登録ヘルパーの雇用契約で外せないポイント
働き方の多様化が進む現代では、正社員だけでなく日中勤務のパートスタッフや夜勤専従スタッフといったさまざまな勤務形態のヘルパーが介護現場を支えています。
その中には介護事業所に登録して希望する曜日や時間に合わせて働く登録ヘルパーも含まれます。
今回「みーつけあ」では、介護事業者・登録ヘルパーにとって重要な雇用契約のポイントについて解説します。
登録ヘルパーとは
引用:https://www.photo-ac.com
登録ヘルパーは小さい子供や高齢の親と同居している関係で、早朝や夜間帯の勤務が難しいため、希望する曜日や時間帯に利用者宅を訪問して介護サービスを提供する人を指します。
あらかじめ勤務時間が固定されるパートスタッフと比べると、時間の融通が効く上に高時給であるといったメリットがあります。
その反面、希望する時間がほかの登録ヘルパーと重なったり、利用者都合によるキャンセルが発生したりする可能性は避けられません。
さらに自宅から訪問先までの移動手段として自家用車やバイクを使用する必要があり、収入が実働時間に限定されるため、移動時間には時給が発生せず交通費も自己負担となるデメリットがありまが事業所が交通費を負担している場合もあります。
登録ヘルパーの雇用契約は必要?
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正社員やパートスタッフは採用後に雇用契約を取り交わされますが、そもそも登録ヘルパーに契約契約が必要なのかという疑問をお持ちの方がいるかもしれません。
たとえ登録ヘルパーであっても、事業所の指揮命令下で利用者宅に訪問介護を行い、報酬を受けますので雇用契約の締結は必須です。
これについては介護保険法でも定められています。
この訪問介護の業務に従事する者の中には、委託、委任等の呼称が用いられている場合もあるが、労働者に該当する かどうかについては、使用者の指揮監督等の実態に即し総合的に判断すること。 なお、介護保険法に基づく訪問介護の業務に従事する訪問介護員等については、一般的には使用者の指揮監督の下に あること等から、労働基準法(以下「法」という。)第9条の労働者に該当するものと考えられること。
面接では採用者の見極めを行いますが、採用後の雇用契約の場面では採用者が介護事業者の見極めを行なっていることを事業者側は忘れてはいけません。
採用後のミスマッチは事業者・採用者の両者ともに悲劇でしかありません。
登録ヘルパーの雇用契約上のポイント
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では登録ヘルパーの雇用契約を行う上でのポイントについて解説します。
雇用契約時に準備する書類
雇用契約の際には下記の書類を交付し、採用者の署名が必要な書類に関しては提出を求め、保管します。*事業所によって異なります
- 雇用契約書(労働条件通知書)
- 就業規則、賃金規定(登録ヘルパー用)
- 運営規定
- 秘密保持誓約書
- 銀行振込口座申込書
- マイナンバー届出書
- 給与所得者の扶養控除等申告書
- 業務内容説明書
賃金規定に関して、同じ1時間のサービス提供であっても身体介護か生活援助かによって時間給が異なるため、明示が必要です。
登録ヘルパーは複数の事業所で掛け持ちをする場合が一般的であるため、就業規則には兼業の可否に関して記述しておきましょう。
雇用契約書に明示が必要な項目
雇用契約書には、下記の項目について明示する必要があります。
- 労働契約の期間(期間の定めの有無、定めがある場合はその期間)
- 契約更新の有無
- 就業場所、従事すべき業務内容
- 始業・終業時刻、時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇等
- 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締め切り・支払時期、昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
- 相談窓口
無期雇用である登録ヘルパーの場合、解雇とならない限りは契約更新の有無を明確にする必要があります。
つまり登録ヘルパーが契約更新をしないということは退職を意味します。
労働条件に関して書面に残して保管しておくことで、万一従業員との間でトラブルが発生した際の和解材料となります。
雇用契約書のサンプル
登録ヘルパーの雇用契約書のサンプルを掲載しますので、契約書作成の際のご参考になさってください。
▼登録ヘルパーの雇用契約書の書き方についてはこちら
>>【登録ヘルパー】雇用契約書の書き方や注意点について紹介
登録ヘルパーの雇用契約でよくある質問
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最後に登録ヘルパーの雇用契約について、口コミサイトなどでよくある質問を紹介します。
Q1.訪問がキャンセルになった場合はどうなりますか?
A.代替訪問を依頼されたり、休業手当が支給されたりされなかったり、対応方法は事業者によって異なります。
Q2.有給休暇を取ることはできますか?
A.雇用後6ヵ月を経過し、全労働日数の80%以上出勤した場合は年次有給休暇が付与されます。
▼登録ヘルパーの有給に関する記事はこちら
>>【登録ヘルパー】有給休暇は何日もらえる?計算方法について
>>登録ヘルパーの有給はいくらもらえる?取得条件や賃金について
>>【登録ヘルパー】有給休暇の取得条件やよくある質問について
Q3.雇用保険や社会保険に加入したい
A.雇用保険は週20時間以上、社会保険は週30時間以上の勤務条件を満たしていれば、加入が認められます。雇用保険は強制加入となりますが、社会保険の加入は任意です。
▼登録ヘルパーの雇用保険・社会保険に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーは雇用保険に加入することができるのか?条件や注意点について
>>登録ヘルパーでも社会保険に加入できる?加入条件や注意点について
まとめ
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採用後は直行直帰のため、登録ヘルパーは月に数回しか事業所に顔を出しません。
だからこそ雇用契約の際、契約内容について認識のすり合わせが不可欠となります。
「言った言わない」のトラブルを避けるため、登録ヘルパーの雇用契約は必ず書面で行いましょう。