【登録ヘルパー】雇用契約書の書き方や注意点について紹介
雇用契約書は法律上作成する義務はありませんが、労働者と使用人のトラブルを減らす手段の一つとして有効です。
登録ヘルパーの仕事は、直行直帰という自宅からサービス利用者宅へ直接仕事に向かえる特殊な働き方となっています。
そのため、事業所側で労働時間や移動時間を正確に把握することが難しく、視認できないようなトラブルが起きる可能性もあるでしょう。
万が一、裁判等になった場合にも、雇用契約書は重要な証拠書類となります。
今回「みーつけあ」では、雇用契約書の書き方や注意点について紹介していきます。
雇用契約書について
引用:https://www.photo-ac.com
雇用契約書とは、事業所と労働者の双方で取り交わす書類のことをいいます。
労働者が従業員として働くことを事業所に約束すると同時に、事業所が労働に対する賃金を支払うことを約束する契約ということになりますね。
事業所が雇用条件を提示し、労働者に「確認・同意」してもらった内容を書類として残すことで、雇用後のトラブル防止や規則の再確認に繋がります。
雇用契約書と労働条件通知書の違いについて
雇用契約書と似た部類の書類として、労働条件通知書というものがあります。
その違いは、雇用契約書が双方の同意の上で成立する契約書に対し、労働条件通知書は事業所が労働者に一方的な通知をする書類になります。
労働基準法においては、労働者に対して一定の労働条件を明示した書面を交付することが求められているため、雇用した際には必ず必要な書類となります。
雇用契約書はなぜ必要?
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労働条件通知書はあくまで労働条件を労働者に通知するための書類であり、双方の同意によって成立した書類ではありません。
トラブルの際に「私は同意した覚えがありません」と言われてしまえば、労働通知書では不十分ということになります。
雇用契約書はトラブル防止が目的
雇用契約書は従業員に安心して働いてもらうための契約書でもありますが、最もその効果を発揮するのはトラブルの際の証明書類としての役割です。
正社員、パートやアルバイト、登録ヘルパーであっても、労働条件をしっかり明示した上で雇用をしないと、「話していた内容が違う!」というような労働トラブルに発展した際に対応しきれない可能性が出てきます。
また、従業員が10人未満の事業所は「就業規則」の作成義務が発生しませんが、雇用契約書や労働条件通知書はその代わりとしても利用できるため、トラブルに備えて準備をしておくことが重要となってきます。
▼登録ヘルパーの就業規則に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーの就業規則について押さえておきたいこと
登録ヘルパーの雇用契約書の書き方について
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雇用契約書は具体的に定められた書き方があるわけではありませんが、必ず明示しなければならない事項があります。
書面への交付が必要な事項のことを「絶対的明示事項」と言い、口頭による明示でも問題のない事項は「相対的明示事項」と言います。
それぞれについて詳しく紹介していきます。
必ず明示しなければいけない「絶対的明示事項」について
必ず明示しなければならない「絶対的明示事項」に関しては以下の内容があります。
- 労働契約期間について
- 就業場所について
- 始業時間と終業時間
- 従事する業務の内容について
- 交代制のルールについて
- 所定労働時間を越える労働が有るのか無いのか?
- 休憩時間、休日、休暇について
- 賃金の決定、計算、支払方法、締切日、支払日について
- 昇給に関する事項について
- 退職に関する規定について
また、パートタイムの労働者は以下の事項についても明示する必要があります。
- 昇給は有るのか無いのか?
- 退職手当は有るのか無いのか?
- 賞与は有るのか無いのか?
- 相談窓口の担当者の部署、役職、氏名の記載
口頭でも大丈夫な「相対的明示事項」について
基本的には口頭の明示でも問題のない「相対的明示事項」ですが、該当する場合には交付する必要があります。
事項内容は以下となっています。
- 賞与や各種手当について
- 退職手当が適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払方法、支払日について
- 労働者の費用負担が発生するもの(食費や作業用の備品など)
- 安全衛生に関連すること
- 職業訓練に関連すること
- 災害補償や業務外の傷病扶助について
- 表彰及び制裁について
- 休職に関する事項
雇用契約書兼労働条件通知書のサンプルについて
参考までに、厚生労働省が公開しているサンプルを載せておきます。
定められた書き方があるわけではありませんが、項目が多くなるため表や箇条書きで各項目が確認しやすいように作成すると良いでしょう。
相対的明示事項は該当項目の有無を記載し、「有」となるものに関してはその内容を追記します。
下部には、日付、双方の署名または記名捺印をする欄も設けておくようにしましょう。
【登録ヘルパー】雇用契約書の書き方のポイント
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昇給や退職手当に関する相対的明示事項は載せたほうがいい
昇給や退職手当に関しては、気にする従業員が多い項目となるため、相対的明示事項ではありますが載せるのが一般的とされているようです。
契約社員、パートやアルバイト等に対しての賞与、退職金などは支給しないことが多いので、雇用契約書に「支給しない」と明記するようにすることでトラブル回避に繋がります。
賠償義務や機密事項を記載して不利益を減らす
就業中の損害には賠償義務の条項を定めることで、事業所の不利益や従業員とのトラブルを減らすことができます。
また、機密事項を記載して漏らさないようにすることで、事業所の信用を深めることにも繋がるため、しっかり押さえておくようにしましょう。
登録ヘルパーの雇用契約書の注意点について
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雇用契約書を交付したものの、それだけでは不十分なトラブルが起きる可能性も考えられます。
実際に起きやすいトラブルとしては以下のような事例が挙げられます。
- 試用期間の賃金や制度が記載されておらず、実際の給料が異なってしまった。
- 残業に関する明記がなく、実際に支払われることもなかった。
- 解雇の条件が記載されおらず、従業員を解雇する事ができない
- 通勤手当に関する内容が明記されておらず、曖昧にされてしまっている
賃金に関する記載漏れはとくに事業所と従業員のトラブルに繋がりやすいため、できる限り細かく定めておく必要があります。
登録ヘルパーの残業について
出退勤の確認が難しい登録ヘルパーの残業に関しては、事業所の把握が非常に難しく、雇用契約書以外に業務システムを見直す必要性も出てきます。
近年では労働時間を適切に管理するためにスマートフォンを利用した勤怠管理システムを導入する事業所も出てきています。
業務形態を気にされる方は、求人募集の内容にも気を付ける必要があるでしょう。
▼登録ヘルパーの働き方改革に関する記事はこちら
>>働き方改革によって登録ヘルパーは働きやすくなったのか?残業や有給についても紹介します
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com
今回「みーつけあ」では登録ヘルパーの雇用契約書の書き方や注意点について紹介してきました。
登録ヘルパーの場合、直行直帰という特殊な働き方により、正社員や常勤ヘルパーとは異なる雇用契約書を作成する必要があります。
給料や移動手当など、賃金に関する記載漏れを防ぐ事で、事業所と従業員のトラブルを出来る限り減らすよう心がけておきましょう。
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