訪問ヘルパーの時給が高い理由とは?厚生労働省の調査をもとに解説!
「訪問ヘルパーの時給は高いの?」
「高単価の求人をよく見かけるけど、その理由は?」
「施設介護と比べると時給平均は高い?安い?」
訪問ヘルパーで働きたいと考えている方にとって、時給は重要な判断基準です。
賃金水準が高くないとされている介護業界にて、どのくらいの時給なのかは知っておきたいですよね。
そこで今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーの時給平均について徹底解説します。
本記事では、厚生労働省の調査をもとに分析しました。
訪問ヘルパーだけではなく、他介護職の時給と比較・検討ができますよ。
訪問ヘルパーの時給平均は?
厚生労働省の資料「介護人材の確保と処遇の改善策について」によると、訪問ヘルパー(短時間労働者)の時給平均は「1,308円」です。
ただし本調査の対象ヘルパー平均年齢はおよそ53歳で、勤続年数は約5年です。
そのため、ある程度経験を積んだヘルパーの時給であることがわかりますね。
未経験で訪問ヘルパーを始める場合は、さらに時給が低い状態でスタートする可能性が高いということに注意しましょう。
【訪問ヘルパー】正規社員の給料は?
同調査によると、訪問ヘルパーにおける正規社員の給料平均は「210.9万円」です。
参考として、その他の給料水準は以下のようになります。
- 施設介護職員…214.5万円
- 社会福祉事業全般…239.2万円
- 全産業合計…323.0万円
これらのデータを比較すると、正規社員の場合は訪問ヘルパーの給料水準が高くないとわかります。
では、その中でもとくに差の大きい「全産業合計」について深堀していきましょう。
訪問ヘルパー以外の職種と時給を比べてみると?
訪問ヘルパー以外の職種の時給平均は以下のとおりです。
職種 | 勤続年数/年 | 時給/円 |
---|---|---|
医師 | 5.7 | 10,882 |
理学療法士・作業療法士 | 4.4 | 2,936 |
看護師 | 4.5 | 1,570 |
ケアマネジャー | 4.3 | 1,407 |
准看護師 | 5.4 | 1,404 |
幼稚園教諭 | 5.2 | 1,124 |
福祉施設介護職員 | 3.7 | 986 |
保育士 | 4.6 | 968 |
百貨店店員 | 7.2 | 949 |
調理士 | 4.5 | 912 |
パン・洋生菓子製造工 | 5.9 | 909 |
ビル清掃員 | 4.7 | 909 |
給仕従事者 | 3.2 | 903 |
機械組立工 | 7.5 | 893 |
スーパー店チェッカー | 4.5 | 858 |
ミシン縫製工 | 9.2 | 833 |
産業計 | 5.2 | 1,004 |
訪問ヘルパーの時給平均が「1,308円」であることを踏まえると、他職種と比較しても時給はかなり高い水準にあることがわかります。
また、福祉施設の介護職員は勤続年数が短いにもかかわらず、半分より上位に位置していることもわかりますね。
本調査は平成22年の調査です。
そのため、令和以降は処遇改善手当や最低賃金の底上げにより、さらに時給が上がっていると考えられます。
訪問ヘルパーの地域別の時給を徹底比較!
