介護ヘルパー1級とは?実務者研修との違いや取得方法・給料などを紹介!
「介護ヘルパー1級ってどんな資格なんだろう?」
「実務者研修とは何が違うの?」
こんな疑問を持って、本記事にたどり着いたのではないでしょうか?
結論を言うと、介護ヘルパー1級はすでに廃止されています。現在は実務者研修が代わりの資格です。
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパー1級とはどんな資格だったのか、実務者研修と異なる点や取得方法について解説します。
気になる給料事情や取得するメリットなども紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
1.介護ヘルパー1級とはどんな資格?
引用:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパー1級とは、ホームヘルプサービス事業における基幹的な介護ヘルパーの養成を目的に作られた資格です。
介護ヘルパー1級を受講するにあたって、
- 介護ヘルパー2級を修了している
- 一定の実務経験が必要
とされていました。
また、研修は合計230時間あり、高度な介護知識・スキルを身につけられる資格と言えます。
介護ヘルパー1級の研修課程は以下のような内容です。
介護の技術に関する講義・演習はもちろん、介護制度や医学の基礎知識などの内容も研修に含まれていました。
- 老人保健福祉に係る制度及びサービスに関する講義
- 障害者福祉に係る制度及びサービス並びに社会保障制度に関する講義
- 社会保障制度に関する講義
- 介護技術に関する講義
- 主任訪問介護員が行う他の保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との連携等に関する講義
- 医学等の関連する領域の基礎的な知識に関する講義
- 居宅介護支援に関する演習
- 介護技術に関する演習
- 処遇が困難な事例に関する演習
- 福祉用具の操作法に関する演習
- 介護実習
- 福祉事務所、保健所等の老人保健福祉に係る公的機関の見学
介護ヘルパー1級は2012年度に廃止され、2013年度からは実務者研修という資格に変更されました。
履歴書には正式名称を書こう
介護ヘルパー1級を履歴書に書くなら、正式名称を使って「介護職員実務者研修過程 修了」と書きましょう。
あなたの持つスキルを正しく伝えるためにも、大切なことです。
「名前が違うから書かない」という選択肢を取ると、実力を伝えられず事業所も判断基準にできません。
正式名称を書き、提出することで1級と遜色のない対応をしてもらえるはずです。
ただし、ここで注意しておきたいのが追加の受講が必要となる点です。
介護ヘルパー1級と比べ、新しくなった実務者研修には新たな項目が追加されています。
そのため、これからもっと技術を磨き、今後も続けていく予定があるなら追加の受講を検討しましょう。
次章より、受講するメリットについて紹介していきます。
2.介護ヘルパー1級(実務者研修)を取得する5つのメリット
引用:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパー1級の資格概要や、現在は実務者研修に変更されていることをお話ししました。
資格名が変わった介護ヘルパー1級(実務者研修)を取得するメリットには、下記の5つが挙げられます。
- 介護業務の知識・スキルが身につく
- 介護職の就職で有利に働く
- 介護に対する自信につながる
- サービス提供責任者の要件を満たして給料アップを目指せる
- 介護福祉士としてキャリアアップを目指せる
それぞれについて解説します。
メリット1.介護業務の知識・スキルが身につく
介護ヘルパー1級は、介護系の資格の中でも専門性の高い内容を学べる資格です。
厚生労働省の資料を参考にすると、介護職員初任者研修では学ばない、コミュニケーション技術や介護過程Ⅲ、医療的ケアといった内容まで理解を深めています。
基礎的な知識の理解はもちろん、より踏み込んだ内容までしっかり勉強したい人にとって、意義のある資格でしょう。
また、医療的ケアを学ぶことで喀痰吸引・経管栄養などの知識・スキルも身につきます。
喀痰吸引や経管栄養の技術は、特別養護老人ホームや重度の利用者さんを受け入れるデイサービスなどで活躍できます。
