介護ヘルパー必見!24時間対応訪問介護の仕事や人員基準などを解説
「24時間介助する介護ヘルパーの仕事ってどんなものだろう?」
「訪問介護と何が違うんだろ?」
このような風に思っていませんか?
24時間対応訪問介護は、通常の訪問介護とは異なり夜間・早朝特有の業務も含む、24時間介助をする仕事です。
今回「みーつけあ」では、24時間対応訪問介護の介護ヘルパーの仕事内容や、介護報酬・人員基準などについて解説します。
利用者向けの利用手順や費用も紹介していますので、介護ヘルパーになりたい人はもちろん、24時間対応訪問介護を利用したい人もぜひ参考にしてみてください!
1.24時間対応訪問介護とは
元画像:https://www.photo-ac.com/
24時間対応訪問介護は、介護ヘルパーが24時間体制で行う訪問介護のことです。
通常の訪問介護の業務に加えて夜中にナイトケアを、早朝にモーニングケアの業務も行います。
利用者は1日に複数回利用でき、必要な時間に必要なサービスを組み合わせて依頼可能です。
また、利用者の家族の急な外出時といった臨時の対応をする事業所もあります。
介護ヘルパーに24時間介助をしてもらえるので、利用者は夜間の急な容態変化があっても安心できる点が魅力です。
24時間見守り!夜間対応型訪問介護とは
24時間対応訪問介護と似たサービスに、「夜間対応型訪問介護」があります。
夜間対応型訪問介護は、介護ヘルパーが18時〜翌8時の夜間帯に訪問し、介助を行う訪問介護です。
介護する内容は、訪問介護や24時間対応訪問介護と同様で排泄介助や体位変換、安否確認などを行います。
その他、ベッドから転落してしまった際や容態の急変時に、臨時対応として介護ヘルパーの緊急手配も可能です。
夜間対応型訪問介護には、「定期巡回と随時対応」の2種類があり、必要に応じてタイプを選択できます。
ただし、利用できるのは要介護1〜5に当てはまる人で、軽度な要支援1〜2の場合は利用できません。
2.介護ヘルパーが行う24時間対応訪問介護の仕事内容
元画像:https://www.photo-ac.com/
前章で、24時間対応訪問介護について概要をお話ししました。
ここでは、24時間対応訪問介護の介護ヘルパーが行う仕事内容を確認しましょう。
主な24時間介助の内容は下記のとおりです。
- 配膳・下膳
- 排泄介助
- 移動介助
- 着替え
- オムツ交換
- 口腔ケア
- 移乗介助
- 体位変換
- 安否確認
- 服薬確認
- 薬塗布
配膳・下膳や排泄介助、服薬管理といった、日中の訪問介護で行う介助も業務内容に含まれます。
体位変換や安否確認、見守りなどの24時間介助特有の介護は、これまで経験のない人にとっては難しく感じるかもしれません。
これから、24時間対応訪問介護の介護ヘルパーとして働こうと考えている場合は、正しい介助方法を学んでおくと業務にスムーズに対応できるでしょう。
3.24時間対応訪問介護の介護ヘルパーがやらない仕事は?
