訪問ヘルパーができないことってどんな仕事?実例をまとめて紹介!
訪問ヘルパーは、訪問介護員によって生活自立支援を行う介護業の一つです。
しかし、サービス利用者からは家政婦や家事代行サービスなどと勘違いをされることも多く、訪問ヘルパーを悩ます原因となっていたりするんです。
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーができない仕事について、実例を踏まえて紹介していきます。
「訪問ヘルパーって結局何をしてくれる仕事なの?」
「訪問ヘルパーならペットの世話や庭の手入れも仕事の内なんじゃないの?」
このような疑問を抱いていた方は参考にしてみてください。
訪問ヘルパーができないことってどんな仕事?
引用:https://www.photo-ac.com
訪問ヘルパーの仕事は介護保険法に基づいた生活支援サービスとなっており、厚生労働省は介護保険法の目的について、以下のように説明しています。
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
主に「生活援助」と「身体介護」の2種類の仕事内容となっていますが、ここからはそれぞれの仕事内容を紹介しつつ、訪問ヘルパーができない仕事についてまとめていきます。
生活援助
生活援助とは、サービス利用者に触れることのない範囲で日常生活のサポートをする仕事です。
主な仕事内容は以下のようになっています。
- 部屋の掃除(サービス利用者の生活スペース)
- 食事の調理・料理
- 洗濯(干したり収納したりも含める)
- 買い物代行
- 薬の受け取り代行
これらのサービスは、あくまでサービス利用者が最低限の生活を送る上で必要不可欠となる自立支援を目的としています。
したがって、似たようなサービス内容でも訪問ヘルパーが関与できない仕事もあるんです。
訪問ヘルパーができない生活援助について
実際に訪問ヘルパーができない生活援助サービスについて、以下のようにまとめてみました。
生活援助項目 | できないこと |
---|---|
掃除 | ・利用者が使用していない部屋や、家族の部屋掃除 ・庭の手入れ掃除やペットの世話 ・自家用車の洗車 ・窓拭きや換気扇掃除 ・引っ越しや大きな家具の移動 |
料理 | ・利用者家族分の料理 ・各行事毎による料理(おせち、恵方巻きなど) |
洗濯 | ・利用者の私物とは異なる洗濯、収納など |
買い物 | ・嗜好品全般(酒、タバコ類)の購入 ・遠方での買い物 ・利用者とは関係のない買い物やお歳暮など |
その他 | ・お墓参り代行 ・現金の引き落とし代行 ・世間話の相手 ・来客の応接、応対 |
なお、細かい詳細については市区町村、各自治体によって異なる場合があります。
事業所が定めるルールによっては臨機応変な対応が求められる場合もありますので、正確な業務内容は事業所の責任者に確認するようにしましょう。
身体介護
身体介護とは、直接サービス利用者の体に触れないと行えないような日常生活のサポートをする仕事です。
主な仕事内容は以下のようになっています。
- 食事の介助
- 入浴の介助(洗面、清拭も含める)
- 排泄の介助
- 服薬の介助
- ベッドなどの移動介助
- 着替えの手伝い
他にもより専門的な「たんの吸引等」の仕事もあり、「喀痰吸引等研修」等の専門資格を修了した訪問ヘルパーであれば対応することが可能です。
訪問ヘルパーができない身体介護について
専門的な介護業務とはいえ、身体介護にも訪問ヘルパーが対応できない仕事内容があります。
主には医療行為に該当してしまう内容は、医師や医師の指示を受けた看護師が実施するものとされており、介護の資格では行えない事が多くなっています。
以下に代表例をまとめていますが、より詳細な情報が知りたい方は厚生労働省の資料内容をご確認ください。
>>医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)-厚生労働省
身体介護項目 | できないこと |
---|---|
食事の介助 | ・経管栄養の注入 ・胃ろうチューブの挿入や洗浄 ※一定の研修を修了場合のみ可。 |
入浴の介助 | ・散髪(電気シェーバーによる髭剃りは可能) |
排泄の介助 | ・排尿カテーテルの挿入、消毒、洗浄など ・肌に接着したパウチの取り換え(専門的な管理が必要とされない場合は可能) |
その他 | ・リハビリ、マッサージの補助 ・入院や手術の同意や手続き ・専門的な判断や技術が必要な傷の処置 |
補足:爪切り、耳掃除なども身体介護の一環として対応可能!