メリット2.介護職の就職で有利に働く
介護の求人には、無資格OKで募集している広告がありますが、実際は即戦力となる人材を求めている事業所がほとんどです。
そのため、専門性の高い介護ヘルパー1級を持っていることは、就職でも有利に働きます。
ただし、技術や知識を保有しているとはいえ、必ずしも通用するとは限りません。
今後は、旧ヘルパー1級では足りなかった部分の受講をし、深い知識・スキルを身につけたい意向を伝えましょう。
そうすることで、介護ヘルパー1級のままでも、介護の仕事に対する意欲と一緒に資格をアピールできます。
また、介護ヘルパー1級の資格があることで資格手当てが付いたり、待遇面で優遇されることも利点です。
メリット3.介護に対する自信につながる
介護ヘルパー1級(実務者研修)を取得することで、あなたの介護に対する自信にもつながるはずです。
これまでよりも、さらに知識・スキルが身についているので、パット交換や突発的なトラブルにも対応できるでしょう。
例えば、リーダーという立場での業務や、高い技術からの新人育成などです。
あなたが培ってきた技術により、利用者さんのQOL(生活の質)の向上が見込めると、信頼できる良い職員として一目置かれる存在になれます。
介護ヘルパー1級の研修は、講義だけでなく実習も豊富に含まれているため、現場でもすぐに活用できるはずです。
また、資格を取得することで、事業所の管理者や他職員に対して、知識・スキルを認めてもらえるきっかけにもなります。
周りにも認めてもらえることで、より一層仕事への意欲アップや自信がつくでしょう。
メリット4.サービス提供責任者の要件を満たして給料アップを目指せる
介護ヘルパー1級(実務者研修)を取得することは、訪問介護事業所のサービス提供責任者の要件になっています。
そのため、資格を持つことと同時に給料アップも目指せるようになるのです。
サービス提供責任者は、ケアマネジャーが計画したケアプランに沿って訪問介護計画書を作成したり、ヘルパーとの連絡・調整を行ったりするのが業務内容となります。
事業所の中でも全体を統括していくポジションとなるため、責任がともなう役職です。
介護ヘルパー1級(実務者研修)を取得してサービス提供責任者になると、仕事に対してやりがいを感じられるとともに、高収入も目指せるようになります。
メリット5.介護福祉士としてキャリアアップを目指せる
介護ヘルパー1級(実務者研修)の資格取得は、介護福祉士を取るためにも必要とされる資格です。
サービス提供責任者だけでなく、介護福祉士としてキャリアアップを目指したい人にとってもメリットのある資格になります。
また、介護福祉士は介護ヘルパー1級同様に高い専門知識を学び、介護者に対して介護に関する指導も行える人材育成を目指した資格です。
訪問系の介護施設だけでなく、特別養護老人ホームや身体障害者施設など、さまざまな場所で活躍できます。
将来的に介護福祉士となって、介護業務の幅を広げたいと考える人にとっても、取得するメリットのある資格です。
3.介護ヘルパー1級はなぜ廃止になったのか
引用:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパー1級が廃止された大きな理由は、日本における介護のあり方の変化と研修内容の差異です。
平成7年の改正によって、下記のような介護ヘルパーに関連したサービスの提供環境や、期待される業務内容が大きく変化しました。
- 身体介護を中心とした介護ニーズの増加
- 新ゴールドプランによる介護ヘルパーの量的拡大と質的充実
- 介護ヘルパーの食事提供業務代替サービスの充実
- 新しい業務形態の登場
これらにともない、当時の介護ヘルパー1級の内容では不十分と判断し、研修内容の見直しが図られたのです。
こうして、介護ヘルパー1級の代わりとしてできたのが実務者研修です。
カリキュラムを改正するにあたって、下記の要件を満たす資格として新しく誕生しました。
- 福祉サービスの基本視点の形成
- 高い倫理性・豊かな人間性の形成
- 公的ホームヘルプサービス従事者としての高い介護能力の獲得
また、当時は資格取得後のキャリアパスに十分な仕組みがない点も考慮され、介護人材キャリアパスの見直しも行われています。
▼介護ヘルパーの資格に関する記事はこちらから。
>>介護ヘルパーの資格とは?初任者研修・実務者研修との違いや内容を解説
4.介護ヘルパー1級と介護福祉士の違いは?
