訪問ヘルパーは稼げるのか?相場や働く時間ごとの給料目安を紹介
給料が少ないというイメージの強い介護業界。しかし訪問ヘルパーにて「時給2,000円」など、高単価な求人を見かけた方も多いと思います。
では実際のところ訪問ヘルパーは稼げるのか?
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーの収入目安や具体的な給与水準について徹底解説。
「訪問ヘルパーでいくら稼げるのか」をイメージできます。
訪問ヘルパーとは?
https://www.pakutaso.com/20130118021post-2336.html
訪問ヘルパーとは「訪問介護サービス」に携わる介護士のことです。
訪問介護サービスとは利用者のお宅に訪問し、介護サービスを提供すること。施設介護とは異なり、別名を居宅介護とも言いますね。
なお訪問ヘルパーになるにはいくつか方法があります。
- 訪問介護事業を行う企業に就職する
- 派遣会社にヘルパーとして登録する
- 訪問介護事業所に登録し、登録ヘルパーとして働く
雇用形態は正社員・アルバイトなどさまざま。ただし仕事内容は大きく変わらず、
身体介護 | 食事、入浴、排せつ介助など、身体に関わる介助業務 |
---|---|
生活援助 | 調理、洗濯、買い物など生活のサポートを中心とした業務 |
…の主に2つがあります。身体介護にかかわる業務は介護資格を取得していないと行えず、専門的な知識・技術を要するぶん時給は上がります。
訪問ヘルパーはどのくらい稼げる?相場を徹底調査
https://www.pakutaso.com/202007141915-40.html
訪問ヘルパーはどのくらい稼げるのでしょうか?
正規・非正規および、他介護事業の給料と比較しながら紹介していきます。
訪問ヘルパーの平均給与は29万円
厚生労働省の調査による給与目安は以下のとおり。
特養 | 老健 | 介護療養型医療施設 | 通所介護 | グループホーム | 訪問介護 | |
---|---|---|---|---|---|---|
常勤 | 332,260 | 317,350 | 285,360 | 262,900 | 276,320 | 291,930 |
非常勤 | 239,290 | 260,710 | – | 201,870 | 180,410 | 208,210 |
参照:厚生労働省『平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果』
このなかで特別養護老人ホーム、老人保健施設は「夜勤」が存在します。そのため割増賃金や手当による給与アップが含まれ、給与水準は高いです。
訪問介護が一定の給与水準を保っているのは、「施設の経費がかからないこと・資格所持者が多いこと」などが要因です。
そのほかの特徴として、非常勤の給与は下から2番目となっています。
これは施設介護と比べて移動時間の発生や、仕事量が安定しないといった、労働時間に関するデメリットが影響しています。
▼訪問介護のデメリットに関する関連記事はこちら
>>登録ヘルパーは本業としても稼げる?デメリットや対応策について
訪問ヘルパーの時給は800円から1400円まで様々
厚生労働省の同調査による時給別の集計対象職員数をみると、訪問ヘルパーは時給800円未満から1400円以上まで幅広く存在することがわかります。
時給800円未満 | 70人 |
時給800~899円 | 156人 |
時給900~999円 | 200人 |
時給1,000~1,099円 | 320人 |
時給1,100~1,199円 | 299人 |
時給1,200~1,299円 | 431人 |
時給1,300~1,399円 | 262人 |
時給1,400円以上 | 545人 |
参照:厚生労働省『平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果』
また上記データから、時給1,200~1,400円以上がもっとも多いというのもわかりますね。
ただしこの値は地域や業務内容、資格有無によって大きく変化すると考えられるため、あくまで参考程度に留めましょう。
訪問ヘルパーの「高時給で稼げる」には要注意
訪問ヘルパーおよび登録ヘルパーの求人にて、「時給2,000円」など高水準な給与を目にしたという方も多いのではないでしょうか。
時給2,000円であれば、1日4時間×週3日働いただけでも月10万円を超えます。そのため一見稼ぎが多いように感じますよね。
しかし訪問ヘルパーの高時給には注意が必要です。
なぜなら「移動時間が換算されていない」「高時給な身体介護業務はかなり少ない」という2つの問題があるから。
それぞれ詳しくみていきましょう。
訪問ヘルパーは「移動時間」が換算されないことも
訪問ヘルパーは業務にて、利用者宅から次の利用者宅への移動が発生します。
必要な移動時間は時給として換算されるケースが多いのですが、「必要超過の移動時間は時給換算されない」というリスクも。
例えばAさん宅からBさん宅まで30分の移動時間を確保したとします。
