訪問ヘルパーは酒タバコの買い物代行ができない?できる・できないサービスについて
訪問ヘルパーは、サービス利用者の自宅へ直接行って介護サービスを提供する訪問介護の仕事です。
訪問介護の仕事内容には、生活に最低限必要な買い物代行という仕事も含まれています。
サービス利用者によっては「酒・タバコを買ってきて欲しい」と頼まれるケースもあるようです。
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーが酒タバコ類の嗜好品の買い物代行を頼まれた際の対応や、訪問ヘルパーができるサービスとできないサービスについて紹介していきます。
「酒タバコの買い物を頼まれた時、どのように対応したらよいのだろう?」
「訪問ヘルパーに頼めるサービスって何があるの?」
このような疑問を感じていた人は、ぜひご参考ください。
訪問ヘルパーが酒タバコを買えない理由とは?
引用:https://www.photo-ac.com
まず結論として、訪問ヘルパーがサービス利用者から酒タバコの買い物代行を頼まれた場合は、原則として断らなければいけません。
訪問ヘルパーが行える介護サービスの仕事内容は、介護保険法に基づいて正式に定められているためです。
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
やや硬い文章での説明となっていますが、今回論点としている「酒タバコの買い物代行」は嗜好品の買い物を頼まれているということになりますよね。
介護保険法によって定められている買い物代行はあくまで「日常生活に最低限必要な品物」が対象となります。
したがってケアプラン作成の段階でも、原則として嗜好品の購入は認められていないということです。
自己判断は思わぬトラブルに発展する可能性がある
訪問介護の現場ではサービス利用者と訪問ヘルパーによる1対1の対応が基本となります。
仮に懇願されて断りきれなかった場合には「購入せざるを得なかった…」というシチュエーションになってしまったり、「誰にも見られているわけでもないし、これくらいなら…」と引き受けてしまうケースもあり得るでしょう。
しかし、このような自己判断は非常にリスキーであり、「訪問ヘルパーが酒タバコを購入していたが、事業所では介護サービスで健康を害する買い物まで引き受けるんですか?」といったクレームにも繋がりかねません。
まずは事業所に相談する
安易に自己判断をして行動する前に、まずは事業所に相談するようにしましょう。
本来はケアプラン作成時に、事業所のサービス責任者が利用者へ訪問ヘルパーが行えるケアプラン内容について説明しているはずです。
しかし、説明の段階で全てを理解してもらえるというわけにはいかない場合もありますよね。
現に嗜好品の購入を求められたという事実は改めて事業所に報告するべきであり、再度サービス責任者から利用者に理解していただくための説明をするべきです。
納得いかないサービス利用者に理解してもうためには?
仮にサービス責任者から再度説明がされたとしても、全ての利用者が納得してくれるか?といえばそれはまた別問題となってきます。
サービス利用者からすれば「自分にとっては生活に欠かせない重要な物なんだ」と言い張る人もいれば、「酒タバコくらいついでに買ってきてくれてもいいじゃないか」と、情に訴えられることも少なくはないでしょう。
訪問ヘルパーは常に相手の立場になってサービスを提供するべきですので、ここで「規則ですから…」と言って突き放してしまうのはあまりおすすめできません。
サービス利用者に理解を深めてもらうためにも「お医者様に止められていますから、私には出来ないんです」と、相手の体を心配しつつ自分からはできないということを誠実に伝える事が大事なのではないでしょうか。
すぐに理解をしてもらえなくても、自分の意思に歩み寄ってもらえるための気配りを忘れないでください。
▼訪問介護のできること・できないことについては、こちらも参考になります。
>>訪問ヘルパーのサービス内容とは?できること・できないことをまとめて紹介
訪問ヘルパーが酒タバコの購入以外にもできないサービスとは?
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ではそもそも訪問ヘルパーが提供できるサービス内容とはどのようなものなのか?
ここからは訪問ヘルパーができないサービスと、主なサービス内容について紹介していきます。
訪問ヘルパーが提供できないサービスとは?
