訪問ヘルパーができる熱中症対策!利用者の方向け・介護士向けに分けて解説
訪問ヘルパーをしていると、自転車移動が主流であることも多いです。
夏場の暑い日に自転車や徒歩で移動していると、熱中症に気を付けなければいけませんね。
利用者の方のお宅に付く前に、具合が悪くなったことはありませんか?
介護のために、暑さを避けて体力を温存しておきたいもの。
今回「みーつけあ」では、訪問ヘルパーができる熱中症対策や暑さ対策を紹介します。
訪問ヘルパーと利用者向けに、夏場の体調管理を合わせて確認していきましょう。
1.訪問ヘルパーだからこそ工夫して熱中症を避けよう
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炎天下でも、利用者の方の介護へ向かわなければならない訪問ヘルパー。
夏場の業務では、訪問ヘルパー自身も熱中症にならないように気を付けたいところ。
車移動できないなら、熱中症はなおさら注意が必要となってきます。
まずは、訪問ヘルパーが熱中症にならないための基本的な知識として、以下の項目を見てみましょう。
- そもそも熱中症とは
- 訪問ヘルパーの熱中症とマスク
それぞれ解説します。
そもそも熱中症とは
熱中症は、体温調節機能が阻害されることで起きる症状です。
体にこもった熱をうまく発散できなくなることが原因で、様々な不調が出ます。
熱中症の症状は、以下のようなもの。
- めまいや立ち眩み
- 手足のしびれ
- 筋肉のこむら返り
- 頭痛
- 吐き気や嘔吐
- 倦怠感や虚脱感
夏場に忙しく訪問先を行き来していて、ぐったりしたことがあるかもしれません。
このような軽い症状でも、早めに休憩することで重症化を避けられます。
動けないほど辛いなら、事業所に連絡するなどの対策を取りましょう。
訪問ヘルパーは、マスク着用が義務付けられている場合も多いですよね。
次の項目で、マスクと熱中症について解説するので参考にしてみてください。
訪問ヘルパーの熱中症とマスク
訪問ヘルパーをしていると、新型コロナ感染対策としてマスクを付けて移動する場合もあります。
利用者の方の感染予防に必要なマスクですが、夏場は熱中症に注意しなければいけません。
厚生労働省によると、マスク着用によって血中二酸化炭素濃度の増加や体感温度の上昇といった状態になることが確認されています。
つまり、マスク着用状態では熱中症のリスクがあがるのです。
訪問ヘルパーが熱中症を避けるためには、適度にマスクを外した休憩も必要。
屋外の2m以上距離が取れるところで、水分補給などの休憩を取りましょう。
なるべく涼しい木陰などで体温を下げる工夫も必要です。
ここまで見てきた内容から、熱中症のリスクが身近に感じられませんか?
次は、訪問ヘルパーが日常的にできる熱中症対策を見ていきましょう。
2.すぐ出来る!訪問ヘルパーの熱中症対策
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ここでは訪問ヘルパーの熱中症対策をご紹介します。
訪問ヘルパーが熱中症を避けるために、注意すべきなのは移動時や介護中の暑さです。
そこで、訪問ヘルパーでもできる暑さ対策を見ていきましょう。
- 直射日光を避ける
- 体温を下げる
- 水分補給
それぞれ詳しく解説します。
対策1.直射日光を避ける
訪問ヘルパーは、移動時に直射日光に晒されます。
特に昼間の移動では、太陽が高く日陰も少ないです。
自転車や徒歩移動のときは、帽子を用意して日光を避けましょう。
自転車移動では、風で帽子が飛ばされないようにサンバイザータイプやあごひも付きのものがおすすめ。
薄手の長袖インナーを着用するのもいいですね。
長袖だとかえって暑くなる気もしますが、直射日光に晒される面積を減らして熱を逃がす目的があります。
速乾や冷感機能のインナーもあるので、快適な業務のために数枚用意しておくと便利です。
さらに、首にタオルを巻いておけば、日光を避けて汗も拭えるから一石二鳥。
サービス時にタオルを巻くのが禁止なら、移動時だけでもつけてみてはいかがでしょうか。
