訪問介護のホームヘルパー3級とは?概要や廃止理由・取得すべき資格を解説!
「ホームヘルパー3級はどのような資格なの?」
「廃止されたって聞いたけど本当?」
じつは、ホームヘルパー3級は2012年度に廃止され、代わりに「生活援助従事者研修」という資格が用意されました。
そこで今回「みーつけあ」では、ホームヘルパー3級や生活援助従事者研修はどのような資格なのか、廃止理由や扱いについても踏まえてまとめました。
これから資格の取得を目指す際に、おすすめの介護資格も紹介します。疑問を解決して、キャリアアップを目指していきましょう。
1.ホームヘルパー3級はどのような資格?
ホームヘルパー3級は、正式名称を「訪問介護員養成研修3級課程」と言います。
主に、家事援助業務に携わる訪問介護ヘルパーの養成を目指して作られた研修制度でした。
また、ホームヘルパー2級へのステップアップを前提として作られており、ホームヘルプサービスの入門資格としても位置づけられています。
ホームヘルパー3級では、「家事援助業務に必要な基礎知識と技術を身につけるために、50時間の研修を受ける」という内容となります。
しかし、現在では廃止されているため、新たに取ることはできません。
ホームヘルパー3級が廃止された理由
ホームヘルパー3級は、訪問介護ヘルパーとして働くために多くの人が目指す資格でした。
しかし、ホームヘルパー3級だけでは利用者の体に直接触れて行う「身体介護」の仕事ができません。
ホームヘルパー3級で学べる内容と業務内容に大きな差が生まれてしまい、廃止となったのです。
その結果、より実務に近く、そして技術を保有できる状態を作るために、介護事情に合わせた資格「生活援助従事者研修」が作られました。
ちなみに、ホームヘルパー3級の上位資格にあたるホームヘルパー1級・2級も、合わせて廃止されました。
廃止後は、ホームヘルパー2級の代わりが介護職員初任者研修、ホームヘルパー1級の代わりが実務者研修となっています。
2.ホームヘルパー3級は現在「生活援助従事者研修」に変わりました
ホームヘルパー3級は、新たな資格「生活援助従事者研修」に変わりました。
掃除や洗濯、調理など、生活援助サービスに特化した人材を育成する目的で作られた資格です。
ホームヘルパー3級で学び得た知識や、技術と比べても同じですね。
しかし、ホームヘルパー3級を持っていても生活援助従事者研修と同じ扱いにはならない点に注意してください。
もし、今後も今までと同じように働きたいのであれば、生活援助従事者研修を目指してみてください。
ここで、以下2つの疑問を解消しておきましょう。
- ホームヘルパー3級と生活援助従事者研修の違いは?
- ホームヘルパー3級は無駄になるの?
それぞれ、確認してみてください。
ホームヘルパー3級と生活援助従事者研修の違いは?
介護ヘルパー3級と生活援助従事者研修では、研修の目的が若干異なります。
介護ヘルパー3級はあくまで、介護ヘルパー2級を目指すための足掛かりのような立ち位置でした。
対する生活援助従事者研修は、介護職員を増やしたいという現代のニーズに合わせて作られています。
短い時間で取得できるため、より多くの訪問介護ヘルパーの人材確保が可能となりました。
さらに、ホームヘルパー3級と生活援助従事者研修では研修内容や時間も異なります。
たとえば、厚生労働省が公表している生活援助従事者研修で学べる内容は下記の通りです。
- 職務の理解
- 介護における尊厳の保持・自立支援
- 介護の基本
- 介護・福祉サービスの理解と医療との連携
- 介護におけるコミュニケーション技術
- 老化と認知症の理解
- 障害の理解
- こころとからだのしくみと生活支援技術
- 振り返り
ホームヘルパー3級の研修時間が50時間に対し、生活援助従事者研修は59時間と研修時間が増えています。
このように、資格の目的や研修内容・時間といった部分が、両者で違うことも念頭に置いておきましょう。
ホームヘルパー3級は無駄になるの?
ホームヘルパー3級が廃止されたことで、「せっかく取得したのに無駄になった」という気持ちを抱いた人もいるのではないでしょうか?
