訪問ヘルパーの失敗談から学ぼう!利用者への苦手意識をなくすには?
訪問ヘルパーは、家の中という閉鎖された空間ということもあり、1人で失敗を抱えてしまいがちです。
「利用者さんに怒られてしまった」
「介護職に向いていないかもしれない」
このように、精神的に落ち込んでしまっている人も多いのではないでしょうか。
利用者や働く環境が変われば、対応も変わってきます。
どんなにベテランな訪問ヘルパーでも、毎日完璧に仕事をこなせる人はいません。
今回「みーつけあ」は、実際の失敗談をもとに、対処法や仕事の選び方を紹介します。
利用者に対する苦手意識の克服法も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
訪問ヘルパーの失敗談
まず始めに、訪問ヘルパーのよくある失敗談を紹介します。
今回ピックアップした失敗談は、以下のとおりです。
- 「もう来なくていいから」と言われた
- 「お金を盗んだ!」と言われた
- 規定時間内に仕事が終わらない
- 初めての訪問介護がうまくいかなかった
- 移動が多くて体力が続かない
- 家政婦と間違われた
- 人間関係のトラブルが多い
- 利用者の話が長くて仕事にならない
訪問介護の現場では、利用者と1対1で仕事を行わなければなりません。
そのため、失敗の相談ができずに悩んでしまう訪問ヘルパーさんも多いです。
事前にどのような失敗談があるのかを把握すれば、自分なりの対策を考えることもできます。
一つずつ、把握してみてください。
失敗談1:「もう来なくていいから」と言われた
訪問ヘルパーのAさんは、1日1時間・週2回の生活援助を行っていました。
いつものように、利用者さんからリクエストされた食事を用意した際の話です。
帰り際に「あなた、もう来なくていいから。料理がおいしくない。」と、面と向かって言われてしまいます。
「今まで『おいしい』と食べてくださっていたので、気を使わせていたというショックとともに、主婦として恥ずかしくなりました」と、落ちこんでしまいました。
<対処法>
今までにそのようなクレームがなかったのであれば、「その利用者さんの口に合わなかっただけ」と割り切ることも大切です。
私たちは調理のプロではなく、介護のプロです。
今後このようなクレームがないように、利用者さんの好みの味付けを確認したり、自分の不得意な調理を伝えたりしておくと、よいかもしれません。
▼料理に関する悩みについては、以下の記事も参考になります。
>>訪問ヘルパーに必要な料理スキルとは?食事を作る際の注意点を紹介
失敗談2:「お金を盗んだ!」と言われた
利用者さんは認知症のため、毎日うかがっている訪問ヘルパーBさんの顔を覚えていません。
今回は、棚に入れていた「へそくり」の一部がなくなったとのことでした。
まったく身に覚えのないことですが、潔白が証明できずに職場に行きづらい気持ちがあります。
<対処法>
認知症の症状として、「物盗られ妄想」があります。
このような場合は、まずは否定も肯定もせずに「それは大変ですね」と共感することが大切です。
それから一緒に探して、あなたが先に見つけた場合は、利用者様がわかりやすいところに置きなおし、自分で発見できるようにしてあげてください。
見つからない場合は、「一度事務所に戻って、責任者に伝えます」と言い、その日は事業所に報告をしてから帰宅しましょう。
後日、利用者さんの様子から(忘れている場合もある)、事務所と対応を相談しましょう。
失敗談3:規定時間内に仕事が終わらない
老人ホームといった施設介護の経験があったCさんは、訪問ヘルパーに転職しました。
しかし、施設での仕事内容とは異なり、なかなか時間通りに終わらせることができません。
「訪問介護に向いていないのかも」と、悩んでしまったそうです。
<対処法>
訪問ヘルパーは、決められた仕事を時間内に終わらせなければいけません。
サービス業務なので、どうしても予定通りに進まないこともあるでしょう。
毎回規定時間を超えてしまう場合は、自分の対応を見直す必要があります。
- どの業務に時間がかかっているのか
- おしゃべりの相手をして手が止まっていないか
- 利用者の計画外の申し出に対応していないか
- 介護計画に無理がないか
このような点を踏まえて、効率よく仕事ができるように見直してみてください。
▼訪問ヘルパーあるあるに関する記事はこちら
>>訪問ヘルパーの悩みあるある3選!解決策についても紹介
失敗談4:初めての訪問介護がうまくいかなかった
同じく、施設介護の経験があったDさんの話です。
実務経験を活かして、初めて訪問介護を行ったのですが、思うように介護サービスを提供できませんでした。
原因は、各家庭環境によって「台所、洗面所、お風呂場、お手洗い」が異なり、施設介護のように立ち回れなかったためです。
「自信をなくしてしまった」と、心底落ち込んでいました。