訪問ヘルパーは頼めば何でも引き受けてもらえるというわけではありません。
酒タバコの購入以外にもできないサービス内容として以下のようなものが挙げられます。
- 庭の手入れ
- 利用者の生活スペース以外の掃除
- 家具の修理や移動
- 利用者家族の食事準備
- お墓参り代行
- 窓拭き
- ペットの世話
- 来客対応
これらは「介護保険外サービス」として扱われるサービスとなり、介護保険法による「生活援助と身体介護」では行えないサービスということになります。
訪問ヘルパーのサービスは「生活援助」と「身体介護」の2種類がメイン
訪問ヘルパーが提供できるサービス内容は主に「生活援助」と「身体介護」の2種類があります。
生活援助
生活援助とは、サービス利用者やその家族が行えないような日常生活を支援するサービスです。
主なサービス内容は以下のようになっています。
- 部屋の掃除(サービス利用者の生活スペース)
- 食事の調理・料理
- 洗濯(収納なども含める)
- 買い物代行(日常生活に最低限必要なもの)
- 薬の受け取り代行
訪問ヘルパーあるあるとして「家政婦に間違われてしまう…」という悩みが口コミでも多く取り上げられていますが、生活援助で支援できるのはあくまで日常生活における最低限の自立支援のみになります。
▼訪問ヘルパーあるあるに関する記事はこちら
>>訪問ヘルパーの悩みあるある3選!解決策についても紹介
身体介護
身体介護とは、直接サービス利用者の体に触れないと行えないような日常生活の支援をするサービスです。
主なサービス内容は以下のようになっています。
- 食事の介助
- 入浴の介助(洗面、清拭も含める)
- 排泄の介助
- 服薬の介助
- ベッドなどの移動介助
- 着替えの手伝い
他にもより専門的な「たんの吸引等」等のサービスがあり、「喀痰吸引等研修」を修了している訪問ヘルパーであれば依頼する事が可能です。
訪問ヘルパーは資格を持った訪問介護員である
訪問ヘルパーは頼めば何でも支援をしてくれるわけではなく、介護保険法に基づいた自立支援を目的とした介護職です。
そのため、訪問ヘルパーとして働くためには介護職員初任者研修を修了する必要があります。
▼訪問ヘルパーの仕事に興味のある方は、以下リンクにて資格に関する記事もご確認ください。
>>登録ヘルパーに必要な資格とは?仕事内容や給料についても紹介!
訪問ヘルパーが無理なお願いを断る場合の対応について
引用:https://www.photo-ac.com
訪問ヘルパーがお願いされて断らなければならないシチュエーションは、酒タバコの購入に限ったものではないですよね。
最後に、無理なお願いをされた際の対応についていくつか紹介していきます。
本人の援助とは関係のないお願いをされた場合
サービス利用者によっては「家族の料理も一緒に作ってほしい」や「庭の手入れもお願いしたい」など、本人の介護支援とは関係のないお願いをされる事は少なくありません。
このような場合に気をつけたいのは、「なるべく気分を害さないようにハッキリと断る」という事です。
断り方は人柄によって様々ですが、いかにも業務的な態度で「サービス対象外なので出来ません」と断られるのは、立場が変わった場合にも良い気分がしませんよね。
できる限り誠実に「私にできる事はご本人様の介護サービスに限られているんです」と、相手の心に伝える気持ちを意識しましょう。
それに断るだけが対応方法というわけではなく、サービス利用者を補助をするということは訪問ヘルパーでも可能です。
自ら行うことはできなくても、「〇〇してみてはいかがですか?」と優しく前向きな言葉をかけてあげることも大事なのではないでしょうか。
ヘルパー同士で情報を共有する
よりサービス利用者の方に満足してもらうためには、ヘルパー同士で情報を共有する事が重要です。
勝手な判断で行動をしてしまったがために、他のヘルパーさんが担当をした際に「〇〇さんならこんなこともしてくれた」という陰口のようなトラブルが起きる可能性も考えられます。
このような事態を避けるには、ヘルパー同士で「〇〇さんはこんな料理が好きらしい」や「〇〇みたいな事は言われたくないみたい」といった、小さな事でも共有していくようにすると良いでしょう。
保険外(自費)サービスがあることを伝える
保険外(自費)サービスとは各種保険が適応されないオーダーメイドサービスとなるため、ペットの世話や庭の手入れなどを依頼することも可能です。
何度も断っているのにどうしても納得してもらえない場合には、サービス利用者に保険外(自費)サービスの利用をおすすめするといいでしょう。
▼訪問ヘルパーにかかる費用や介護保険外サービスに関する記事はこちら
>>訪問ヘルパーさんの依頼にかかる費用はいくら?老人ホームとの違いについても徹底比較!
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーが酒タバコ類の嗜好品の買い物代行を頼まれた際の対応や、訪問ヘルパーができるサービスとできないサービスについて紹介してきました。
高齢者向けのサービスには様々な種類があるため、利用者からすれば混同されてしまいがちです。
訪問ヘルパー自身ができるサービス、できないサービスをしっかり理解し、他にも様々な選択肢が考えられるということを利用者にも丁寧に説明することでより良い関係が築けるでしょう。