しかし、あなたが介護の仕事を続けてキャリアアップを目指す限り、完全に無駄になってしまうことはありません。
なぜなら、新たに介護福祉士の受講に必要な「実務者研修」の受講時間から、30時間の免除を受けられるからです。
実務者研修を取るのに必要な時間は450時間なので、420時間でよい計算ですね。
さらに、必要時間数が減ることで、おおよそ5,000円~10,000円の割引を受けられるスクールもあります。
ホームヘルパー3級が、必ずしも無駄にはならないということを覚えておきましょう。
3.ホームヘルパー3級の代わりに生活援助従事者研修を取得する方法
生活援助従事者研修は、スクールに通うことで取得可能です。
カリキュラムは、規定で定められている59時間の研修となります。
時間に拘束されることなく取得できるため、子育て中の主婦や在職中の人でも取りやすいでしょう。
さらには、受講者の負担を軽減するための措置として、29時間は通信学習で学べることも利点です。
また、都道府県から指定を受けたスクールであれば、どこで受講しても学ぶ内容はすべて同じです。
しかし、費用や自宅学習・スクール学習の時間数などは異なります。必ず確認をしておきましょう。
まだまだ生活援助従事者研修を学べるスクールは少ない
生活援助従事者研修はスクールに通って習得可能ですが、2018年に新設されたばかりということもあり、対応しているスクールが非常に少ないです。
そのため、スクールを探すのに時間がかかってしまい、場合によっては通える範囲にスクールがない可能性もあります。
もし、近場にスクールがなくて困っているのであれば、「介護職員初任者研修」の取得を目指しましょう。
生活援助に加えて、身体介護も行える「訪問介護の入門資格」となっています。
介護職員初任者なら、対応できる介護内容が増えるため、研修時間や内容は生活援助従事者研修よりも多いです。
たとえば、介護施設の職員や夜勤専従として働くこともできます。
訪問介護ヘルパーとして本格的に働きたい人はもちろん、キャリアアップを目指したい人も、介護職員初任者研修を目指すとよいでしょう。
▼関連記事はこちらから。
>>訪問ヘルパーに必要な資格とは?初任者研修など徹底解説
4.訪問介護ヘルパー関連の資格を取得するメリットを確認しよう!
訪問介護ヘルパーとして仕事をするには、介護資格の取得が必要不可欠です。
では、働く目的以外にもメリットはあるのでしょうか?
本記事では、将来を見据えて取得しておきたいと思える、以下3つのメリットを紹介します。
- 勉強した介護知識が現場で活きる
- 就職・転職・キャリアアップの際に役立つ
- 資格手当てがつく
順番に見ていきましょう。
メリット1.勉強した介護知識が現場で活きる
1つ目のメリットが、知識や技術が現場で活きることです。
訪問介護の現場では、利用者の体に直接触れて介助をするため、万が一にも相手に怪我をさせてしまったり、不快な気持ちにさせてしまったりしてはいけません。
そのためにも、「正しい知識・技術は必要不可欠」といえます。
つまり、あなたが今まで培ってきた知識と経験は、新たな資格の取得でも役立つわけです。
さらに、学ぶ内容は働いている中で気になっていた、疑問を解消できる内容ばかりです。
介護職員初任者研修では実演講義もあるので、実際にどのように利用者を介助するのか、どこに気をつけて対応すればよいのかがわかります。
知識や経験に、新たな介護の方法を取り入れることで、今後も活躍できる貴重な技術を持った人材となれるでしょう。
メリット2.就職・転職・キャリアアップの際に役立つ
2つ目のメリットが、資格を取得すると知識や技術が身につくだけでなく、就職や転職、キャリアアップにも役立つことです。
確かに、介護の求人のなかには無資格で応募できる仕事もあります。
しかし、人手不足がまだまだ続く介護の現場では、必要な資格を持っていて即戦力になる人材を選びたくなるものです。
そのため、介護関連の資格を持っているだけで就職や転職で有利になります。
今後のキャリアを考えるなら、こうした選択肢を持つようにしてみましょう。
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>>訪問ヘルパーに無資格でもなれる?最新情報や仕事内容などまとめました!
>>訪問ヘルパーの仕事内容とは?働き方や必要な資格について徹底紹介!