元画像:https://www.photo-ac.com/
では、24時間対応訪問介護の介護ヘルパーがやらない仕事には何があるのか、気になる人もいるでしょう。
訪問介護と同じく、利用者が生活を送るのに必要な介護以外は業務範囲外です。
たとえば、利用者の家族の支援や掃除、ペット・観葉植物の世話などですね。
利用者のためを思ってやりたくなってしまうかもしれませんが、業務ルールに違反することになるので、利用者の介護に専念しましょう。
4.介護ヘルパーも知っておくべき!24時間対応訪問介護の介護報酬・費用
本章では、24時間対応訪問介護の介護報酬・費用について見ていきましょう。
24時間対応訪問介護の定期巡回・随時対応サービスは、一体型事業所と連携型事業所の2つに分けられます。
一体型事業所は、1つの事業所で訪問介護と訪問看護の2種類のサービスを一体的に提供するタイプです。
一方、連携型事業所は、事業所が地域の訪問看護事業所と連携してサービスを提供します。
これらの事業所のタイプによって、介護報酬・費用は変わってきます。
「厚生労働省の資料」によると、24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの介護報酬は下記の通りです。
介護のみを利用する場合は、一体型事業所・連携型事業所とも単位数が同じですね。
一体型事業所 | ||
介護・看護利用者 | 介護利用者 | |
---|---|---|
要介護1 | 8,255単位 | 5,658単位 |
要介護2 | 12,897単位 | 10,100単位 |
要介護3 | 19,686単位 | 16,769単位 |
要介護4 | 24,268単位 | 21,212単位 |
要介護5 | 29,399単位 | 25,654単位 |
連携型事業所 | ||
分譲分を評価 | 連携先訪問看護事業所を 利用する場合の訪問看護費 (連携先で算定) | |
---|---|---|
要介護1 | 5,658単位 | 2,935単位 |
要介護2 | 10,100単位 | 2,935単位 |
要介護3 | 16,769単位 | 2,935単位 |
要介護4 | 21,212単位 | 2,935単位 |
要介護5 | 25,654単位 | 3,735単位 |
参考:24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設 – 厚生労働省
看護も利用する場合は、要介護4と5を除いて一体型事業所の方が単位数は少なく済みます。
夜間対応型訪問介護で夜間ヘルパーをお願いする場合の料金は?
夜間対応型訪問介護で夜間ヘルパーを利用する場合の料金は、「厚生労働省の夜間対応型訪問介護」によると下記のとおりです。
基本料金が1ヶ月あたり1,009円となっており、各サービスを活用することでプラス料金がかかります。
サービス費用の設定 | 利用者負担(1割) (1回につき) | |
---|---|---|
オペレーションセンターを設置している場合 | 基本夜間対応型訪問介護 | (1月につき)1,009円 |
定期巡回サービス | (1回につき)378円 | |
随時訪問サービス(1名による訪問の場合) | (1回につき)576円 | |
随時訪問サービス(複数名による訪問の場合) | (1回につき)775円 |
参考:どんなサービスがあるの? – 夜間対応型訪問介護 – 厚生労働省
表にも記載されているように、この金額は1割負担の場合の金額です。
負担額やサービス提供地域、要介護度によっても金額は変動しますので、参考程度に考えておくと良いでしょう。
訪問介護の時間区分ごとの料金は?
訪問介護の時間区分ごとの料金も合わせて紹介します。
「社会福祉法人 福生会のサービス料金」を参考に、時間区分ごとの料金は下記のとおりです。
あくまで福生会のサービス料金であるため、参考程度に料金を確認しておくとよいでしょう。
身体介護が中心の場合 | |||
サービス提供時間 | サービス区分名 | サービス利用料金 | 自己負担額 |
---|---|---|---|
20分未満 | 身体介護0 | 1,915円 | 192円 |
20分以上 30分未満 | 身体介護1 | 2,846円 | 285円 |
30分以上 1時間未満 | 身体介護2 | 4,504円 | 451円 |
1時間以上 1時間30分未満 | 身体介護3 | 6,559円 | 656円 |
1時間30分以上 2時間未満 | 身体介護4 | 7,479円 | 748円 |
生活援助が中心の場合 | |||
サービス提供時間 | サービス区分名 | サービス利用料金 | 自己負担額 |
---|---|---|---|
20分以上 45分未満 | 生活援助2 | 2,129円 | 213円 |
45分以上 | 生活援助3 | 2,610円 | 261円 |
身体介護および生活援助の両方が行われる場合 | |||
サービス提供時間 | サービス区分名 | サービス利用料金 | 自己負担額 |
---|---|---|---|
身体1に引き続き 生活20~45分未満 | 身体1生活1 | 3,627円 | 363円 |
身体1に引き続き 生活45~70分未満 | 身体1生活2 | 4,408円 | 441円 |
身体1に引き続き 生活70分以上 | 身体1生活3 | 5,178円 | 518円 |
身体2に引き続き 生活20~45分未満 | 身体2生活1 | 5,285円 | 526円 |
身体2に引き続き 生活45~70分未満 | 身体2生活2 | 6,066円 | 607円 |
身体2に引き続き 生活70分以上 | 身体2生活3 | 6,848円 | 685円 |
身体3に引き続き 生活20~45分未満 | 身体3生活1 | 7,329円 | 733円 |
身体3に引き続き 生活45~70分未満 | 身体3生活2 | 8,110円 | 811円 |
身体3に引き続き 生活70分以上 | 身体3生活3 | 8,891円 | 890円 |
生活援助に加えて身体介護もお願いするとなると、自己負担額はプラス150円程になっていますね。
重度訪問介護で24時間依頼する場合の費用は?