「平均時給は分かったけど、地域によってはどのくらい時給に差があるのだろう?」
お住まいによっては、地域別の時給を知りたいという人もいるのではないでしょうか。
ここからは、訪問ヘルパーの地域別による時給の差を徹底比較します。
自身の住んでいる地域と比較して、事業所選びの参考にしてください。
訪問ヘルパー|北海道・東北の平均時給
訪問ヘルパーの北海道・東北の平均時給は、1,287円です。
各都道府県ごとの平均時給は、以下のようになります。
宮城県 | 1,402円 |
---|---|
北海道 | 1,319円 |
岩手県 | 1,251円 |
秋田県 | 1,251円 |
福島県 | 1,250円 |
山形県 | 1,249円 |
参考:登録ヘルパーの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス
※2021年8月のデータ。
全国的な平均時給と比較すると、宮城県と北海道は同水準以上となっていることが分かります。
その他の件では、全国平均より50円ほど時給が低くなっているようです。
訪問ヘルパー|甲信越・北陸の平均時給
訪問ヘルパーの甲信越・北陸の平均時給は、1,240円です。
各都道府県ごとの平均時給は、以下のようになります。
新潟県 | 1,399円 |
---|---|
福井県 | 1,399円 |
石川県 | 1,201円 |
長野県 | 1,199円 |
山梨県 | 1,001円 |
参考:登録ヘルパーの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス
※2021年8月のデータ。
全国的な平均時給と比較すると、新潟県と福井県は同水準以上となっていることが分かります。
その他の件では、全国平均より100円ほど時給が低くなっているようです。
訪問ヘルパー|関東の平均時給
訪問ヘルパーの関東の平均時給は、1,459円です。
各都道府県ごとの平均時給は、以下のようになります。
埼玉県 | 1,649円 |
---|---|
千葉県 | 1,600円 |
神奈川県 | 1,596円 |
東京都 | 1,595円 |
栃木県 | 1,289円 |
群馬県 | 1,280円 |
茨城県 | 1,204円 |
参考:登録ヘルパーの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス
※2021年8月のデータ。
関東では、「埼玉県、千葉県、神奈川県」が高時給となっており、東京よりも時給が高くなっています。
栃木県と群馬県のみ、全国平均よりも時給が低くなっているようです。
訪問ヘルパー|東海の平均時給
訪問ヘルパーの東海の平均時給は、1,218円です。
各都道府県ごとの平均時給は、以下のようになります。
愛知県 | 1,294円 |
---|---|
三重県 | 1,226円 |
岐阜県 | 1,201円 |
静岡県 | 1,151円 |
参考:登録ヘルパーの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス
※2021年8月のデータ。
全国的な平均時給と比較すると、東海地方は全体的にやや低い水準です。
静岡県に関しては、厚生労働省資料による平均時給よりも、150円ほど低くなっています。
訪問ヘルパー|関西の平均時給
訪問ヘルパーの関西の平均時給は、1,287円です。
各都道府県ごとの平均時給は、以下のようになります。
大阪府 | 1,394円 |
---|---|
兵庫県 | 1,335円 |
京都府 | 1,332円 |
奈良県 | 1,262円 |
滋賀県 | 1,200円 |
和歌山県 | 1,200円 |
参考:登録ヘルパーの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス
※2021年8月のデータ。
全国的な平均時給と比較すると、「大阪府、兵庫県、京都府」は同水準以上となっていることが分かります。
その他の件では、全国平均より50〜100円ほど時給が低くなっているようです。
訪問ヘルパー|中国の平均時給
訪問ヘルパーの中国の平均時給は、1,175円です。
各都道府県ごとの平均時給は、以下のようになります。
岡山県 | 1,253円 |
---|---|
広島県 | 1,223円 |
山口県 | 1,191円 |
島根県 | 1,033円 |
参考:登録ヘルパーの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス
※2021年8月のデータ。
中国地方は、全国平均よりも全体的に時給が低くなっています。
島根県は、全国平均より250円以上時給が低いです。
訪問ヘルパー|四国の平均時給
訪問ヘルパーの四国の平均時給は、1,201円です。
各都道府県ごとの平均時給は、以下のようになります。
愛媛県 | 1,201円 |
---|---|
香川県 | 1,200円 |
参考:登録ヘルパーの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス
※2021年8月のデータ。
全国的な平均時給と比較すると、愛媛県、香川県はやや低い水準となります。
その他の件は、求人数が少なく集計対象外でした。
訪問ヘルパー|九州・沖縄の平均時給
訪問ヘルパーの九州・沖縄の平均時給は、1,126円です。
各都道府県ごとの平均時給は、以下のようになります。
福岡県 | 1,200円 |
---|---|
沖縄県 | 1,150円 |
鹿児島県 | 1,102円 |
長崎県 | 1,101円 |
大分県 | 1,101円 |
熊本県 | 1,100円 |
参考:登録ヘルパーの仕事の年収・時給・給料情報|求人ボックス
※2021年8月のデータ。
全国的な平均時給と比較すると、九州・沖縄の時給はやや低めです。
厚生労働省の資料により全国平均と比べると、全体的に100〜200円ほどの差があります。
このように、地域によっても平均時給は、大きく異なります。
そのため、地域ごとの平均時給を把握しておくことも重要となるでしょう。
訪問ヘルパーの時給が高い理由
では、なぜ訪問ヘルパーの時給は高いのでしょうか?
