訪問ヘルパーがやってはいけないこと|Q&Aや断り方を紹介
訪問ヘルパーの仕事は、サービス利用者に頼まれてもやってはいけないことがたくさんあります。
しかし、訪問介護は臨機応変な対応が求められる現場です。
マニュアルとは異なる対応が求められるときもあるでしょう。
現実問題、暗黙の了解として「ケアプランとは異なる対応をしてしまった」という事例や悩み相談が多いです。
そこで、今回「みーつけあ」は、口コミ情報を元に訪問ヘルパーがやってはいけないことについてまとめてみました。
訪問介護の現場で、やってはいけないことに関して悩みを抱えていた方は、ぜひ参考にしてみてください。
訪問ヘルパーがやってはいけないことQ&Aまとめ
引用:https://www.photo-ac.com
やってはいけないことは徹底するべき
仕事をしている中で「本当はやってはいけない」けれどやってしまっていることってありますか?
ヘルパーを始めたのですが、「本当はやっちゃいけないんだけどね」と言う言葉に戸惑っています。
A.訪問ヘルパーができる仕事は、基本的にケアプランに基づいたサービスのみです。
サービス内容と異なる頼み事は、決して引き受けてはいけません。
万が一、引き受けてしまった場合には、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。
- 利用者が知人に話してしまい、別の利用者が事業所に「差別だ!」と訴えた。
- 利用者が他の担当ヘルパーに「〇〇さんは引き受けてくれた!」としゃべってしまい、内部告発に発展。
ヘルパーさんによっては、どうしても断りきれずにケアプランにはない買い物をしてしまい、担当から外されてしまったというケースもあります。
親切のつもりだとしても、やってはいけないことを引き受けて困るのは自分自身です。
事業所の信頼を失い、仕事がなくなってしまっては元も子もありませんよね。
やむを得なかったとしても、正直に経緯を事業所に報告し、相談しながら対応していきましょう。
利用者からお茶や菓子折りを出されたとき…
訪問ヘルパーをしています。いけないこととは思いながら、出されたお茶・コーヒーをいただくことが多いです。他の方はどうしてますか?
A.大前提として、サービス利用者から頂いたものは、すべて断るのがルールです。
しかし、サービス利用者によっては、無理矢理にでも渡してくる方が必ずいらっしゃいます。
どうしても断りきれなかった場合は、必ずサービス責任者に報告しましょう。
その後の対応は各事業所によって異なりますが、きちんと報告することでトラブルに発展する可能性は減らせます。
ヘルパーとしては「お茶を頂いただけ」かもしれません。しかし、貰い物というのはエスカレートするのが定石。
担当者によって対応に違いが起きてしまっては、揉め事に発展するのは時間の問題です。
「お気持ちだけで充分です」と、感謝の気持ちは忘れず、一定の距離感を保つことだって礼儀ではないでしょうか。
仕事の確認ミスについて
登録ヘルパーとして働き始めて2ヶ月です。
服薬確認(食事後もしくは寝る前に服薬のもの)を忘れて終えて出て来てしまいました。翌朝、サ責に正直に打ち明けようと思っていますが、これは結構大変なことでしょうか?
