訪問介護で仏壇の花を世話するのはNG?ヘルパーがやってはいけないことを一覧で紹介
「訪問介護で仏壇の花を世話するように頼まれた。」
「仏壇の花を入れ替えるのはヘルパーの業務内容に含まれているか知りたい。」
このようなことを考えている人もいるのではないでしょうか。
訪問介護サービスではケアプランに記されたサービスをおこなうため、仏壇の花の世話をすることはグレーゾーンとされる場合があるのです。
今回「みーつけあ」では、仏壇の花の事例を参考に、訪問介護がやってはいけないことの一覧を紹介します。
利用者と話し合い、ケアプランに基づいた介護サービスをおこなうことで、適切に介護を進められトラブルへの発展を防げますので、ぜひ内容をご確認ください。
1.訪問介護ヘルパーが仏壇の花を世話してはいけない?グレーゾーンの事例を紹介
訪問介護ヘルパーが仏壇の花の世話をしてよいのかという疑問に対する明確な答えはなく、介護事業所に判断を委ねる必要があります。
仏壇の花を世話することはケアプランの対象に含まれるか判断が難しいポイントです。
ケアプランとは、介護に必要な事項をまとめた計画書のことを指します。仏壇の花の世話がケアプランの範囲内になるかはグレーゾーンであり、利用者と対話する必要があるでしょう。
仏壇の花を世話することについて、いくつか事例を紹介します。
ケース1.仏壇の花を購入して飾る
仏壇の花の購入が生活必需品であるかどうかは、人によって考え方が異なるものです。明らかに生活必需品でないものはケアプランの対象ではありませんが、仏壇の花は判断に困ってしまう場合があるでしょう。
訪問介護の現場で判断に迷うケースがある場合は、サービス提供責任者に確認することをおすすめします。
サービス提供責任者はヘルパーのフォローや技術指導をする役割であり、判断の相談に乗ってくれる存在です。
場合によっては、サービス提供責任者がサービス利用者に直接「ケアプランの対象ではない」と説明するケースもあります。
ケース2.仏壇の花に水をやる
仏壇の花に水をやることが、ケアプランの対象に含まれるかについてもサービス提供責任者に相談する必要があります。
仏壇の花に水をやったり枯れた花を片づけたり、仏壇の花を世話することが生活に必要であるかどうか判断に迷ってしまうというケースは多いです。
少しのことであれば、臨機応変に対応するのもいいかもしれません。
しかし、度が過ぎてしまう場合は、ほかの介護業務に支障が出る場合があります。判断に困ったことがあればサービス提供責任者に相談するとよいでしょう。
2.訪問介護でしてはいけないことがあるのはなぜ?
訪問介護における仏壇の花の取り扱いに関する事例を紹介しましたが、そもそもなぜ訪問介護でしてはいけないことがあるのでしょうか。
主な理由として、以下の3点が挙げられます。
- ケアプランに含まれていないから
- 介護保険の対象外だから
- ほかの業務に支障が出るから
訪問介護の業務範囲外である場合は、介護保険のサービス内容をサービス利用者に説明をして、理解してもらうことが重要です。
理由1.ケアプランに含まれていないから
理由の1つ目は、ケアプランに含まれていないからです。
一般的に、ケアプランの対象となるのはサービス利用者が生活に必要なことに限られます。
ケアプランに含まれていないサービスは契約に含まれていないため、訪問介護でするべきではありません。
理由2.介護保険の対象外だから
理由の2つ目は、介護保険の対象外だからです。
介護保険は日常生活を援助することが目的であり、介護される人の日常に必要ではないサービスは介護保険の対象に含まれていません。
そのため、介護保険の対象外である非日常的なサービスをすることは介護サービスに含まれておらず、サービスの必要がないのです。
理由3.ほかの業務に支障が出るから
理由の3つ目は、ほかの業務に支障が出るからです。
訪問介護の仕事は決められたケアプランに則っているため、ケアプランに含まれていないことをしていると作業時間に支障が出てしまいます。
介護事業を適切に運営して、すべてのサービス利用者に安心してサービスを行き届けられるように、ケアプランに則った介護サービスをおこなう必要があるのです。
3.訪問介護でヘルパーができないことを解説
仏壇の花の世話のように、訪問介護でヘルパーができないことはほかにどのようなものがあるでしょうか。
訪問介護ヘルパーができない主な事例として、以下の6つを紹介します。
- 仏壇掃除
- 買い物代行
- 生活に支障が出ない掃除
- 本人以外の部屋掃除
- お茶のみ目的の話し相手
- 医療行為に該当するサービス
これらの事例について、なぜできないのかを理解することが重要です。
ケアプランに含まれていない、介護保険の対象外であるなどの理由を理解して、サービス利用者が納得して介護サービスを受けられるように話し合いましょう。
このほかにも、個別に不明点がある場合はサービス提供責任者やケアマネージャーに相談してください。
できないこと1.仏壇掃除
仏壇の掃除は生活に必要なサービスと認められるか判断するのが難しく、グレーゾーンなサービスです。
できないこと2.買い物代行
買い物代行は生活必需品に限り、生活援助の一環としてサービスが認められています。