障害者が重度訪問介護で、24時間介護ヘルパーを依頼する場合の費用も確認しておきましょう。
参考までに「、一般社団法人 もとす医師会」の利用者負担額は下記のとおりです。
24時間介護をお願いするとなると、1回で3,979円かかる計算になります。
サービスの種類時間等 | 利用料 | 自己負担額 | |
---|---|---|---|
重度訪問 | 30分以上1時間未満 | 1,840円 | 184円 |
1時間以上1時間30分未満 | 2,740円 | 274円 | |
1時間30分以上2時間未満 | 3,660円 | 366円 | |
2時間以上2時間30分未満 | 4,570円 | 457円 | |
2時間30分以上3時間未満 | 5,490円 | 549円 | |
3時間以上3時間30分未満 | 6,390円 | 639円 | |
3時間30分以上4時間未満 | 7,310円 | 731円 | |
4時間以上8時間未満 816円に30分増すごとに85円加算 | |||
8時間以上12時間未満 1,496円に30分増す毎に自己負担85円加算 | |||
12時間以上16時間未満 2,171円に30分増す毎に自己負担80円加算 | |||
16時間以上20時間未満 2,817円に30分増す毎に自己負担86円加算 | |||
20時間以上24時間未満 3,499円に30分増す毎に自己負担80円加算 |
毎日24時間、重度訪問介護に来てもらうと、ひと月で123,349円になる計算です。
しかし、障害者の利用者負担には月ごとの上限があり、所得に応じて負担上限月額が設定されています。
「厚生労働省の障害者の利用者負担」を見てみると、上限額は下記のとおりです。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 (3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円〈 収入が概ね600万円以下の世帯が対象〉未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
ひと月に利用したサービス量にかかわらず、上限額は表のとおりです。
つまり、重度訪問介護を毎日24時間お願いしても、利用者の自己負担額は最大で37,200円になります。
5.24時間対応訪問介護の介護ヘルパーの人員・設備基準は?