引用:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパー1級と介護福祉士の明確な違いは「実務経験の差」といえます。
介護福祉士の資格取得条件は、実務経験が3年以上あり、介護ヘルパー1級(実務者研修)の資格を持っていることが条件です。
そして、筆記試験に合格すると国家資格として保有できます。
つまり、介護ヘルパー1級は介護福祉士を取るための条件となる資格でもあるわけです。
実務経験と筆記試験を通過し、技術と専門知識をもった実務経験という大きな差は、介護ヘルパー1級との大きな違いといえるでしょう。
看護師のサポートができるのは変わらない
介護福祉士・介護ヘルパー1級のいずれも、看護師がおこなう一部の医療行為にあたる喀痰吸引・経管栄養に対応できます。
ただし、追加の受講をして正式に実務者研修を取得することが前提です。
例えば、喀痰吸引は、自身で痰を排出できない利用者さんのために、専用の機器で溜まっている痰を取り除きます。
経管栄養は、胃や腸・鼻などから消化器官へチューブを挿入し、栄養剤を入れて栄養状態の維持と改善をおこなう医療行為です。
専門的な技術があることで、幅広い利用者さんのニーズに対応し、適切な処置をおこなえます。
こうした側面から見ると、介護福祉士と大きく差がないともいえるのです。
介護ヘルパー1級が廃止されていても、追加受講さえ受ければ十分に活躍が見込めるでしょう。
5.介護ヘルパー1級の代わりに実務者研修の取得を目指す方法と費用
引用:https://www.photo-ac.com/
ここまで、介護ヘルパー1級の資格概要や取得するメリットなどを紹介しました。
実務者研修の資格を取得するには、スクールの通信コースや通学コースの受講が必要です。
そのため、まずはスクールを探すところから始めましょう。
参考までに実務者研修の資格を勉強できる、東京都のスクールと費用、取得にかかる時間を表にまとめました。
無資格の場合、取得までにかかる時間は6ヶ月と考えておくと良いでしょう。
スクール | 保有資格による費用(税込) | 目安時間 | |
---|---|---|---|
三幸福祉カレッジ | 初任者研修 | 109,670円 | 1.5ヶ月〜6ヶ月 |
介護ヘルパー2級 | 109,670円 | ||
介護ヘルパー1級 | 84,700円 | ||
介護職員基礎研修 | 40,700円 | ||
無資格 | 142,670円 | ||
資格の大原 | 介護ヘルパー2級 初任者研修 | 95,700円 | 約6ヶ月 |
無資格 | 115,700円 | ||
ニチイ | 初任者研修 介護ヘルパー2級 | 193,814円 | 1ヶ月〜6ヶ月 |
介護ヘルパー1級 | 73,333円 | ||
介護職員基礎研修 | 57,627円 | ||
無資格 | 220,000円 | ||
藤仁館医療福祉カレッジ | 喀痰吸引等研修 | 155,100円 | 1ヶ月〜6ヶ月 |
認知症実践者研修 | 194,040円 | ||
介護ヘルパー3級 | 165,000円 | ||
初任者研修 介護ヘルパー2級 | 154,000円 | ||
介護ヘルパー1級 | 112,200円 | ||
介護職員基礎研修 | 42,900円 | ||
無資格 | 198,000円 | ||
むさし介護アカデミー | 初任者研修 介護ヘルパー2級 | 94,600円 | 1ヶ月〜6ヶ月 |
介護ヘルパー1級 | 79,200円 | ||
喀痰吸引研修 | 71,500円 | ||
介護職員基礎研修 | 46,200円 | ||
無資格 | 106,700円 | ||
しかくの学校 ホットライン | 喀痰吸引等研修 初任者研修 介護ヘルパー2級 介護ヘルパー1級 | 81,500円 | – |
介護職員基礎研修 | 27,500円 | ||
無資格 | 91,500円 | ||
クリエ福祉アカデミー | 初任者研修 介護ヘルパー2級 | 86,900円 | – |
介護ヘルパー1級 | 64,900円 | ||
介護職員基礎研修 | 31,900円 | ||
介護ヘルパー3級 無資格 | 108,900円 | ||
当校修了生 | 84,700円 | – | |
湘南ケアカレッジ | 初任者研修 介護ヘルパー2級以上 | 65,000円 | – |
多くのスクールで、無資格であっても受講可能なのがわかります。
すでに介護ヘルパー2級や1級などの資格を持っていると、学習内容も少なくて済むので費用は安くなります。
詳しくは、各スクールのホームページを確認してみると良いでしょう。
難易度は高くない!実務者研修の勉強方法
実際にスクールを決めて勉強を開始するとき、どのように勉強を進めていけば良いか悩む人もいるでしょう。
どんな資格の勉強を進めるにも共通して言えることですが、勉強はコツコツ継続して進めることが大切です。
仕事やプライベートに割ける時間は人によって異なりますが、勉強時間をしっかり確保してスクールで用意されたテキストで学習を進めましょう。
