介護職の支給率は72%?!訪問ヘルパーの慰労金について
新型コロナウイルスの感染拡大は、介護業界に大きな影響を及ぼしています。
「人手不足、収支の悪化、衛生用品の費用増加」など、営業困難に陥っている事業所は後を絶ちません。
そんな中、政府は介護業界に「介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業」を設けました。
では、訪問ヘルパーの慰労金はどのようになっているのでしょうか?
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーの慰労金について、近況や申請方法を紹介していきます。
慰労金の給付は訪問ヘルパーも対象である
引用:https://www.photo-ac.com
2020年5月、政府は「第2次補正予算案」を、閣議にて決定しました。
これによって、介護サービスの事業所や施設で働く全ての職員を対象に、慰労金が給付されることとなります。
政府は予算額として4,132億円を確保。支援事業内容は大きく4つに分けられました。
- 介護サービスの提供や、「消毒液・マスク」などの備蓄支援
- 介護事業所・施設で働く職員への慰労金給付
- サービス利用を休止しているケアマネージャー・介護サービス事業所への再開支援
- 各都道府県の事務費
詳しくは、厚生労働省資料をご確認ください。
慰労金が給付されるには条件がある
慰労金の給付は、対象期間内に通算10日以上勤務し、サービス利用者と接していたことが条件となります。
厚生労働省はこの対象期間を、新型コロナウイルス感染症患者1例目の発生日、もしくは受け入れ日のいずれか早い日から、2020年6月30日と説明しました。
また、「サービス利用者と接していた」という対象範囲を、以下のように説明しています。
利用者との接触とは、身体的接触に限られるものではなく、対面する、会話する、同じ空間で作業する 場合も含まれます。利用者がいる建物から離れた別の建物に勤務し、物理的に利用者に会う可能性が全 く無いような場合は対象とはなりません。
また、利用者と接触する日が1日でもあれば対象となります。 なお、最終的な判断は都道府県が行うこととなりますが、一義的には各事業者で判断いただくことになります。
この対象期間内に条件さえ満たしていれば、すでに退職している方でも慰労金を給付することが可能です。
また、対象者は訪問介護、施設介護職員に限定されているわけではありません。
利用者との接触が見込まれる「サービス責任者、事務員、調理員、送迎ドライバー、リネン業者」なども、対象者として認めています。
しかし、「一義的には各事業者で判断いただく」と説明している点から、対象基準に関しては各都道府県、各事業所で異なってくるでしょう。
訪問ヘルパーがもらえる慰労金の金額は?
引用:https://www.photo-ac.com
慰労金の支給額は、新型コロナウイルス感染者と「どのように接したか?」によって異なります。
ここからは、訪問ヘルパーがもらえる慰労金の金額について紹介していきます。
慰労金は最大で20万円が支給される
慰労金は、サービス利用者と接する職員に対して、最大で20万円支給されます。
しかし、実際には20万円の支給対象者以外への支給額は、5万円で固定です。
慰労金の給付額は、以下のように割り振られています。
20万円の支給対象者 | 新型コロナウイルス感染者、または濃厚接触者発生日以降に施設で勤務を行った職員。 あるいは、新型コロナウイルス感染者、または濃厚接触者にサービスを提供した職員。 (1日でも接していれば該当します) |
---|---|
5万円の支給対象者 | 20万円の支給条件に該当しない施設や職員 |
慰労金の対象期間内に、新型コロナウイルス感染者、または濃厚接触者が発生していない場合は、5万円で固定ということになりますね。
また、所属する事業所・施設で、新型コロナウイルス感染者、または濃厚接触者が発生していたとしても、慰労金の支給対象期間内に一度も勤務していなければ、給付対象にはなりません。
あくまで、対象期間内に10日以上勤務していることが、慰労金を支給される条件となります。
詳しくは、下記資料をご参考ください。
訪問ヘルパーの慰労金申請方法について
引用:https://www.photo-ac.com
慰労金を申請するには、所属する事業所に代理委任状を提出する必要があります。
すでに退職している場合は、所属していた事業所に申請、もしくは各都道府県に直接申請しましょう。
※勤務期間は事業所や施設、法人から証明書を取得する必要があります。
申請書は、厚生労働省の公式ページよりダウンロードが可能です。
▼給付期間に関しては、厚生労働省の資料をご確認ください。
>>都道府県ごとの慰労金など交付状況-厚生労働省
2020年10月末で介護職の支給率は72%
引用:https://www.photo-ac.com
申請があった事業所に対して、慰労金が支給された割合は2020年10月末で72%であると、厚生労働省が明らかにしています。
慰労金が支払われていない事業所・施設への対応として、厚生労働省は「速やかに職員の手元に渡るよう重ねて努力していく」と答えました。
「事業所が申請してくれない」という口コミも…
ネット上では、「事業所が慰労金の申請をしてくれない」という相談が多いです。
このような事態に発展している背景として、以下のような原因が挙げられます。
- 事業所が慰労金の申請手続きに対応し切れていない
- 支給対象に関する判断が難しく、従業員同士のトラブルを懸念している
- そもそも慰労金に関する事業所の理解が足りていない
実際に、コールセンターへ相談する支給対象者が後を絶ちません。
このような状況を経て、厚生労働省は2020年8月頃から各事業所へ慰労金手続きの申請要請を呼びかけました。
想定外となる対応が重なり、結果的に「慰労金の給付対応が大幅に遅れる自体へと発展した」とも考えられるでしょう。
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com
老人福祉・介護事業の倒産件数は、2020年だけで118件と過去最多です。
2021年も引き続き、新型コロナウイルスの猛威はとどまることがなく、介護業界に大きな負担をかけています。
しかし、高齢化社会が避けられない現代では、介護サービスは決して欠かすことのできない事業です。
引き続き、2021年の対策に注目が集まるでしょう。