介護ヘルパーを依頼するまでの流れとは?各サービスの料金や種類についても紹介
「介護ヘルパーを依頼するには、どのような手続きが必要なの?」
「どういったサービスが受けられるのだろう?」
「費用やサービスの種類も気になる」
加齢によって体が衰えてくると、「介護サービスを利用するべきだろうか?」と、悩んでしまいますよね。
また、家族にとっても「介護施設に入所させてあげるべきか?」と、頭を抱える問題になります。
介護ヘルパーを依頼すれば、自宅での生活を維持したまま、介護生活を続けることが可能です。
今回「みーつけあ」では、介護ヘルパーを依頼するまでの流れについて紹介します。
この記事を読めば、介護サービスの種類や費用についても理解することができますよ。
1.介護ヘルパーを依頼するまでの流れ
介護ヘルパーを依頼するには、様々な手続きが必要です。
まず始めに、要介護認定を申請しましょう。
ここからは、介護ヘルパーを依頼するまでの流れについて紹介していきます。
2. 市区町村等の調査員による認定調査
3. 要介護度・要支援度の判定
4. 介護サービス計画書(ケアプラン)の作成
5. 介護サービスの利用開始
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ステップ1.要介護認定(要支援認定を含む)の申請
市区町村の窓口にて、「要介護認定、または要支援認定」を申請します。
申請する窓口は、医療機関や病院、自治体の介護保険窓口などが多いです。
場所や名称は、各地によって異なるため、各WEBサイトをご確認ください。
申請には、以下の書類が必要となります。
・介護保険被保険者証
・印鑑
介護保険要介護(要支援)認定申請書は、市区町村の窓口から入手が可能です。
介護保険被保険者証は、65歳以上(第1号被保険者)の全員に交付されます。
本人が40歳~64歳(第2号被保険者)の場合は、医療保険証(被保険者証)を用意しましょう。
ステップ2.市区町村等の調査員による認定調査
申請後、それぞれの市区町村等の調査員による認定調査を行います。
そして、主治医意見書の作成を、市区町村が主治医に依頼します。
主治医がいないときは、市区町村の指定医の診察が必要です。
この際、意見書の作成料は自己負担になりません。
ステップ3.要介護度・要支援度の判定
調査結果や主治医意見書の一部項目によって、全国共通の判定方法で要介護度を「一次判定」します。
その後、一次判定の結果と主治医意見書に基づき、「介護認定審査会」を実施。
この介護認定審査会(二次判定)の結果によって、要介護認定が決定します。
申請から認定の通知が送られるまでの流れは、原則として30日以内です。
また、認定結果は「要支援1・2」から「要介護1~5」までの7段階、もしくは非該当に分けられています。
出典:要介護認定|厚生労働省
・認定の有効期間について
認定の有効期間は、原則として6ヶ月となっています。なお、更新申請は原則12ヶ月です。
有効期間を過ぎた認定では、介護サービスを受けられないので注意しましょう。
また、有効期間内に身体の状態に変化があった際には、要介護認定の変更を申請することが可能です。
ステップ4.介護サービス計画書(ケアプラン)の作成
認定後は、介護支援専門員(ケアマネジャー)と共に、介護サービスをどのように利用していくのか?を話し合います。
そして、利用者本人や家族の希望、心身の状態などを考慮した上で、介護サービス計画書(ケアプラン)が作成されます。
ただし認定結果によって、依頼する環境は以下のように異なるので注意しましょう。
「要介護1〜5」 | 居宅介護支援事業者(ケアプラン作成事業者) |
---|---|
「要支援1・2」 | 地域包括支援センター |
ステップ5.介護サービスの利用開始
介護サービス計画書(ケアプラン)が作成されれば、内容に基づいた様々な介護サービスの利用が可能です。
・自宅でも受けられる訪問介護
・日帰りで行える施設の介護サービス
・長期間、もしくは短期間での施設生活(宿泊)による介護サービス
・介護のために必要な福祉用具の利用
・訪問・日帰り・宿泊の組み合わせによる介護サービス
訪問介護サービスの種類については、後ほど紹介します。
2.介護ヘルパーを依頼して行えるサービス内容とは?
