訪問ヘルパーの単位どう扱う?身体介護と生活援助の組み合わせなど徹底解説
「今まで深く考えたことはなかったけど、単位って何?」
「単位について調べたいけど、難しい資料ばかり出てきて分かりづらい…」
訪問介護の単位が気になって調べてみても、検索結果に出てくるのは難しい資料でうんざりします。
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーを始めたての人が知っておきたい最低限の単位の知識を解説。
ケアプランで必要な難しい計算は管理者に任せれば良いですが、単位を知っておくと得することもあります。
まずは、単位の概要から見ていきましょう。
1.そもそも訪問ヘルパーで耳にする単位とは?
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訪問ヘルパーで聞く単位は、介護報酬の計算の基準として定められています。
ここで言う介護報酬とは、行ったサービスの対価として支払われる金額です。
1単位10円を基準に、事業所ごとのサービス料金が計算されます。
つまり、単位があることで、サービスごとに定めた金額を利用者の方と市町村から受け取れるというわけです。
単位は、事業所の運営費やあなたの給料にも関わっています。
そして、より詳しく単位を知るためには、地域区分及び単位数単価の知識が必要です。
訪問ヘルパーの給料にも関わる単位と地域区分
「単位が金額を表すなら、初めから何円って出した方が分かりやすくない?」
単位に関して、このような疑問を持ったことはありませんか?
確かにその通りで、金額で計算した方が分かりやすいですね。
しかし、都会と地方では物価が違います。
提供するサービスごとに一律の料金を設定してしまうと、都会で生活するヘルパーは生活費さえ賄えないかもしれません。
そのため単位には、厚生労働省にも明記されている地域区分や単位数単価と呼ばれる基準が定められています。
例えば、訪問介護では、東京23区で1単位11.4円、名古屋市は10.42円など。
自分の地域の地域区分が気になった場合は、勤務先で確認できます。
1つだけ忘れずに覚えておきたいのは、サービスごとの単位数や地域区分は3年おきに見直されることです。
この見直しは、介護報酬改定といいます。
ニュースでも取り上げられるので、興味があれば確認してみましょう。
単位の概要を掴んだら、次は訪問ヘルパーで重要な2つの支援の種類を確認します。
2.訪問ヘルパーの単位で重要なサービスの種類
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訪問介護をしていれば、身体介護と生活援助という言葉は聞き馴染みがあるはずです。
身体介護と生活援助は、明確に区別して行う必要があります。
作業時間が同じでも、種類で単位数は違うからです。
慣れないうちは、身体介護と生活援助の違いに悩むこともありますね。
この章では、訪問介護で行うサービスがどちらに該当するか、以下2つに分けて確認しましょう。
- 身体介護に該当するサービス
- 生活援助に該当するサービス
それぞれ参考にしてみてください。
(1)身体介護に該当するサービス
まずは、何が身体介護に当たるか見ていきます。
基本的に、体に触れるような内容であれば身体介護です。
介護とついていることからも、直感的に理解しやすいのではないでしょうか。
例えば、以下のようなものが身体介護に当てはまります。
- 排せつ
- 食事
- 清拭
- 入浴 など
もし身体介護に当たるか迷ったときは、体に触れる内容であることを思いだしましょう。
(2)生活援助に該当するサービス
次に、体に触れずに利用者の方の日常生活を助けるのが生活援助です。
訪問介護でよく依頼される生活援助は以下の通り。
- 掃除
- 洗濯
- 調理 など
介護の技術を使う身体介護と違い、訪問介護ではどこまで援助すべきか悩むかもしれません。
大切なのは、あくまでも利用者の一般生活の範囲内で行うということです。
訪問介護では、ケアプランで提示したサービスを提供します。
つまり、生活を営むうえで不要と考えられる以下のような頼みごとはきっぱり断るべきです。
- パーティーを開くための豪華な料理
- 庭の草むしり
- 利用者の方家族の分の洗濯 など
断りづらい場合は、利用者の方やその家族に対して、サービスの報酬は公的な介護保険から払われる点を伝えましょう。
軽く伝えても改善しないときには、上司またはケアマネージャーに相談してください。
では、訪問介護で重要なサービス内容を理解した上で、次は単位数を見ていきましょう。
3.身体介護と生活援助の単位数を見てみよう
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基本的に、事業所ではサービスの種類と時間ごとに便宜上の区分名を付けます。
例えば、20分未満でサービスを行う場合は、種類ごとに身体1や生活1など。
訪問ヘルパーをしているなら、1度は目にしたことがあるはずです。
この内容を踏まえて、2つのサービスの単位を表で確認しましょう。
- 身体介護の単位
- 生活援助の単位
それぞれの項目で、訪問介護で2021年4月から適用される単位を紹介します。
単位1.身体介護
ここでは、一般的に訪問介護を利用する要介護1~5に基づいて表を作成しています。
区分名はあくまで参考のため、サービスの時間と単位数から自分の事業所に当てはめましょう。
もし、分からないときには事務所の先輩に聞いてみるのもおすすめです。
区分名 | 時間 | 単位数 |
---|---|---|
身体1 | 20分未満 | 167 |
身体2 | 20~30分未満 | 250 |
身体3 | 30分~1時間未満 | 396 |
身体4 | 1時間~1時間30分未満 | 579 |
身体5 | 1時間30分~(30分ごとに加算) | 84 |
単位は、介護保険で決められた範囲内で付けられるため、介護を受ける人によって違いがあります。
次に、生活援助の単位を見てみましょう。
単位2.生活援助のみ
生活援助の単位は、以下の表の通りです。
区分名 | 時間 | 単位数 |
---|---|---|
生活1 | 20~45分未満まで | 183 |
生活2 | 45分~ | 225 |
生活2で45分以上となっているのは、事務所によって異なるからです。
