訪問ヘルパーは楽なのか?施設介護と徹底比較
利用者の自宅に訪問し、調理や買い物といった生活支援から、入浴・排せつなどの身体介護を行う訪問ヘルパー。
- 働きづめの施設介護と比べて移動時間がある
- 1人の利用者と向き合える
上記のような特徴を踏まえても、比較的”楽そう”だという印象を持つ方は多いのではないでしょうか?
そこで今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーは本当に”楽”なのか?を徹底解説。
施設介護と比べながら、本当に楽かどうか理解を深められますよ。
訪問ヘルパーは本当に楽なの?
https://www.pakutaso.com/20190715204post-21794.html
結論からいえば、訪問ヘルパーは決して”楽”な仕事とは言えません。
なぜなら、いくつかの”楽”ではないといえるデメリットがあるからです。
その中でも代表的なデメリットは以下のとおり。
- 移動が多い
- 臨機応変さが求められる
- 仲間のサポートを受けづらい
それぞれ詳しく解説していきます。
訪問ヘルパーが楽ではない理由①「移動が多い」
訪問ヘルパーが楽ではない理由の1つ目は、「移動時間が多いこと」です。
訪問ヘルパーは施設介護と違い、利用者宅から次の利用者宅への移動が発生します。
移動時間は気分転換になるというメリットもある反面、距離が遠い場合は疲労が蓄積しやすかったり、真夏や真冬など天候による影響を受けやすかったりと、デメリットも多いです。
事業所によっては自転車や徒歩での移動も多く、身体的な負担は大きくなりやすいといえますね。
さらに事業所によっては、余分な移動時間を時給から差し引かれるなどのケースも。
そのため移動時間はデメリットにも繋がりやすいという点を理解しましょう。
▼訪問介護の移動時間に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーの移動時間問題!労働と認められる条件を徹底解説
訪問ヘルパーが楽ではない理由②「臨機応変さが求められる」
訪問ヘルパーが楽ではない理由の2つ目は、「臨機応変さが求められること」です。
訪問介護ではどの業務を何時間行うかが、サービス提供責任者およびケアマネジャー等によって細かく決められています。
そのため利用者が「ついでに掃除もお願いしたい」など、イレギュラーな相談をしてきた際にうまく断るといった繊細な対応が求められるのです。
気分を害さずに断るのは、慣れるまで気疲れにつながります。
さらに通常の業務でも時間に追われることで疲弊することが多く、メンタルの維持が難しいという点はデメリットとして押さえておきましょう。
▼訪問ヘルパーの向き不向きに関する記事はこちら
>>訪問介護に向いている人の特徴について解説!
訪問ヘルパーが楽ではない理由③「仲間のサポートを受けづらい」
訪問ヘルパーが楽ではない理由の3つ目は、「仲間の協力が得られない」という点です。
複数の介護士で業務を行える施設介護と違い、訪問ヘルパーは1人でサービスを提供する必要があります。
そのためどんなに忙しくても、イレギュラーな問題が生じた場合、1人で解決しなくてはなりません。
このプレッシャーや責任に耐えながら業務を行うという点で、精神的に苦労するヘルパーは多いです。
またベテラン職員や管理者の業務を「見て覚える」ということが難しいため、教育という観点でもデメリットは大きいです。
OJT研修等がシッカリしている事業所を選び、成長できる職場を探すことにも労力がかかるでしょう。
訪問ヘルパーと施設介護はどちらが楽なのか?