「介護ヘルパーを依頼したら、どのようなサービスが受けられるの?」と、疑問に思っている人もいるでしょう。
介護ヘルパーを依頼すれば、利用者は自宅にいながら、洗濯や掃除などの援助、排泄や入浴の介助といったサービスを提供してもらえます。
サービス内容は、大きく分けて3つです。
・身体介護サービス
・通院等乗降介助サービス
ここからは、それぞれのサービスについて紹介します。
(1)生活援助サービス
生活援助は、利用者に直接触れなくても手伝える日常生活を、サポートするサービスです。
主には、以下のようなサービスが挙げられます。
・食事の調理・料理(食事の準備、配膳や片付けまで)
・洗濯(干して収納するまで)
・買い物代行
・薬の受け取り代行 など
介護ヘルパーが行える生活援助は、利用者本人や、家族が行えない家事のみです。
(2)身体介護サービス
身体介護は、利用者に直接触れて行う介助サービスです。
主には、以下のようなサービス内容が挙げられます。
・入浴介助:全身浴、又は部分浴の手伝い(入浴できない場合は清拭)
・食事介助:見守りや食事の手伝い
・服薬の介助
・着替え介助、歩行・移動介助 など
生活援助に比べると、より本格的な介護サービスとなっていますね。厚生労働省は、身体介護サービスについて以下のように説明しています。
・利用者の「ADL、IADL、QOL(日常的動作や生活の質)」や意欲向上のために行う自立支援と重度化を防止するサービス
・その他専門知識や技術を要する日常生活、社会生活のためのサービス
参考:訪問介護|厚生労働省
また、上位資格をもつ介護ヘルパー(ホームヘルパー)なら、「たんの吸引、経管栄養」などを提供することも可能です。
(3)通院等乗降介助サービス
通院等乗降介助は、利用者の通院における乗降車の手助けや、付き添いを行うサービスです。
介護ヘルパーが自ら車を運転して、利用者を病院まで連れていきます。
その後の歩行、受診手続きなども、必要に応じて対応が可能です。
3.介護ヘルパーの依頼にかかる料金
介護ヘルパーの依頼にかかる1日の料金(自己負担額)は、「サービスの種類別料金 × 利用時間 + その他料金(加算)」にて算出されます。
介護保険の自己負担額は基本的に1割負担です。所得によっては、2~3割負担となるケースもあるので注意しましょう。
たとえば、要介護3のサービス利用者(1割負担)が週2回、1日45分の身体介護サービスを利用すると、算出結果は以下のようになります。
394円 × 週2回 × 4週(1ヶ月)= 3,160円
料金は、地域毎によってまちまちです。一例として、サービス内容毎の料金をご参考ください。
生活援助サービスの料金
20分〜45分未満 | 181円 |
---|---|
45分以上 | 223円 |
※1割負担の場合。
参考:どんなサービスがあるの? – 訪問介護(ホームヘルプ)|厚生労働省
身体介護サービスの料金
20分未満 | 165円 |
---|---|
20分〜30分未満 | 248円 |
30分〜60分未満 | 394円 |
60分以上 | 575円(30分毎に83円) |
※1割負担の場合。
参考:どんなサービスがあるの? – 訪問介護(ホームヘルプ)|厚生労働省
通院等乗降介助サービスの料金
片道 | 98円/回 |
---|---|
往復 | 196円/回 |
※1割負担の場合。
介護全体にかかる月平均費用は約5万円
2016年の調査結果では、介護サービスの費用は全体平均で16,000円となっていました。
しかし、介護保険外サービスの費用は全体平均で34,000円と、さらに高くなっています。これは、医療費やオムツ代などに費用がかかっているためです。
また、介護期間は平均5年〜10年とされています。平均寿命は年々伸びているため、仮に10年を見越した総費用は600万円です。
介護にかかる総出費の目安として、参考にしてください。
4.訪問介護サービスの種類について
介護ヘルパーのサービスについて、だいぶ理解できてきたのではないでしょうか。
ここからは、訪問介護サービスの種類についても把握しておきましょう。
訪問介護サービスには、介護ヘルパー以外にもさまざまな種類のサービスがあります。
2. 訪問看護
3. 訪問リハビリテーション
4. 夜間対応型訪問介護
5. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
自分にあったサービスを、探すきっかけにしてください。
(1)訪問入浴
訪問入浴は、看護師1名を含めた2〜3名の介護ヘルパーが自宅に訪問して、持参した浴槽で入浴をサポートする介護サービスです。
利用者が自力で入浴することができなかったり、家族の介助だけでは入浴が困難な場合に利用されます。
訪問入浴を利用することで、利用者の生活機能の維持や、向上が期待できるでしょう。
なお、利用者の負担額の相場は、以下のようになります。
要支援1・2 | 全身入浴:利用者負担1割で845円(1回分) |
---|---|
要介護1~5 | 全身入浴:利用者負担1割で1,250円(1回分) |
※2021年4月現在のデータです。
参考:どんなサービスがあるの?訪問入浴介護|厚生労働省
(2)訪問看護
訪問看護は、看護師が利用者の自宅を訪問して、主治医の指示に基づいた診療補助を行うサービスです。
病状に応じて、以下のようなサービス内容が受けられます。
・病状の確認
・排泄介助、入浴介助などの身体介護
・カテーテル、ドレーンチューブの管理
・看取り など
利用者の負担額の相場は、以下のとおりです。
・訪問看護ステーションの場合
提供時間 | 利用者負担1割(1回分) |
