登録ヘルパーの就業規則について押さえておきたいこと
登録ヘルパーは働きたい時間を選んで自由に働けるため、介護業界の中でも特有な業務形態となっています。
事業所によっては登録ヘルパーを「委託」と勘違いしているケースもあり、就業規則がちゃんと整備されていないといった事態も見受けられるようです。
今回「みーつけあ」では、登録ヘルパーの就業規則について押さえておきたい点をご紹介していきます。
就業規則とは?
引用:https://www.photo-ac.com/
就業規則とは、その職場におけるマナーやルールについて(服務規律)と、働いた際に生じる給料や待遇を定めたルール(労働条件)をまとめた「職場のルール本」のようなものになります。
就業規則のない会社というのは、社長の頭の中だけにルールがあるようなもので『昨日決めたことが翌日には変わっている…』なんてことにもなりかねないということになります。
このルールやマナー、約束事を明確に定めることで、会社のリスクも減り、職場で働く人の仕事をしやすい環境を整えることが可能となります。
就業規則の義務や意味について
就業規則は、労働基準法によって常時使用する労働者が10人以上である場合、作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています。
常時10人以上の労働者(※)を使用している事業場では、就業規則を作成 し、過半数組合または労働者の過半数代表者からの意見書を添付し、所轄労 働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法第89条、90条)。
また、就業規則を変更した場合においても同様です。
※ 時としては10人未満になることはあっても、常態として10人以上の労働者を使用している場合も当 てはまります。なお、労働者の中には、パートタイム労働者やアルバイトなども含まれます。
就業規則を作成、活用することは以下のような価値や意味を見出すことになります。
- 会社の公式ルールが明示され、従業員と労務トラブルが起こっても会社を守ることができる。
- 就業規則によって職場環境を整備することで、従業員のルールも明確になり規律が保てる。
- 就業規則の懲戒規定を整備することで、従業員が問題を起こした際にも適切な懲戒処分を実施できる。
- 従業員にも適切な労務管理をしている会社であるとアピールすることができる。
- 就業規則の作成過程で会社の課題が見えて、人事の課題が明確になる。
登録ヘルパーの就業規則について
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登録ヘルパーは業務上、事業所に通わず直接利用者宅に向かい、そのまま帰れる「直行直帰」の自由な働き方が多く、中には「委任/準委任契約」のような業務委託契約と勘違いされるケースもあるようです。
もちろん「委任/準委任契約」であれば労働者としてはカウントされず、就業規則としても定める対象にはなりません。
登録ヘルパーは労働者としてカウントされる
実際には厚生労働省によっても登録ヘルパーは労働者であると定められています。
したがって、小規模の訪問介護事業所を経営していて、正規社員が10人に満たない場合でも、登録ヘルパーも含め10人以上の事業所ということになるのであれば、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務付けられます。
登録ヘルパーの就業規則について押さえておきたいこと
引用:https://www.photo-ac.com/
非常勤である登録ヘルパーは定年制や解雇といった概念が当てはまりにくく、労働法令が全面的に適用されるわけでもありません。
最後に登録ヘルパーの就業規則について押さえておきたい点について、いくつか紹介していきます。
登録ヘルパー専用の就業規則の作成が望ましい
登録ヘルパーは特殊な雇用形態のため、正規社員とは別に登録ヘルパー専用の就業規則を作成するのがおすすめとされています。
また、就業規則は雇用者が従業員に周知させなければならない周知義務もあります。
事業所に訪れる機会の少ない登録ヘルパーへの対応として、書面交付等によって就業規則を認知してもらうという方法もいいでしょう。
勤務時間について
登録ヘルパーの場合、出勤時間の定まっていないスポット的に働く労働形態のため、常勤ヘルパーとは異なる労務管理を定める必要があります。
勤務予定表を作成したり、直行直帰の取り扱いに関して明記することにより、登録ヘルパーの定着率向上にも繋がります。
定年について
登録ヘルパーは有期雇用契約にあたるため、定年退職という概念が存在しません。
そのため、各事業所で登録ヘルパーの勤務最高年齢などを定め、その年齢に達した年度の特定指定日を雇用契約の終了日に定めるという方法もあります。
休日について
登録ヘルパーは個々で、働きたい時間を決めて働けるため、1日に1時間だけしか働かないというシフトも可能です。
そのため、勤務日と休日の区別がハッキリせず、休日という概念を定めることが難しい業務形態とも捉えられます。
就業規則として休日を記述する場合には「月間の勤務表で勤務日と定められた日以外は休日とする。」といった方法で明記する方法などが挙げられます。
有給について
登録ヘルパーは固定された勤務日もなく、各人に合わせて勤務日を設定したり変更できる雇用形態のため、休暇の概念もないように思われます。
しかし、実際には長期にわたる継続勤務が常態としてあることを考え、年次有給休暇の制度を設けて継続勤務に報いることも必要になってくるでしょう。
有給の支給額は事業所の就業規則によって異なる
有給取得時の給与は実際に働いた時と同様の賃金が支払われる場合と、平均賃金の60%を支給するというケースもあります。
登録ヘルパーの場合は、パートや派遣で定められる「平均賃金の60%を支給する」というパターンが多いようです。
気になる場合には、自身が所属する事業所の就業規則を確認してみましょう。
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com/
今回「みーつけあ」では登録ヘルパーの就業規則について押さえておきたいことについてご紹介してきました。
登録ヘルパーの就業規則については、就業規則をしっかり定めることで、より安定した信用ある業務方針を固めることもできます。
登録ヘルパーの定着率向上も視野に入れて、より働きやすい環境作りに役立ててみてください。