登録ヘルパーとは?仕事内容やメリットデメリットをまとめて紹介!
超高齢化社会が避けられない現代において、介護職の仕事は必要不可欠な存在となっています。
常に深刻な人手不足を抱える介護業界には、少しでも働き手を補えるようさまざまな業務形態がありますが、「登録ヘルパー」もその内の一つです。
今回「みーつけあ」では、登録ヘルパーという仕事について紹介していきます。
登録ヘルパーの仕事内容や時給相場、必要な資格やメリットデメリットなど、これから登録ヘルパーとして働きたい方が押さえておきたいポイントについて、まとめました。
ご参考いただければ幸いです。
1.登録ヘルパーとは?
登録ヘルパーとは、自身の希望する好きな時間帯や好きな曜日に働くことができる訪問介護の仕事です。
時間の融通が効きやすく、家事や育児に忙しい主婦の方や、仕事後の副業としても登録ヘルパーの仕事をしている方がいらっしゃいます。
出退勤の必要がないため、予定された時間に直接サービス利用者の家を伺い、決められた時間まで働いたらそのまま帰宅できます。
また、次の訪問者宅に向かったりそのまま別に仕事に向かうなど、隙間時間を活かした働き方が出来る点も登録ヘルパーの特徴となっています。
登録ヘルパーは労働者である
登録ヘルパーの働き方はパートや正社員と異なり、決められた出退勤時間という概念がない特殊な仕事です。
そのため「登録ヘルパーって業務委託なの?」という口コミを見かけることがありますが、厚生労働省からは「登録ヘルパーは労働者である」という資料が正式に発表されています。
労働者として認められている以上、登録ヘルパーでも有給の取得や社会保険の加入が認められているということです。
▼登録ヘルパーの社会保険に関する記事はこちらをご参照ください。
>>登録ヘルパーでも社会保険に加入できる?加入条件や注意点について
2.登録ヘルパーの仕事内容とは?
登録ヘルパーの仕事内容は「生活援助」と「身体介護」の2種類となっています。
ここからはそれぞれの仕事内容についても紹介していきます。
生活援助
生活援助とは、サービス利用者やその家族が行えない日常生活を、介護保険法に基づいた範囲内でサポートする仕事です。
主な仕事内容は、以下になります。
- 部屋の掃除(サービス利用者の生活スペース)
- 食事の調理・料理
- 洗濯
- 買い物代行
- 薬の受け取り代行
サービス利用者に直接触れない範囲の、日常生活を援助する仕事ということになりますね。
身体介護
身体介護とは、直接サービス利用者の体に触れないと行えないような日常生活のサポートをする仕事です。
主な仕事内容は以下になります。
- 食事の介助
- 入浴の介助(洗面、清拭も含める)
- 排泄の介助
- 服薬の介助
- ベッドなどの移動介助
- 着替えの手伝い
生活援助に比べると、より専門的な介護技術が必要な仕事です。厚生労働省は、身体介護の定義について以下の点を明確にしています。
- 利用者の体に直接触れて行う介助サービスは準備、後片付けなどの一連の行為を含む
- 利用者の「ADL、IADL、QOL(日常的動作や生活の質)」や意欲向上のために行う自立支援と重度化を防止するサービス
- その他専門知識や技術を要する日常生活、社会生活のためのサービス
命にも関わる仕事内容なので、専門的な技術や知識が必要になるうえ、責任が重くのしかかる仕事と言えますね。
他にも、より専門的な「たんの吸引等」の仕事もありますが、登録ヘルパーとして働ける資格とは別に「喀痰吸引等研修」を修了しなければなりません。
登録ヘルパーに必要な資格については、後ほど紹介します。
登録ヘルパーが提供できないサービスについて
登録ヘルパーが提供できるサービスは、日常生活を送るうえで必要不可欠な、介護保険法に基づいたサービスのみです。
サービス利用者の中には、登録ヘルパーを含めた訪問介護職を「家政婦」と勘違いされる方もいらっしゃいますが、以下のような内容はサービス外となります。
- 庭の手入れ
- 利用者の生活スペース以外の掃除
- 家具の修理や移動
- 利用者家族の食事準備
- お墓参り代行
- 窓拭き
- ペットの世話
- 来客対応
これらは「介護保険外サービス」として扱われるサービスです。介護保険法による「生活援助と身体介護」では、行えないサービスということになります。
▼登録ヘルパーにできない仕事については、以下の記事が参考になります。
>>訪問ヘルパーができないことってどんな仕事?実例をまとめて紹介!
3.登録ヘルパーのメリットとは?
