訪問介護で郵便物の投函はしてもよい?ヘルパーがしてはいけないことを解説
「訪問介護の際に、郵便物の投函をお願いされて戸惑っている。」
「そもそも郵便物の投函はヘルパーの業務に含まれいていたかな。」
このような不安をお持ちではありませんか。
ヘルパーをしていると、利用者さんから郵便物の投函をお願いされることがあります。実はヘルパーの業務には明確なガイドラインがあり、郵便物の投函についても明記されています。
今回「みーつけあ」では、ヘルパーが郵便物の投函をしてもいいのかについて解説し、ヘルパーが業務でやってはいけないことについても解説します。
記事の内容を理解することで、ヘルパーの業務でトラブルになることを防げますよ。
1.訪問介護で郵便物の投函はやってもいい?
訪問介護では、利用者さんの郵便物の投函はできません。
ヘルパーの業務は、利用者さんの生活の援助を目的としています。郵便物の投函は生活するうえで支障をきたさないと判断されており、お願いを聞き入れることはできない点は理解しておきましょう。
また、利用者さんと一緒にポストに行くことは可能なため、どうしても郵便物の投函をしたいと申し出てきた場合は、一緒にポストまでいくことがおすすめです。
郵便物の投函など、基本的なヘルパーがしてはいけないことは、厚生労働省のホームページに概要が掲載されています。(参考:介護サービス関係Q&A|厚生労働省)
行動指針や事業所に確認せず、ヘルパー個人で判断して行動するのが一番やってはいけないことです。ケアプランに沿った業務を遂行しましょう。
2.訪問介護でヘルパーがやってもよいことを解説
ヘルパーができることは主に以下の3つです。
- トイレや食事などの身体介護
- 掃除や洗濯などの生活援助
- 体温測定や内服薬の内服介助
基本的にはケアマネージャーが作成したケアプランに沿えば問題ありません。しかし、ヘルパーがどこまでしていいのかを知っておくことはとても重要です。
ここからは、ヘルパーができることについて詳しく解説していきます。
1.トイレや食事などの身体介護
ヘルパーのやってもよいこと1つ目は、身体介護です。利用者さんの身体に直接触れる介助のなかで、ヘルパーのできる行動は以下の表のとおりとなっています。
介助の種類 | できること |
---|---|
トイレ(排泄)の介助 | ・移動、見守り ・失禁のお世話 ・おむつの交換 |
食事の介助 | ・見守り ・配膳と片付け ・流動食など専門知識が必要な調理 |
入浴 | ・入浴介助 ・全身を拭く(清拭) ・足浴などの部分浴 |
身だしなみに関すること | ・洗顔 ・整髪 ・歯磨き ・爪切り ・ひげ剃り ・着替え |
このようにヘルパーは食事や入浴など、生活に必要な動作の介助ができます。
2.掃除や洗濯などの生活援助
生活援助とは、利用者さんの日常生活の援助をおこなうサービスのことを指します。調理や掃除など、ヘルパーができる介助の範囲は以下のとおりです。
介助の種類 | できること |
---|---|
掃除 | ・居室 ・トイレ ・風呂 ・洗面所 ・ゴミ出し |
洗濯 | ・洗濯機の操作 ・手洗い ・収納 ・アイロンがけ |
ベッドメイク | ・布団干し ・シーツの交換 |
服の整理・補修 | ・服の整理整頓 ・ボタン付けやほつれなどの補修 |
調理 | ・一般的な調理 ・準備、片付け |
買い物 | ・日用品、食材の購入 ・支払い(近隣店舗に限る) ・家電の購入(近隣店舗に限る) ・薬の受け取り |
外出の支援 | ・通院 ・公共サービスの申請、届出、選挙納税の同行 ・生活に掛かるお金の引き出し(同行) |
その他 | ・免許の更新 ・住民票を取りに行く |
基本的にヘルパーができる介助は、利用者さんの生活に関することに限られます。同居の家族のための家事はヘルパー業務の範囲外です。
3.体温測定や内服薬の内服介助
ヘルパーは基本的に医療行為をすることができません。そのため、内服介助については、十分に理解したうえで、サービスを提供することが求められます。
ヘルパーができる医療関係の介助は以下のとおりです。
介助の種類 | できること |
---|---|
薬に関すること | ・1つの袋に入った(一包化された)薬の内服介助 ・湿布薬を貼る ・目薬を差す ・座薬の挿入 ・鼻の薬の噴霧 |
医療処置に関すること | ・軽い傷のガーゼ交換 ・人工肛門の処理 ・自己導尿のためのカテーテル準備の補助、姿勢の保持 ・市販のグリセリン浣腸 ・血糖値測定の声かけ、確認、測定器の準備 ・インスリン注射の声かけ、見守り |
測定に関すること | ・体温計での体温測定 ・自動で行う血圧測定 ・パルスオキシメーターの装着 |
ヘルパーを含む介護職は、専門的な知識を必要としない場合に限り医療行為に関する行為ができます。
なお、たんの吸引や経管栄養(胃ろう)は医療行為に含まれますが、介護福祉士および一定の検収を受けた介護職員が一定の条件に実施できる場合があります。
3.訪問介護でヘルパーのやってはいけないことを解説
ヘルパーはやってはいけないことが明確にされています。具体的には以下の行為です。