その理由は、以下の3つです。
- 身体介護の時給が高い
- 移動・空き時間を含めた時給であることが多い
- 人手不足
訪問ヘルパーの時給は、仕事内容によっても変化します。
また、移動時間や空き時間が時給換算されないため、時給を高く設定しているケースも多いです。
さらには、慢性的な人手不足によって、時給を高くせざるを得ないという点も、理由の一つといえるでしょう。
それぞれについて、詳しく解説していきます。
理由1.身体介護の時給水準が高い
訪問ヘルパーには大きく分けて3種類の仕事があります。
- 身体介護
- 生活援助
- 通院介助
「身体介護」は、利用者の身体に直接触れて行う介助全般を指します。具体的には食事介助、入浴介助、排せつ介助などです。
「生活援助」は、家事など日常生活のサポート業務全般を指します。具体的には調理、掃除、買い物などです。
「通院介助」は、利用者の通院に関するサポートを実施します。具体的には病院までの移動や受診手続きなどです。
このなかでも、最も時給水準が高いのは「身体介護」になります。
求人によっては「時給2,000~2,800円」ほどとなるケースも多く、介護業界以外と比較してもかなりの高水準といえるでしょう。
ここまで身体介護の時給が高い理由は、「専門的な知識を要し、かつサービス利用料が高く設定されているから」です。
また、利用者の体に直接触れて介護を行うため、責任の重い仕事になります。
そのため、有資格者でなければ身体介護業務を行うことができません。
しかし、実際に働いてみると身体介護の仕事がほとんどなく、「生活援助」ばかりであることが大半となっています。
生活援助の時給は1,000~1,200円程度であることが多く、求人どおりの時給にならない可能性があるという点には要注意です。
理由2.移動・空き時間を含めた時給であることが多い
訪問ヘルパーは、業務内に「移動時間」が発生します。
- Aさん宅…9:00~10:00
- 移動…10:00~10:30
- Bさん宅…10:30~11:30
上記のような形で、別のお宅へ訪問するための移動時間が必要です。
この移動時間を加味すると、結果的に時給が低くなってしまいます。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 移動…11:30~13:00(実際は30分で移動可能)
- Cさん宅…13:00~
このように、次の訪問スケジュールによっては余分な空き時間が発生します。
拘束時間1時間半に対して、支払われる時給は「移動に必要な30分だけ」という換算をされてしまうのです。
※事業所や契約内容によっては移動時間分が支払われないこともあります
そのため、1日に訪問できる件数は多くても4~5件です。
8:00~17:00まで働いて、5,000~7,000円程度の収入になることが多いと予想されます。
理由3.人手不足
訪問ヘルパーは慢性的な人手不足であり、大手事業所が高水準で求人を募集しているケースも多いです。
実際に、厚生労働省の「第182回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料」では、2019年時点で訪問ヘルパーの有効求人倍率は「15.03倍」と公表しています。
これは、仕事を探す訪問ヘルパー1人に対して、15人分の求人があることを意味しており、深刻な人手不足であるとわかりますね。
なお、人手不足の事業所では多くの仕事が回ってくる可能性があります。
仕事量が気になる人は、「1日にどのくらい訪問できるのか?」を、面接の際に質問してみましょう。
【訪問ヘルパー】時給以外のメリットとは?