生活に必要でない買い物や、サービス利用者以外の家族に関する買い物はサービスの対象外であるため、注意しましょう。
具体的に買い物代行で買えないものとしては、サービス利用者の嗜好品である酒やたばこ、サービス利用者本人以外が使用する家族の日用品などがあります。
▼買い物代行に関しては、以下の記事が参考になります。
>>訪問介護の買い物代行で対応できる範囲に関するQ&A
>>訪問ヘルパーは酒タバコの買い物代行ができない?できる・できないサービスについて
できないこと3.生活に支障が出ない掃除
日常的な掃除、たとえば簡単な掃き掃除や拭き掃除などは生活援助の一環としてサービスの対象となります。
しかし、生活に支障が出ない掃除や大がかりな掃除などは介護サービスに含まれないため、注意してください。
たとえば、風呂の掃除をすることがあっても、風呂の換気扇掃除は介護サービスの範囲外と考えられます。
どこまで日常的な掃除として掃除をするか、他のサービスに支障が出ない範囲で判断をしましょう。
できないこと4.本人以外の部屋掃除
生活援助の一環である掃除は、サービス利用者本人の生活範囲に限られます。
家族の部屋や納戸などの本人以外の部屋を掃除することはサービスの対象外です。
▼関連記事は、こちらも参考になります。
>>訪問介護ヘルパーに頼めることって?できること・できないことを紹介
できないこと5.お茶のみ目的の話し相手
お茶のみが目的の話し相手や、介護訪問ヘルパーとの私用の話はサービスの対象外です。
話し相手となる場合は、あくまで介護が目的の場合に限られます。
できないこと6.医療行為に該当するサービス
医療行為に該当するサービスは介護サービスの対象外です。
たとえば、インスリン注射や血糖測定といった行為は医療行為に該当するため、訪問介護ではおこなえません。
介護訪問ヘルパーや介護福祉士は医療従事者ではないため、このような医療行為は認められていないのです。
▼訪問介護の医療行為に関しては、以下の記事が参考になります。
>>訪問介護の医療行為はできる?具体例で対応可否を確認
4.介護保険適用外のお願いはどうやって対応する?
訪問介護のサービス内容以外のことでも、利用者によっては、どうしてもやってほしいとお願いされるような場合もあるでしょう。その場合は、どのように対応すればよいのでしょうか。
介護保険適用外のお願いには、以下の対応方法があります。
- 介護保険以外の自費サービスの利用を提案する
- 家族や知人にお願いする
- ケアマネジャーや訪問介護事業所に相談する
困ったときには1人で判断せずに、周りの人や責任者などと話し合いながら仕事を進めることが重要です。
方法1.介護保険以外の自費サービスの利用を提案する
介護保険の範囲内でサービスができない場合、介護保険以外の自費サービスの利用を提案する方法があります。
主な自費サービスの例として、以下のサービスが挙げられます。
- 生活支援サービス
- NPOなどのサービス
- ボランティアサービス
なお、厚生労働省では生活援助は以下のように規定されています。
生活援助とは、身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助(そのために必要な一連の行為を含む)であり、利用者が単身、家族が障害・疾病などのため、本人や家族が家事をおこなうことが困難な場合に行われるものをいう。
介護保険の範囲内で受けられるサービスと自費サービスを併用して利用することで、よりサービス利用者の希望に沿うことが期待できるでしょう。
▼自費サービスについては、以下の記事が参考になります。
>>介護ヘルパーの料金が自費ならできるサービスで「足りない」を補おう
方法2.家族や知人にお願いする
介護サービスで実施できないサービスは、家族や知人にお願いするようサービス利用者へ話をしてみるのもよいでしょう。
訪問介護ヘルパーは、サービス利用者が日常的な生活を送るのを手助けする存在であり、非日常的な手助けなどは家族や知人に依頼することをおすすめします。
方法3.ケアマネジャーや訪問介護事業所に相談する
訪問介護ヘルパーだけでの判断に困ることがある場合や、サービス利用者の説得が難しい場合は、ケアマネジャーや訪問介護事業所に相談しましょう。
ケアプランの見直しがされたり、ケアマネジャーやサービス提供責任者などが直接説明をしてくれたりするケースもあります。
まとめ:訪問介護で仏壇の花を購入する前にケアプランを確認しよう
本記事では、訪問介護での仏壇の花を世話することについて解説しました。
訪問介護ヘルパーが仏壇の花を購入することはグレーゾーンになります。生活に必要でないサービスをしたり、ケアプランに含まれないサービスをしてしまうと、ほかの業務に支障が出る可能性があるため、注意しましょう。
仏壇の花のお世話に限らず、訪問介護ヘルパーがやってはいけないことは多いです。そのため、自分1人で判断に困るようなことがあれば、サービス利用者やケアマネージャーと相談して仕事を進めましょう。
サービス利用者と話し合いをすることでケアプランの内容をサービス利用者に理解してもらい、のちのトラブルを避けることが重要です。