登録ヘルパーが自家用車を使用する際に注意したい事や就業規則について
登録ヘルパーは自宅からサービス利用者宅へ向かったり、そこから別のサービス利用者宅にも向かったりと、仕事をこなす上で「移動」が欠かせない職種です。
都内であれば交通網が発達しているので車移動の必要性も少ないですが、地方ではどうしても車を利用しなければならない環境があるかもしれません。
今回「みーつけあ」では、登録ヘルパーが自家用車を使用する際に注意したい事や、就業規則について紹介していきます。
登録ヘルパーが自家用車を使用する際に注意するべき事
引用:https://www.photo-ac.com
車移動は時間に余裕を持たせたり、雨風などの天候にも左右されにくい移動手段として非常に有効活用できます。
とはいえ、事業所によっては社用車の台数も限られているため、全てのヘルパーさんが利用できるわけではありません。
結局、自家用車を使わざるを得ないという登録ヘルパーの方も多いのではないでしょうか。
ここからは登録ヘルパーが自家用車を使用する際に注意するべき事について紹介します。
自家用車による事故は自己責任がほとんど…
直行直帰の登録ヘルパーの方が、勤務後の帰り道に交通事故を起こしてしまったケースとして以下のような話があります。
「うちの雇用契約では交通事故については、本人の車両保険等で対応してもらうことになっている。怪我をしていれば事業所で加入している民間の傷害保険(雇用保険には加入していません)で対応する。」と言われました。
事業所からも「事故などの補償については、本人の保険で対応して下さい」と説明がされていた上、事故が帰宅中に起こってしまったという点からも、上記リンクのケースでは完全に自己責任という形となっています。
この内容に対して記事内コメント欄では、「当人に一切の非がない場合には最大限のバックアップを行います」と返答している事業所管理者の方がいました。
交通事故による対応は事業所によって大きく異なるため、各個人でも事業所からの説明や就業規則の確認が重要となってきます。
また、自家用車での移動を考えている方は「自賠責保険・任意保険」の加入は必須と言えるでしょう。
▼労災に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーでも押さえておきたい労災保険の基礎知識について
ガソリン代は時給換算されるケースが多い
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各事業所によりガソリン代の支給方法や金額は異なりますが、ほとんどの場合が移動費として時給に換算されています。
事業所としては「ガソリン代を別途支給するより給与計算が楽になる」という理由が考えられるようです。
地域にもよりますが、時給が約¥1,500などといった事業所の場合は、時給に換算されているケースが多くなっているようです。
そのため、基本的に移動距離が長くなるほど、登録ヘルパーの時給は安くなってしまうため、勤務地選びには注意が必要になります。
▼さらに詳しい移動に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーの自家用車による移動で気をつけるべき点について
>>登録ヘルパーの移動時間問題!労働と認められる条件を徹底解説
通勤手当ても期待できない…
通勤手当の支給は義務化されていないため、上限額を低く設定している事業所も多く、事業所によっては支給そのものがされない場合もあります。
一例として、以下のように交通費を支給している事業所があります。
弊社の場合、1キロメートル当たりいくらとして交通費を支給しています。
原則としては「移動時間も拘束時間」であり「移動時間も自給の範疇」という考え方です。
このように、移動時間が労働時間として算出されにくい登録ヘルパーに対しても交通費を支給してくれる事業所もあり、対応は事業所によって大きく異なっています。
▼交通費に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーの交通費はどれくらいもらえる?通勤手当との違いについて
登録ヘルパーの自家用車利用に対する就業規則について
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登録ヘルパーの自家用車利用におけるトラブルを少しでも緩和させるためには、事業所側でも以下のような対策が必要となります。