ですが、45分以上であればどれだけ時間がかかっても225単位というわけではありません。
目安としては、約70~80分までと決められていることが多いです。
ここで、次のような疑問を感じるかもしれません。
「身体介護と生活援助をどちらも行う場合、単位はどうなるの?」
訪問ヘルパーとして気になる点でもあるので、次の章で詳しく解説していきます。
4.訪問ヘルパーも知っておきたいサービスの組み合わせ
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訪問介護では、身体介護と生活援助のどちらも行うことがあります。
先ほど紹介した表の通りに計算すれば、身体1と生活1を足すと167+183=350単位です。
身体1 | 20分未満 | 167 |
生活1 | 20~45分未満まで | 183 |
合計 | ー | 350 |
しかし、実際の算出方法は違います。
身体介護と生活援助を一度のサービスで行ったときは、生活援助加算というもので計算しなければいけません。
簡単に説明すると、生活援助加算は以下の表の通りとなります。
身体介護に伴う生活援助の時間 | 加算単位 |
---|---|
20分~45分未満 | (身体介護単位)+66 |
45分~70分未満 | (身体介護単位)+132 |
例えば、身体介護15分と生活援助30分なら、167+66=462単位ですね。
単位の計算は、基本的にケアマネージャーや事業所の管理者が考えるため、深く考える必要はありません。
ただし、基礎知識程度に知っておくと、無用なトラブルが避けられるメリットもあります。
次の章では、訪問ヘルパーが単位に関して注意したいことを解説するので、参考にしてみてください。
5.訪問ヘルパーとして注意したい単位と時間制限
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「必要な単位数を考えるのは、ケアマネージャーの仕事」
という考えを持っていませんか?
考え方は間違いではありませんが、実際に利用者の方と関わる機会が多いのは、訪問ヘルパーです。
現場で起こりうるトラブルも、理解を深めておけば避けられるでしょう。
ここでは、単位に関するトラブルを2つ紹介します。
- 単位の時間制限
- 2時間ルール
業務で問題が起きないように、理解しておきましょう。
(1)単位の時間制限
ケアプランに関して訪問ヘルパーが気を付けたいのが、単位の時間制限です。
訪問介護では、ケアマネージャーが事前にプランを立てます。
そのため、現場でサービスが時間内に収まらない、もしくは時間が余るといったことも起こるのです。
時間内に収まらない場合、保険適用外として別途料金を請求する必要があります。
ただ、時間が余ったときは、利用者の方が「必要なサービスを受けられていない」と不満を感じるかもしれません。
もし、時間制限の問題が度々発生するなら、プランを見直す必要があります。
または、時間が余るようなら時間の限り援助をできるように計画しましょう。
不安なときには、利用者の方に適切なサービスを提供するためにも、事業所やケアマネージャーに伝えましょう。
(2)2時間ルール
利用者の方が1日2回以上の訪問介護を利用する際は、2時間ルールと呼ばれる時間制限があります。
この2時間ルールとは、その名の通り、サービスに2時間以上の間隔をあけること。
間隔をあけないと、2回分のサービスを1回として単価数を計算するというルールがあるからです。
単位は、サービスを提供する時間で決まっていましたね。
つまり、2時間ルールを守らないと必要な単位数が変わります。
担当する利用者の方に1日2回以上訪問する場合は、このルールに気を付けましょう。
このように、訪問ヘルパーが無用なトラブルを避けるためには、単位について知っておいて損はしません。
紹介した内容を頭の片隅に置いて、利用者の方もあなたも気持ちよく働けるようにしましょう。
ここまでは、介護の制度として単位を紹介してきました。
仕事のために必要な単位の知識ですが、少し応用すると自分の昇給幅を算出できるって知っていましたか?
6.訪問ヘルパーが単位を理解すれば昇給幅が分かる!
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働いていれば、自分の今後の昇給は気になるものです。
昇給は、事業所の月の売り上げから大まかに算出できます。
しかし、事業所の月利益は管理職が実態を握っていて、訪問ヘルパーに周知されないことがほとんど。
ここで利用するのが、単位です。
計算方法を見てみましょう。
単位から利益を計算する
単位数を合算すれば、事業所の粗利益が把握できます。
まずは、自分がいくら稼いでいるかを以下の式に当てはめて算出しましょう。
・利用者の方の単位数合計×日数×地域区分(単位数単価)=事業所の売り上げ
次に、以下の式を使い、スタッフ1人当たりの粗利益を計算します。
・月の事業所の売り上げ÷事業所のスタッフ人数=1人当たり粗利益
例えば、月の事業所売り上げが300万円で、スタッフが10人の場合は、粗利益が30万円となります。
次に、計算結果を出したら、以下の基準で給料について考えてみてください。
- 現状の給料は適正か
- 処遇改善加算が正しく適用されているか
- これから給料が上がりそうか
一般的な給与分配率は、40~60%といわれています。
もし貰っている給料が粗利益よりも少ないなら、現実的に昇給は厳しいです。
その逆で、自分の粗利益が大きく超えているなら昇給も考えられます。
加えて、処遇改善加算の適用も考えてみると、今後の働き方の参考になるかもしれません。
以上が、単位から昇給幅を割り出す方法でした。
給料が気になったときは、活用してみましょう。
まとめ
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今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーの単位を解説してきました。
これまで、単位を何となく理解して、身体介護と生活援助の組み合わせや時間制限が難しく感じていたかもしれません。
もし、仕事で単位について気になることがあれば、この記事を見直してみてください。
苦手でも、毎日触れていれば徐々に慣れていきます。
単位の計算が得意だと感じたなら、ケアマネージャーを目指すのも良い選択肢ですね。