訪問看護ヘルパーのサービスを受けるなら医療保険?それとも介護保険?
「訪問看護や訪問ヘルパーサービスで生活を支援して欲しい」
高齢化の影響で訪問サービスの需要は増しています。その中でも訪問看護は医療保険・介護保険の2つが適用となり、一体どちらを受ければいいのか?…と疑問を持つ方は多いでしょう。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問看護や訪問介護などのヘルパーサービスに関わる医療保険・介護保険について徹底解説。
医療保険と介護保険によるメリットの違いがわかります。
訪問看護ヘルパーサービスには医療保険と介護保険の2つが適用される
引用:https://www.pakutaso.com/20190649175post-21565.html
訪問看護ヘルパーとは、看護師が自宅へ訪問し医療処置やケアを行ってくれるサービスです。訪問介護や通常のヘルパーサービスと違い、より医療面が中心となっています。
そしてケアと医療的な処置の両方がかかわることから、訪問看護サービスでは「医療保険」「介護保険」の2つが適用となります(なお今回は民間保険ではなく、国が運営する公的保険を軸に話を進めていきます。)
ではそんな医療保険と介護保険によって、どんな差が生まれるのか。どちらも国が支える仕組みであり、どちらの保険を利用してもサービス内容が変わることがないため、悩みますよね。
まずはそんな各保険の概要について、詳しくみていきましょう。
【訪問看護ヘルパー】医療保険の概要
医療保険は主に「医療行為」に対して支払われたお金を保障してくれます。全国民に加入の義務があり、病院が3割負担で済むのも医療保険に加入しているからです。
そんな医療保険を利用して訪問看護サービスを受ける場合、以下のような条件が発生します。
- 保険料…定額(収入によって増減)
- 対象者…小児~40歳未満の介護保険適用外の者、要介護・要支援認定外の者
- 支給額…限度なし
- 利用回数…原則週に3回(条件によってはそれ以上も可)
- 利用時間…最大90分まで
訪問看護サービスに関して、医療保険の支給限度は特にありません。主治医にサービス利用を認められ、訪問看護ステーションと契約する際、症状や必要サービスに合わせて支給額が決定する仕組みとなっています。
【訪問看護ヘルパー】介護保険の概要
介護保険は「要介護・要支援」の利用者が支払ったお金を保障してくれます。なお40歳以上の全員が収入に応じた介護保険料を支払っている状況です。
そんな介護保険を利用して訪問看護サービスを受ける場合、以下のような条件が発生します。
- 保険料…居住地の介護サービス年間利用額などをもとに決定(定額)
- 対象者…要介護・要支援認定者、40~65歳で特定の疾患がある者
- 支給額…限度あり
- 利用回数…支給額に収まる範囲内であれば制限なし
- 利用時間…最大90分まで
介護保険を利用しての訪問看護サービスは、医療保険と比較して自由度が高いです。ただしその分対象者に年齢や要介護認定などによる制限があるため、自分が該当するか確認するようにしましょう。
基本は「介護保険」が優先される
訪問看護サービスにおいて医療保険・介護保険を併用することはできません。
医療保険は「医療処置」に関する支援、介護保険は「日常生活のサポート」に関する支援を目的としています。それらを併用することで目的から外れたサービスを支援している…という解釈に繋がるため、不可となっているのです。
介護保険の給付は医療保険の給付に優先することとしており…
参照:厚生労働省『訪問看護について』
さらに上記のとおり「介護保険が優先される」ということが定められています。そのため介護保険に該当する人が医療保険を希望しても利用は原則不可能です。
ただし特定の疾患を抱えているなどの条件があれば医療保険が優先されるケースもあります。そういった保険による具体的な違いは、後ほど詳しく解説していきます。
医療保険と介護保険の違いについて
引用:https://www.pakutaso.com/20190530122ipadmini-10.html
訪問看護サービスにおける医療保険と介護保険の違いにおいて、最も大きな差は「対象者」です。どのような違いがあるのか、詳しくみていきましょう。
対象者の違いが最も大きい
訪問看護サービスにおいて医療保険と介護保険を利用するうえで、最も大きな違いは「対象者」です。
【医療保険の対象者】
・居宅において継続して療養を受ける状態にあり、通院困難な患者
・40歳未満のもの、および40歳以上の要支援者・要介護者でないもの
【介護保険の対象者】
・居宅における要介護・要支援者
・特定疾病の居宅要介護・要支援者(40歳以上65歳未満)
医療保険の対象者は「自宅での療養が必要かつ要介護認定を受けていない人」であり、介護保険の対象者は「要介護認定を受けた人」となっています。
特定疾病について
厚生労働省が定める特定疾病(16特定疾患)は以下のとおりです。
- がん(回復の見込みがない状態に至ったと判断したもの)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
介護保険適用者を明確にするため、具体的な病名として定められています。上記に該当する場合は40歳~65歳でも、訪問看護サービスにおいて介護保険を利用できます。
訪問看護ヘルパーのサービスを医療保険・介護保険で受けるメリット
引用:https://www.pakutaso.com/20180104030post-14992.html
ここからは訪問看護サービスを医療保険・介護保険を利用することで生じるメリットについて、それぞれ紹介していきます。
医療保険のメリット
医療保険を利用するメリットは「若年層が利用可能なこと」「1か月の利用料に上限がないこと」です。
介護保険と違い40歳未満の方でも利用できます。さらに医師や訪問看護ステーション担当者の判断にて、場合により介護保険の上限額よりも多い支給額で利用することができます。
介護保険のメリット
介護保険を利用するメリットは「週の利用回数に制限がないこと」です。
1か月の上限額に収まる範囲内であれば、回数制限はありません。個々人に合ったサービス計画を立てやすいのは大きなメリットといえますね。
医療保険で訪問看護ヘルパーのサービスを受ける流れとは?
引用:https://www.pakutaso.com/20151207343post-6378.html
医療保険を利用して訪問看護サービスを受けるには、以下の流れで手続き等を行う必要があります。
- 主治医もしくは訪問看護ステーションにて利用の相談
- 診断の上、「訪問看護指示書」を交付
- 訪問看護ステーションとの相談の上、サービス契約を結ぶ
- 訪問看護サービス開始
ポイントとして、主治医から「訪問看護指示書」という治療方針や必要な薬などが書かれた書類をもらう必要があります。交付には時間がかかるため、余裕を持って相談するようにしましょう。
まとめ
引用:https://www.pakutaso.com/20200702192post-28822.html
医療保険・介護保険のどちらを利用すべきかという悩みは、各保険の対象者を理解することで明確になります。
自分がどちらの対象となっているかを把握し、そのうえで主治医や市区町村への相談などを行うとスムーズにやり取りが可能です。