登録ヘルパーの求人がこない…原因や世間的なイメージについて
高齢化社会が進み続ける日本では、介護業界の仕事の需要は常に高まっています。
サービス利用者宅に直接向かって仕事ができる「登録ヘルパー」も、介護業界にとってなくてはならない仕事の一つです。
ところが、登録ヘルパーを募集する事業所からは「求人こない…」という悲痛な声も多くなっているようです。
今回「みーつけあ」では、登録ヘルパーの求人がこないと言われる原因を、世間的なイメージも踏まえて紹介していきます。
登録ヘルパーの求人がこない原因について
引用:https://www.photo-ac.com
登録ヘルパーは需要のある仕事ではあるのに、なぜ「求人がこない…」という声が多く、働き手が不足しているのでしょうか。
その代表的な原因は大きく3つ挙げられています。
- 賃金が低い
- 仕事がきつい
- 社会的評価が低い
求人がこない最大の理由は賃金の低さ
登録ヘルパーの求人がこない最大の理由は賃金(介護報酬)の低さです。
介護報酬は、事業所の業務体制やサービス利用者の状況に応じて、厚生労働大臣の定める基準で算定されています。
登録ヘルパーの介護報酬は、2015年に行われた改定によって基本報酬が4%減らされました。
さらに、2018年度に行われた改定では、生活援助サービスのほとんどが減算されています。
介護報酬の減算化によって登録ヘルパーの賃金が減り、仕事に就きたいと思う人の数も減少してしまっているのが現状です。
▼登録ヘルパーの収入に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーの給料相場はいくら?他業種とも比較してみました
>>登録ヘルパーの収入はどれくらい?収入アップの方法も紹介します
仕事がきつい
引用:https://www.photo-ac.com
賃金の低下に伴い「仕事内容が割りに合わない」と不満を漏らす登録ヘルパーが増えたことも、求人がこない原因の一つとなっています。
一件ずつ、移動するのがすごく大変。時間、労力、精神力、バイクとガソリンを使い、片道約10~15分。移動交通費は100円ほど。出ない所もある。入所・入院で定期訪問数が減り、時間が余るので勿体ない。一日に入れる件数が少ないので、拘束時間の割には給料は少ない。責任の重さと給料が全然合わない。現場の声が、上に届かずイライラする事が多い。
登録ヘルパーの仕事は決して楽なものではありません。
とくにサービス利用者の体に直接触れる必要がある「身体介護」は、利用者の命にも関わる仕事内容となっていて、責任も重くなっています。
ヘルパー自身の体にも負担がある上、サービス利用者によってはパワハラや暴言といった形で精神的にも追い詰められることもあるようです。
責任の重さに見合った賃金が期待できない限り、今後も求人が増える見込みは薄いのかもしれません。
▼【関連の人気記事】
>>登録ヘルパーを辞めたい理由まとめ|辞める前に考えるべきこと
社会的評価が低い
介護職は「誰でもできる、給料が安い、3K(臭い、汚い、きつい)」といったデメリットばかりを挙げられることから、世間の評価を気にする方も少なくありません。
そんな介護職の中でも登録ヘルパーは、パートや常勤と異なり「働きたい時に働ける時間に縛られない特殊な仕事」となっています。
そのため「労働者なの?それとも業務委託や請負なの?」という疑問の声も多く、医師や看護師に比べたら底辺のような扱いをされるといったケースもあるようです。
このような状態が続くとますます従業員が減ってしまうため、厚生労働省は介護職の専門性を図る指標として「介護福祉士」や「社会福祉士」などの国家資格制度を設けて、資格者を多く雇用している事業所には加算をするような制度を組み立てています。
資格を取得することで、サービス利用者に安心感を持ってもらえたり、事業所の評価や給料を上げることにも繋がります。
仕事にやりがいは感じているものの、現状に満足がいかない方は積極的に上位資格を取得するための勉強をして、プロとしての道を考えてみるのも良いかもしれません。
「求人こない」と言われる登録ヘルパーの仕事とは?