ここまで紹介してきた対策をすると、TVで見かける農家さんのような服装になります。
直射日光を避けるためには、農家さんの服装をすると頭に入れておきましょう。
対策2.体温を下げる
介護や移動が重なると、体温が上昇してどんどん暑く感じてきます。
暑くなったと気づいたときに、体温を下げるのも大事な熱中症対策です。
夏場の訪問介護のお供は、小さな保冷剤。
3つほど用意してタオルにくるんだものを首に巻くと、快適な涼感が得られるでしょう。
休憩時には、膝の裏や脇の下を冷やすとすぐに体温が下げられます。
直接体温を下げることにはつながりませんが、ハッカ・メントール系のスプレーを使うのもいいですね。
清涼感が持続するので、暑さを感じやすい介護や移動前にスプレーを活用しましょう。
対策3.水分補給
熱中症対策の基本は、水分補給です。
飲み物を持ち歩くと移動時の荷物になりますが、面倒くさがらずに持ち歩きましょう。
厚生労働省が提示している1日の水分補給目安は、1.2Lです。
そのため、最低でも500mlのペットボトルを2本は用意したいところ。
汗をよくかく体質なら、塩分も必要になります。
ミネラル補給のために、塩分タブレットや経口補水液を活用しましょう。
3.訪問先の高齢者が起こす熱中症にも気を付けよう!
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訪問ヘルパーなら、利用者の方の熱中症予防にも努める必要があります。
まずは、高齢者の熱中症に関して、東京消防庁が公表した情報を確認してみましょう。
- 熱中症の発生場所は室内が多い
- 70~80歳の高齢者が全体の約4割
- 10時~16時の時間帯が最も緊急搬送されている
あなたの担当する利用者の方々も、このような条件に当てはまりませんか?
利用者の方の熱中症予防で、訪問ヘルパーは以下のようなことができます。
- 水分補給の呼びかけ
- 室内の温度管理
- 食事の栄養補給
それぞれ詳しく見ていきましょう。
(1)水分補給の呼びかけ
高齢者は体内に蓄えられる水分量が減るということは、既にご存知かもしれません。
そのため、室内であってもこまめな水分補給を促すことが大切です。
注意したいのは、実際に飲んでいるかどうか確認する必要があること。
利用者の方が「飲んだ」と言って実際は飲んでないこともあるかもしれません。
介護が必要な人は、トイレに行きたくない心理から水分補給を避ける傾向があります。
しかし、無理に飲ませることもできません。
訪問ヘルパーとしては、会話から自然と「喉が渇きませんか?」などと提案する工夫をしてみましょう。
利用者の方が好きな味や飲み物を知っておくのも大事ですね。
(2)室内の温度管理
訪問介護では、室内の温度管理も大事な熱中症対策です。
一般的に、室温を28℃以下に保つことが推奨されています。
エアコンがあれば、室温の調節は簡単です。
しかし、高齢者はエアコンの風が嫌いな場合があります。
もし、利用者の方がエアコンを好まないなら、熱中症の危険を伝えてあげましょう。
命に関わる大事なことだと強調して伝えると、理解してもらえるかもしれません。
また、冷房機能だけでなく除湿機能の活用もおすすめです。
エアコン特有の冷えを感じにくくし、湿度も下げられます。
常に様子を見守ることができない訪問ヘルパーだからこそ、気づいたときにできる対策をしましょう。
(3)食事の栄養補給
訪問ヘルパーは、食事から利用者の方の熱中症予防対策ができます。
熱中症予防には、健康な身体づくりが大事です。
生活援助の調理があるとき意識したいのは、傾聴で得られた内容を調理に取り込むこと。
無理に栄養があるものを食べさせるのではなく、食べてもらうことに重点を置きましょう。
例えば、好きな食材を使ったり、好きなメニューにしたり。
喜んで食べてもらう工夫ができれば、利用者の方は自然と栄養補給できます。
訪問ヘルパーの気配りで、利用者の方の身体づくりを支えましょう。
ここまでは、熱中症を未然に防ぐ方法を中心にお伝えしてきました。
次は、万が一熱中症になってしまったときの対処法を解説します。
4.もし熱中症の症状が出たらどうすればいい?