ここまで時給に焦点を当てて訪問ヘルパーについて解説してきましたが、訪問ヘルパーには時給以外にもメリットがあります。
- 好きな時間に働ける…登録ヘルパーなどであれば、自分の空いた時間にのみ仕事に入ることが可能。
- 一対一で介護ができる…1人1人の利用者と向き合い、ジックリと介護サービスを提供できる。
- 夜勤なし…訪問介護は日勤帯のみのサービスであり、夜勤がいっさいありません。(※夜間対応型を除く)
- 人間関係で悩みにくい…1人でサービスを提供する仕事のため、職員間での人間関係の悩みが発生しづらい。
施設介護と比べて、上記のようなメリットがある訪問ヘルパー。
自分がどのような働き方をしたいのか考慮したうえで、メリット・デメリットを比較することをオススメします。
訪問ヘルパーの時給を上げるには?
「訪問ヘルパーの時給をさらに上げる方法はないのだろうか?」
なかには、このような疑問を持っている人もいるでしょう。
訪問ヘルパーの時給は、掛け持ちやキャリアアップによって底上げすることが可能です。
本記事では、訪問ヘルパーの時給を上げる方法として、以下の3つをピックアップしました。
- 複数の事業所を掛け持ちする
- より高単価な事業所で働く
- 上位の介護資格を取得する
それぞれについて、詳しくみていきましょう。
時給アップ1.複数の事業所を掛け持ちする
複数の事業所を掛け持ちすることで、「空き時間を有効活用すること」が可能です。
たとえば、Aという事業所にて16:00以降しか仕事が取れなかったとしましょう。
この場合、Bという事業所で9:00~15:30までシフトを組むことができれば、1日を通して働けます。
ただし、掛け持ちを検討するのであれば、必ず事業所と相談しなければなりません。
掛け持ちが可能であるかを、予め相談するようにしましょう。
▼掛け持ちに関しては、以下の記事もご参考ください。
>>登録ヘルパーは掛け持ちしても良い?掛け持ちをする3つのメリットとは
時給アップ2.より高単価な事業所で働く
現在の事業所の時給に不満があるのであれば、より時給の高い事業所を探しましょう。
各地域の平均時給を把握すれば、自ずとお住まい周辺の平均時給が見えてくるはずです。
明らかに水準より低い場合には、別の事業所を探したり、より平均時給が高い地域で仕事を探したりすることをおすすめします。
▼さらに詳しく時給を調べたい人は、こちらも記事もご参考ください。
>>登録ヘルパーの時給は高い?相場から見る登録ヘルパーの需要
時給アップ3.上位の介護資格を取得する
訪問ヘルパーとして働くには、「介護職員初任者研修」の取得が欠かせません。
そこで、さらに上位の「介護福祉士実務者研修、介護福祉士」などの介護資格を取得することで、資格手当の底上げが可能です。
厚生労働省の「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、資格別の給料相場は以下のように公表されています。
介護職員初任者研修 | 平均給与額:301,210円 |
---|---|
実務者研修 | 平均給与額:303,230円 |
介護福祉士 | 平均給与額:329,250円 |
資格によって給料を底上げしたいのであれば、介護福祉士を目指すことで結果に繋げられるでしょう。
▼資格について知りたい人は、以下の記事もご参考ください。
>>訪問ヘルパーの仕事内容とは?働き方や必要な資格について徹底紹介!
まとめ
訪問ヘルパーは需要が高く、他職種と比較して時給は高い傾向にあることがわかりました。
ただし、求人に掲載されている時給だけでは判断できない「移動時間」には注意が必要です。
直接「いくら稼げるのか?」と問い合わせてみることをオススメします。
また訪問ヘルパーになるためには介護資格の取得が必須のため、並行して介護職員初任者研修など必要な資格についても調べてみましょう。