訪問ヘルパーの移動時間と空き時間の違いについて解説!
「訪問ヘルパーの移動時間って、時給換算されるの?」
「訪問ヘルパーの時給が高いのは、交通費が支給されないからって本当?」
このような口コミを、ネット上では多く見かけます。
実際に訪問介護の事業所は、訪問ヘルパーの移動時間をどのように対応されているのでしょうか?
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーの移動時間と空き時間の違いについて解説していきます。
訪問ヘルパーの移動時間は時給換算されるのか?
引用:https://www.photo-ac.com
まず結論ですが、訪問ヘルパーの移動時間は、「原則として労働時間に該当する」と、厚生労働省は呼びかけています。
2021年1月15日には、「訪問介護労働者の移動時間等の取扱いについて(周知徹底)」と題し、改めて各事業所へ周知徹底を努めるよう促しています。
しかし、未だに事業所によって移動時間の対応はバラバラです。
- 移動時間を時給換算している事業所
- 移動費として定額支給している事業所
- 介護サービスの時給に含ませている事業所
口コミでは、以下のように不満を漏らす声もあります。
一件ずつ、移動するのがすごく大変。時間、労力、精神力、バイクとガソリンを使い、片道約10~15分。移動交通費は100円ほど。出ない所もある。
そもそも「移動時間」というのは、どのような時間を指しているのでしょうか?
ここからは、「労働時間に該当する移動時間」という概念について解説していきます。
移動時間と空き時間の違いとは?
移動時間とは、大きく以下の2つの時間が対象となります。
- 事業所から、サービス利用者の自宅までの相互間を移動する時間
- 各サービス利用者の、自宅の相互間を移動する時間
重要なのは、ここで定めている移動時間が事業所から命じられたもので「自由に利用できる」と保障されていない場合のみ、労働時間に該当するということです。
仮にAさん宅からBさん宅の移動に15分かかるのであれば、これは労働時間です。
しかし、Bさん宅に到着後、実際にサービスを開始するまで30分の空き時間がある場合、これは労働時間に該当しません。
空き時間というのは、「自由に利用することが保障された時間」ということになります。
移動時間の具体例について
上記の説明を、さらに分かりやすく解説してきます。
実際に訪問ヘルパーが、直行直帰で2件のサービス利用者宅を訪問した例を挙げてみましょう。
行動 | 時間 |
---|---|
自宅からAさん宅へ向かう | 通勤時間 |
Aさん宅で介護サービス開始 | 労働時間 |
サービス終了後、Bさん宅へ向かう | 労働時間(移動時間) |
サービス開始時間まで休憩 | 空き時間 |
Bさん宅で介護サービス開始 | 労働時間 |
サービス終了後、自宅へ直帰 | 通勤時間 |
このように、通勤時間と空き時間を除いた時間帯は、全て労働時間です。
訪問ヘルパーによっては、この空き時間が数時間単位になってしまう方がいらっしゃいます。
口コミで「移動時間が時給に含まれなくてもったいない」と言われているのは、このような無駄な空き時間に対する不満が多くなっているということです。
登録型訪問ヘルパーは掛け持ちで時間を有効活用しよう!
少しでも空き時間を減らすためには、事業所を掛け持ってスケジュールを工夫するのがおすすめです。
登録型の訪問ヘルパーを雇っている事業所では、掛け持ちを前提としている事業所が多数存在します。
事業所に相談した上で、掛け持ちをして時間を有効活用しましょう。
「みーつけあ」では、掛け持ちを前提としたスケジュール管理システムを導入し、登録している事業所を全てスケジュール管理表で反映することが可能です。
以下リンクもご参照ください。
>>登録ヘルパーは掛け持ちしても良い?掛け持ちをする3つのメリットとは
訪問ヘルパーの移動時間を明確にする対策とは?
引用:https://www.photo-ac.com
では、事業所側の対策として、訪問ヘルパーの移動時間を明確にするには、どうするべきなのでしょうか。
適切な対策として、以下の2つを紹介していきます。
- 移動時間の基準をはっきりさせる
- 空き時間の自由利用を、就業規則や雇用契約書に明記する
移動時間の基準をはっきりさせる
移動時間は、タイムカードによって記録を取るのが確実です。
しかし、訪問ヘルパーの場合は、あまり現実的な方法ではありません。
そこで、事業所の対応は大きく2つに分かれることが多くなっています。
・移動時間と勤務時間を分けて時給換算する
1つ目の方法は、訪問ヘルパーに移動時間を自己申告してもらう方法です。
そして、事業所は移動時間と勤務時間を分けて時給換算します。
移動時間の時給は、最低賃金額を下回らなければ、労使の話し合いによって決定することが可能です。
・移動手当として支給する
2つ目の方法は、移動手当として定額支給する方法です。
「時給換算が大変…」と考えている事業所は、定額支給で対応するケースが多くなっています。
しかし、支給額が超過したときは支払い義務があります。
事業所は、その旨を就業規則・雇用契約書に明記するようにしましょう。
空き時間の自由利用を就業規則や雇用契約書に明記する
空き時間の全てが、移動時間とは限りません。
事業所が支払わなければいけない交通費は、あくまで本記事で解説した「労働時間に該当する移動時間」のみです。
空き時間の自由利用を、就業規則や雇用契約書に明記し、訪問ヘルパーに容認してもらいましょう。
訪問ヘルパーが移動時間に事故を起こしたとき
引用:https://www.photo-ac.com
訪問ヘルパーは、事業所に雇用されている労働者です。
基本的には事業所の指揮命令の下に仕事を行っているため、厚生労働省による資料でも、労働者として認められています。
この訪問介護の業務に従事する者の中には、委託、委任等の呼称が用いられている場合もあるが、労働者に該当するかどうかについては、使用者の指揮監督等の実態に即し総合的に判断すること。なお、介護保険法に基づく訪問介護の業務に従事する訪問介護員等については、一般的には使用者の指揮監督の下にあること等から、労働基準法(以下「法」という。)第9条の労働者に該当するものと考えられること。
仮に、空き時間に起きてしまった事故では、労災の適応は難しいです。
労働時間内における事故であることが認められれば、労災が適用される可能性は高いでしょう。
ただし、見解は各事業所によって異なっており、口コミでは以下のような話があります。
「うちの雇用契約では交通事故については、本人の車両保険等で対応してもらうことになっている。怪我をしていれば事業所で加入している民間の傷害保険(雇用保険には加入していません)で対応する。」と言われました。
移動中の事故に関して不安がある方は、必ず事務所に確認をしましょう。
▼労災に関する記事はこちら
>>登録ヘルパーでも押さえておきたい労災保険の基礎知識について
▼自家用車に関するきじはこちら
>>登録ヘルパーが自家用車を使用する際に注意したい事や就業規則について
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com
改めて、訪問ヘルパーの移動時間が労働時間として認められる条件をまとめると、以下のようになります。
- 事業所(使用者)が、業務に必要な移動を命じている
- 該当する時間に、労働者の自由利用が保障されていない
また、移動時間の対象となっているのは以下の2つです。
- 事業所からサービス利用者の自宅の相互間を移動する時間
- 各サービス利用者の自宅の相互間を移動する時間
どうしても、空き時間が有効活用できない場合には、掛け持ちによってスケジュールを調節するのも一つの方法です。
ぜひ、働きやすい環境づくりに役立ててみてください。