介護ヘルパーは2人で対応・訪問することはある?要件や算定方法まとめ
「介護ヘルパーが2人対応をするのは問題ない?」
「そもそも2人対応って介護保険やケアの方針から見てどうなの?」
このような疑問をいだいて、本記事にたどり着いたのではないでしょうか?。
いつも1人で行う介護ヘルパーの仕事が、2人対応になると非常に楽になる印象を持つ人もいるでしょう。
実は、一定の条件下であれば介護ヘルパーの2人対応が可能です。
ですが、注意点を覚えておかなければ失敗してしまったり、他の事業所と揉めてしまう原因になりかねません。。
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパーの2人対応について徹底的にわかりやすく解説します。
さっそく見てきましょう。
1.介護ヘルパーが訪問介護で2人対応することはほとんどない
元画像:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパーが2人対応することは、そう滅多に経験できるものではありません。
多くの事業所、そしてケアマネージャーは1人で介護することを想定してケアプランを作成するためです。
たとえば、一人暮らしの利用者さんに対して、複数人で集まって一気に掃除やお風呂の介助をするという話は耳にしませんよね。
ワンルームのマンションにお住まいでしたら、ヘルパー同士がスペースを取ってしまうので効率的とはいえないでしょう。
しかし、一般的な例に当てはまらずに2人での対応が必要になったときは、ケアプランに盛り込まれます。
つまり、利用者さんのニーズに合わせて適切なケアを行うために「2人対応」という選択肢もあるというわけです。
慣れないうちに2人対応で引き継ぎする
まだ、あなたが働きはじめて短いなら、介護ヘルパーとして一人前になるための引き継ぎがあります。
利用者さんに合わせて、適切なサービスを届けるためにも「細かいルールやそこでのやり方」を学ぶ必要があるためです。
たとえば、料理をするときのルール(食事の制限がある)、掃除するときに気をつけたいことなど。
口頭で説明されることもあれば、特記項として先輩ヘルパーが一緒に仕事をしながら伝えなければ理解できないケースもあります。
そのため、先輩と後輩の2人対応として、利用者さん宅へ足を運ぶことはあるわけです。
多くの人が経験する2人対応は、こうした先輩と後輩の引き継ぎによるものが多いでしょう。
2.介護ヘルパーが訪問介護・居宅介護で2人介護するための要件を知っておこう
元画像:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパーは1人対応が基本ですが、現場では対応しきれないケースも出てくるでしょう。
介護ヘルパーが2人で対応する要件は、以下3点の中で1つは必ず当てはまるようにしなければなりません。
- 利用者さんの身体的な理由から1人のサービスが困難
- 利用者さんが暴力やものを壊すなど危険な行動を取る
- 上記1.2.のいずれかを予測できる危険な状態であること
より具体的に考えてみましょう。
1人で利用者さんの様子を見ていたとき、ふとした拍子に立ち上がり転倒するほど足腰が弱いと「常に見守る」ことになりますよね。
そうすると、ケアプランで明確に決められている依頼内容を時間内にこなすことができずに、想定よりも多くの時間を必要とします。
これでは、次の依頼に間に合わないなどケアを均一に届けることはできなくなります。
こうしたことにならないよう、要件に当てはまるときには2人対応できるというわけです。
もし、あなたがいつも担当している利用者さんで、対応が難しいと思った場合には、先輩ヘルパーやサービス提供管理者に相談してみてください。
1人で必ず対応するという気持ちから、利用者さんのQOL(生活の質)を低下させてしまえば、ケアの本質的な意味を見失ってしまいます。
さらには、目を離している間に大きな事故・トラブルが発生してしまうとどうでしょうか。
こうしたリスクがある以上、2人対応の必要性があることがわかります。
2つの訪問介護事業所の介護ヘルパーが同時に重なったら?