- 本人以外への介助
- 最低限の日常生活に必要ないこと
- 医療従事者しか許可されていない処置
ここからは、ヘルパーがしてはいけないことについて解説します。何ができないかを把握して、トラブルを未然に防ぎましょう。
やってはいけないこと1.本人以外への介助
訪問介護の業務では、利用者さん本人以外の支援はできません。とくに以下の行為を頼まれることが多いですが、利用者さんに関係なければ断る必要があります。
- 洗濯、収納、アイロンがけ
- 布団干し、シーツの交換
- 調理
つまり、「家族の食事を作って欲しい」、「家族の服を洗濯してほしい」と頼まれても、断らなければなりません。
また、同居家族の介助も禁止されています。利用者さんの家族に障害があり介助が必要な場合は、その人を担当するケアマネージャーが立てたプランを元にしなければなりません。
やってはいけないこと2.最低限の日常生活に必要ないこと
利用者さんが最低限の日常生活に必要ないこともヘルパーがおこなってはいけません。具体例としては以下のような行為が挙げられます。
- 病院の待ち時間の付き添い
- 車を運転しての送迎
- 利用していない部屋の掃除
- 草むしり、花壇の水やり
- 窓やベランダの掃除
最低限の日常生活に必要ないことについては、遠くにあるお店での買い物や趣向品の購入、家屋の修理なども含まれます。また、郵便物の投函も含まれるので、この点は理解しておく必要があるでしょう。
最低限の日常生活に必要ないことについては、判断基準が難しいことが予想されます。
不明点があれば、都度ケアマネージャーに質問するようにしましょう。
やってはいけないこと3.医療従事者しか許可されていない処置
ヘルパーは医療従事者しか許可されていない処置もおこなうことはできません。具体例は以下のとおりです。
- 異常のある爪のケア
- 耳垢が耳をふさいでいる状態の耳垢除去
- 重度の歯周病がある口腔ケア(歯磨き)
- 服薬管理
- 床ずれの処置
何が医療行為にあたるのかは、介護職において、判断が難しい要素の1つです。介護保険法では、「医療に関する専門的な判断を必要とする行為はできない」と定められています。
ヘルパーと利用者さんの双方で「これくらいならやってもいいだろう」ということでも、医療行為に含まれることがあるので注意が必要です。
判断に迷ったときは個人で判断せず、事業所やケアマネージャーに確認しましょう。
▼医療行為に関しては、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護の医療行為はできる?具体例で対応可否を確認
4.利用者から訪問介護でやってはいけないことを依頼された際の対応方法は?
利用者さんに「郵便物のの投函くらいあのヘルパーさんはやってくれた」と言われたり、先輩から「みんなやってるから」と言われたりして困ることは、とくに仕事に慣れていない新人の頃によくあることです。
やってはいけないことを依頼された際の対応方法は以下のとおりです。
- ケアマネジャーに確認をする
- はっきりと断る
それぞれについて内容を確認していきましょう。
対応方法1.ケアマネジャーに確認をする
利用者さんからの依頼に対し対応してもいいか判断ができないときは、その場で返答せずにいったん持ち帰り、ケアマネジャーに確認しましょう。
ケアマネジャーに確認する際には、ケアプランの確認をおこなうことになります。
ケアプランには、ケアマネジャーが利用者さんやご家族から聞き取った要望と介護保険上可能な業務を照らし合わせたプランが書かれているので、そちらに従うことが重要です。
対応方法2.はっきりと断る
利用者さんから「ついでにこれやって」と言われる場面は訪問先でよくあることです。そのようなときは「ケアプラン以外のことは責任が取れないので」とはっきりと断ってください。
「あの人はやってくれた」という言葉は本当の場合もありますが、お願いを聞いてもらうための嘘の場合もあります。
はっきりと断る際に重要となるのは、介護保険法の知識です。その場で介護保険法で禁止されていることを伝えれば、利用者さんに納得して頂ける可能性は高まるのではないでしょうか。
そのためにも介護保険法の基礎的な部分の理解をしておくことはトラブルを招かないことに繋がるのです。
まとめ:ガイドラインを理解してNOと言えるヘルパーになろう
本記事では、訪問介護で郵便物の投函について解説しました。
郵便物の投函は、生活するうえで支障をきたさないと判断されており、お願いを聞き入れることはできません。そのため、郵便物の投函を依頼されたときには、NOと言う必要があります。
また、郵便物の投函以外にもヘルパーがやってはいけないことは多く、やってはいけないことを理解することは重要です。やってはいけないことを理解していれば、利用者さんの要求にも柔軟に対応できるようになるようにもなりますよ。
▼更に詳しく知りたい人は、以下の記事をご参考ください。
>>訪問介護ヘルパーに頼めることって?できること・できないことを紹介
訪問介護でやってはいけないことを依頼された際の対応方法も含めて上手に対応できるようにしましょう。