登録ヘルパーとして働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
本記事では、以下のようなメリットをピックアップしました。
- 働き方が自由自在
- 短時間、高時給が見込める
- 日常生活に応用が効く
- 感謝してもらえる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
メリット1.働き方が自由自在
登録ヘルパーとして働く最大のメリットは、働く時間が自由自在であることです。
週に1回でも毎週でも、希望に沿ったシフトを組むことができるため、生活の軸を崩さずに働けるでしょう。
会社員であれば、早朝に1件だけサービスを提供してから出社し、退勤後に再び1件サービスを提供して帰宅するという働き方が可能です。
主婦であれば、家事や育児の合間だけ登録ヘルパーの仕事をすれば、残り時間は自由に使えますね。
本業として登録ヘルパーで稼ぎたい場合には、さまざまな事業所を掛け持ちして仕事をもらうという働き方ができます。
▼登録ヘルパーの掛け持ちに関する記事はこちら
>>登録ヘルパーは掛け持ちしても良い?掛け持ちをする3つのメリットとは
メリット2.短時間、高時給が見込める
登録ヘルパーの仕事は一般的なアルバイトやパートに比べて時給が高く設定されていることが多いです。
生活援助の平均時給は¥1,000〜¥1,500、身体介護の平均時給は¥1,500〜¥2,000あたりが相場となっています。
仮に時給が¥2,000の身体介護を1日4件(4時間)行えば、たった4時間の勤務時間で¥8,000の報酬が期待できるということになりますね。
「みーつけあ」のお役立ちガイドでは、地域別の給料相場や他業種とも比較した記事もありますので、平均時給が気になる方はご参考ください。
>>登録ヘルパーの給料相場はいくら?他業種とも比較してみました
メリット3.日常生活に応用が効く
登録ヘルパーで学んだ仕事は自身の家族介護の際にそのまま活かす事ができます。
家庭事情によっては自身の親を施設に預けるだけの金銭的な余裕がなかったり、少しでも経費負担を減らしたいと考える方も数なくないでしょう。
登録ヘルパーとして仕事をしていれば、万が一自身の親の面倒をみる必要ができた際に応用が効きます。
避けられない現実への対応力として登録ヘルパーの経験は決して無駄にはなりません。
メリット4.感謝してもらえる
登録ヘルパーのメリットとして、「お客様に感謝してもらえる」という口コミを多く見かけます。
・お客様に喜んで貰え、素敵な笑顔に会える。
・元気を貰えたり、感謝される。自分のペースで働ける。
・利用者のありがとうの言葉はやっていて良かったと思う瞬間
人間は、仕事において「感謝される」ことや「必要とされる」ことに、強くやりがいを感じると言われています。
登録ヘルパーの仕事は、やりがいのある仕事として高く評価する声も多くなっているのです。
4.登録ヘルパーのデメリットとは?
登録ヘルパーとして働くデメリットには、以下のような項目が挙げられます。
- 収入が不安定
- 慣れるまでは対応が辛い
- 移動時間が時給換算されないケースが多い
とくに、収入面や仕事内容を気にする人は、デメリットも把握しておきましょう。
デメリット1.収入が不安定
最も多く聞かれるデメリットとして、サービス利用者の私情によって仕事がキャンセルになり、収入が安定しないというものがあります。
入院、入所、死去などで、仕事の内容、時間、量、場所などが不安定。
とくにサービス利用者の入院や死亡といった理由は、どうしても避けられないキャンセル理由となってしまいます。
本業として登録ヘルパーの仕事をしている方にとっては生活に支障をきたす可能性があることから、深刻なデメリットの一つとなっています。
▼登録ヘルパーの給与アップの方法についてはこちら
>>登録ヘルパーはなぜ稼げないのか?給料アップの方法について紹介
デメリット2.慣れるまでは対応が辛い
登録ヘルパーとはいえ、他人の身体を扱う立派な介護職の一つです。
当然、利用者が良い人ばかりとは限りませんし、介護としてだけではなく接客サービスとしての臨機応変な対応力が必要になってきます。
「高齢者の面倒をみるだけ」と介護の仕事を甘くみてしまい、トラブルに対応しきれず苦労をする方も多いようです。
癖のある方、暴言、汚部屋、うるさい家族など、ストレスがたまる
このような仕事柄から、訪問介護は「気の短い人には向いていない」という意見も見られます。
仕事を始める前に、自身の性格を自己分析しておくことも重要でしょう。
▼関連記事はこちら
>>登録ヘルパーを辞めたい理由まとめ|辞める前に考えるべきこと
デメリット3.移動時間が時給換算されない
登録ヘルパーの時給が高い理由として、仕事の大変さはもちろん「移動時間が時給換算されない」という問題点があります。
利用者宅が自宅近辺であれば、さほど問題のないことかもしれません。
しかし、何キロも離れている利用者の自宅に向かうためには、相応に時間や労力がかかりますよね。
いくら時給が高いとはいえ、移動だけで数時間以上かかるようでは「割りに合わない」可能性が出てくるわけです。
もちろん、全ての訪問介護事業所が移動時間を賃金として補償していないわけではありません。
交通費や移動手当は、各事業所によって対応が大きく異なります。事前にしっかり確認する必要があるでしょう。
▼登録ヘルパーの移動時間について詳しく知りたい人は、以下の記事をご参考ください。
>>登録ヘルパーの移動時間問題!労働と認められる条件を徹底解説
▼登録ヘルパーの交通費に関する記事はこちら。
>>登録ヘルパーの交通費はどれくらいもらえる?通勤手当との違いについて
5.登録ヘルパーに必要な資格とは?