しかしBさん都合によって入り時間がずれ込み、移動を含む空き時間が1時間になったとすると、必須の移動時間外となる30分には時給が発生しません。
そのため本来稼げたはずの給料が発生しない…という状況になります。
施設介護等ではこういった事態が発生しないので、訪問ヘルパーならではのデメリットとして知っておきましょう。
身体介護が少ない
より高い技術を求められる身体介護は、そもそも仕事数自体が少なかったり、ベテラン職員に割り振られてしまったりすることが多いです。
しかし高時給は身体介護業務に該当する値のため、「実際は時給1,200円の生活援助業務が9割だった」など、期待とは違う給料になってしまうことも多々。
具体的に身体介護はどの程度あるのか。自分のスキルなどと照らし合わせながら、面接等で確認するのがオススメです。
▼訪問介護の給料に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーと保育園について徹底解説!働く時間を増やして収入を増やすには
>>登録ヘルパーの給与はどれくらいもらえる?働き方や稼ぎ方について紹介
訪問ヘルパー1日の流れと給料イメージ
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ここからは訪問介護で稼ぐイメージを深めるべく、訪問ヘルパーの主な1日の流れを紹介します。
8:30 | 事業所へ出勤および移動 |
9:00~ | 訪問1件目(着替えと移乗) |
9:30~ | 移動 |
10:00~ | 訪問2件目(入浴介助) |
11:30~ | 昼休憩(1時間) |
12:30~ | 移動 |
13:00~ | 訪問3件目(清掃など) |
14:00~ | 移動 |
14:30~ | 訪問4件目(買い物) |
15:30~ | 移動 |
16:00~ | 訪問5件目(調理) |
16:30 | 業務終了 |
上記スケジュールの場合、業務4.5時間+移動2.5時間=7時間が労働時間です。
そのうち身体介護はおよそ2.0時間、生活援助は2.5時間として計算します。なお身体介護の時給は2,000円、生活援助および移動の時給は1,200円です。
すると1日の給料は(2,000円×2.0時間)+(1,200円×4.5時間)=9.400円となります。
週3日間働いたとして、1か月でおよそ12万円。月全体でみると身体介護の頻度が下がってしまったり、スケジュールに穴ができたりといったリスクを想定しても、およそ9~10万円ほどが想定できますね。
訪問ヘルパーの稼ぎを増やすには?
https://www.pakutaso.com/20170608177post-12212.html
ここからは訪問ヘルパーで稼ぎを増やすコツを3つ紹介していきます。
①介護資格を取得する
1つ目の稼ぎを増やすコツは「介護資格の取得」です。
訪問ヘルパーは介護資格の取得により資格手当がつく場合が多く、事業所によっては1万円以上の手当になることも。
特に国家資格である「介護福祉士」の資格手当は額が大きくなりやすいです。
取得するには3年間の実務経験と下位資格である介護福祉士実務者研修の修了等が必要なため、長期スパンで計画を立ててみてください。
②複数の事業所に登録する
2つ目のコツは「複数の事業所に登録する」です。
複数の事業所に登録するメリットは、「業務がない」という事態を防ぎやすくなることにあります。
例えばA社にて13:00~16:00の業務がなくなってしまった場合、代わりにB社で仕事を入れる…という臨機応変な対応ができるのです。
ただし無駄のないスケジュールを立てやすくなる反面、シフトが被るなどのリスクも生じやすくなります。そのため慎重にシフトを組む調整力が求められますよ。
③時給の高い事業所に絞る
3つ目のコツは「時給の高い事業所に絞る」というものです。
仮に時給1,000円と時給1,500円で月6時間×週3日働いたとすると、月給は7.2万円と10.8万円。同じ業務量にもかかわらず、3万円近くの差が生じます。
これはかなり損ですよね。そのため少しでも高い事業所に移ったり、身体介護の多い事業所のシフトを増やしたり…といった工夫は有効といえます。
また訪問介護事業所は数が多く、人手不足の影響で有効求人倍率が10倍などを超えることも多々。
より時給の高い事業所を選ぶことは決して難しくはありませんので、求人サイトや口コミをもとに、より高時給な事業所を探してみましょう。
まとめ
https://www.pakutaso.com/2020064117510-43.html
訪問ヘルパーは、工夫次第で高時給にて稼げる仕事といえます。しかし移動時間や身体介護業務の少なさなどを考慮すると、実際は稼げない…というリスクがあるのも事実。
またスキマ時間に高時給の仕事を組み込むなど、工夫次第では主婦などの忙しい人でも稼げる可能性があります。
そのため安易に高時給へ飛びつくのではなく、自分の希望する働き方や生活リズムを踏まえながら、訪問ヘルパーとしていくら稼げるのか、ぜひ細かく計算してみてください。