基本的には、重なるように介護計画を立てても問題ないとされています。
ただし、算定においてはどちらかの事業所に対しておこなうケースが一般的。
訪問介護費の分配はお互いの事業所で話し合い、決定しておく必要があります。
たとえば、2つの異なる事業所が同じ時間帯に利用者さん宅で介護した場合、訪問介護を行っていた時間が1回分のサービスとなります。
そのため、サービス提供実績記録票は事業で分けずに、1行で設定するという形になるのです。
事業所が複数の場合でも、算定時間数は利用者さんがサービス提供を受けた開始時刻から終了時刻までの所要時間となることを覚えておいてください。
3.介護ヘルパーが2人対応したときの介護報酬の算定方法はどうなる?
元画像:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパーが2人となったケースで、介護報酬の算定方法を確認しましょう。
「厚生労働省の介護サービス関係 Q&A集」によると、時間に適応した単位数を使います。
単位数はそのまま使うのではなく、100分の200にして計算していくのです。
たとえば、身体介護を1時間以上1時間30分未満、介護ヘルパー2人で行なった場合の単位数は584単位です。
所有している資格によって単位数は変動し、行うケアの内容によっても異なります。
例を以下のような表にまとめたので、参考にしてみてください。
介護ヘルパー | サービス内容 | 算定方法 |
---|---|---|
Aさん | 移動介助のみ対応 | 身体介護中心型の時間で算定する |
Bさん | 移動介助をした後に生活援助も対応 | 身体介護中心型+生活援助の時間で算定する |
※2人の介護員等の場合のサービスコードにより請求を行ってください。
サービスコードは、「厚生労働省の報酬算定構造・サービスコード表」等から確認できます。
表にあるようにサービス内容を別々に分け、それぞれの介護ヘルパーが行ったサービスごとに時間を算出します。
2人の介護ヘルパーのサービス内容が違う場合には、単位数を別々に算定するということを覚えておいてください。
介護報酬の計算に関しては、介護ヘルパー自身が行うものではないため関係ないと思う人もいるでしょう。
しかし、後述する請求の例外発生事例があるように、訪問介護事業所で請求ミスが起こるケースもあります。
まさか事業所単位で間違えが起こるなんて、なかなか考えられないですよね。
そんなとき、あなたをはじめとする介護ヘルパーが計算方法を知っていれば、請求ミスを未然に防げるかもしれません。
ぜひ参考に、介護報酬の算定方法を覚えておいてください。
4.訪問介護は夫婦同時に受けられる?介護ヘルパーは2人来るの?
元画像:https://www.photo-ac.com/
「夫婦で一緒に訪問介護を利用したい」
こんな風に考えるご家庭もあると思います。
この場合、訪問介護は夫婦同時に利用できるのか、介護ヘルパーは何人になるのか気になりますよね。
まず、訪問介護は夫婦同時に利用することが可能です。
ただし、介護保険のサービスは個人単位になるため、夫婦そろって要介護認定されている場合でもそれぞれのケアプランを作成します。
夫婦で一緒に訪問介護を受ける場合、キッチンやお風呂、トイレといった共有部分の掃除は、どちらのケアプランに組み込むのかなど、検討する項目があるためです。
不安な人でも、問題なくプランを作成してもらえるため、相談してみましょう。
どうしても…ということがあれば、市区町村の窓口に相談してみてください。
同じケアマネージャーに担当してもらい、上手く分散するのも1つの手です。
訪問ヘルパーの人数は2人になる?
では、夫婦で訪問介護を受ける場合、介護ヘルパーの人数については決まりがあるのでしょうか?
人数に関しては、介護ヘルパー1人であっても2人であっても問題ありません。
例えば、夫が10時〜11時に身体介護を受けて、その後妻が11時〜12時に身体介護を受けるのであれば、介護ヘルパーは1人で済みます。
逆に、同じ時間内に夫婦共に介護が必要であれば、介護ヘルパーは2人で夫と妻のそれぞれを介助するでしょう。
状況に応じて、臨機応変な対応が求められます。
ただし、2人体制で訪問介護を受ける場合であっても、同じ事業所から介護ヘルパーが来るとは限りませんので、その点だけは注意しておくと良いでしょう。
5.知っていますか?訪問介護の身体介護・生活援助の2時間ルール
元画像:https://www.photo-ac.com/
あなたは、訪問介護における2時間ルールをご存知でしょうか?