引用:https://www.photo-ac.com
登録ヘルパーの求人がこない原因や世間的なイメージについて紹介しましたが、そもそも登録ヘルパーってどんな仕事なのか?について気になる方もいるでしょう。
ここからは登録ヘルパーの仕事についても紹介していいます。
登録ヘルパーについて
登録ヘルパーは希望する時間帯や曜日を自分の都合に合わせて指定することができ、働きたいときにだけ働ける「時間の自由度が高いホームヘルパー」となっています。
登録ヘルパーとして働くことに実務経験は問われませんが「介護職員初任者研修」を修了している必要があります。
また、厚生労働省は2020年4月に、訪問介護サービスが新型コロナウイルスの影響によって人材を確保できない場合には、ホームヘルパーの資格(介護職員初任者研修修了)を持っていなくてもサービスを提供できる規定を明らかにしています。
※サービスを行えるのは介護経験者であることが条件となります。
登録ヘルパーの大まかな仕事内容として「生活援助サービス・身体介護サービス」の2種類があります。
生活援助サービス
サービス利用者の方が、日常生活を送る上で必要な家事の一部を援助することを「生活援助」といいます。
主な生活援助の仕事内容は以下となっています。
- 掃除、洗濯
- 食事の調理や片付け
- 買い物代行
- 薬の受け取り
身体介護サービス
「身体介護」はサービス利用者の身体に直接触れて行う仕事内容となり、生活援助に比べて責任も重くなっています。
その分、時給も生活援助より高くなっていますが、登録ヘルパー自身の体にも負荷がかかる仕事も多く、より専門的な介護技術が求められます。
主な身体介護の仕事内容は以下となっています。
- ベッドの寝起き介助
- 排せつの介助
- 食事の介助
- 入浴、清拭の介助
- 服薬の介助
- 流動食・糖尿病食・腎臓病食などの調理
登録ヘルパーができない仕事について
ヘルパーとは言っても、全ての家事を手伝えるわけではなく、日常生活に支障がないことは介護保険法によって制限がされています。
一例として、以下のような家事はサービス対象外となります。
- 庭の手入れ、本人以外の部屋の掃除
- 家庭用洗濯機では洗えない洗濯
- サービス利用者の家族の食事調理
- 趣味、嗜好品、贈答品などの買い物代行
このようなサービスを受けたいのであれば、介護保険外サービスを利用しましょう。
▼介護保険外サービスに関する記事はこちらから。
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
新型コロナウイルによって登録ヘルパーの需要が増加
新型コロナウイルスの感染拡大によって、施設利用の介護が難しくなった影響で登録ヘルパーの需要はさらに増加しました。
しかし、賃金を安くされ、常に人手不足に悩まされている訪問介護の事業所に対して、感染リスクの高まる中でさらに多くのサービスの提供を呼びかける国の意向に、疑問の声も多くなっています。
このような状況に伴い2020年4月には、訪問介護事業所を運営するNPO法人から、待遇の改善を目的とした「危険手当」を求める要望書が政府に提出されています。
▼登録ヘルパーのコロナに関する記事はこちら
>>登録ヘルパーの新型コロナウイルスによる影響は深刻…今後の動きや対策について
仕事探しは「みーつけあ」にお任せ!
「みーつけあWorkers」なら、今より高時給・高待遇な事業所が見つかります。
- 面接に行く度に面接支援金3,000円プレゼント
- 求人案件を多数保有
- 一度に複数の応募・管理が可能
全国1,000以上の事業所から、「時給・場所」で好きな事業所を検索できます。
登録ヘルパーとして働きたい人は、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com
今回「みーつけあ」では登録ヘルパーの求人がこないと言われる原因を、世間的なイメージも踏まえて紹介し、登録ヘルパーという仕事についても触れてきました。
介護業界の需要が高まる中、登録ヘルパーの賃金に関する不満は解消されないまま、求人不足の日々は続いています。
2020年1月には、2021年の通常国会に提出される予定の介護保険法の改正案について、厚労省の社会保険審議会にて議論が進められているタイミングを狙い、3人のホームヘルパーが東京地方裁判所に提訴もしています。
『2020年1月20日 14時 ホームヘルパー国賠訴訟第1回裁判 東京地裁803号法廷に決定|はたらく女性の全国センター』
これは、訪問介護の現場が長期に渡り労働基準法が守られていないことや、正当な賃金を受けられていない実態を明らかにし、労働に見合った対価の補償等を国に求める事案です。
今後の介護業界の社会的地位は確実に見直されるべきであり、これらの動きに対する国の判断にも注目が集まるでしょう。