登録ヘルパーの新型コロナウイルスによる影響は深刻…今後の動きや対策について
新型コロナウイルスの影響によって、介護業界では深刻な人手不足や、介護崩壊による倒産の危機に直面しています。
登録ヘルパーも、思うように機能していない現場環境の影響で仕事が減り、離職に発展するという悪循環に悩まされているようです。
そこで今回「みーつけあ」では、登録ヘルパーの新型コロナウイルスによる具体的な影響や、今後の動きと対策について紹介します。
登録ヘルパーの新型コロナウイルスによる影響について
新型コロナウイルスによって登録ヘルパーに与えた影響は以下の3点が挙げられます。
- 登録ヘルパーの離職
- 介護事業所の倒産危機
- 登録ヘルパーの感染予防が困難
それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
登録ヘルパーの離職
新型コロナウイルスの蔓延が原因で、サービス利用者自身が人との接触を拒むようになり、サービスのキャンセルが増えて待機を余儀なくされる登録ヘルパーが増えました。
中には事業所内で新型コロナウイルス濃厚接触者が出てしまい、全ヘルパーが2週間の自宅待機となってしまったというケースもあるようです。
思うように仕事が出来ない現状が続いてしまうと、現役の登録ヘルパーが減ってしまい、サービスを円滑に提供できず「介護崩壊」に陥る可能性も大きくなるでしょう。
介護事業所の倒産危機
介護崩壊に陥ることで、収益性の悪化、派遣や人件費率の悪化が進み、厳しい現状にある介護業界においては、小規模な事業所から倒産をしていく可能性があります。
また、事業継続計画(BCP)を準備している事業者がまだまだ少なく、一度でも感染が地域で確認されると、同じ地域内の企業の事業継続が連鎖的に難しくなることも考えられます。
登録ヘルパーの感染予防が困難
サービス利用者に直接触れる必要がある登録ヘルパーの仕事は、新型コロナウイルスの感染リスクが高い『3密(密閉空間、密集する場所、密接した会話)』の状況を避けるのが非常に難しい仕事です。
濃厚接触の避けられない介護の仕事は感染リスクも高く、ストレスを抱える登録ヘルパーが多くなっています。
このような現状に耐えかねた登録ヘルパーの離職により、残された従業員の負担が増えて疲弊が進み、さらなる離職に繋がることも想定されています。
登録ヘルパーの新型コロナウイルス対策や今後の動きについて
厚生労働省が2020年4月に行った調査によると、全国で850余りの通所や短期入所系サービスが休業を余儀なくされました。
こうしたサービスを利用できない高齢者の介護を継続するためにも、ますます需要が高まっているのが訪問介護職である登録ヘルパーです。
しかし、実際には新型コロナウイルスについて情報が不十分なまま、サービスの提供を継続せざるを得ない現場では「適切な対応や判断が難しい…」といった切実な声が上がっています。
厚労省が登録ヘルパーのために新型コロナウイルス対策の動画を公開
そこで、特定非営利活動法人の訪問系サービスにかかわる事業所では2020年4月10日に、国に対して「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス対策の要望書」を提出しています。
- 要望1:訪問系サービス事業所へのきめ細かい感染予防、感染対策の周知徹底を求めます
- 要望2:訪問系サービス事業所と介護労働者が新型コロナウイルス蔓延時に、できるだけ安心して働き、休める環境整備を求めます
- 要望3:ホームヘルパーの緊急増員を求めます
参考:特定非営利活動法人 暮らしネット・えん「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス対策の要望書」
これに伴い厚生労働省は、登録ヘルパーが介護の際に新型コロナウイルスの感染リスクを下げるために気をつけるべきことについてまとめた動画をYoutubeに公開しました。
出典:厚生労働省/MHLWchannel「訪問介護職員のためのそうだったのか!感染対策!」
介護職員へ最大20万円の「慰労金」を給付
政府は2020年5月27日の閣議にて「第二次補正予算案」を決定し、介護職員に新たな給付金を支払うことを明言し、2020年6月12日に賛成多数で閣議決定しました。
給付金は「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」を大幅に拡充して、感染による重症化リスクが高い高齢者に接触をしている医療・介護・障がい福祉の分野で働く方への「慰労金」として支給されます。
支給対象者に関しては下記画像をご参照ください。
福岡市では介護職に特別給付金の支給も…
国からの施策を待たずに、自治体として介護現場に支援を行う動きも見られています。
福岡市では,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言が出される中,感染リスクの最前線で休むことなく献身的に高齢者や障がい者を介護していただいている市内の施設等の従事職員の皆様に感謝し,その労に報いるとともに,安心して介護に従事していただけるよう支援することを目的とし,従事職員の皆様に対し,特別給付金を支給することといたしました。
給付の対象は施設単位となっているため、実際に現場で働いている従業員にどの程度給付金が与えられるかは事業所の判断に委ねられていますが、いち早く地域単位で行われた取り組みには注目が集まりました。
▼新型コロナウイルスによる休業補償に関しては、以下の記事が参考になります。
>>【登録ヘルパー】コロナによる休業補償はどうなるのか?事業所の対応についても紹介
まとめ
今回「みーつけあ」では登録ヘルパーの新型コロナウイルスによる具体的な影響や、今後の動きと対策について紹介してきました。
近年では「介護ロボット」の開発や導入支援する厚生労働省の窓口も設置され、コロナの影響によって介護業界への取り組みは少しずつ見直されつつあります。
従来から問題視されていた人手不足も含め、介護業界の立て直しが現実的となるのか、今後の動きにも注目が集まりそうです。