<対処法>
訪問介護の現場では、施設介護にはない「臨機応変な対応」が求められます。
こればかしは、実務経験のみでは補うことができません。
たとえ経験があったとしても、初心を忘れずに利用者さんと接する気持ちが大切です。
どうしても不安であれば、先輩ヘルパーに同行してもらいましょう。
新人ヘルパーが、最初から1人で訪問介護を任されることはほとんどありません。
経験があっても無理をせず、「訪問介護は初めてです」と伝えて、一から教わってみてはいかがでしょうか。
失敗談5:移動が多くて体力が続かない
訪問介護に慣れ始めていたEさんは、仕事内容とは別の悩みを抱えていました。
それは、訪問する利用者さんの自宅間の移動が、想像以上に大変だったことです。
Eさんの担当する利用者さんの場合、坂道が多く自転車をこぐのも一苦労とのこと。
「移動だけで疲れて仕事にならない」と、弱気になっていました。
<対処法>
移動手段として自転車を使う訪問ヘルパーは多いですが、実際の移動距離やルートまで把握している人は少ないです。
どうしても移動が大変なのであれば、事業所に相談して訪問先を変えてもらいましょう。
また、自転車を電動自転車に買い換えることで、移動が格段にラクになります。
1人で悩まずに、まずは相談をしてみることから始めることをおすすめします。
それでも辛いという場合は、「思い切って施設介護に転職する」という方法も、検討してみてはいかがでしょうか。
失敗談6:家政婦と間違われた
生活援助で、訪問介護サービスを提供していたFさん。
毎日、家事ばかりをさせられているため「ついでに窓拭きもしてくれない?」と、介護保険外サービスも頼まれてしまう羽目に。
「私は家政婦ではありません!」と、ついには怒ってしまったようです。
<対処法>
どのような理由があったとしても、利用者さんに当たり散らしてしまうのはよくありません。
調理・洗濯・掃除のような「生活援助」とはいえ、利用者さんが最低限の生活を送るためには欠かせない介護サービスです。
介護のプロとして、真剣に取り組む姿勢を忘れないようにしましょう。
なかには、介護保険外のサービスを求める利用者さんは必ずいます。
その際には、誠意を持って「介護サービスでは提供できないのです」とハッキリ断ることも大切です。
ただ断るのではなく、介護保険外サービスをすすめて、悩みを解決してあげましょう。
▼訪問ヘルパーのできること・できないことに関する記事はこちらから。
>>訪問ヘルパーのサービス内容とは?できること・できないことをまとめて紹介
>>【介護保険外】訪問ヘルパーの自費サービスとは?料金や内容を徹底解説!
失敗談7:人間関係のトラブルが多い
訪問ヘルパーであれば、同業者同士の人間トラブルは少ないだろうと思っていたGさん。
しかし、所属の事業所ではヘルパー同士のコミュニケーションが多く、書類の提出後もみんなで集まって世間話をしているとのことです。
そのうち、影では「Gさんって付き合いが悪い人」と、噂をされるようになってしまいます。
想像とは違い、事業所の雰囲気に馴染めないという悩みを抱えてしまいました。
<対処法>
訪問介護の事業所とはいえ、職場の雰囲気はそれぞれ別物です。
Gさんのように、ヘルパー同士が仲のよい事業所もあれば、仕事だけに集中をしているヘルパーさんばかりが揃っている事業所もあります。
どうしても事業所の雰囲気が合わないのであれば、転職を考えてみてもよいでしょう。
しかし、ある程度は割り切れるのであれば、仕事の情報共有の一環として、コミュニケーションに参加してみるというのも一つの手段です。
どうしても仕事にだけ集中したいのであれば、登録ヘルパーがおすすめです。
登録ヘルパーであれば、自宅から利用者宅へ直行直帰で働ける環境なので、人間関係も最低限の付き合いとなります。
▼登録ヘルパーに関する記事はこちらから。
>>登録ヘルパーとパートヘルパーの違いは?メリット・デメリットを総まとめ
失敗談8:利用者の話が長くて仕事にならない
介護の仕事だけに集中したいHさんは、利用者さんの長い世間話に悩まされていました。
話を聞きながらだと仕事に集中ができないHさんは、利用者さんの長話によって精神的な疲労まで溜め込んでしまうことに。
「利用者さんの世間話を聞くこともヘルパーの仕事なんですか?」と、愚痴をこぼしていました。
<対処法>
利用者さんの話によって、仕事に支障が出てしまうのはよくありません。
とはいえ、せっかく利用者さんが心を開いてくれているのに、無視してしまっては、適切な介護サービスとも言えないでしょう。
仕事に支障がない程度に、利用者さんの話にも耳を傾けて、信頼関係を築くことも大切です。
話の一つひとつに真剣に答えるのではなく、話をする時間を決めたり、ある程度は相槌で済ませたりといった、臨機応変な対応を心がけましょう。
訪問ヘルパーの失敗を減らす方法とは?
