介護離職
介護離職という言葉をご存じですか?
近年、家族や親族を介護するために仕事を辞める「介護離職」が社会問題となっています。
家族が要介護者になると、働く人にとって大きな悩みとなるのが「仕事と介護の両立」です。
介護離職の動向
厚生労働省の雇用動向調査によると、年間に離職した人は約713.2万人、そのうち個人的理由で離職した人は約517.4万人でした。
そして、個人的理由で離職した人のうち「介護・看護」を理由とする人は約9.0万人です。
男性は約2.3万人、女性は約6.7万人と女性のほうが多くなっています。
年代別に「介護離職」の割合をみると、男女ともに「55~59歳」で最も高くなっています。
管理職や熟練を要する職務に従事している40~50代が、仕事と介護の両立が困難となり、退職に至ることが増えています。
中堅従業員の離職は企業にとって損失が大きく、また、介護離職者が経済的に困窮して生活保護に頼らざるを得なくなるケースもあります。
団塊世代が70歳代に突入する2017年前後からは介護離職者の増大しているため、厚生労働省は労働者・事業主への介護休業制度の周知徹底や、仕事と介護を両立できる仕事と介護を両立できる職場モデルの普及活動を行っています。
介護離職によるリスク
介護する期間が長い
公益財団法人生命保険文化センターが行った平成30年度の調査で、どのくらいの期間、介護を行っているのか(行ったのか)を聞いた結果、平均54.5カ月(4年と7カ月)になったそうです。そして4割を超える方が4年以上、介護をしている(した)と答えています
介護の費用がかかる
同調査では介護費用にも触れており、公的介護保険サービスの自己負担費用を含んだ介護費用は、月額平均78,000円です。そのほかに、必要な住宅改修や福祉用具などにかかる、一時費用の合計平均が69万円必要です。
一度離職すると再就職が難しい
総務省の調査(今年6月公表)によれば、介護離職者のうち再就職できた人は43.8%で、半数以上が再就職できていません。また、明治安田生活福祉研究所らの調査(2014年発表)によれば、介護離職後に再び正社員になれた人は男性が3人に1人、女性が5人に1人で、年収は男性が556万円から341万円、女性が350万円から175万円と大幅に減っています。介護離職をすると経済的にはかなり苦しくなるのです。
介護が始まったら他人も頼る
介護を家族だけの問題にせず、社会全体で支えることを目的に介護保険制度は創られています。
親の介護の問題は、自分一人や家族だけでは解決出来ない事が多く、家族兄弟の関係が壊れてしまうことも少なくありません。
親の介護が始まった時には、会社にも報告し、公私ともに相談出来る窓口を複数もつことが大切です。