- マイカー業務上利用規定を完備する
- 任意保険への加入を義務付ける
- 交通安全教育を徹底する
- 就業規則の雑則として周知させる
マイカー業務上利用規定を完備する
自家用車で業務の移動中に事故を起こした場合、基本的には従業員の任意保険で対応してもらうことになります。
そのためにも「マイカー業務上利用規定」を整備した上で、従業員に周知させる事が重要となります。
規定の一例として以下のような項目があります。
- 運転免許証の携帯及び自動車検査証、自動車損害賠償責任保険証の備え付けを確認すること。
- 安全運転に徹すること。
- 緊急時を除き、運転者以外の者にマイカーの運転を委ねないこと
- 運転前及び運転中に医薬品等の服用をしないこと。
他にも自家用車を業務で使用した際に事故が起きた場合の事故対応や、事業所への連絡方法、任意保険で対応方法などの明記などもあります。
登録ヘルパーの仕事は移動が多くなりやすいため、従業員の数だけ事故の可能性も高くなります。
従業員にとって多少厳しい条件になったとしても、マイカー業務上利用規定をしっかり整備して、従業員にも周知させることで職務に対する理解度を深めることができます。
任意保険への加入を義務付ける
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自家用車を業務に使用して事故にあった場合、従業員の保険が適用されることが多いので、マイカーを使用する従業員に対して任意保険への加入を確認し、義務づけておくことも重要となります。
稀ではありますが、任意保険に入らず自賠責保険だけに加入をしているケースもあり、これは非常に危険です。
自賠責保険は被害者の怪我に対する補償のみで、物や運転者自身の補償などがありません。
万が一、事故を起こしてしまった場合に備え、任意保険の加入は必須とも言えます。
事業所としても補償が不十分では無いか確認をし、不足しているなら契約内容の変更をするよう従業員に依頼するようにしましょう。
交通安全教育を徹底する
業務において自家用車の使用を認めている事業所は、必ず従業員への交通安全教育を行うようにしましょう。
また、警視庁でも交通安全教育の実施を義務付けていて、これが適切に実施されるよう指導を行なっているようです。
国家公安委員会は、地方公共団体、民間団体等が効果的かつ適切に交通安全教育を行うことができるようにするとともに、都道府県公安委員会が行う交通安全教育の基準とするため、交通安全教育指針を作成し、公表している。
この指針には、交通安全教育を行う者の基本的な心構えのほか、教育を受ける者の年齢、心身の発達段階、通行の態様に応じた体系的な交通安全教育の内容及び方法が示されている。警察では、関係機関・団体と協力しつつ、この指針を基準として、幼児から高齢者に至るまでの各年齢層を対象に、交通社会の一員としての責任を自覚させるような交通安全教育を実施している。
積極的に取り入れていくことで、事故そのものを減らすキッカケにもなるでしょう。
就業規則の雑則としても周知させる
就業規則として「雑則」を定めることで、より従業員への業務に対する理解度を高めることができます。
一例として、自家用車の使用申請や使用条件を以下のような就業規則として挙げてみました。
- 自家用車を通勤に使用しようとする場合、自動車検査証コピー・運転免許証コピー・各自動車保険証コピーを添えて会社に提出し、その承認を得なければならない。
- 提出書類の内容に変更がある場合には、会社に届けなければならない。
- 自家用車の通勤使用を許可する場合は、提示条件に該当するものでなければならない。
※『自動車運転経歴が1年以上経過している、重大な事故および違反をしていない』など…
先ほど紹介した任意保険の義務付けを就業規則でも定めることで、交通事故に関する従業員や事業所の揉め事を減らし、事業所の印象アップにも繋げることができます。
まとめ
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今回「みーつけあ」は登録ヘルパーが自家用車を使用する際に注意したい事や就業規則について紹介してきました。
車を運転している以上、絶対に事故を起こさないという補償は誰にも出来ません。
事業所側がしっかりと就業規則やマイカー業務上利用規定を定めることが大事です。
そして、登録ヘルパーも一個人として、保険の見直しや交通安全に気を付けることを忘れないようにしましょう。