重い責任が求められるため、給料面の待遇もよい傾向にあります。
介護福祉士の受験資格については、下記を参照してください。
- 介護福祉士養成施設を卒業する
- 福祉系の高校を卒業する
- 実務者研修に合格し、介護職で3年の実務経験を積む
- 経済連携協定に基づき就労している外国人候補者
これらの条件のうちのひとつを満たし、さらに介護福祉国家試験に合格する必要があります。
2.訪問介護の仕事内容とは
訪問介護のヘルパーは、利用者様と1対1でのサービス提供が原則的です。その性質上、不測の事態や事故が起きた際には、訪問介護のヘルパーの責任が問われます。
ゆえに、専門的な技術や知識を身につけている証明が必要となり、資格が必要となります。
訪問介護の実務の内容は、下記の3種類に分けられます。
- 身体介護
- 生活援助
- 通院等乗降介助
それぞれの仕事の概要は以下のとおりです。
職務 | 特徴 | 具体的な業務 |
身体介護 | 利用者様の身体に触れて行う介助 |
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生活援助 | 調理や洗濯、掃除などの日常的な家事全般 |
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通院等乗降介助 | ヘルパーが車を運転して、利用者様の通院を支援する |
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詳細について確認していきましょう。
仕事内容1.身体介護
身体介助とは、サービス利用者様の体に触れる介助の全般を指します。日常生活動作の向上を目指し、自立を支援するためのサービスです。
施設内での介護サービスよりも専門性が高いため、利用者を安全に介助するスキルが必要になります。
仕事内容2.生活援助
生活援助とは、利用者様の日常生活における家事を援助することです。日常生活に必要なことが対象のため、大掃除や農作業などは支援すべきではありません。
調理や洗濯、掃除や整頓などの家事全般をおこなうため、利用者の需要は高いです。
仕事内容3.通院等乗降介助
通院介助とは、利用者様が病院や行政機関などへ行く際に、乗降の介助や手続きを手伝います。
通院に関しては、病院の入り口までの介助が訪問介護ヘルパーの提供すべきサービスです。
ヘルパーは、自ら車を運転して、乗車や降車の介助をおこないます。
▼訪問介護のできること・できないことに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護ヘルパーに頼めることって?できること・できないことを紹介
3.訪問介護ヘルパーの収入と将来性
訪問介護のヘルパーには資格が必要で、職務も多岐にわたります。では、待遇はどうなっているのでしょうか。
介護サービスを安定的に提供するには、人材の確保が重要です。よって、賃金を含む待遇については、国家として取り組んでいます。また、高齢者の生活が多様化するにつれて、訪問介護の需要も増加中です。
これらをふまえた上で、現在の収入と将来性について、具体的に見ていきましょう。
収入
ホームヘルパーの収入は、職務の内容や勤続年数、所有している資格の種類によって異なります。
厚生労働省によると、訪問介護事業所で働く常勤の労働者の平均月給は、勤続年数7.7年で約30万円、年収換算すると約360万円です。 また非常勤パートの場合の平均時給は、勤続8.3年で約1,800円になります。
介護業界全体でみると、ホームヘルパーの給料は、施設勤務の介護職員より低く、デイサービスやグループホームの職員よりは高めの水準になっています。
▼更に詳しく知りたい人には、以下の記事が参考になります。
>>介護ヘルパーの給料相場はいくら?収入を上げる方法や介護報酬改定も解説!