登録ヘルパーとして働くためには、介護資格が必要となります。
資格の取得には数万円から数十万円の費用がかかりますが、近年では資格支援制度が充実している事業所が多いです。
無資格の方には、キャッシュバックなどのキャンペーンが実施されている場合もあります。
登録ヘルパーは介護職員初任者研修を修了すれば働ける!
登録ヘルパーとして働くだけであれば、介護職の入門資格となる「介護職員初任者研修」を修了すれば働く事ができます。
介護職員初任者研修の内容は、以下のとおりです。
- 職務の理解:約6時間
- 介護における尊厳の保持・自立支援:約9時間
- 介護の基本:約6時間
- 介護・福祉サービスの理解と医療との連携:約9時間
- 介護におけるコミュニケーション技術:約6時間
- 老化の理解:約6時間
- 認知症の理解:約6時間
- 障害の理解:約3時間
- こころとからだのしくみと生活支援技術:約75時間
- 振り返り:約4時間
上記の研修を終えた後、筆記試験に合格することで、介護職員初任者研修を取得することができます。
授業内容をしっかりと理解していれば、誰でも合格できる難易度ですので、介護業界で活躍していきたい人は積極的に挑戦しましょう。
上位資格を取得すればキャリアアップも狙える!
さらに介護業界のキャリアアップを狙うのであれば、上位資格の「介護職員実務者研修」や、国家資格にもなっている「介護福祉士」の資格取得を目指すことをおすすめします。
上位資格を取得することで、資格手当てによる給料アップが可能です。
また、サービス責任者やケアマネジャーなど、介護業界の仕事幅をより広げることができるでしょう。
資格についてさらに知りたい方は、以下リンクの記事をご参考ください。
>>登録ヘルパに必要な資格とは?仕事内容や給料についても紹介!
6.登録ヘルパーによくある質問
登録ヘルパーの働き方について、大まかには理解できたでしょうか。
最後に、本編では説明できなかった「登録ヘルパーによくある質問」について、3つほど紹介します。
- 登録ヘルパーとパート・正社員の違いは何?
- 有給休暇はどれくらいもらえるの?
- 料理が苦手でも働ける?
「登録ヘルパーの仕事にまだまだ不安がある…」という人は、細かい悩みを少しでも減らして、一歩を踏み出すキッカケにしてみてください。
Q1.登録ヘルパーとパート・正社員の違いは何?
A. 大きな違いは、決められた出退勤時間の有無です。
登録ヘルパーは、働きたい時間をあらかじめ指定して、その時間に訪問介護サービスを希望する利用者さんとマッチングすることで仕事が決まります。
しかし、パートや正社員の場合は、事業所に出勤してから利用者宅に向かわなければなりません。
つまり、常勤として決められた時間に働きたい人は「パート・正社員」、ライフスタイルに合わせて働く時間を自由に決めたい人は「登録ヘルパー」として働くとよいでしょう。
▼より詳しく違いを知りたい人は、以下の記事をご参考ください。
>>登録ヘルパーとパートの違いとは?働き方や時給の違いを徹底比較!
Q2.有給休暇はどれくらいもらえるの?
A. 登録ヘルパーの有給付与回数は、一般的な雇用形態とは異なります。
厚生労働省の資料「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」では、過去6ヶ月の労働日数×2を、1年間の所定労働日数として判断すると説明しています。
たとえば、半年で50日労働した場合、1年間の所定労働日数は100日として、勤続年数に応じた付与回数の有給休暇が与えられるわけです。
▼より詳しく有給休暇について知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
>>【登録ヘルパー】有給休暇の取得条件やよくある質問について
Q3.料理が苦手でも働ける?
A. 学ぶ意思さえあれば、料理が苦手でも働けます。
登録ヘルパーが仕事で行う料理とは、「利用者さんの状況や好みに合う、栄養バランスの考えられた食事を、限られた時間内に作ること」です。
もちろん、料理スキルが高いに越したことはありません。しかし、介護現場でも通用するとは限らないでしょう。
重要なのは、介護に適した料理を覚える前向きな姿勢です。
▼訪問介護の料理について、ポイントや注意点を知りたい人は以下の記事をご参考ください。
>>介護ヘルパーは料理スキルが必要?料理を作るポイントや注意点まとめ
まとめ:登録ヘルパーは時間を有効活用できる!
今回「みーつけあ」は、登録ヘルパーについて仕事内容やメリット・デメリットを踏まえて必要な資格などをまとめて紹介してきました。
加速し続ける少子高齢化社会の日本では、介護職は絶対に食いっぱぐれない職種と言っても過言ではありません。
時間を有効活用しながら実用的に働ける登録ヘルパーとしての働き方を検討している方は、ぜひご参考ください。