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訪問ヘルパーとして、熱中症になってしまったときの対策も覚えておきましょう。
対策を知っておくことで、重症化を防げるはずです。
訪問介護で考えられる熱中症には、以下のようなケースが考えられます。
- 訪問ヘルパー自身の熱中症
- 訪問時や訪問中の利用者の方の異変
どちらも早急に対処すべきです。
それぞれ、環境省が公表している熱中症の応急処置を基に解説していきます。
対処1.訪問ヘルパー自身の熱中症
既に紹介した通りですが、熱中症の症状をもう一度確認しておきましょう。
- めまいや立ち眩み
- 手足のしびれ
- 筋肉のこむら返り
- 頭痛
- 吐き気や嘔吐
- 倦怠感や虚脱感
あなた自身がこのような症状を感じたときは、水分補給して涼しいところで休んでください。
皮膚が薄く大きな血管があるところを意識して冷やすと、早く体温を下げられます。
冷やすべき箇所は、普段脈拍を測るところ。
このように意識すると、覚えやすいかもしれません。
症状が重いと感じたなら、事業所か救急に連絡しましょう。
応急処置で症状が収まったとしても、後で病院にいった方がいいです。
熱中症の症状が回復しても、脱水状態が続いている可能性があります。
熱中症になったことをお医者さんに伝え、あなたの体に異常がないか調べてもらいましょう。
今後の業務を続けていくためにも、医療機関の受診は忘れないでくださいね。
対処2.訪問時や訪問中の利用者の方の異変
利用者の方に熱中症の疑いがある場合も、基本的な応急処置は同じです。
体温を下げると同時に、可能であれば水分補給も促しましょう。
また、利用者の方に熱中症のような症状があった事実は、必ず事業所に連絡・報告してください。
今後の熱中症を防ぐために、利用者の方の家族にも伝える義務があるからです。
もし、利用者の方が次のような症状なら迷わず救急に連絡します。
- 返事がおかしい
- 意識消失
- けいれん
- からだが熱い
到着を待つ間も、応急処置として冷却と水分補給が必要です。
高齢者は熱中症の重症化リスクが高く、命の危険も伴います。
訪問ヘルパーとしてできる限りの対処をして、利用者の方の健康を守りましょう。
ちなみに、応急処置が医療行為に当たる心配はありません。
一般人でも応急救護を行うのと同じように、介護士も熱中症の応急処置をできます。
人の命を最優先に考えて、迷わず行動しましょう。
5.訪問ヘルパーの熱中症対策は毎日の健康から!
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ここまでは、すぐにできる熱中症対策や応急処置を紹介してきました。
しかし、熱中症対策は日頃から体の健康を保つことも重要です。
体調不良や体力が低下していると、熱中症のリスクが高まります。
訪問ヘルパーは肉体に負荷がかかる仕事ですから、夏場は体調管理にも力を入れましょう。
汗をかいた日の入浴を、シャワーで済ませてませんか?
暑い日が続くと、お風呂に入るのが億劫になるかもしれません。
しかし、体力を回復させる良質な睡眠には、入浴も大事です。
厚生労働省の情報によると、就寝の2~3時間前の入浴が効果的とされています。
入浴で体温が上がった後は、暑さが続かないように適度に体を冷ますと寝つきが良くなるでしょう。
栄養補給も大事ですから、業務の合間を縫って食事もしっかり取ってくださいね。
利用者の方の健康を維持するために、自分たちの体調管理も行いましょう。
まとめ
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今回「みーつけあ」は、訪問ヘルパーの熱中症に関して、介護士向けと利用者の方向けの対処法を解説しました。
熱中症の対策を再確認してみると、忘れていたこともあったのではないでしょうか。
あなたにあった熱中症対策で、夏場の訪問介護を乗り切りましょう!
当たり前ですが、利用者の方の熱中症を防ぐ心がけも必要です。
夏の暑さを感じたときは、この記事で読んだ内容を思い出してくださいね。