2006年の介護保険制度改定以降、身体介護として定められるサービスの幅は広がっています。
爪切りや耳掃除以外にも、体温・血圧測定、ストーマ(人工肛門や人工膀胱)装着のパウチにたまった排泄物の廃棄などが身体介護の仕事内容として含まれています。
ただし、爪切りでも周囲に異常(巻き爪など)が認められた場合には対処ができないなど、専門的な判断や技術が求められるケースは除外となっているので注意しましょう。
訪問ヘルパーができないことは介護保険外サービスになる
引用:https://www.photo-ac.com
訪問ヘルパーは家事代行サービスや家政婦に間違われることが多く、介護サービスのついでとしてサービス外の要求をされることが少なくありません。
このような場合には、サービス利用者に介護保険外サービスを利用してもらうのが一般的な対応となります。
代表的な保険外サービス例として以下のようなものが挙げられます。
市区町村が実施する高齢者在宅サービス | おむつサービス、配食サービス、訪問理美容サービスなど |
---|---|
民間企業の介護サービスや高齢者支援サービス | 家事代行サービス、移送サービス、配食サービスなど |
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業) | 通所・訪問による活動援助サービス |
シルバー人材センターの家事・福祉支援サービス | 窓拭き、洗濯、掃除、買い物、通院介助、留守番、会話の相手など |
介護保険外(自費)サービスは各種保険が適応されないオーダーメイドサービスとなるため、ペットの世話や庭の手入れなどを依頼することも可能です。
何度も断っているのにどうしても納得してもらえない場合には、サービス利用者に介護保険外(自費)サービスの利用をおすすめするといいでしょう。
▼訪問ヘルパーにかかる費用や介護保険外サービスに関する記事はこちら
>>訪問ヘルパーさんの依頼にかかる費用はいくら?老人ホームとの違いについても徹底比較!
訪問ヘルパーができないことを断る実例をまとめてみた
引用:https://www.photo-ac.com
いざサービス利用者に訪問ヘルパーができないことを求められると、人によっては断り辛かったりつい引き受けてしまった…というケースもあるでしょう。
ここからは訪問ヘルパーができないことを断る実例をまとめてみたので、断りきれずに悩んでいた方は参考にしてみてください。
家族分の料理も頼まれた
サービス利用者の料理を作った際に、家族分もついでに頼まれてしまうケースは比較的多く聞く悩みの一つです。
この場合の対応として、まず「介護保険のサービスはご本人の援助に限られているんです」という旨をちゃんと利用者に伝えることが大事です。
「ちょっとくらいなら…」と大目に見てしまうと、どんどん断れなくなるばかりか、事業所や他のヘルパーさんの迷惑にもなりかねません。
ただ「規則ですので」と断るのではなく、市区町村や民間企業による配食サービスがあることを助言してあげたり、より親身になって問題を解決する方向に導いてあげる気持ちを忘れないようにしましょう。
酒タバコの購入を求められた
お酒やタバコが好きなサービス利用者からは、日用品の買い物ついでに嗜好品の買い物を頼まれるケースが予想されます。
嗜好品類の買い物は介護保険外サービスに該当しまうので、ハッキリと断らなければいけません。
利用者によっては強気な態度で「一緒に買ってきてくれてもいいじゃないか!」と言い張る方もいらっしゃると思いますので、迷わず事業所の責任者に相談し、直接説明してもらうようにしましょう。
嗜好品とはいえ、体に害する物を訪問介護員が購入するという行為そのものにも問題がありますので、「お医者様からも止められていますので」と内情を伝えることでより理解を示してもらえるかもしれません。
▼酒タバコの買い物に関する関連記事はこちら
>>訪問ヘルパーは酒タバコの買い物代行ができない?できる・できないサービスについて
ペットの世話・庭の手入れをお願いされた
ペットの世話や庭の手入れに関しても、断り方は家族分の料理を頼まれたケースと同様の対処で問題ありません。
しかし、「あれもこれも駄目」と一方的に断られ続けるのは利用者にとって良い気分ではないはず。
そんな時は、断りつつも提案をしてあげてみてはいかがでしょうか。
「そろそろペットのご飯をあげてみませんか?」や「気分転換に庭の手入れでもしてみませんか?」と助言をしてあげたり、自立支援として促してあげることは問題ありません。
直接手を出すことはできなくても、断るだけが選択肢ではないということも念頭に置いておきましょう。
「おすすめの施設を教えてほしい」と相談された
利用者によっては訪問ヘルパーにおすすめの施設を教えてほしいと相談するケースもあるようです。
ネット上の口コミで見つけたリアルな相談として、以下のような投稿がありました。
自宅でのお一人の生活に不安を覚えだしたのか、先日訪問時、友達からいい施設を聞いたけど名前や場所が分からないと言われて、その場でスマホから調べてました。その時、自宅の近くにも色々ありますよ。と教えると、何件か聞いてこられ、その中からご本人が気に入った情報の施設のお名前と電話番号をメモに控えて差し上げました。
後日、利用者さんがケアマネにヘルパーさんがいい施設を探してくれたと言われたらしく、この行動が重大な禁止事項と報告され、社長から厳しく叱咤されました。
上記の場合、訪問ヘルパーさんは好意のつもりで対応されたようですが、事業所としては「利用者が減る」という問題に繋がるため、見逃せる状況ではなかったようですね。
事業所によってルールは異なってくるかもしれませんが、万が一利用者から介護関連の相談をされた場合は自己判断で解決せず、まずはサービス責任者に相談するというのが最善策となります。
「事業所の責任者に相談してみますね」と前向きに答えてあげることで、利用者も安心できるのではないでしょうか。
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーができない仕事について、実例を踏まえて紹介してきました。
訪問ヘルパーの現場はサービス利用者と1対1の対応が基本となるため、自己判断が難しいシチュエーションや臨機応変な対応を求められるケースが多くなります。
お互いの立場を理解しつつ、できること・できないことをちゃんとサービス利用者に伝えて、できる範囲内で寄り添ってあげるよう心がけていきましょう。