介護老人保健施設
介護老人保健施設はどんなところ?
介護老人保健施設(以下 老健)は病院での治療を終えて退院したあとすぐに自宅へ戻ることが難しい方が病院から自宅への中間施設として利用できます。
リハビリの他、食事の補助、入浴や着替え、排泄などの生活・身体介護や、医師・看護師による医療ケアサービスを提供しています。
病院とは違う老健でのリハビリ
看護やリハビリテーションに重点をおいており、医師の管理・指導のもと、身体麻痺の回復や言語機能の訓練など、在宅への復帰を目的としたリハビリを行います。
老健でのリハビリは「維持期」と呼ばれ、病院と老健とでは目的が異なり、老健でのリハビリは病院と比べると回数が少なくなります。
具体的には、入所者1人に対して週2回以上のリハビリを行うことという規定があり、そのうち週1回は集団リハビリでもよいことになっています。通常1回のリハビリの時間は20~30分程度です。
在宅復帰のリハビリってどんなこと?
在宅復帰に向けたリハビリとは、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職であるスタッフが自宅を訪問し自宅環境を確認、それに合わせたリハビリテーションです。
また、自宅に帰った時の居宅ケアマネジャーと密に連絡し、住宅改修や福祉用具の準備などの在宅復帰が可能な環境を整えるためのアドバイスも行います。老健から退所する前には看護師やリハビリ専門職などの多職種による訪問指導が行われ、在宅生活に向けてサポートします。
入居条件は?
老健の入居対象は、原則として介護保険で要介護1以上の認定を受けた65歳以上の人です。また、入所期間が定められており、原則3ヶ月間とされています。ただし、自宅への生活がまだ難しいと判断された場合に期間が延長更新されることもありますが、長く入所していらる施設ではないため、入所中に在宅生活の準備を整えたり、在宅生活が難しい場合は施設を探しておく必要があります。
入居の申し込みの際は、以下の書類を提出する必要があります。
- 施設利用申込書
- 健康診断書
- 健康保険証
- 医師の紹介状
老人保健施設を利用するための費用は?
老健の費用は、介護サービス費、居住費と食費、生活費で分かれます。介護サービス費は介護保険対象のサービスの自己負担分で、施設のタイプ(居室・在宅復帰率の高さ)と介護度で変わります。
1カ月(30日分)の介護サービス費一覧
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
従来型個室(従来型) | 20,850円 | 22,200円 | 24,030円 | 25,590円 | 27,120円 |
従来型個室(在宅強化型) | 21,990円 | 24,120円 | 25,980円 | 27,660円 | 29,310円 |
多床室(従来型) | 23,040円 | 24,480円 | 26,310円 | 27,840円 | 29,430円 |
多床室(在宅強化型) | 24,360円 | 26,580円 | 28,440円 | 30,120円 | 31,770円 |
ユニット型個室(従来型) | 23,220円 | 24,570円 | 26,430円 | 28,020円 | 29,550円 |
ユニット型準個室(在宅強化型) | 24,480円 | 26,700円 | 28,560円 | 30,240円 | 31,890円 |
上記の他、家賃や水道光熱費にあたる居住費と食費、その他費用(電話や洗濯・娯楽費など)です。中でも居住費と食費については、利用者の負担が重くならないようにする「介護保険負担限度額認定」制度もあります。
老健まとめ
公的な介護保険施設のひとつ
在宅復帰が目的のため、入居期間は3~6ヶ月と限定的
食事、入浴、排せつなどの身体介護や生活援助を行う
医師、看護師、リハビリ専門職などの職員体制が充実している
在宅復帰が前提の介護老人保健施設は、入所するときに退所後の方向性や目標などを決めておかなければなりません。目標を持ってリハビリに専念できるため、要介護度が低く、自宅で生活したい人にとっては最適な施設ですが、病状が安定しない人には不向きといえるでしょう。
施設の方針や規定、料金などを把握した上で、入所を検討するようにしましょう。