A.仕事内におけるミスは、即時報告が鉄則です。
今回の相談では服薬忘れという一大事。
内容を中略していますが、質問者は18時に仕事を終え、21時に服薬を忘れたと気付きます。
急いで利用者の自宅に向かったものの、すでにご本人は就寝中。
事業所の関係者は、すでに退勤していたと話しています。
すぐに行動したことは、悪いことではありません。
しかし、順番としては「すぐにサービス責任者、又は関係者に報告」が第一優先です。
どんなミスであっても、報告が遅れるほど大きな問題に発展してしまいます。
誰でもミスはありますので、できる限り迅速な報告を心がけましょう。
事業所の考えと合わないとき…
訪問ヘルパーがやってはいけない内容の援助を頼まれ断るのが苦痛です。
管理者に話してもやりたくなければ自分で断れと言われました。
A.残念なことに、すべての事業所が適切な判断のできる環境とは限りません。
質問者のように、相談しても「自分でなんとかしろ」と言われてしまう方がいらっしゃいます。
仕事仲間として合わないと感じるのであれば、思い切って職場を変えてみるべきでしょう。
また、質問者は続けて以下のように話しています。
管理者が現場に出ている時はケアプラン以外の援助をしています。
訪問ヘルパーが自己判断でやってはいけないことはありますが、サービス責任者や管理者が、介護保険サービスとは関係なく、ボランティアや保険外サービスを提供する可能性は十分にあります。
質問者の内容だけでは状況を判断しかねますが、流れとしては以下のような対応が理想的です。
- 利用者から訪問ヘルパーがやってはいけないサービスを頼まれたら断る
- サービス責任者に報告し、アドバイスをもらう。
- 指示通りに行動して経過報告を行う。
- 改善がなければ、サービス責任者が直接対応する
事業所とヘルパーが、しっかりと意思の疎通ができて初めて、介護サービスは成立します。
環境によっては、「自分の身は自分で守る」ということも考えておくべきでしょう。
▼関連記事はこちら
>>訪問ヘルパーのサービス内容とは?できること・できないことをまとめて紹介
訪問ヘルパーがやってはいけないことの断り方:生活援助
引用:https://www.photo-ac.com
訪問ヘルパーができるのは、介護保険法に基づいた生活支援のみです。
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
ここからは、訪問ヘルパーの仕事内容と照らし合わせて、やってはいけないことについて詳しく紹介していきます。
訪問ヘルパーが生活援助でやってはいけないこと
訪問ヘルパーが、生活援助でやってはいけないことは以下になります。
生活援助の仕事内容 | やってはいけないこと |
---|---|
・掃除や洗濯 ・調理※配膳や片付けを含む ・生活に最低限必要な日用品・食料の買い物 ・ベッドメイク | ・利用者と関係のない掃除や洗濯、調理全般 ・年末の大掃除、おせち料理 ・庭の手入れ ・嗜好品の買い物(私生活に差し支えのない酒・タバコなど) ・ペットの世話 ・来客応対 |
訪問ヘルパーができる生活援助は、サービス利用者自身の生活を支援するサポートのみです。
生活援助:やってはいけないことの断り方
では、実際に生活援助でやってはいけないことを頼まれたとき、どのような対応をすれば良いのでしょうか?
一例をいくつか紹介します。
・「家族のご飯も作ってほしい」
回答例:「すいません、介護保険サービスではご本人様の分しか準備できないんです」
丁寧な言葉を嫌う方には、多少砕けた口調でも問題はありません。
担当するサービス利用者のニーズに合わせた口調で、優しくきっぱりと断りましょう。
・「庭の手入れをしてほしい」
回答例:「すいません、ご本人様の身の回りのことしかできません」
こちらも、できる限り優しく断るようにしましょう。
ときには「水やりをしてみませんか?」と、自立支援に繋がる言葉で励ましてみるといいかもしれません。
・「ペットの世話をしてほしい」
回答例:「そろそろご飯を欲しがっているかもしれませんよ」
庭の手入れと同様、訪問ヘルパーが直接介入することは禁止です。
しかし、サービス利用者が自立するきっかけを与えることはできます。
興味に繋がる言葉をかけてあげてはいかがでしょうか。
・「酒・タバコを買ってきてほしい」
回答例:「お医者様から止められています」
嗜好品の購入は、訪問ヘルパーに適切ではない買い物です。
より説得力のある言葉でしっかり断るようにしましょう。
▼訪問ヘルパーのタバコに関する記事はこちら
