訪問介護の勉強会のテーマは何にしたらいい?ヒントと具体例を紹介
「ヘルパーの勉強会に向けたテーマ決めに困っている。」
「毎月の勉強会の進行方法に不安がある。」
このようなお悩みをお持ちではありませんか。
勉強会はヘルパー事業所の管理職を任された場合、定期的におこなわなければいけません。頻度としては月に一度程度ですが、それでも毎月となるとテーマを考えるのも一苦労ですよね。
しかし、テーマ作りは、コツさえ掴んでしまえばそう難しいものではありません。ポイントを押さえれば有意義な勉強会にすることが可能です。
今回「みーつけあ」では、毎月の勉強会のテーマ作りに悩んでいる、どう作ればいいか困っている人にそのヒントと具体例を紹介します。
この記事を読めば、毎月の勉強会の前に憂鬱にならなくなりますよ。
1.訪問介護の勉強会で大切な心構え
訪問介護のヘルパーに勉強会を開く際には、ヘルパーの知識をつけるのではなく、利用者さんへのサービスの質を向上させるという心構えが大切です。
勉強会では、事故防止の気付きの共有や、苦情の対応などさまざまなテーマを取り扱います。
勉強会に参加するヘルパーは、知識を身につけることで業務の質が向上し、結果として利用者さんへ提供するサービスの質の向上につながるのです。
勉強会を長く続けていくと、本来の目的を見失い、勉強会を開催することが目的になってしまいがちです。本来の目的を見失わずに、利用者さんのことを考え、中身の濃いテーマ作りをすることが大切になります。
2.訪問介護のヘルパー向け勉強会のテーマ事例を紹介
ヘルパー勉強会の、テーマ決めは、進行を務めるうえで悩みの種ですよね。ここでは実際に訪問介護の勉強会で取り扱われたテーマ事例を紹介します。
具体的なテーマは以下のとおりです。
- 苦情の事例と対応方法
- シミュレーション別対応方法
- 訪問介護を続けるうえで必要な知識
それぞれについて詳しく内容を確認していきましょう。
勉強会テーマ1. 苦情の事例と対応方法
勉強会で取り扱うべきテーマ1つ目は苦情の事例と対応方法です。
苦情は利用者さんの生の声であり、対応方法を知ることができれば、利用者さんのサービス満足度の向上につながります。
また、苦情の対応方法については、共有することで、ほかの利用者さんとのトラブルを減らすことができるでしょう。
勉強会で苦情の事例を取り扱う場合は、事前にヘルパーにアンケートなどを取り、内容を精査しておくことをおすすめします。
勉強会テーマ2.シミュレーション別対応方法
シミュレーション別の対応方法では、さまざまな状況を想定し、参加者が実践をおこないます。
具体的なテーマは以下のとおりです。
- 食事介助のシミュレーション
- おむつ交換のシミュレーション
- 身体の使い方を考慮した移乗介助のシミュレーション
シミュレーション別対応方法をおこなうメリットは、ヘルパーが利用者さん側の体験をすることで、サービスの質を向上させられる点です。
利用者さんの立場を体験すると、どうされると心地よく、どうされると不快な気持ちになるのかが分かります。
また、実践を通じて、対応のよいヘルパーのやり方を参考にできるのも、シミュレーション別対応方法のよいところと言えるでしょう。
勉強会テーマ3.訪問介護を続けるうえで必要な知識
勉強会では、訪問介護をするうえで必要な知識を教えることも重要です。
ヘルパーが身に着ける知識は多岐に渡りますが、必要な知識の具体例は以下のようになります。
- 接遇マナー
- 介護の知識
- 炊事洗濯の技術
なかでも接遇マナーは咄嗟にでてしまう行動なので、教えられてすぐにできるようになるものではありません。
訪問介護は施設での介助と違い、利用者さん宅のお宅に訪問します。利用者さんの家ではご家族と接しなければいけない場合があります。
その際に接遇ができていないと、利用者さんのご家族から「態度が悪い」などと苦情が入り、最悪の場合、利用停止に至ることがあるからです。
そうならないために勉強会で繰り返し学び、訪問介護で必要とされる人との接し方を身に付けましょう。
3.訪問介護の管理職向け勉強会のテーマ事例を紹介
ここでは、管理職クラスのテーマ事例を紹介します。管理職クラスなので指示に関する内容や、業務改善の取り組みが内容の中心です。
- 社内規定や法令遵守
- マネジメント方法
- 労務管理のポイント
それぞれについて内容を確認していきましょう。
勉強会テーマ1.社内規定や法令遵守について
訪問介護の事業所を運営するにあたり、介護保険法などの法律や社内規定を理解しておくことは重要です。
法令に関する勉強会のテーマは以下のとおりです。
- 分かりにくい法令通知書を分かりやすく説明する技術
- 特定事業所加算の取得
- 事業所への指導・監査の説明
また、社内規定の設置に関する勉強会の具体的なテーマとしては以下の内容が挙げられます。
- 行動規範の設置
- 情報伝達の重要性
- セクシャルハラスメントの防止
管理者が法令や社内規定を理解していないと、ヘルパーの行動基準が曖昧になり、事業所内の統率が取れなくなります。円滑な事業所運営のためにも、勉強会でしっかり学びましょう。
勉強会テーマ2.ヘルパーのマネジメント方法
ヘルパーのマネジメントは、労働条件や労働環境の改善において重要な項目です。
勉強会でしっかり学び、事業所の発展を目指しましょう。
