【2020年】新型コロナウイルスによる訪問ヘルパーの対策や状況についてまとめてみた
2020年4月、新型コロナウイルスによる大規模感染によって緊急事態宣言が発令されました。
同年5月25日にはおよそ1ヶ月半ぶりに全国の緊急事態宣言が解除されることとなりましたが、8月には第二波、11月には第三波となる新型コロナウイルスの感染拡大が依然として続いている状況です。
訪問介護の現場でも、引き続き慎重な感染対策が続き、サービス利用者、訪問ヘルパー共に今後の近況が気になっているのではないでしょうか。
今回「みーつけあ」では、新型コロナウイルスによる訪問ヘルパーの対策や状況についてまとめて紹介していきます。
今後の流れとともに是非ご参考ください。
厚労省は訪問ヘルパーのためのコロナ対策を実施
引用:https://www.photo-ac.com
厚生労働省が2020年4月に行った調査では、全国で850余りの通所や短期入所系サービスが休業を余儀なくされました。
このような状況が続いた2020年は、施設利用を検討していた高齢者にとって不安要素が多くなった年とも言えますよね。
施設利用に不安を抱く高齢者の介護を継続するためにも、ますます需要が高まっているのが直接高齢者の自宅にて介護を行う訪問ヘルパーです。
介護事業所は政府にコロナ対策の要望書を提出
緊急事態宣言が発令された当初は新型コロナウイルスに関する情報が不十分だったこともあり、現場からは「適切な対応や判断が難しい…」といった切実な声が上がっていました。
そこで、特定非営利活動法人の訪問系サービスにかかわる事業所では2020年4月10日に、政府へ「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス対策の要望書」を提出しています。
- 要望1:訪問系サービス事業所へのきめ細かい感染予防、感染対策の周知徹底を求めます
- 要望2:訪問系サービス事業所と介護労働者が新型コロナウイルス蔓延時に、できるだけ安心して働き、休める環境整備を求めます
- 要望3:ホームヘルパーの緊急増員を求めます
特定非営利活動法人 暮らしネット・えん「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス対策の要望書」
厚生労働省はYouTubeにて新型コロナウイルス対策動画を公開する
介護事業所による要望書に伴い、厚生労働省は訪問ヘルパーが介護の際に新型コロナウイルスの感染リスクを下げるために気をつけるべきことについてまとめた動画をYoutubeに公開しました。
テーマの内容は訪問介護員、介護老人福祉施設の2つに対し大きく以下の3点となっています。
- テーマ1:あなたが利用者宅にウイルスをもちこまないために
- テーマ2:利用者とあなたの間でウイルスのやりとりをしないために
- テーマ3:あなたがウイルスをもちださないために
厚生労働省/MHLWchannel「訪問介護職員のためのそうだったのか!感染対策!」
他には感染対策(手洗い)や、送迎車の感染対策などについても動画を公開し、新型コロナウイルスによる対策を呼びかけています。
動画の公開によって、訪問ヘルパー同士で新型コロナウイルスによる対策を共有するキッカケができ、現場の混乱を和らげる最初の対策として注目されました。
コロナによる自粛解除後の訪問ヘルパーの動きについて
引用:https://www.photo-ac.com
2020年5月下旬には全国の緊急事態宣言が解除されましたが、訪問ヘルパーの現場はその後どのような動きとなっているのか。
ここからはいくつかの事例をもとに、介護業界の動きについて紹介していきます。
全国社会福祉協議会にて応援メッセージが配信される
自粛が解除されても、訪問ヘルパーの新型コロナウイルス感染予防対策は引き続き行われています。
サービス利用者に直接触れる訪問ヘルパーの仕事は、新型コロナウイルスの感染リスクが高い「3密(密閉空間、密集する場所、密接した会話)」の状況を避けるのが非常に難しい仕事です。
濃厚接触の避けられない介護の仕事は感染リスクが高く、ストレスを抱える訪問ヘルパーは後を絶ちません。
このような状況で身を削り続けている福祉関係者に、全国社会福祉協議会は公式ページにて「社会福祉を支える皆さまへ」と題し、応援メッセージを配信しました。
新型コロナウイルス禍や相次ぐ災害のなか、全国の福祉現場では、日夜、福祉従事者が福祉サービスの利用者の皆様を支えています。とくに新型コロナウイルスの感染予防対策とともに、福祉の支援を必要とする高齢者や障害のある人びと、子どもたち、そして生活に困窮する方々に支援を継続していくための新たな支援のあり方が問われています。
このような時にあって、これまでがんばってこられた全国のエッセンシャルワーカーの皆様に、全国社会福祉協議会および関係大臣から、心からの感謝を込めて応援メッセージをお届けします。
これからも、新型コロナウイルス禍を乗り越え、ともにがんばっていきましょう。
全国ホームヘルパー協議会ではオンラインサロンが開かれる
事業所によっては、補助金に関する情報が行き届いていなかったり、ICT(情報通信技術)が活用し切れていない環境が存在していることも事実です。