>>訪問ヘルパーは酒タバコの買い物代行ができない?できる・できないサービスについて
訪問ヘルパーがやってはいけないことの断り方:身体介護
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生活援助に比べ、より専門的な介護技術が必要となる「身体介護」。
厚生労働省は、身体介護の定義について以下のように説明しています。
- 利用者の体に直接触れて行う介助サービスは準備、後片付けなどの一連の行為を含む
- 利用者の「ADL、IADL、QOL(日常的動作や生活の質)」や意欲向上のために行う自立支援と重度化を防止するサービス
- その他専門知識や技術を要する日常生活、社会生活のためのサービス
訪問ヘルパーが身体介護でやってはいけないこと
身体介護でやってはいけないことは、以下になります。
身体介護の仕事内容 | やってはいけないこと |
---|---|
・食事の介助 ・入浴の介助(洗面、清拭も含める) ・排泄の介助 ・服薬の介助 ・ベッドなどの移動介助 ・着替えの手伝い | ・散髪 ・医療行為 ・マッサージ ・カミソリを使った除毛 ・リハビリの補助 |
身体介護:やってはいけないことの断り方
身体介護でやってはいけないことは、主に医療行為に繋がることが多いです。
一例をいくつか紹介していきます。
・「髪を切ってほしい」
回答例:「プロにやってもらった方が綺麗になりますよ」
散髪は「理容行為」にあたるため、介護保険サービスではできません。
上記で紹介したとおり、カミソリの使用も禁止です。
ただし、電気シェーバーは利用できるので、代わりに対応してあげると良いでしょう。
・「マッサージをしてほしい」
回答例:「少し強めに体を拭きますね」
マッサージは、介護保険サービス外のサービスになります。
しかし、身体介護の中で少し圧をかけてあげる程度なら可能です。
本格的なマッサージは優しく断り、身体介護サービスの中で、できる限りを尽くしましょう。
・「爪を切ってほしい」
回答例:「怪我をさせてしまうかもしれないので、やめておきましょう」
爪切りや耳掃除は、体に異常がないサービス利用者に限られます。
皮膚疾患や巻爪など、医療行為に伴う状況の場合は、断る必要があるので注意しましょう。
・「便秘を改善してほしい」
回答例:「医療行為はできないので、温めておきますね」
浣腸や座薬の使用は、医療行為にならないため対応が可能です。
しかし、各事業所の指示に従って判断する必要があります。
摘便に関しては医療行為にあたるため、できる範囲の支援を心がけましょう。
▼関連記事はこちら
>>訪問ヘルパーができないことってどんな仕事?実例をまとめて紹介!
訪問ヘルパーがやってはいけないことは自費サービスで解決!
引用:https://www.photo-ac.com
自費(介護保険外)サービスとは、介護保険法では対応できない生活支援ができるサービスです。
一例として、以下のようなサービスがあります。
市区町村が実施する高齢者在宅サービス | おむつサービス、配食サービス、訪問理美容サービスなど |
---|---|
民間企業の介護サービスや高齢者支援サービス | 家事代行サービス、移送サービス、配食サービスなど |
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業) | 通所・訪問による活動援助サービス |
シルバー人材センターの家事・福祉支援サービス | 窓拭き、洗濯、掃除、買い物、通院介助、留守番、会話の相手など |
訪問ヘルパーができないような、「ペットの世話、庭の手入れ」などを、依頼することができます。
何度も断っているのに、どうしても納得してもらえないときは、自費(介護保険外)サービスの利用をおすすめしてみましょう。
▼訪問ヘルパーにかかる費用や介護保険外サービスに関する記事はこちら
>>訪問ヘルパーさんの依頼にかかる費用はいくら?老人ホームとの違いについても徹底比較!
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com
訪問ヘルパーは、頼まれれば何でもできる「便利屋」ではありません。
とはいえ、介護保険法に基づいた支援について、正しく理解しているサービス利用者は少ないのではないでしょうか。
お互いを理解するためには、介護の専門家である訪問ヘルパー自身が、利用者に対して積極的に意思表示をしていくことが重要です。
一人で悩まず、事業所と相談しながら利用者と歩み寄っていきましょう。