将来性
訪問介護ヘルパーの高齢化は著しく、有効求人倍率も高水準をキープしています。このことから、今後も訪問介護の需要はあると言えるでしょう。
2020年度の訪問介護ヘルパーの平均年齢は53歳でした。訪問介護員の有効求人倍率は14.92倍で、前年よりはわずかに低下したものの、人手不足は続いています。
厚生労働省では高齢者が住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを続けるために、支援体制の構築を進めています。これは「地域包括ケアシステム」と呼ばれ、2025年の実現を推進中です。
地域包括ケアシステムの運営には、訪問介護ヘルパーが必要となるため、さらなる需要の増加が予測できます。
4.訪問介護のメリットとデメリット
訪問介護のヘルパーは、資格を取れば仕事が見つかりやすいのがメリットとなります。また、パートやアルバイトでの募集もあり、自分の都合にあわせて働くことも可能です。
しかし、仕事内容は専門性が高く、力仕事があったり、場面によっては責任を問われるデメリットもあります。
このように、訪問介護にはメリットとデメリットの両方があるのです。それぞれを見て、比較していきましょう。
訪問介護のメリット
訪問介護のメリットとは、利用者様に感謝されやりがいを感じられることです。
訪問介護では利用者様のご自宅に直接行き、利用者様一人ひとりの要望に答え、個別の対応をおこなうサービスです。
よって、利用者の生活習慣や意向を尊重しやすくなり、利用者様やご家族から感謝される機会がたくさんあります。
訪問介護のデメリット
訪問介護のデメリットは、利用者一人ひとりのこだわりに対応しなければいけないことです。
こだわりが強い利用者様の場合、トラブルになる可能性があります。訪問介護の枠内でしかサービスを提供できないため、利用者さんの要求に応えられないときもあるでしょう。
トラブルによって利用者様との関係が気まずくなっても、施設とは違い簡単に担当を交代できない可能性があります。
▼登録ヘルパーのメリット・デメリットはこちらから。
>>登録ヘルパーとパートヘルパーの違いは?メリット・デメリットを総まとめ
5.訪問介護で必要な資格に関するQ&A
最後に、訪問介護に必要な資格について、Q&A方式で解説していきます。
なお、訪問介護ヘルパーになることを検討している人が対象です。下記の内容が気になる人は、ぜひチェックしてみてください。
- 資格なしで訪問介護している人はいる?
- 訪問介護の資格を取るためにおすすめの勉強方法は?
- 訪問介護の資格は通信で取れる?
- 訪問介護の資格は最短どれくらいで取れる?
Q1. 資格なしで訪問介護している人はいる?
A. 資格なしでは、訪問介護はできません。
訪問介護のヘルパーとして働くためには、介護職員初任者研修か実務者研修の修了、もしくは介護福祉士の資格が必要です。
しかし、無資格でも就ける介護の仕事はあります。老人ホームやデイサービスセンターの施設内では、無資格でも働ける仕事もあるので、求人を確認してみましょう。
▼資格なしに関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーは資格なしで働ける!仕事内容やメリット・デメリットを解説
Q2.訪問介護の資格を取るためにおすすめの勉強方法は?
A. 介護職員初任者研修の資格試験は、研修の学びの理解度を確認するための試験です。
つまり、試験で出題される問題は、研修で学習した内容がほとんどになります。研修をしっかりと受講していれば、合格ラインに届くでしょう。
また、修了試験に合格できなかった場合、ほとんどの学校で再試験を受けることが可能です。それでも不安な人は、研修中に提出したレポートや課題の復習をおこなうとよいでしょう。
合格率は非公表ですが、多くの学校では合格率100%を達成しています。学校の指導のとおりに対策をすれば、合格の可能性は非常に高いです。
Q3.訪問介護の資格は通信で取れる?
A. 初任者研修の資格は、通信学習だけでは取得できません。
指定の講座を受講することが義務付けられているため、通学する必要があります。
通信と通学講座の併用は可能です。通学のみで学ぶよりも、スケジュールの調整がしやすくなります。
▼訪問介護の通信学習に関しては、以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーの資格は通信だけで取れる?介護職員初任者研修の取り方
Q4.訪問介護の資格は最短どれくらいで取れる?
A. 介護職員初任者研修は、最短では1ヶ月で取得が可能と言われています。
受講が義務付けられている130時間のカリキュラムを、通信と通学で併用するのが最近の主流です。 通学講座は3日から4日間に詰めて受講できます。
▼詳しくはこちらから。
>>介護ヘルパーになるには?最短ルートを解説【必要資格や業務内容も】
まとめ:まずは取得しやすい初任者研修から着手して、実務者研修そして介護福祉士を目指そう!
本記事では、訪問介護で必要な資格について解説しました。
訪問介護は、資格なしではできない仕事です。
所有している資格によって収入も異なるため、初任者研修を修了したら、上位の資格に挑戦することをおすすめします。
訪問介護の需要は今後も増えると予想されているので、いまのうちに資格を取得してみてはいかがでしょうか。