訪問介護の身体介護・生活援助の2時間ルールとは、1日に2回以上サービス提供するとき、それぞれの間隔が2時間以上あいていない場合には、サービスを1回分とカウントする規定のことです。
つまり、身体介護を30分行った後、2時間以内に身体介護を20分行う場合は、50分の介護サービスを提供したことになります。
- 50分の身体介護サービス
- 30分と20分の身体介護サービス
上記2つは、それぞれ合算した時間は同じでも単位の計算が変わるため、利用者さんの支払いにも影響するので、しっかりと区別しなくてはいけません。
また、2人で対応する場合にも関係してくる規定ですので、ぜひこの機会にしっかり覚えておいてくださいね。
訪問介護の2時間ルールで例外が発生した事例
2時間ルールをしっかりと把握していない場合、利用者さんの支払いに影響するとお話ししました。
ここで、2時間ルールを考慮しなかったがために、利用者さんに必要より多くの料金を請求してしまった事例を紹介します。
「群馬県の訪問介護の指導事例」についてに記載されていた事例です。
とある訪問介護で、2つのサービス提供間隔が2時間未満であったにも関わらず、1つのサービスとしてカウントされずに別々であると算定したまま提出してしまいました。
結果、利用者さんに本来よりも多い金額を請求してしまったとのことです。
利用者さんからすれば支払う料金が増えることは深刻な問題で、事業所への信用にも関わりますよね。
このようなミスが発生しないためにも、2時間ルールという制限について介護ヘルパーは理解を深める必要があるのです。
6.介護ヘルパーの2人対応で事前に知っておきたいQ&A
元画像:https://www.photo-ac.com/
最後に、介護ヘルパーの2人対応で意外に身近な問題を解決できるQ&Aを用意しました。
- 車を駐車するスペースがないときは?
- 介護ヘルパーは元気な同居家族がいても利用できる?
それぞれ役立ててみてください。
Q1.車を駐車するスペースがないときは?
A. 介護サービスのための駐車は、禁止エリアでも許可を取得できます。
訪問先や訪問時間を最寄りの警察署に申請し、必要性を認められたケースでは駐車許可証をもらえます。
2人対応するときには、駐車スペースが確保できずに路上駐車になってしまうという事態が起きやすいです。
事前に職場に確認を取り、駐車許可証を用意しておきましょう。
ちなみに、介護ヘルパーを利用したい人で近隣に駐車場がなくて躊躇している人も、この制度によって依頼できるようになっています。
対応してもらえる事業所はありますので、状況を伝えて適切なケアを受けるようにしてみてください。
Q2.介護ヘルパーは元気な同居家族がいても利用できる?
A. ケース・バイ・ケースですが対応してもらえる可能性はあります。
同居している家族が元気で介護が要らない場合、「介護サービスは利用できないのでは?」と考える人もいるでしょう。
しかし、ケアプランに生活援助を入れる場合、同居家族の援助を受けることができない理由があれば認められることがあります。
たとえば、同居中の家族が昼間に居なくなることで健康で文化的な生活ができないといったような理由があれば問題ありません。
しかし、自己申告ではなく実際にヒアリングや実態の調査により、適切なケアのための必要性を認められたケースに限ります。
最初から利用できないと決めてしまうのではなく、まずは相談からスタートしましょう。
まとめ
元画像:https://www.photo-ac.com/
介護ヘルパーが2人で対応することは、そう滅多に経験できるものではありません。
しかし、状況によっては求められることもあるため、覚えておくと損はないでしょう。
これから、さらに上の資格を取得していき、活躍していくなかにはこうした事例にぶつかることがあります。
絶対に1人でやり切る、そしてやってもらわなければいけないわけではありませんので、安心してください。
ぜひ、今後の活動に役立つことを祈っています。