元画像:https://www.photo-ac.com/
24時間対応訪問介護の介護報酬・費用について、前章で解説しました。
費用については利用する事業所や地域によって変動しますが、目安として覚えておくと良いでしょう。
この章では、24時間対応訪問介護の介護ヘルパーの人員・設備基準について見ていきます。
「厚生労働省の定期巡回・随時対応型訪問介護看護の人員・設備基準」によると、介護ヘルパーの設置基準は下記のとおりです。
具体的な人数は示されておらず、最低基準として1人以上いれば問題ないとされています。
職種 | 資格等 | 必要な員数等 | |
---|---|---|---|
訪問介護員等 | 定期巡回サービスを 行う訪問介護員等 | 介護福祉士 実務者研修修了者 介護職員基礎研修 訪問介護員1級 訪問介護員2級 | 交通事情、訪問頻度等を勘案し適切に定期巡回サービスを提供するために必要な数以上 |
随時訪問サービスを 行う訪問介護員等 | ・常時、専ら随時訪問サービスの提供に当たる訪問介護員が1以上確保されるための必要数(利用者の処遇に支障がない場合、定期巡回サービスに従事することができる。) ・夜間・深夜・早朝の時間帯についてはオペレーターが随時訪問サービスを行う訪問介護員等を兼務可能 |
参考:24時間対応の定期巡回・随時対応サービスの創設 – 厚生労働省
夜間・早朝の時間帯ということもあり、介護ヘルパーの人数は多く設定しない事業所がほとんどです。
そのため、体位変換や排泄介助、安否確認などの業務を1人でしっかり行う必要があります。
日中の訪問介護に比べると、より責任性の高い仕事と言えるでしょう。
しかし、24時間対応訪問介護は、介護ヘルパー以外の看護職員やオペレーター、管理者などと連携して業務を行います。
そのため、サービス提供を介護ヘルパー1人で行うことはありません。
介護ヘルパーとして、24時間介助は1人で対応する場合もあることは覚えておきましょう。
6.利用者は要チェック!24時間対応訪問介護の介護ヘルパーを利用する方法
元画像:https://www.photo-ac.com/
ここまで、24時間対応訪問介護の介護ヘルパー向けに、仕事内容や人員基準について説明してきました。
最後に、本章では利用者に向けて24時間対応訪問介護の利用方法を解説します。
24時間安心して生活したいと考えている場合は、ぜひ利用を検討してみてください。
24時間対応訪問介護を利用するまでの流れは、下記のとおりです。
- ケアマネジャーに相談する
- ケアプランを作成してもらう
- 24時間対応訪問介護の利用を開始する
まずは、24時間対応訪問介護を利用したいことをケアマネジャーに相談しましょう。
担当してくれるケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターに相談してケアマネジャーを選定してもらいます。
ケアマネジャーが決まると、あなたの生活状況や状態を確認した上で下記の内容を検討し、最適なケアプランを作成してくれます。
- 介護給付の支給限度額
- サービス提供事業者の選定
- 必要なサービス内容・回数
作成してもらったケアプランを確認・承認したら、24時間対応訪問介護の事業所と契約し、サービスの利用を開始しましょう。
ただし、24時間体制で訪問介護をしてくれる事業所は多いとは言えません。
そのため、複数の事業所を比較して選ぶのは難しいと言えます。
もし、複数の事業所から24時間対応訪問介護を選べる場合は、下記の内容を検討した上で選んでみてください。
- サービス内容や費用に関する詳細の説明があるか
- 訪問時間や介護ヘルパーの変更に対応してくれそうか
- 介護ヘルパーの言葉遣い・対応に問題はないか
- オペレーションセンターが設置されているかどうか
長く活用することになるものですので、複数から選ぶ場合は慎重に検討を重ねましょう。
24時間対応訪問介護を利用するまでの流れは以上です。
ケアプランに沿った内容で介護ヘルパーが24時間介助・見守りをしてくれます。
24時間介護を障害者が利用する場合
障害者が重度訪問介護で24時間介護を依頼する場合も、24時間対応訪問介護の利用手順と同様です。
まずはケアマネジャーに相談して、重度訪問介護を利用したい旨を伝えましょう。
ケアマネジャーが作成したケアプランに沿って、必要なサービスや提供時間を設定してくれます。
もちろん、利用できる時間は30分〜24時間から選ぶことができ、24時間介護をお願いしたい場合はその旨を伝えましょう。
障害者の場合は、どんなに介護サービスの内容が増えても、支払う上限金額は37,200円です。
充実した日常生活を送れるように、ぜひ積極的に利用を検討してみてくださいね。
まとめ
元画像:https://www.photo-ac.com/
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパー向けに24時間対応訪問介護の仕事内容や、人員基準などを紹介しました。
24時間対応訪問介護の業務は、通常の訪問介護の内容に加えて体位変換や安否確認など、夜間・早朝ならではの内容が含まれます。
通常であれば寝ている時間帯に介護をすることになるため、介護ヘルパーの睡眠・体調管理がとても重要です。
ぜひ本記事を参考に、24時間介助を行う介護ヘルパーの理解を深めてください。