ヘルパーのマネジメントに関する勉強会で取り上げるテーマは以下のとおりです。
- 人材の確保
- 移動時間、残業時間の賃金不払い
- 登録ヘルパーの労務管理
- 労働時間、有給休暇などの労働基準に関する知識
これらを管理職が学ぶことで、ヘルパーが働きやすくなり、業務の改善が期待できます。
<h3勉強会テーマ3.管理職が知っておきたい労務管理のポイント
管理職の勉強会では、ハラスメントや勤怠管理といった労務管理のポイントをテーマとして取り扱うのもよいでしょう。
ハラスメントにはパワハラや、セクハラがあり、事業所内でこれらの問題が発生しないようにするのは、管理職にとって重要な業務です。
ハラスメント自体について議論するだけではなく、ハラスメントを受けたヘルパーが相談しやすい体制についても勉強会で考えましょう。
また、ヘルパーの勤怠管理も重要です。
勤務時間を正しく記録し、管理するのが管理職として重要な職務になります。タイムカードや専用のICカードの導入事例を学び、適切な勤務時間の管理について理解できるようにしましょう。
4.訪問介護の勉強会の進め方
ヘルパーの勉強会では参加者が積極的に発言して、活発なやり取りがあるのが理想です。
しかし、資料を見ることに一生懸命になり、うまくいかないことが多いです。せっかく勉強会を開くのですから、有意義なものにしたいですね。
ここでは、参加者に積極的に発言してもらえる勉強会のポイントについて解説します。
ステップ1.勉強会の事前準備をする
勉強会をおこなうにはまず、以下のものを準備します。
- 付箋
- 大きな模造紙
- 取り扱うテーマ(事例)
取り扱う事例のテーマは、普段の介護現場に沿ったものがよいでしょう。たとえば以下のような事例が挙げられます。
- 入浴介助の方法について
- オムツ交換の技術向上
- 時間内に調理を終える方法
テーマは主催者が事前に決めておくと、勉強会をスムーズに進行できます。
ステップ2.役割分担をし、スムーズに進行する
事例検討をスムーズに進行するために、役割の分担をします。
役割は以下の3つの役割があります。
- 司会
- 書記
- 発言者
1グループ、司会と書記を含め4~5人が適切です。
発言者が自由に発言し、書記が付箋にまとめ、司会が発表します。意見の内容は自由でよいですが、建設的な議論にするようにしましょう。
ステップ3.意見をまとめる
事例検討の最後は意見をまとめ、司会者が発表します。この一連の流れをヘルパーの視点、利用者さんの視点でおこないます。
勉強会では、1人の意見が新しい発想の起点になるので、意見を恥ずかしがらずに発表することが重要です。積極的に発言し、参加者が主体的に参加できる勉強会にしましょう。
▼勉強会のネタに関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護の勉強会ネタ7選|面白いテーマで有意義な研修
5.訪問介護の勉強会をするうえでの注意点
参加者が意見を発表する形の勉強会を開催した場合、注意しなければいけない点がいくつかあります。
ここでは訪問介護の勉強会における以下の注意点を、1つずつ説明します。
- 他の人の意見を否定しない
- 1人1意見(参加する意識を持つ)
- 時間を決める(3分くらいが適当)
ここで説明する注意点を勉強会でしっかり意識して、ぜひ実りのあるものにしてください。
注意点1.他の人の意見を否定しない
勉強会をおこなう際には、発言する人を否定してはいけません。
否定された人は意見を発表するのが怖くなってしまい、それ以降意見を言いにくくなります。意見を言わない人がいると、他の人も言いにくくなり、結果的に活発な勉強会にはならないでしょう。
他の人の意見に耳を傾け、自分の介護活動に活かす意識が大切です。
注意点 2.1人1意見(参加する意識を持つ)
注意点2つ目は全員が参加者の意識を持つことです。
1人くらい意見を言わなくてもいいと思う人がいると周りに考えが伝わります。反対に1人1意見の意識を持つことで、勉強会が活発になるでしょう。
1人1つは必ず意見を言うなどをルールとして決めておくのも有効です。積極的に意見を言い、勉強会に参加している意識を持ちましょう。
注意点3.時間を決める(3分くらいが適当)
勉強会は時間を決めて開催すると効果的です。
たとえば、意見を発表する時間は1サイクルを3分と決めると、時間内に意見を言う必要があり、集中しておこなえます。
また、勉強会全体の時間は、40分程度が適切です。業務の合間に勉強会を開催する場合は、40分以上になるとヘルパーの負担が大きくなる点は考慮しておきましょう。
もし時間外で開催するときは、20分くらいで一度休憩を挟むと参加者の負担をより減らせますよ。
まとめ:基本を理解して、訪問介護の勉強会を有意義なものにしよう
本記事では勉強会のテーマを決める際のポイントについて解説しました。
ヘルパー向けの勉強会のテーマは、苦情の事例に対する対応や、咄嗟にでてしまう接遇マナーなど、ヘルパー自身に関することを取り上げると効果的な勉強会になります。
また、管理者向けでは法令に関する知識、マネジメントに関する知識の補完を目的に開催するとよいでしょう。
参加することに対する意識の向上には事例検討の導入も有効です。過去の事例を元にして積極的に参加し、ヘルパーの技術向上を目指しましょう。
この記事をヒントにして、ぜひ実りある勉強会を開催してください。