自宅学習で演習問題や提出課題に取り組んだ際は、間違えた部分を確認し、正しい理解を深めると効率的です。
通学講習・スクーリングの際は、講師の介護方法をしっかり確認し、不明点があればその場で質問すると良いでしょう。
6.介護ヘルパー1級から介護福祉士を目指す方法
引用:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパー1級をすでに取得している人の中には、介護福祉士の取得を目指そうと思っている人がいるかもしれませんね。
ここでは、介護福祉士の取得方法について見ていきましょう。
介護福祉士を受験するためのルートには、下記の4種類です。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉高校ルート
- 経済提携協(EPA)ルート
この4つのルートの中で、介護ヘルパー1級を持っているのであれば、実務経験ルートを目指します。
実務経験ルートは、実務経験が3年以上で、従事期間1,095日以上かつ従事日数540日以上となっています。
実務者研修が必要なため、介護ヘルパー1級なら必要な450時間の受講時間のうち355時間が免除対象です。
残りの95時間の研修を受講・修了して、条件を満たしましょう。
そして、これからは介護福祉士としての学習も必要になりますので、並行して勉強は進める必要があります。
7.気になる介護ヘルパー1級(実務者研修)者の給料
引用:https://www.photo-ac.com/
ここまでの内容を踏まえて、実務者研修の資格取得を目指そうと思った人が多いと思います。
資格取得にあたって気になることの1つに、資格を持っている場合の給料があるでしょう。
本章では、介護ヘルパー1級(実務者研修)者の給料を確認します。
介護労働安定センターの令和元年度 介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書によると、通常月の税込み月収は下記のような結果になっていました。
介護ヘルパー1級に相当する実務者研修、介護ヘルパー1級は約19万円となっており、無資格の場合と比べて約3万円給料は高くなっています。
資格名 | 平均月収 |
---|---|
介護福祉士 | 200,645円 |
実務者研修 | 193,800円 |
介護職員初任者研修 | 172,834円 |
介護職員基礎研修 | 193,741円 |
介護ヘルパー1級 | 195,819円 |
介護ヘルパー2級 | 184,122円 |
主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー) | 243,743円 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 228,741円 |
認定看護師・専門看護師 | 255,853円 |
看護師・准看護師 | 217,098円 |
PT・OT・ST | 245,681円 |
社会福祉士 | 225,884円 |
精神保健福祉士 | 233,626円 |
上記の資格なし | 156,016円 |
あくまで平均月収であるため、実際に働く施設・事業所によって金額は変わってくるでしょう。
目安として、19万円はもらえると覚えておいてください。
8.介護ヘルパー1級者の仕事先や仕事内容を知ろう
引用:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパー1級を持っている人が、どんな現場で働いているのかも気になりますよね。
ここでは、介護ヘルパー1級者の仕事先や仕事内容を見ていきましょう。
仕事先は、訪問介護事業所や有料老人ホームなどで働く場合が多いです。
特に、訪問介護サービスは介護系の有資格者しか従事できないため、介護ヘルパー1級があることで知識・スキルを十分に持っていると判断されます。
また、先述したように介護ヘルパー1級はサービス提供責任者の要件を満たしていますので、施設・事業所の責任者としても働けるでしょう。
介護者としては利用者の介護やヘルパーを担い、サービス提供責任者となれば事業所やスタッフの管理まで対応することになります。
資格で得たスキルを活かして、喀痰吸引・経管栄養などの対応にあたることもあるはずです。
まとめ
引用:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパー1級は、介護系の資格の中でも上位資格と言える高度な介護知識・スキルを身につけられる資格です。
ですが、今では名前を変え実務者研修となっています。今後の活動を考えるなら、
追加の受講を受けて取得してしまう方が良いでしょう。
就職で有利に働いたり、給料・キャリアアップも目指せたりと、取得するメリットも豊富です。
本記事では、実務者研修の取得方法も解説しましたので、ぜひ参考にスクール選びから始めてみてはいかがでしょうか。