https://www.pakutaso.com/20180641163-lower-level.html
ここからは訪問介護と施設介護はどちらが楽か比較すべく、訪問ヘルパーと施設介護のメリットをそれぞれ紹介していきます。
施設介護のメリット
施設介護で働くメリットは以下の3つ。
- 日々の業務でスキルアップが図れる
- 他の介護士と連携がとれる
- 夜勤により給与水準が高い
それぞれ詳しく解説していきます。
1.日々の業務でスキルアップが図れる
1つ目のメリットは、「ベテラン職員や教育環境の充実によるスキルアップ」です。
施設介護では複数人のスタッフが同時に介助を行います。そのため長年介護経験のあるベテラン職員を間近に観察し、技術を学ぶことが可能。
さらに施設長をみて、マネジメント関連の仕事を覚えることもできます。
普段から1つの場所で多種多様の業務を吸収できるのは、施設介護ならではのメリットといえるでしょう。
2.他の介護士と連携がとれる
2つ目のメリットは、「他の介護士と連携がとれること」です。
複数の介護士が同時に業務を行う施設介護では、通常それぞれに別の仕事が割り当てられます。
ですがイレギュラーな事態や、1人では解決できない問題が発生した際は周りがサポートしてくれます。
これは1対1で介助を行う訪問ヘルパーにはないメリットです。特に未経験や介護経験の浅い初心者は、普段から安心して業務を行えるため、精神的な負担が軽減できるでしょう。
3.夜勤により給与水準が高い
3つ目のメリットは、「給与水準が高くなること」です。
厚生労働省の調査によると、夜勤のある特別養護老人ホーム、介護老人保健施設といった施設は訪問介護と比べて給料が高い傾向にあります。
特養 | 老健 | 介護療養型医療施設 | 通所介護 | グループホーム | 訪問介護 | |
---|---|---|---|---|---|---|
常勤 | 332,260 | 317,350 | 285,360 | 262,900 | 276,320 | 291,930 |
非常勤 | 239,290 | 260,710 | – | 201,870 | 180,410 | 208,210 |
参照:厚生労働省『平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果』
施設によっては1回の夜勤で5,000円以上の手当が付くこともあり、割増賃金も加えて月換算すると、およそ2~4万円もの差が生じます。
生活リズムの乱れにつながる恐れがある夜勤。ですが給料面をみれば大きなメリットといえるでしょう。
訪問ヘルパーのメリット
続いて訪問ヘルパーならではのメリットは以下のとおり。
- 1人1人と向き合って介護ができる
- 時間の融通が効きやすい
- 従業員同士のトラブルが少ない
それぞれ詳しくみていきましょう。
1.利用者1人1人と向き合って介護ができる
1つ目のメリットは、「マンツーマンで介護ができる」という点です。
訪問介護は施設介護と違い、毎回1対1の介護となります。相手の言動、表情、性格などをより吟味することが可能なため、利用者と向き合った介護がしやすいです。
利用者1人1人のニーズに応え、満足していただくという介護本来のやりがいを感じやすいのは、訪問ヘルパーの大きなメリットといえますね。
2.時間の融通がききやすい
2つ目のメリットは、「時間の融通が効くこと」です。
訪問介護は1サービスにつき最大90分までと時間がきまっています。
そのため職員の予定によって細かくシフトを調整することができるのです。
ただし他の職員の代わりに出勤…といった対応が求められることもあるため、忙しい主婦層の多い職場などは、そこまで融通が効かないという可能性もあります。
その際は事業所に空いた時間を登録して働ける登録ヘルパーとして、プライベートな時間を大切にしながら働くことなどを検討しましょう。
総合的にみて自分の時間を大切にしながら働けるのは、訪問ヘルパーの強みといえますね。
▼訪問介護の働き方に関する記事はこちら
>>通勤時間に縛られない登録ヘルパーの働き方|メリットやデメリットについて
3.従業員同士のトラブルが少ない
3つ目のメリットは、「従業員同士のトラブルが少ない」という点です。
訪問介護の現場は、基本的にはサービス利用者と1対1の仕事になります。
仕事中に従業員同士で揉め事になるケースは少なく、一人で黙々と仕事に集中したい方には向いているでしょう。
訪問ヘルパーは楽ではないが、やりがいも多い
https://www.pakutaso.com/20180845215post-16983.html
訪問ヘルパーは国が推奨する「在宅医療・介護」において、最前線の仕事です。
■施策を総動員し、「在宅医療・介護」を推進
○予算での対応
・平成24年度補正予算や平成25年度予算により、在宅医療・介護を推進
(中略)
○組織
・省内に「在宅医療・介護推進プロジェクトチーム」を設置し、在宅医療・介護を関係部局で一体的に推進
自分らしい生活を送りたいという利用者の願いに応えることができ、需要も年々増しています。
そのため訪問ヘルパーとしてのスキルを早めに磨くことで、介護士として長く働き続けることが可能です。
さらに1対1の介護を極められるという点でも、やりがいは大きいといえます。
先述したように大変な面も多い仕事ですが、メリットと比較検討し、自分に合うかどうか考えてみることをオススメします。
まとめ
https://www.pakutaso.com/20201104314post-31732.html
訪問ヘルパーは施設介護などと比較しても、決して”楽”とはいえない仕事です。
しかし、どんな仕事にもメリット・デメリットがあるように、訪問ヘルパーにも良い面・悪い面はあります。
その両方をしっかりと理解したうえで、自分の希望に合うかどうか検討してみてください。