介護者も人間なので、利用者に対して苦手意識を持つことがあるでしょう。
「頑固、すぐ怒る、上から物を言う」など、対応が難しい利用者はさまざまです。
しかし、どんな相手でもヘルパーとして仕事をする必要があります。
そこで大切なことは「苦手意識を克服すること」です。
この記事では、以下の3つの方法について紹介します。
- 相手の立場にたってみる
- 嫌だったことをノートに記録する
- 笑顔で対応する
苦手意識を持っていると、コミュニケーションがうまくいかずに、さらなるトラブルを引き起こしかねません。
ここからは、利用者への苦手を克服する3つの方法をご紹介していきます。
方法1.相手の立場にたってみる
私たち訪問ヘルパーが、サービス利用者と関わる時間は1日のほんの一部です。
その間、1人で不便を感じていたり、さみしさや自分で出来ないもどかしさを感じているかもしれません。
そんな思いから、ヘルパーに対して辛くあたってしまうこともあるのです。
また、加齢により脳の活力が低下することで、柔軟に考えることが難しくなり、「頑固」な言動に繋がることもあります。
” 若いころのように思うように体が動かない ”というのは、想像以上に大きなストレスです。
そんな利用者の思いを、汲み取ってあげてください。
方法2.嫌だったことをノートに記録する
利用者の中には、ヘルパーに対して暴言や暴力をふるう方がいます。
そんな時は、不快に感じた言動をノートに書き込んでおきましょう。
文字にして書き出すことで、「どんな時に利用者が暴言や暴力をふるうのか?」ということを、分析することができます。
また、記録は『介護ハラスメント』の対策として、事業所に現状を伝えられる唯一の証拠です。
厚生労働省でも、介護ハラスメントのマニュアルが用意されています。
気になる方は確認してみてください。
参照:『介護現場におけるハラスメント対策マニュアル|厚生労働省』
方法3.笑顔で対応する
小言が多い・嫌味が多いという利用者に対しては、「勉強になります」「いつも気にかけてくれてありがとうございます」と、笑顔で対応してみてください。
本心ではない笑顔と言葉でも、繰り返していることで利用者側が変わってくることもあります。
自分で対処できないイライラや、自分とは違うやり方への不満をヘルパーにぶつけているだけかもしれません。
根気強く、笑顔で対応してみてください。
訪問ヘルパーが失敗しない仕事の選び方
「利用者の対応に関する方法は分かったけど、事業所選びは何を気をつけるべき?」
このように、事業所選びを失敗したくない人もいるのではないでしょうか。
事業所を選ぶ際には、「自分の希望する条件が揃っているか?」を見極めることが重要です。
この記事では、以下のポイントにまとめて紹介します。
- 給料制度を確認する
- 勤務時間を把握する
- 通勤時間も視野に入れる
- 事業所の方針を理解する
- 人材育成制度の有無を確認する
- 口コミのチェックも忘れずに!
あらかじめ、自身が希望する事業所の条件を把握しておけば、事業所選びの失敗を減らせます。
一つずつ、確認していきましょう。
選び方1.給料制度を確認する
事業所を選ぶ際には、自身が希望する給料が見込めるかどうかを把握することが大切です。
とくに、以下の点は必ずチェックするようにしましょう。
- 介護職員処遇改善手当はあるか?
- 賞与や資格手当は充実しているか?