このような事業所の救済活動の一環として、全国ホームヘルパー協議会はzoomによるオンライン配信で情報交換を行う方針です。
詳しい詳細は以下の公式ページをご確認ください。
令和2年度第1弾オンラインサロン~ICTの活用に向けた意見交換・情報交換会~を開催します-全国ホームヘルパー協議会
介護職員へ最大20万円の「慰労金」が給付された
政府は2020年5月27日の閣議にて「第二次補正予算案」を決定しました。
予算案では介護職員に慰労金を支払うことを明言し、2020年6月12日の賛成多数によって閣議決定しています。
決定された介護慰労金の対象者は、介護サービス事業所・施設等に勤務する全ての職員が対象となっているため、訪問ヘルパーも慰労金対象者として扱われています。
ただし、慰労金支給は対象期間内に通算10日以上勤務し、サービス利用者と接していたことが条件となります。
厚生労働省はこの対象期間を、新型コロナウイルス感染症患者1例目の発生日、もしくは受け入れ日のいずれか早い日から2020年6月30日とし、「サービス利用者と接していた」という対象範囲を以下のように説明しています。
利用者との接触とは、身体的接触に限られるものではなく、対面する、会話する、同じ空間で作業する 場合も含まれます。利用者がいる建物から離れた別の建物に勤務し、物理的に利用者に会う可能性が全 く無いような場合は対象とはなりません。
また、利用者と接触する日が1日でもあれば対象となります。 なお、最終的な判断は都道府県が行うこととなりますが、一義的には各事業者で判断いただくことになります。
慰労金対象者は、厚生労働省が定める対象期間(2020年6月30日)に利用者との接触が見込まれるのであれば、サービス責任者や事務員、リネン業者、調理員、送迎車のドライバーなども対象者となりました。
慰労金は最大20万円の給付が見込まれていますが、詳しい振り分けは以下の資料画像、または関連記事をご参考ください。
▼慰労金の関連記事はこちら
>>登録ヘルパーは慰労金対象者なのか?金額や支給までの流れについても紹介
コロナによって訪問ヘルパーのサービス継続を懸念する声も…
引用:https://www.photo-ac.com
事業所や訪問ヘルパー自身が新型コロナウイルス対策を行っていても、実際に利用するサービス利用所の心境は複雑なものです。
口コミでは「今後のサービス継続に悩んでいます」といった相談の声も多くなっており、その回答者は「不要であるなら無理に継続する必要はない」と回答する声が多くなっています。
利用者によってはコロナ対策を嫌う方も…
サービス利用者の中には、訪問ヘルパーによる新型コロナウイルス対策がされたサービスを嫌う方が少なくはありません。
- アルコール消毒やマスク着用を呼びかけるものの「細菌扱いするのはやめろ」と、気分を害してしまう。
- 外出自粛の影響でさらに塞ぎ込んでしまったサービス利用者が、全く外に出なくなってしまった。
- 身体介護で触れなきゃいけない場合でも「触るな」と心を閉ざしてしまう。
- 換気のための窓開けですら寒いからやめてほしいと怒鳴られてしまう。
ネガティブな感情が表に出やすくなった環境によって、思うように人と接することが出来なくなってしまったのは、訪問ヘルパーだけとは限りません。
サービス利用者本人の気持ちも理解して、心を開いてもらえる環境作りが実現しない限り、訪問ヘルパーの精神的な疲労は増すばかりでしょう。
サービス利用者を安心させる行動や判断が重要となる
例えサービス利用者が新型コロナウイルスによる新たな対応を嫌がったとしても、訪問ヘルパーは十分に注意をして接していく必要があります。
お互いにとって良好な精神と関係を保っていくためにも、厚生労働省が定める「訪問系サービスにおける新型コロナウイルス感染症への対応について」を十分に理解しておくようにしましょう。
- 出勤前には各自で体温を計測し、発熱や風邪の症状がある場合は出勤しない
- 濃厚接触が疑われる方には出来る限り担当者を分けたり、最後に訪問するなどの工夫をする
- 訪問時間は出来る限り短くし、やむを得ない場合には可能な範囲で距離を保つ
- 訪問時の換気を徹底する
- 濃厚接触が疑われる方には使い捨て手袋、マスクを使用し、咳き込みがある方にはゴーグルやエプロンを着用して対処する
- 「1ケア1手洗い」や「ケア前後の手洗い」を基本として、手指の消毒を実施する
さらに詳しい対応については、以下の公式ページの詳細をご確認ください。
訪問系サービスにおける新型コロナウイルス感染症への対応について-厚生労働省
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com
今回「みーつけあ」では、新型コロナウイルスによる訪問ヘルパーの対策や状況についてまとめて紹介してきました。
2020年11月における第三波に関しては、60代以上の感染者が第二波のおよそ2倍にまで増加していると発表がされています。
気温変化によって体調を崩しやすい冬場の対応はより慎重に行う必要性があると言えるでしょう。
依然として安心できない新型コロナウイルスの脅威に、訪問ヘルパーを含めた介護業界では心身ともに疲労が癒せない状況ではありますが、こんな時だからこそ一人一人が励まし合って乗り越えようとする意思が大事なのではないでしょうか。