---|---|
20分未満 | 311円 |
30分未満 | 467円 |
30分〜1時間未満 | 816円 |
1時間〜1時間30分未満 | 1,118円 |
※20分未満の算定は、20分以上の訪問看護を週1回以上含むことが条件です。
※2021年4月現在のデータとなります。
参考:どんなサービスがあるの?訪問看護|厚生労働省
・病院または診療所の場合
提供時間 | 利用者負担1割(1回分) |
---|---|
20分未満 | 263円 |
30分未満 | 396円 |
30分〜1時間未満 | 569円 |
1時間〜1時間30分未満 | 836円 |
※20分未満の算定は、20分以上の訪問看護を週1回以上含むことが条件です。
※2021年4月現在のデータとなります。
参考:どんなサービスがあるの?訪問看護|厚生労働省
(3)訪問リハビリテーション
訪問リハビリテーションは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などが、日常生活の自立に向けてリハビリを行ってくれるサービスです。
利用者の負担額の相場は、以下のようになります。
要支援1・2 | 20分以上実施:利用者負担1割で290円(1回分) |
---|---|
要介護1~5 | 20分以上実施:利用者負担1割で290円(1回分) |
※2021年4月現在のデータです。
参考:どんなサービスがあるの?訪問リハビリテーション|厚生労働省
(4)夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護は、夜間帯に介護ヘルパーが利用者の自宅に訪問して介護サービスを行います。
サービスの種類は、「定期巡回、随時対応」の2種類です。
定期巡回 | 18時〜翌8時の間で、排泄介助、体位変換、安否確認などを行うサービス。 |
---|---|
随時対応 | 急な体調不慮、ベッド転落の際に、介護ヘルパーが訪問したり、救急車の手配などを行うサービス。 |
なお、要支援1・2の方は利用ができませんので、注意しましょう。
利用者の負担額の相場は、以下のとおりです。(オペレーションセンターを設置している場合)
サービス内容 | 利用者負担1割(1回分) |
---|---|
基本夜間対応型訪問介護 | 月額基本料金1,009円 |
定期巡回サービス | 378円 |
随時訪問サービス(1名) | 576円 |
随時訪問サービス(複数名) | 775円 |
※2021年4月現在のデータです。
参考:どんなサービスがあるの?夜間対応型訪問介護|厚生労働省
(5)定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間365日体制で、柔軟に介護・看護サービスを提供できます。
介護と看護が一体となった万能なサービスですが、「要支援1・2」の方は利用できません。
利用者の負担額の相場は、以下のとおりです。
介護認定 | 利用者負担1割(1ヶ月:看護サービス有り) | 利用者負担1割(1ヶ月:看護サービス無し) |
---|---|---|
要介護1 | 8,267円 | 5,666円 |
要介護2 | 12,915円 | 10,114円 |
要介護3 | 19,714円 | 16,793円 |
要介護4 | 24,302円 | 21,242円 |
要介護5 | 29,441円 | 25,690円 |
※2021年4月現在のデータです。
参考:どんなサービスがあるの?定期巡回・随時対応型訪問介護看護|厚生労働省
介護ヘルパーに依頼できないことは「介護保険外サービス」
介護ヘルパーに依頼できるサービス内容は、介護保険法によって定められています。
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
介護保険サービスの目的は、あくまでも利用者の自立を支えるための支援活動であるということです。
しかし「介護保険外サービス」は、介護保険制度に適応していないサービスを行うことができます。
代表的な介護保険外サービス例は、以下のとおりです。
市区町村が実施する高齢者在宅サービス | おむつサービス、配食サービス、訪問理美容サービスなど |
---|---|
民間企業の介護サービスや高齢者支援サービス | 家事代行サービス、移送サービス、配食サービスなど |
介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業) | 通所・訪問による活動援助サービス |
シルバー人材センターの家事・福祉支援サービス | 窓拭き、洗濯、掃除、買い物、通院介助、留守番、会話の相手など |
介護保険外サービスは、各種保険が適応されないオーダーメイドサービスとなります。
そのため、ペットの世話や庭の手入れなどを依頼することが可能です。
訪問ヘルパーができないようなサービスを提供してほしい場合は、介護保険外(自費)サービスの利用をおすすめします。
▼訪問ヘルパーにかかる費用や介護保険外サービスに関する記事はこちら
>>訪問ヘルパーさんの依頼にかかる費用はいくら?老人ホームとの違いについても徹底比較!
介護ヘルパーを依頼して環境を整えよう
介護ヘルパーを依頼することで、住み慣れた自宅環境を維持したまま、介護サービスを提供してもらえます。
また、介護ヘルパーだけでは補えない部分は、他の訪問介護サービスや、介護保険外サービスで補うことも可能です。
ケアプランを作成する段階で、しっかりとケアマネジャーに相談をしましょう。
そして、気持ちよく介護サービスが受けられる環境を整えてください。