介護職員処遇改善加算とは、介護職の賃金の調整や、職場の環境・制度整備のために、国から事業所に支給される手当です。
キャリアアパスの要件は以下の3つとなります。
I…職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
II…資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
III…経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を
判定する仕組みを設けること。
引用:「介護職員処遇改善加算」のご案内|厚生労働省
また、賞与や資格手当は事業所によって待遇が大きく異なります。
それぞれ、面接の時点で確認することによって、給料面の不安を減らすことが可能です。
なるべく給料制度が整っている事業所を、選択するようにしましょう。
選び方2.勤務時間を把握する
仕事を長く続けるためには、自身のライフスタイルの合った働き方ができる事業所を選ぶことも重要です。
基本的な就業時間は、午前8時~午後6時に設定されています。
なかには、夜間対応型訪問介護や、定期巡回・随時対応型訪問介護看護といった、夜間に対応した事業所もあります。
「定時出勤が難しい」というのであれば、時間の融通が効きやすい「登録ヘルパー」という働き方もおすすめです。
出勤時間に縛られすぎたくないのであれば、柔軟に対応できる事業所を探すようにしましょう。
▼関連記事として、こちらもご参考ください。
>>登録ヘルパーは副業に最適!ダブルワークの注意点についても紹介します
選び方3.通勤時間も視野に入れる
どんなに待遇がよい事業所を見つけても、通勤時間が億劫になってしまうようでは仕事も続けられないですよね。
実際に事業所まで向かった際に、「続けられそうな距離感であるか?」という点にも、注意しましょう。
選び方4.事業所の方針を理解する
事業所の方針を理解せずに仕事を始めてしまうと、サービス責任者と意見が合わないといったトラブルに繋がってしまいます。
あらかじめ事業所のHPを確認して、「どのような理念を掲げた事業所なのか?」を把握しておきましょう。
選び方5.人材育成制度の有無を確認する
事業所によっては、資格なしでも働きながら資格の取得をサポートしてくれる場合もあります。
「訪問ヘルパーとして働きたいけど、資格がない」という人は、働きながら資格を取得することもできるでしょう。
また、その後のキャリアアップといった「スキルアップがしやすい環境であるか?」を把握しておくことで、後の給料アップにも繋げられます。
「介護業界で本格的に活躍していきたい」と考えている人は、人材育成制度の有無についてもチェックしましょう。
選び方6.口コミのチェックも忘れずに!
「HPや資料だけでは不安」という人は、口コミ・評価といった事業所の評判もチェックしておきましょう。
実際に経験したことがあるひとのリアルな声を聞くことで、事業所の雰囲気を確認することができます。
ただし、全ての口コミを鵜呑みにするのはおすすめしません。
あくまで、参考情報として留めておき、「自分に合うかどうか?」を見定めるようにしましょう。
訪問ヘルパーの仕事内容について把握しよう!
最後に、訪問ヘルパーの仕事内容について紹介します。
訪問ヘルパーの正式名称は、「訪問介護員」です。
要介護者の自宅を訪問して、排泄や入浴の介助、洗濯や掃除などの家事を提供することが仕事となります。
仕事内容は、大きく分けて3つです。
- 生活援助
- 身体介護
- 通院等乗降介助
それぞれについて、確認しましょう。
生活援助
生活援助は、利用者に直接触れない範囲の日常生活を支援する仕事です。
主には、以下のような仕事内容が挙げられます。
- 調理
- 洗濯
- 掃除
- 買い物代行 など
支援できる内容は、日常生活を送るために欠かせない家事のみです。
利用者が単身であったり、家族が家事を行えない状況だと判断された場合に、サービスとして提供できます。
参考:介護保険の訪問介護 – 厚生労働省
身体介護
身体介護は、利用者に直接触れて行う介助の仕事です。
主な仕事内容は、以下のとおり。
- 排せつ介助
- 入浴介助
- 食事介助
- 着替え介助 など
生活援助に比べると、より専門知識や技術をもって行う仕事内容と言えます。
また、上位資格を取得していれば、「たんの吸引、経管栄養」などを行うことが可能です。
通院等乗降介助
通院等乗降介助は、利用者の通院における乗降車や、移動介助を行う仕事です。
介護ヘルパー(訪問介護員)が、自ら車を運転して、利用者を病院まで連れていきます。
その後の歩行、受診手続きなども、必要に応じて介助しなければいけません。
参考:介護保険制度における通院等乗降介助の適用範囲の拡大 – 総務省
まとめ
今回「みーつけあ」は、訪問ヘルパーでよくある失敗談と、その対処法につい紹介しました。
訪問ヘルパーの現場では、柔軟な利用者もいれば、対応が難しい利用者も少なくありません。
しかし、相手の立場に立って笑顔で対応することで、徐々に心を開いてくれる場合があります。
信頼関係を築くには、相応の対応と時間が必要です。
お互いが過ごしやすい環境を作るためにも、根気強く向き合ってみてください。
どうしても難しい場合は無理をせず、担当を変えてもらうなどの対応を事業所に申し出ましょう。