前頭側頭型認知症 (ピック病)
前頭側頭型認知症
(ピック病)とは
前頭葉や側頭葉が委縮し、血流が低下していくことから症状の出る認知症です。
前頭葉と側頭葉は脳の約4割を占めているので、日常生活への影響は大きいです。
発症している方の多くが、40歳~64歳の方です。
比較的若い方に多い認知症です。
男女差は特にありません。
症状
- 感情が乱れます。
笑っていたと思ったら、泣き出したり、情緒不安定になります。
- 温和だった方が怒りっぽくなる等、人格が変わってしまいます。
- 反社会的な行為をする(社会のルールがわからなくなる)
万引き行為などしてはいけないことを平気でしてしまいます。
病気のせいであるため、本人は悪いと思っていないので、反省もしません。そのため、トラブルに発展してしまいます。
- 同じことを何度も言ったり、意味のないことを話します。
これらのような、人格変化、行動障害、言語障害が起こります。
人格が大きく変わってしまう病気ですので、
本人の負担ももちろんありますが、家族の負担や周囲の負担が大きくかかってしまいます。
原因
主に、前頭葉、側頭葉前方が委縮して見られる認知症です。
以前までは、前頭側頭型認知症は脳の神経細胞にPICK球があらわれていたため、
【前頭側頭型認知症 イコール ピック病】と呼ばれていました。
しかし、現時点ではPICK球がなくても、前頭葉、側頭葉前方が委縮していることが確認出来たため、ピック病は前頭側頭型認知症の中のひとつとされています。
そのほかの原因はいまだ解明されていません。
治療
まだ完治の治療方法が見つかっていません。
前頭側頭型認知症の直接的な薬はありませんが、
症状に対しての薬(興奮状態を抑える薬など)を飲んで、対処療法をするしかありません。
進行を遅らせることも防ぐ方法もいまだ見つかっていないのです。
さらに、この病気の厄介なところは、初期症状で、認知症だと判断することが難しいところです。
上記で見る限り、精神疾患と診断されてしまうことも十分あるので、しっかり診断し病気について理解していくことが大事になってきます。
介護保険の利用はできるか
もちろん利用できます。
要介護認定を受けてからの利用になります。
介護のサポートを受け、本人も介護者の負担を軽減していきます。
難病指定
認知症で唯一、難病に指定されています。
医療費の助成を受けることが可能です。
しかしすべての病院で助成を受けることはできません。
指定医でないと受けることができないので、必ず確認し診断してもらいましょう。
周囲の関わり方
- この病気について、理解すること。
前頭側頭型認知症の方が問題行動を起こすと、家族や周囲に負担がかかります。病気に関して理解できていないと、より負担に感じてしまうものです。問題行動は病気の症状であるということをしっかり理解することで、解決できる道は広がります。
- 見守ること
問題行動を起こしてしまっているときに、無理に止めても逆効果になります。周囲に迷惑のかからないことであれば、見守ることも大切です。
家に一人でいる時間が多い場合などは、デイサービスや施設を利用して、プロに任せるのも大事です。
- 対策を考える
もし、万引きや無銭飲食をするような、問題行動をしてしまう場合は、お店に事情を話し、先にお金を支払っておく、後払いにするなどの対応策を考えておくことで、家族も安心ですし、周辺のお店の方の理解も深まることができるでしょう。
- なじみの関係性をつくる
本人に負担のかからないように、なじみの関係性を構築していくことが大切です。相性のいいヘルパーさんや職員さんとともに過ごすことで、本人も安心して過ごすことができます。