メリット3.資格手当てがつく
3つ目のメリットが、働く場所によっては資格手当てがつくということです。
「給料が低い」といわれる機会が多い訪問介護の仕事で給料アップが期待できることは、誰にとっても嬉しいことですよね。
たとえば、厚生労働省の「介護職員処遇改善交付金の効果について」を見てみましょう。
介護職員初任者研修を取得している人は、無資格の人よりも月給が約24,000円高いことがわかります。
2018年年9月 | 2017年9月 | |
介護職員初任者研修 | 285,610円 | 273,920円 |
保有資格なし | 261,600円 | 252,490円 |
資格取得にお金がかかることが気になる人でも、助成金やサポートがありますので安心です。
上手く活用し、今後のキャリアアップと手当の増加を考えられるのは大きなメリットとなるでしょう。
5.ホームヘルパー3級|履歴書の書き方
すでにホームヘルパー3級を取得している人のなかには、「就職・転職の際に履歴書に書けるの?」と疑問に思うかもしれません。
結論をお伝えすると、ホームヘルパー3級は履歴書に書いて問題ありません。
ただし、ホームヘルパー3級は正式名称ではありません。書くのであれば、「訪問介護員養成研修3級課程 修了」と書きましょう。
「古い資格だから書いても意味ないよね…」と思う必要はありません。
廃止された資格であっても、培われた知識は介護の現場で活かせるので、積極的に書いてください。
あなたの技術と知識をアピールできるチャンスなので、ちゃんと伝えていきましょう。
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>>登録ヘルパーの面接は受からないケースもある?!対策や気をつけるポイントについて
6.ホームヘルパー3級を持っている人は初任者研修・実務者研修の取得を目指そう!
先ほど、介護ヘルパー3級は履歴書に書けるというお話しをしました。
しかし、生活援助しかできず身体介護はできないため、介護ヘルパーとして本格的に働くには少し物足りないと判断されるケースもあります。
そこで検討したいのが、上位資格を目指すことです。
もちろん、取得を目指していることを伝えるだけでも問題ありません。
働く先が資格取得のサポートをしてくれることもあり、将来性が見込める貴重な人材として見てもらえるケースがあるからです。
上位資格の取得方法は、生活援助従事者研修と同じくスクールに通うだけとなります。
専用のカリキュラムに沿って学習が進むので、現場でも使える知識・技術がしっかり身につくでしょう。
今後も日本の高齢化や介護の需要は増加する傾向にあり、介護ヘルパーのニーズも高まっています。
ぜひ、今からでも動き出しましょう!
ホームヘルパー3級に関する気になる疑問を解消!
最後に、ホームヘルパー3級からキャリアアップを目指す人に向けて、気になる疑問を解消していきます。
- 高校生でも介護ヘルパー3級は取得できる?
- 資格のカリキュラムは難しい?
- 訪問介護で介護ヘルパー3級はまだ使える?
それぞれ見ていきましょう。
Q1.高校生でもホームヘルパー3級は取得できる?
A. 現在は廃止されている資格なので、取得できません。
上位資格である介護職員初任者研修には年齢制限がありませんので、高校生でも取得できます。
ただし、1部のスクールでは16歳以上というケースもあるため、確認はしておくべきです。
また、在学中に研修の時間を割くというのは難しいため、高校では介護の専門科があるところが好ましいでしょう。
Q2.資格のカリキュラムは難しい?
A. 学校の授業のように技術を持つ講師がつき、丁寧に教えてもらえます。
そのため、非常にレベルが高いといったことはなく、わからないことは聞けるので安心して取得できるでしょう。
もちろん、教えてもらえる内容は実務の基礎となる重要なことばかりです。
カリキュラムが長くても、じっくりと学べる所が多いので検討してみましょう。
Q3.訪問介護でホームヘルパー3級はまだ使える?
A. 訪問介護で介護ヘルパー3級はまだ使えます。
しかし、これからを考えると、技術を事業所に伝えるという側面でも新しい資格を持っている方が安心です。
また、給与を増やしたい、もっと質のよいサービスを提供したいならなおさらのことです。
需要は伸び続け、あなたの価値はさらに見直されていくことを考えても、次のステップに進んでみるという選択肢は持っておきましょう。
まとめ
ホームヘルパー3級はすでに廃止されており、今後取得はできません。
しかし、資格としては有効ですので、履歴書への記載は可能です。
また、ホームヘルパー3級の代わりに作られた生活援助従事者研修は、2021年3月時点ではスクールが少ないのが現状となっています。
そのため、これからのことを考えるなら上位資格を目指して動き出しましょう。